2021年3月のブログです
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佐々木譲さんの『ユニット』(2005・文春文庫)を読みました。
すごく久しぶり。
本棚の発掘作業をしていて(?)、偶然、見つけました(佐々木さん、ごめんなさい)。
緊張感のある小説で、ハラハラ、ドキドキ、しながら読みました。
年寄りの心臓には少し悪い(?)小説です。
テーマはDVと犯罪被害者遺族。
舞台は北海道。
あらすじはあえて書きませんが、DV被害者とDV加害者、それに、妻子を殺された遺族とその犯人らが織りなす人間模様を綿密に描きます。
DVの怖さと異常さ、二面性が怖いくらいに描きこまれていますし、殺人事件の遺族のうらみと憎しみ、そして、それからの離脱も描かれます。
読んでいると、人間が怖くなると同時に、少しだけ希望も持てるかもしれません。
人間はとても弱い存在ですが、案外捨てたもんでもないな、と思えるかもしれません。
いい小説に再会できたことに感謝をしたいと思います。 (2021.3 記)