(B)磐梯コース 3000円
元祖宮古そば処 なかじま 福島県喜多方市山都町宮古4107
今は喜多方市になってしまったけど2006年1月までは耶麻郡山都町だった。山都町の宮古地区といえば水そばの里として知られていて、いずれ新そばの季節に訪れたいとの念願をついに果たすことができた。
水そばとは、香りを楽しむため、そばをつゆにつけることさえせず、山から滲み出す清冽な水に浸して食べる食べ方で、宮古地区にはこの水そばを食べさせてくれる家が何軒もある。あえて「家」と呼ぶのは、飲食店の体裁をとらず、住居の座敷に上がり込むような感じでそばを食べさせてくれる店が多いからである。
1999年5月、連休を利用して初めて宮古を訪れた。その時には今ほどWeb上に情報もなく、町役場だったか町の商工会だったかに電話をかけて営業しているお店を紹介してもらった。そばも悪くはなかったけど、季節柄か山菜の天ぷらがとてもおいしくて、そちらの印象ばかりが強かった。期待し過ぎだったのかもしれないが、ちょっと拍子抜けしてしまい、それ以来、やはり秋、新そばの時期に再訪してみたいとの思いを抱いていた。
1週間ほど前に「なかじま」さんに電話し、11月4日に予約を入れた。
朝から順調に高速道路を飛ばし7年ぶりに宮古を訪れた。7年前のおぼろげな記憶がよみがえる。多少は変化もあるのだろうけど、鄙びた山村の雰囲気は変わっていなかった。ただし、今回は新そばの時期、しかも連休なので、同目的でやってきている車の数は少なくない。
「なかじま」さんは、集落に通じるメインの道路から奥まった場所にあって、ひときわ民家然とした佇まいで、看板がなければただの農家にしか見えない。
玄関を入り、予約の旨を告げると座敷に通された。12畳敷きの部屋を2間ぶち抜きで大広間として使用しており、そこに4人掛けの座卓が8卓並んでいた。ごく普通の民家の座敷で、閉じられてはいるものの仏壇もある。
メニューは(A)飯豊コース3500円、(B)磐梯コース3000円、(C)宮古コース2500円、そして天もり1500円。このメニュー構成、価格は宮古地区のどの家でもおおむね同じらしい。おそらく組合でカルテルを結んでいると思われ、決して安くはないけれど地域経済に貢献しておきましょう。
予約の際にはCコースでお願いしており、上の写真は実はCコース。これだと天ぷらがつかない。それではなんだか寂しいので、天ぷらを追加注文したら、それがBコースになるのだという。さらに、川魚の塩焼きor天ぷらが追加になるのがAコースらしい。
さっそくそばを水につけていただいてみた。7年前よりもそばの香りが高くおいしい。東京の名店のような洗練された感じのそば切りではないものの、荒々しく香るそばの旨さがある。普通のそばつゆもついているので、こちらも試してみる。つゆにつけても美味かった。刺身こんにゃくなどの素朴な料理も悪くない。お酒をいきたいところだけど、本日中に東京に帰らなければいけないので、それは我慢した。
コースのそばはおかわり自由なので、当然もう1杯いただく。なんと1杯めよりコシがあっておいしい。ゆで方が微妙に違ったらしい。さらにもう1杯。な、なんと、3杯目のそばは香りもひときわ高くコシもあって一番おいしい。おなかもいっぱいになってきているのにどうしたことか。聞けば、そば打ちは一人でやっているそうで。多少のばらつきがあるのでしょう。
大いに満足し、わかったことは、東京あたりで名店と呼ばれる店のそば切りと、宮古の水そばは似て非なる料理なのだということ。比べちゃいけませんね。どちらもそれぞれおいしいです。
帰路の道すがら外を眺めるうちに7年前の記憶がよみがえってきた。かつて訪れたのは「とのや」という店だった。
追加した天ぷら。これでBコースに!
秋晴れの宮古 なかじま
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