田万川散歩

都会に伝えたい田舎の空気

イヌの日

2012年07月15日 01時14分16秒 | 日記
昨日はなにやらせわしい一日だった。

1.血だらけのカイ君
ニュースでもやっていたように、一昨晩はこのあたりも大雨となった。
普段から大した雨でなくとも僕らには聞こえない雷の音に怯え大騒ぎするカイ君。一度怯えスイッチが入ると瞳孔が大きく開き、
息使いは激しく、ヒステリックに玄関を壊しまくる。おかげでうちの玄関は人を迎えるにはあまりに汚い。
大抵はしばらくすると落ち着きを戻したり、ケージに閉じ込めると諦めて大人しくなるのだがその夜は閉じ込めたあとも
必死に抵抗していた。
あれ?大人しくなったと思って玄関をみるとカイ君がいない。

暗闇の部屋に光る目と荒い息遣い。
電気をつけるとこの有様。



一喝しまたケージへもどす。
ここからがひどかった。
無視をしようと寝たのが二時半ころ。
四時半、物音の激しさに目を覚まして玄関に出ると
あたりは血の海。
プラスティックのケージはぼろぼろ。
カイ君の顔や前足は血まみれで狂ったようにケージから出ようとしている。
かわいそうなカイ君。

雨の降る中、みー坊と血だらけの玄関を掃除し、それでも落ち着かないカイ君が見える位置で
カイ君が居座った布団を敷き寝たのでした。

2.捨てられた犬
二日前に家の周りで首輪をしている犬がうろうろしていた。
近所の家から「カイ君が放し飼いにされていて迷惑している」と役場に苦情が入り電話で通知を受けた。
その犬は黒茶で中型、あまり知らない人から見ればカイ君と見間違うかもしれない。

出勤時、カイ君をつれていると前からその犬がやってきた。
明らかに老犬で足やお尻に怪我があり、歩きもふらふらしている。
近寄ってくるものの手を出してかまれるのもこわいので通知を受けた役場に一方を入れた。

一旦カイ君を職場に置き、その犬を捕獲しようと出てみたが追うと逃げる。役場の方も
来てくれたがあまり深追いせず、結局逃げられてしまった。

カイ君流血の翌朝、眠い中で職場へ行くと前の山から遠吠えが聞こえる。
ずっとずっと鳴いていた。きっと動物にやられたか、穴におちたかで身動きができず
鳴いているに違いない。このままではのたれ死ぬだろう。
一方でまだまだうちの犬だと思っている地域の人が数人いることがわかったので
何とかせねばと捕獲に行くことにした。
といっても目指すは背丈ほどある藪の向こうの山の中。
長靴、カッパ、軍手に鎌を持っていざ行かん。

この時期は蛇も出る。足元は大雨でぬかるみ、触ったらかぶれる葉っぱも少なくない。
声はすぐ近くから聞こえる。なんとか開けたところにでるとそいつはいた。
僕を見ると逃げるように歩き出した。よかった、動ける。
だが山の中ではさすがに犬には勝てない。
道路にでるよう追いまわし公道にでた。
近所のおじさんも「あんた偉いねー」と応援してくれる。

追えば逃げる。このまま行けばまた国道に出て危ない。
もう覚悟をきめた。絶対に捕まえてやる。
民家のガレージに入ったすきに追い詰め、首輪に手を伸ばす。
そしてがぶり。
びっくりしたそいつは僕の左こぶしに噛み付いた。力もなく、歯も鋭さはないが
野犬にかまたのはまずい。が、ここでひよったら負けなのでしっかり首輪をつかみ
捕獲成功。
そいつもかんねんし、撫でてやると大人しい。
持っていたえさをあげると食べ始めた。応援してくれたおじさんもパンの耳を持ってきてくれた。

引っ張っていくが歩けず、すぐ倒れこんでしまうので僕は野生臭いそいつを抱え、職場まで連れ帰った。
牛乳とえさをあげた。もう先の長くないこいつに、おそらく捨てられてかなしみにつつまれたこいつに
少しでも人間のやさしさを感じて欲しかった。

役場に連絡するとケージを持ってきてくれ引き取ってもらった。
放送を掛けてくれるという。
もし飼い主が見つからなければ保健所へ連れて行かれるだろう。
それは仕方ない。山の中で飼い主を呼びながらのたれ死ぬよりはいい。

カイ君も生まれてまもなく兄弟数匹とともに捨てられていた。
保健所に収監され、カイ君以外はすべて引き取られていく中でカイ君だけ残り
殺処分の日が決まっていた。
その時に『Animal Rescue』という動物保護団体が間一髪で引き取りに成功し、育ててくれた。
僕らはそれを譲り受けた。

だからカイ君は幸せな犬なのだ。
だから捨て犬は見捨てられないのだ。

3.一日の締めくくり
こんなばたばたした1日、仕事が遅くまでかかっているとみー坊から連絡が。
「車のキーを持って帰ってしまった」
やれやれ。
外はまた大雨。カイ君も連れて帰らなければならない。
暗い中で連れて帰るのは慣れっこだがこの雨の中は・・・
でも仕方ない。
真っ暗の中で待つカイ君をリードにつなぎ、さて帰ろうとしたそのとき
足元にあった何かにつまづき、どろんこに向かって見事にこけた。
かさは折れ、携帯は放り出され、僕は顔からすべて泥だらけ。

骨だけになったかさをさしながら暗闇のどしゃぶりの中をとぼとぼと
カイ君をつれて帰宅したのでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿