英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

小説≦史実?

2006-11-15 | イギリス
かつてのウガンダ大統領、イディ・アミンって知っていますか?
身長2メートル、ボクシングのアフリカ・ヘビー級チャンピョン、独裁者で30万人を虐殺し、人肉も食した。スコットランド国王を名乗り、アントニオ猪木との異種格闘技戦興業も計画された。
そんな男が治めるウガンダでの物語が、

ジャイルズ・ フォーデン「スコットランドの黒い王様」

1971年1月、駆け出しの医者である主人公は僻地医療に夢を抱き空路ウガンダに降り立つ。そこから始まる冒険談は、先入観なく読めば、小説のようなノンフィクションに見えてしまう。いや、これはやはり小説だ。小説だけに許された奇想天外が史実に裏打ちされてひたすらリアルに展開するのです。
クーデターにより登場した狂人指導者アミン。その主治医となる主人公。目の前で繰り広げられるアミンの異常な行動と虐殺の日々。国際社会を翻弄するアミンの言動に、主人公は恐れおののき、ひれ伏しながらも彼に愛着に似た感情を持っていく。
6年のリサーチが生み出した赤道直下の土地にまつわる熱いリアルな描写は、ちょっと寒い秋の読書にぴったりかも。

このアミン大統領、72年にはウガンダ経済を実質的に牛耳っていたインド系イギリスを全員国外追放とします。この時イギリスに逃れた一家の話が、かつて紹介しましたパトリック・ニート作 「シティー・オブ・タイニー・ライツ」です。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿