去年から、女優でもあり作家としてもご活躍されている中江有里さんの音楽活動に関わらせてもらっています。曲を書いたり、ライブでも弾かせてもらったり。随分長い間歌われていなかったとのことですが、それを感じさせないとても透明感のある声と凛々しさ。是非またご一緒出来たらと願うばかり。
そんな中江さん。この度Youtube channel を開設されました。第一弾として、2月のライブでも歌われた「草の想い」をアップすることになり、そのピアノを弾かせて頂いてます。
「草の想い」といえば、先日お亡くなりになった大林宣彦監督の映画「ふたり」の主題歌で、監督自身も歌われている曲。私は広島出身でおまけに東寄りなので、尾道にはそう遠くなく、尾道という場所も、監督の存在も、なんだかとても近く感じていました。もちろんお会いしたことはないのですが、尾道へ行く度に、撮影マップを見ながら、あぁここでこのシーンが!などと感動して歩いた想い出があります。
去年、中江さんとまだお会いして間もなかった頃、スタジオでお会いした時に、私が広島出身だという話から、自然と大林監督の話になり、その時の中江さんがとても嬉しそうだったのをよく覚えていたので、今回の訃報はどれだけ悲しかったか。監督を偲んでの「草の想い」です。
少し話が変わりますが、20年前、私をデビューさせてくれた事務所のボスが1月に急逝しました。私が10代の頃から知っている長い長い付き合いだったボス。まさか人生初の弔辞が彼の葬式だなんて(しかもこんなに早く)想像だにしていませんでしたが。彼はとても音楽が好きでした。人生を音楽に救われ、人生全てを音楽に捧げた人でした。デビューしたいなんて言いながら、ろくに何も出来ない私に色んな事を教えてくれました。そして音楽と同じ位映画が好きでした。映画監督になりたいとよく言っているような人でした。そんな彼も、やっぱり大林監督の事を好きでした。
そして今、私は大林監督の映画の主題歌だった曲を弾かせて貰っている。ボスに聞かせたい。ピアノでレコーディングすらしたことがなく、泣きながら何テイクも録っていた私が、サポートとしてピアノが弾けるようになったよ、と。君の好きだった映画の曲だよ。ピアノ、だいぶ上手になってきたよと。そして君に、この繋がりの全てのキッカケをくれてありがとうと伝えたい。
大林監督の新作映画「海辺の映画館 キネマの玉手箱」、中江さんも出演されています。こちらも、そしてこれからの音楽活動も、これからますます楽しみです。
哀悼の意を込めて。
素晴らしい作品を、ありがとうございました。
全てに、感謝します。