ジャックは、隣に住むトムが週末になるといつも自分の芝刈り機を借りに来るのが嫌だったが、
お人好しなのでついつい貸してしまっていた。妻のメアリーは、こんなジャックの人の好さに呆れて言った。
「あなた、今度トムが芝刈り機を借りに来たら、ガツンと断ってよ!」
「...わかったよ、メアリー」
ちょうどそこに、トムがひょっこりと現れた。
「やあ、ジャック。今日、君んちの芝刈り機は空いているかい?」
ジャックはメアリーに肘で突かれながら、意を決したように言った。
「今日はダメだ、トム」
「どうして?」
「今日は、俺が一日中、芝刈り機を使うからだ!」
「一日中だって?」
「そう、一日中だ!」
毅然とした態度のジャックを見直したメアリーの誇らしげな視線をよそに、ジャックはニヤリと笑っていった。
「ちょうど良かった。それじゃあ午後まで、ちょっと君の自転車を貸してくれ」