このあたりではカメムシのことをホウムシという。
そもそもカメムシをご存知だろうか?
合宿やスノボー旅行なんかで田舎の宿に行くとお見かけするなんともかぐわしい香りの小さな虫。
こっちへ来てから彼らとは当たり前に共存しているし、確かに臭いはするが僕は忌み嫌う程ではない。中には見つけるやいなや紙にくるんでコショウのようになるまで執拗に踏み潰す人もいる。
少しイラついてしまった時のこと。
僕が洗っている洗面台にホウムシ君がいた。
イライラ感からそいつを流そうとしてしまった。
排水の中で必死にもがいて出ようとしている。
ふと我に返り、そいつをすくい上げ、外へ逃がした。
小さな虫だがそいつにだって生んだ親がいて、生まれてきた理由があり、生きる価値がある。
些細な苛立ちでその命を奪おうとした自分を恥じた。