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ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

天狗推参

2010-10-03 22:19:11 | 美術[た]
「特別展 天狗推参!」@神奈川県立歴史博物館

 展示室エントランスのドーム型の部屋は、足音をたてたり手を打ったりすると、音がビヨヨヨォ~ンと反響する。そのドームの先に、天狗にまつわる文献、絵巻、浮世絵、お面など、国宝、重要文化財含めて200点ほど展示。

 兜跋毘沙門、迦楼羅、荼吉尼天、飯綱権現、役行者などの像も天狗絡みの伝承で展示されている。江戸時代になると、それまで鬼神やら妖怪やらと恐れられていただけの天狗が、金太郎や動物と相撲を取ったり、金太郎に揺さぶられた大木の上から転げ落ちたりと、すっかりリアクション芸人に成り下がってしまったり、天狗界も格差社会になってきたようだ。

 高尾山薬王院の飯縄大権現三十六童子像3幅の保存状態が良くて、ちょこちょこいるブルーな童子が色彩豊かで綺麗。

 そういえばペリーの似顔絵も天狗に似ている。鼻高々で不思議な言葉をぺらぺらぺら、ぺ~らぺらぺら、ぺらぺ~らぺら、ぺらぺらぺ~らと喋っていた外人は、昔はみんな天狗扱いだったのだろう。

 ショップには当然のように天狗のお面やぬいぐるみが売っていた。でも天狗はやっぱり由緒ある神社で買いたいな。とはいえ買ったら帽子掛けになっちゃうかも。
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ドガ展

2010-09-27 19:03:42 | 美術[た]
ドガ展@横浜美術館

 21年ぶりのドガ回顧展で、約120点が展示されている。ボストン美術館展で見た《田舎の競馬場にて》の配置がやっぱり心地よい。

《立っている二人の男》: 1人は完成してるのに、もうひとりは足が透けていて、顔は真っ白。目玉を描いたらトモダチになりそうな白くて丸いだけの顔。これは描きかけの絵だと思うが。どんなエピソードがあったのかは知らない。

《マネとマネ夫人像》: 夫人の描き方が気に入らないからと、夫人の顔の部分をマネがちょん切っちゃった作品。

《浴後(身体を拭く裸婦》: 無茶苦茶不自然なねじりん棒みたいな裸婦だが、元にした写真まで展示してある。なるほど写真のとおりだ。

 しかしなんといっても「エトワール」、左下のボワッと白い光、そして輝くバレリーナ。有名な名画が突然目の前に出現するゾクゾク感が、輝きの分だけ増幅される。

 そのデラックスな描写のわりに、出番を待つバレリーナとパトロンの紳士が佇む背景の大雑把な描き方の対比が面白い。オペラ座の主役のことをエトワールと呼ぶそうだが、この絵の主役は紛れもなくバレリーナ。背景は単なる引き立て役だから、こんなもんでいいのかも。

 それで、背景を見ていたら、土色の崖に雑草がちょろちょろと緑色に生えているように見えて、右上の方は崖から生える樹木に見えてきた。多分そうじゃないのだろうが、大雑把なので何だかわからず、山道に見えてきてしまったのだからしかたがない。

 しかたがないので、バレリーナの代わりに野毛山動物園のレッサーパンダを登場させてみた。小さい紳士が気になるが、たいして違和感はない。「エトワール」が餌を探して山道を歩いているレッサーパンダの絵「えさある?」になっちゃった、というおはなし。

ドガ 《エトワール》


だが 《えさある?》

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田中一村 新たなる全貌

2010-09-02 18:34:02 | 美術[た]
田中一村 新たなる全貌」@千葉市美術館

 若冲展で5月に初めて行った千葉市美術館に、こんなに早く再訪するとは思わなかった。千葉駅から歩いて行ける距離だが、試しにモノレールに乗ってみた。降りたらすぐに美術館ってわけでもないが、徒歩15分が徒歩5分に短縮されるので猛暑はモノレール日和である。大船-江ノ島をつなぐ湘南モノレールと同じ懸垂式なので眺望は抜群。

 田中一村(1908-1977)が千葉に20年住んでいたということで、ゆかりの地にある千葉市美術館で250点も出品されている。8歳くらいで既に賞を受賞するくらいの絵を描いていたようで、神童はやがて東京美術学校に入学。東山魁夷と同級となったが、自分の病気や父の病気など諸般の事情でわずか2ヶ月で中退してしまった。

 千葉時代の襖絵や天井画もある。襖絵は座った視線に合わせて見えるように、ちょっと高い位置に展示している。いままであまり馴染みがなかったが、丁寧な画風はけっこう好み。特に、50歳で奄美大島に渡ってから描いた、掛け軸に合いそうな縦長の風景画は、緻密で繊細な作品となっていて目を奪われる美しさ。

 《アダンの海辺》   《不喰芋と蘇鐡》

 
 《枇榔樹の森》   《榕樹に虎みゝづく》

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束芋 「ててて」

2010-08-14 21:32:05 | 美術[た]
束芋 「ててて」@ギャラリー小柳


 アーティストブック『惡人』出版記念 & 第54回 ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館出展決定記念という個展を銀座のギャラリー小柳で9/11までやっている。

 毛髪を使ったミクストメディア作品や妖しくエグそうなドローイング作品、アーティストブック『惡人』などが展示されている。また、原美術館で半分外側上映された『ギニョラマ』が、再構成されて屋内作品として上映されている。

 『惡人』の文庫版絵本が売っていたので買ってきた。朝日新聞に連載された「悪人」の全挿絵が、あの浮世絵カラーで300ページくらい、こんもり入っている。そして吉田修一著「悪人」から引用した短いフレーズが挿絵のあちこちに差しこまれていて、絵本のような雰囲気を醸し出している。束芋ファンにお薦めの逸品。持っているだけで病みそうだ。
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トリック・アートの世界展

2010-07-17 22:10:49 | 美術[た]
「トリック・アートの世界展 - だまされる楽しさ -」@損保ジャパン東郷青児美術館

 見間違い、見落とし、思い込みによる錯覚などで、ちょっと二度見しちゃいそうな作品を集めた展覧会。『奇想の王国 だまし絵展』や『スーパーエッシャー展』のように、ウルトラハードな疑惑の悶絶天国とは違って、だます意図はなくても目を見張るスーパー・リアリズムや、歴史的名画を視点を変えて描いてみたというようなお茶目な作品もあり、適度に疲れた頭を、やや、もう少し疲れさせるライト感覚なトリック作品を見られる。

 福田美蘭は 《幼児キリストから見た聖アンナと聖母》や《帽子を被った男性から見た草上の二人》など、自分が絵の中の登場人物のひとりになったとして、そこから絵のままの目線で何が見えるのかを勝手に想像して描いている。けっこう笑える。
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水月観音菩薩半跏像

2010-04-07 21:28:37 | 美術[た]
 鎌倉、東慶寺の松ヶ岡宝蔵で仏像特別展をやっているようなので行ってみた。

 拝観するには予約が必要な《水月観音菩薩半跏像》も展示されていて、ガラスケースの中に入っていたが、30cmぐらい近くで三方からぐるりと見ることができた。高さ54,5cmの小柄な木像で、前から見たいと思っていた美しい姿に大満足。やっぱり絵ハガキと同じように、やや下から見上げた感じがいちばんいい。普段は隣の水月堂に安置されているようだが、こんなに近くからは見えないですよと売店の人が言っていた。

 他にも《観音菩薩半跏像》や《聖観音菩薩立像》《太子像》などの仏像と縁切寺に相応しい《離縁状》や、ばけもんがたくさん座禅している佐藤禅忠 筆《座禅の図》なども展示してあった。

 この仏像特別展は4月11日まででおしまい。


東慶寺 茶室への門


浄智寺の鐘楼門は、やや中華風味


鶴岡八幡宮前の段葛(だんかずら)と呼ばれる参道


鶴岡八幡宮 3月10日に倒壊した大銀杏の痕

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旅する流れ仏展

2010-02-19 23:32:07 | 美術[た]
「旅する流れ仏展」@ギャラリー旬

 いつもは陶芸展示などをしている広尾のギャラリー。中に入ると仏像が並んでいる。巨大仏など置いてないが、ギャラリーならではの、ちょっとアートな展示風景と、なんとなくホッとする空間。オーナーが不動明王好きだそうで、仏像はいつのまにか集まったもの。現代の作家による新作なんてのもちょこっとあるが、ほとんどは古いもので、中には腕ちょんぎれてるものなどもある。不動明王の化身だというキツネに乗った「秋葉権現」というのもあった。2月28日まで。
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国宝 土偶展

2010-01-09 23:09:25 | 美術[た]
文化庁海外展 大英博物館帰国記念「国宝 土偶展」@東京国立博物館


 天気のよい土曜日の午後、上野でちょっとどぐって来た。縄文時代(まだ私は生まれていない頃)←(そんな注釈いらんて)のお茶目な土偶が67点並んでいる。広い平成館ではなく、本館1階正面のいつもアジアの仏像を展示していた部屋なので、たいして広くない。

 出土地はなぜか東日本が圧倒的に多い。なぜなんだろう? 土偶は全部女性なのだそうだ。おっさんみたいな顔の奴もいるので気づかなかった。約18000展発掘されている土偶の中で、国宝になった土偶は3人しかいないらしい。その3人が集合、それから宇宙人っぽく見えるメガネをかけたような亀ヶ岡遺跡のお馴染み遮光器土偶や、ハートな顔した土偶、ホッテントット族みたいな尻に子供が乗れそうな土偶、土器に張り付いたようなかわいらしいダンシング土偶など、新春土偶ショーに相応しいスターが思い思いの変な格好で登場している。

 例によってガチャガチャがあったので200円で1個買ったら縄文土器だった。この火焔式土器も展示してあったのでまあいいや。ていうかけっこういいかも。ちゃんと器状になっているので実用的である←使うか
ハート型土偶ちゃんは昔買ったやつを持っているし、照れちゃう埴輪くんや無口な馬埴輪くんも持ってるから、これは当たりだと思っても差し支えない。

 その後は本館をうろうろ。丸山応挙『梅図襖』のギャラリートークを聞いたり、新春特別展示「寅の巻」なんてのを見たり、東洋館の休館に伴う臨時アジアギャラリー表慶館をうろちょろしているうちに閉館時刻になってしまった。


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束芋展(断面の世代)

2009-12-13 21:18:38 | 美術[た]
「束芋 ― 断面の世代 ―」@横浜美術館

 束芋展は2006年の原美術館「ヨロヨロン」以来3年ぶり。全部新作の展覧会になっている。入口に近づくと中が暗いので、今日は休館日かと不安になった。

 中に入るとエントランスの正面を巨大なスクリーンにして、いきなり《団地層》という映像作品が流れている。せり出す団地部屋から家具や衣料のたぐいが怒涛のごとく落下してゆくアニメーション。その落下を見ていたら昨日見た映画「2012」を思い出した。その映像のために、省エネ対策か、空襲警報かと思うような薄暗がりのエントランスで、すでに脳内は束芋の毒に浸食され始めてしまう。

 作品数は多くはないが、横浜美術館の余裕のある空間を贅沢に使いまくって、個性的な映像ステージを組み立ててある。《ちぎれちぎれ》という作品の舞台はアーチ型のトンネルや鏡面を使って、空間の広がりを感じさせるものになっていて面白い。

 2006年3月から2007年1月まで朝日新聞に連載された、吉田修一氏の小説《悪人》の挿絵も長さ70mに渡って全部展示されている。「ヨロヨロン」の時はまだ連載の最中だったので、リアルタイムで描いたものだけ順番に展示していた。うちでは新聞を取ってないので、この変な挿絵を全部ナマで見られるのはありがたい。図録にも全部載っている。

 束芋サイン入り図録をゲット。サインには左足が書いてあった。これは《blow》という作品に出てくる、足から咲く花にちなんだもので、今日からこのサインになったんだと。レクチャーホールで15時から開催されたアーティストトークで、束芋さんがそう言っていた。作品制作の過程や、舞台作りのよもやま話などが聞けて面白かった。

 この展覧会は3月3日まで。その後、7月10日から大阪の国立国際美術館に巡回する。

 
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聖地チベット展

2009-10-04 22:39:15 | 美術[た]
「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」 @上野の森美術館

 ポタラ宮その他の寺院、博物館から集まったチベットの名品120展が並ぶ。ローマの白いイメージから一転、金キラキンのド派手な世界に引きずり込まれたような感じ。それだけならまだしも、もの凄い個性を持った輝く仏像の数々に驚き呆れるほど。

 《十一面千手千眼観音菩薩立像》がすごい。目のついた千の腕が、まるで光背のように生え揃う。横から見たらハリネズミのようだ。頭上の十一面は3面、3面、3面、1面、1面とトーテムポールのように上に伸びている。そして金キラキン。

 《カーラチャクラ父母仏立像》がすごい。4面に顔があり24本の腕を持つ守護尊カーラチャクラと同じく4面で8本の腕の明妃ヴィッシュヴァマーターが抱き合い、合わせて32本の腕がこんがらがってわからん状態。三面六臂の阿修羅くんもびっくり。そして金キラキン。他にも父母仏立像がいくつか並んでいるが、日本ではありえない姿の仏像が、脳内を攪拌する。

 金キラキンな仏像は顔だけ艶消し塗装、あるいは、肌だけサテンゴールドで着衣がポリッシュゴールドという感じに塗り分けられているのが新鮮。とにかくこのカルチャーショックなチベット密教仏像群は必見。そしてポタラ宮の偉容も見とれるばかり。一度は行ってみたい。

 こういうことでもないと、なかなか知るきっかけが持てないんだけど。
 → 「聖地チベット-ポタラ宮と天空の至宝-」展に抗議する国際連盟
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大・開港展

2009-09-21 00:32:45 | 美術[た]
「大・開港展 - 徳川将軍家と幕末明治の美術 -」@横浜美術館

 開港150周年&横浜美術館開館20周年を記念する展覧会。徳川家ゆかりの品や絵画から、開港に関する資料や浮世絵、ペルリ、ハリス、リンコルンなどの名前が出てくる絵画やら文書などさまざま。リンコルンってのはアメリカ大統領リンカーンのこと。

 なかでも明治時代の工芸品が最高。花瓶や香炉、蒔絵の壷やら印籠やら。森村組(現ノリタケ)、宮川香山《高取釉蟹高浮彫水鉢》、正阿弥勝義《郡鶏図香炉》、並河靖之《七宝桜花鶏図花瓶》《桜蝶図平皿》、涛川惣介《椿に鳥図額》など見ごたえがある。4期に別れて展示換えがあるようだが、このあたりの七宝、彫金、大花瓶のたぐいは全期展示している。

 あまりにもでかくて豪華なライティング・ビューロー(引き出しいっぱい付きの机)や、家定所用の金工細工《岩に鷹棚錺(たなかざり)》などもかっこいい。

 常設展示場には、昔の作品たちに混じって、松井冬子の 《世界中の子と友達になれる》 が飾ってあった。あんまりグロくないやつだからまったく違和感がない。

 ついでに12月から始まる束芋展の前売りを買ってきた。
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エジプト・シカン・芸大・ガンダム・仏像

2009-08-06 00:07:58 | 美術[た]
日曜日は友達と合流したり解散したりしながら、朝から都内を徘徊し続けた。

 9時から 東京都美術館で 「トリノ・エジプト展 イタリアが愛した美の遺産」
朝1ではちょっと行列だったが、すぐに解消、「海のエジプト展」の黒っぽいイメージと違い、石灰岩の白いイメージがする彫像などを見物し、ホルス神の金キラボールペンを買ってきた。


 12時から 国立科学博物館で 「特別展 インカ帝国のルーツ 黄金の都シカン」
友達と2人でシカンの神様やらマヌケな顔の動物の容器などを見た。まいどお馴染みのガチャガチャがあった。シカン展なのにナスカキャラが出てくる微妙なガチャガチャで、ナスカはナスカで魅力的だが、シカン展でナスカが出てくるのは、ある意味、ハズレだろうと、2つもナスカを引いてしまった友達は複雑な表情で呟いた。

 14:30から 東京藝大美術館 「コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―」
友達と3人で上村松園「序の舞」をはじめとする芸大の逸品を見学。「序の舞」は意外とデカくて、綺麗な色だった。


 他の好きな作品:
・朝倉文夫「つるされた猫」・・・にょきっと伸びた腕がネコの首の皮をつまんでいるちょっと面白い猫彫刻。
・小泉清一「談話室用の喫煙具」・・・宇宙基地みたいな不思議な造形のタバコ基地。

 17:20ごろ 実寸ガンダムを見た。やや雨降りな変な天気にかかわらず、かなり多くの見物人が押し寄せていた。傍らのフジテレビではお台場合衆国とかいうイベントが開催されていて、両方合わせてすごい観客動員でお祭り騒ぎ、いや、ホントにお祭りである。

 18:00ちょうどに 東京カルチャーカルチャー到着。
仏像マニアックス2 「仏像トークライブ第2弾!ワンダーJAPANのライターが大集合!」
友達と4人でのんびり夕食をするうちに開演。出演者は「ワンダーJAPAN」にヘンテコな記事を書いている、まんじまるさん、クロスケさん、小嶋独観さんという豪華お笑いライターさんたちで、←お笑いなのか? 心行くまでヘラヘラと笑いの絶えない面白いトークショーだった。お台場ガンダムとギネス認定「牛久大仏」のサイズ比較。もし身長120mの牛久大仏が発狂して暴れだしたら、ガンダムの手には負えず、日本は壊滅するに違いないと、認識を新たにしたサンデーナイトであった。


 ガンダム見た時は「大きいね」とか言ってたくせに、でか過ぎる仏像がどうのこうのというトークを聞いた帰りには、「ちいさいガンダム」というようなセリフが無意識に発せられていた。大きさの感じ方は対象物あってこその脳内パレードなのだなぁ。
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だまし絵展

2009-06-13 23:56:29 | 美術[た]
「奇想の王国 だまし絵展」@Bunkamura ザ・ミュージアム

 名古屋から巡回してきて、この後は神戸に巡回予定。以前、あちこちにあったトリックアート美術館も、いつのまにか消え失せてしまった。ダリ、マグリット、エッシャー、福田繁雄などが好きなので、だまし絵展はぜひ見たかった。

 ダブルイメージや視覚のトリックのほか、リアリズムを突き詰めて、まるで本物のように見せる作品など、多種多様なオレオレ詐欺、じゃなくて、いかさま芸術、じゃなくて、なんだ、あれだ、こういうだまされ方は気持ちよい。

 63種類の野菜で顔を描いたアルチンボルドの《ウェルトゥムヌス(ルドルフ2世)》も日本初公開。よく見れば野菜の体がマタンゴみたいで気持ちわりぃが、同じく57種類の魚やタコ、カニなどの海の生物で描いた《水の寓意》のほうが生臭そうでさらに気持ちわりぃ。

 歌川広重 《即興かげぼしづくし》 は障子に映した影絵を人間影絵遊びを描いているが、その江戸っ子のトンチキな格好が笑いを誘う。

 みんながいちばん驚いていたのは、パトリック・ヒュ-ズ 《水の都》。以前テレビ番組でやっていたが、見る者が左右に移動すると、水路に建つビルが不思議に動くので、作品の前でわぁとかおぉとか言いながら体を左右に動かす怪しげな人で溢れていた。

 鏡面の筒を立たせたアナモルフォーズの周りをぐるぐる回ったり、右から見たり左から見たりと、驚いたり笑ったり、わりと賑やかな展示会場で、2年前の「笑い展」の会場の雰囲気に似ている。
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デザイン・フェスタ vol.29

2009-05-17 01:13:45 | 美術[た]
デザインフェスタvol.29@東京ビッグサイト

 十数年経っても未だにここまでしか切れてない赤いのこぎりを見ながらビッグサイトにずるずると入って行った。

 「はなみず屋」の新しいはなみず。あいかわらず垂れまくっていた。

 「刀の人」という雨傘。「人を斬らずに雨を斬る」ジャカジャ~ン♪
これを腰にさして夜道を歩いていると90%の確率で通報されるにちまいまい。ちょっとの間にぞくぞくと買っていく人がいてけっこうな人気だった。

 踊っている人、歌っている人、描いている人、売っている人、変装している人、変態している人、すでに落ち込んでいる人などのブースをめぐっていると、あっという間に時が流れてしまう。見に来ている人なのに変装している人や顔面塗りたくっている人もいて、巡回中にその人を見つけるのも面白かったりして。「あ、またいた!」
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月岡芳年展

2009-05-10 02:30:03 | 美術[た]
芳年 -「風俗三十二相」と「月百姿」- @浮世絵太田記念美術館

 江戸から明治の浮世絵師芳年の「風俗三十二相」と「月百姿」を半数ずつ、前期、後期で展示している。

 「風俗三十二相」はいろんな女性ばかり描かれていて、「痛そう」「熱そう」「煙たそう」「重たそう」「痒そう」「飲みたそう」などなど、面白いタイトルが付けられていて、なんかしたそうな女性の姿が描かれている。特に前から好きだったのが1番目の「うるささう」で、若い女が白い猫に覆いかぶさるようにして猫なで声で「猫や猫や」「タマやミイや」と戯れているところがかわいい。んだけど猫のほうは、そこまでまとわりつかれるとはなはだうるさそうに「わかったからそっとしておいてくんなましにゃぁ」

 他にも、料理を運ぶ仲居の口元に、力が入っていてさも「重たそう」とか、蚊に刺されて蚊帳からエロそうに這い出して来た妾のおっぱいが「痒そう」
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