英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

海峡を渡る

2010-03-26 | イギリス


快晴の日曜日は家族で門司港レトロへ。
何度も足を運んでいるエリアなので、今更感はありますが、観光しましょう。
まずは腹ごしらえ。


名物「焼きカレー」をいただきましょう。


これが焼きカレー。
喫茶店で提供が始まった焼きカレー、ようするに卵とチーズがトッピングされたカレードリアという感じです。

レトロ地区といえば洋館が有名ですが、
けっこう気になる建物がこのホーム・リンガー商会です。


建物自体は古くないのですが、ちょっとピンクがかった色がかわいいです。
ホーム・リンガー商会自体は有名なグラバー商会の社員だったエドワード・ホームとフレデリック・Z・リンガーが明治元年に起こした会社です。今でもロイズの保険代理業や貨物検査をここ門司港で行っています。LLOYD,S AGENCYの白文字が異国の港町っぽいですね。

門司港側から渡船に乗って下関側に渡ります。往来の激しい関門海峡の航跡を横切る渡船はけっこうスリルがあります。

さて、これは何でしょうか?


唐戸市場です。
ふぐのセリで有名ですが、土日はこのように観光客でごったがえします。
みんなのお目当ては、寿司だったり、焼き物だったり、潮汁だったり・・・。


色々な海の幸があちこちでジュージュー。


どこか東南アジアの屋台村のようです。
右側にぶら下がっている写真を拡大してよく見てみたら、
石塚英彦とパパイヤ鈴木が写っていました。

ここからバスで2停留所ほど移動。


下関側から眺める関門橋です。

関門橋の下をしばらく歩いていくと、みもすそ川公園に出ます。
ここは源平合戦で安徳天皇が入水した場所。


幼い天皇を抱いて海中に消えた二位尼(平時子)の辞世の歌です。

二位尼辞世

今ぞ知る
みもすそ川の
御ながれ
波の下にも
みやこありとは

ふと振り返ると道路上を赤い車両が横切って行きます。
「あっ!ロンドンバスだ!」
そうでした、迂闊でした。
ここ下関ではダブルデッカーの旧型車両「ルートマスター」が無償貸与されて、お休みの日に運行されていることを忘れていました。本国イギリスでも定期路線からは引退しているバスに乗れるチャンスだったのに残念!

写真だけでもと走りましたが、正面を撮ることは出来ずお尻姿だけです。乗り降り自由のステップが懐かしいですね。
幕末、尊皇攘夷をかかげる長州藩はここ壇ノ浦から外国船に向けて砲撃を行い、海峡封鎖を行いました。これに苛立ったイギリスは米、仏、蘭と連合軍を作り攻撃、長州陣地を完璧に叩き潰したのでした。それから約150年、下関でのどかにルートマスターが走っているのを見るとちょっと感慨深いものがあります。

さて、今度は下関側から門司側へ関門トンネル人道を通って戻ります。


トンネルの長さは800メートル。
現在、人道は無料。ウォーキングを楽しむ地元民もちらほら。


トンネル途中にある福岡/山口の県境です。

トンネルを抜け、エレベーターで地上に上がると、若松屋という小さな茶店があります。この店頭で売っている「おでん」がちょっとしたB級グルメ的な美味しさで有名なのです。この日は、厚揚げ、玉子、ちくわを購入(各105円)。海峡を眺めるベンチで、甘く味付けされたおでんを食しました。
ここからはトロッコ列車「潮風号」(使われなくなった引込み線を利用した観光鉄道)でレトロ地区に戻ります。
ここでお笑い芸人、芋洗坂係長と遭遇。ん?去年ハウステンボスでも遭遇したぞ・・・。


JR門司港駅です。
重要文化財に指定されています。洗面所、便所、貴賓室、待合室などが昔のままの姿で残されています。関門トンネル人道の両端に置かれたスタンプを駅のインフォメーションで提示すると、トンネル制覇の記念証をいただけます。


旅の起点、終着点としてターミナルのホームは独特な味わいがあります。


ちょっと馬鹿にしていた観光でしたが、
まだまだ見逃しているところもけっこう発見。
海峡を行き来するとまた違った街が見えてくるもんですね。

今度は絶対にルートマスターに乗ってやる・・・・・。






最強の執事、登場か?

2010-03-25 | イギリス

ケン・ブルーエン「ロンドン・ブールヴァード」

以前早川文庫版で読んだ「酔いどれに悪人なし」は、スピード感こそあったもののイマイチ構成が散漫な印象だったのですが、今回の新潮文庫版新作は良かったよ。
とにかく意固地で偏屈なアイルランド臭がプンプン・・・。なにせ刑務所を出所して最初に流し込むものがブラック・ブッシュですから。主人公ミッチェルはアルコール依存症で薬もやっちゃう・・・、精神を病む妹がおり多少ナーバスな体質ではあるものの、何のためらいも無く相手の頭に銃弾を撃ち込む冷徹なギャング。犯罪小説をこよなく愛するという知的な面も併せ持つのは「酔いどれ・・」と同様です。ジェイムズ・エルロイが実際にパブに登場するのはご愛嬌?
ストーリーは「サンセット大通り」を翻案し舞台をロンドンに置き換えたもの。ホランドパークの大邸宅に住む往年の大女優とギャングの関係が怪しく読者を引き込んでいきます。
この女優に仕える執事が、今回一番の掘り出し物!簡単に言えば、「ジーヴス」をもうちょっとマッチョにしてあらゆる殺しのテクニックを備えた執事・・・でしょうか。どんな酷い二日酔いにもたちどころに効くという特効薬も彼が準備してくれますし(執事の第一の仕事はご主人様をシャキっとさせることなのか・・・)、あらゆる事が気づかせないままに静かに執り行っていく仕事っぷりにニンマリとしてしまいます。彼のさらなる活躍を読んでみたかったのですが・・・・・・・。それは無理か・・・・。






念願を叶える

2010-03-23 | 日常

大荒れの土曜日は1人で唐津へドライブ。
目的は・・・・・・、そう、ラーメンを食べるために。
昔々、小倉に1軒のラーメン屋がありました。私が住んでいた場所から程近い所にあったそのラーメン屋さん、いつもタクシーの運転手さんや学生で賑わっていました。小さい頃、友達の家に遊びに行ってた時、友達のお母さんがそのラーメンを出前で取ってくれたのですが、強烈な豚骨臭に圧倒されて食べることが出来ませんでした。高校生になり、やっとそのラーメンの凄さを理解し始めた矢先に、そのラーメン屋は店をたたんでしまったのです。何でも店の周りに止める客の車のことで近所とトラブルになったことが原因と聞きました。数年前、WEB上でこのラーメン屋が唐津市内で健在という情報を見つけました。以来、「いつかは行きたい」と思っており、福岡に居を構えたことを機に意を決して訪問という次第となったのです。
店の名前は、そう、「一竜軒」!
車を走らせて1時間半、ようやく店があるあたりに到着しましたが、店がありません!まさか、また閉店したのか?不安が過ぎります。Uターンして探すもやっぱりない!ここで引き返せば家族にどんなに馬鹿にされるかわかりません。再度Uターンすると・・・・、「あった!」・・・、てっきり道の東側と思っていたら、反対側にちゃんとありました。「いかんいかん、店に着くまえから緊張しちゃいかん!」大きく深呼吸して気持ちを静めます。
11時半に入店、既に3組のお客さんがいます。店内は4人がけのテーブルが4つ。なので相席は必須です。
注文は、迷わず大盛りラーメンとかしわおにぎりを(博多ラーメンに多く存在する「替え玉」は博多以外では意外と邪道扱いされています)。すぐにお水と一緒に「豆」が出てきます。豆をかじりながら待つこと数分、ラーメンが登場です。一人ずつ赤いカップに入った紅ショウガがレンゲといっしょに添えられます。このスタイルは小倉時代と一緒だ!
まずはスープの臭いから・・・・・、あれっ?それほど臭くない。記憶に刻まれたあの強烈な獣臭が感じられないのです。かまわず実食!です。「美味い・・・・・、この味です」 思わず「お母さーん」と叫んでしまいたくなります。隣のテーブルで食べてたおじさんが「うーん、うまい・・」と呟いています。思わず「でしょー、ここのラーメン、僕が生まれて初めて食べた(その時は食べれなかった)ラーメンなんですよ」と声をかけたくなってしまいます。
半分食べた頃合いに・・・、鼻腔の奥で何気に感じてきたのが、あの獣臭です。やっぱり記憶は間違っていなかった。だって毎日店の前をと通って高校に行ってたんだもん。この臭いは馴染みがない人にはちょっと受け入れられないテイストですが、慣れるといつまでも抱かれていたい!と思ってしまいます。
勘定の時、大将にちょっと挨拶しようかなと思いましたが、次々にお客さんが来るのでやめにしました。

あっ、やっぱり緊張していたのか、ラーメンの写真を撮り忘れました。

せっかく唐津に来たので、どこか見物でも、と考えましたが、すごい風と雨でしたので、名物ざる豆腐と大原松露饅頭をお土産に買ってかえりました。



これが大原松露饅頭








竹馬を作る

2010-03-18 | 日常

日曜日は油山、市民の森へ。
竹馬・竹とんぼ工作体験教室に抽選で当たったので朝から気合を入れてのお出かけです。
既にサイズに切られた竹を針金で固定して組み立てるだけなのですが、これが全然うまく行かない!
50組の参加者の内、すぐに20組ぐらいは出来上がって、外で試乗を始めているのに、まったく乗るところが固定できません。だんだんと父親としての力量が疑わしくなってきます。
「何で出来ないのー」と娘・・・
指導員のおじいさんの説明がどうも聞き取れない・・・
「ちょっと待って、何か間違っている。もう一度最初からやろう」
針金はぶち切れるは、手がつっちゃうは、で汗かいちゃいました。
結局、コツ(そうかテコの原理だ)をつかめば簡単。
別に力を込める必要もありませんでした。

ちゃんと練習するんだぜ!





ドールハウス

2010-03-16 | 日常

以前、娘からせがまれたドールハウス
しばらく空惚けておりましたが、
「今日はぜったい作って!」と赦してくれません。
じゃあ、作ってさしあげましょう。ということで、
「レゴ持ってきてー」
「レゴじゃだめ!木で作るって言ったでしょー」
「レゴで練習してから、木で作るんだよー」
「わかったー・・」

「屋根とー、前が開いてるんだよ」
「わかってる、わかってるってー」

ほら、出来たでしょう?



ドールハウスと言うよりは、
ハイチ大地震で崩れた住宅の様ですが。

でも、娘は大満足で「木で作るドールハウス」はすっかり忘れてしまったようです。
まだまだ、小学校1年生はちょろいちょろい。


レゴの基礎板・・・、底(下)にもブロックが付けれると格段良いのに。
2階建て、3階建てが簡単に出来るのにね。残念。

ツークツワンクな読書・・

2010-03-15 | 日常

マイケル シェイボン「ユダヤ警官同盟」

歴史改変物です。戦後イスラエル建国に失敗したユダヤ民族は居場所を求めて世界中に散らばっている。ここアラスカの辺境にも多くユダヤ人が移り住み、期限付きの特別自治区という形で生活を営んでいるが、その期限も残り僅か。自治区返還後の彼らの立場、居場所はまったく何も決まっていない・・・・。
こうした閉塞感に満ちた絶望の街で殺人事件が一つ。担当するのはユダヤ人刑事ライツマン。過去の働きは敏腕そのもの、しかし結婚に失敗し酒に溺れ、止めは離れた奥さんがなんと自分の上司となるという悪夢の日々。・・・・。迫りくる返還までに事件を解決しようと不眠で捜査を続けるライツマンであるが・・・・・。
読み始めてまず感じることとして、「難しい!」です。でも、この難しさがたぶん後半にかけて一気に溶解し、怒涛のエクスタシーのエンディングという構図であろうと期待して読み進めると、あっさりと裏切られます!残されたチェス盤の暗示、地下トンネルが抱かせるめくるめくサスペンスの予感、過激なユダヤ原理主義の存在など、面白く、ページをめくるのが重たいながらも律儀に付き合っていたのに、全部途中であっさりと放り出されてしまったような読後感は何なのだろうか・・・。

ランツマンが朝一番に寄った店で出されるのは、ゆでたまご。確かにハードボイルドには間違いない。

チェス用語として登場する「ツークツワンク」。まさにこの物語自体が、そしてそれを読む読書という行為自体がツークツワンクなのかもしれません。




スカイマーク

2010-03-12 | 日常

スカイマークって楽しそうだなあ。
JALもこれくらい思い切ったサービスをやればいいのに。

少なくともこの写真、顔部分をくり抜いて記念撮影パネルとして空港に置いて欲しいなあ。



昔、テロなんかに怯えなくてもよかった時代、国際線で「新婚旅行なので」とお願いするとコックピトに入れてもらえた!って話はよくあったと聞きます。
それにしても、スカイマークはパイロットもCAも制服がないんだ。と変なところで感心しちゃいました。





パンを届けてはいけないの?

2010-03-09 | 日常
今、福岡市ではちょっとした議論が起こっています。それは、給食で出るパンの持ち帰りを引き続き禁止とするという教育委員会の決定と、それに異を唱える議論です。凶暴化するモンスター父兄のクレームを恐れる行政と、食べ物を捨てることは正しくないという正論を吐く側との論争なのですが・・・・。
でもね、そもそも給食そのものが今の時代に必要なのでしょうか? って言うと、すぐに食育に効果的だとか、格差を無くす基本だ、なんて正論が聞こえてきます。「食育」って何? いつから食べることを人から教えてもらわなくてはいけなくなったの? みんなが同じものを同時に食べることが、どうして平等な社会を作ることにつながるの?・・・
私の小学校時代はもっと大らかだったな。米飯給食はまだ始まってなかったので、いつもパンだった。風邪で学校を休むと、クラスの子がパンと先生からのプリントを届けに来てくれた。パンもビニールなんかに包まれてない時代だったから、先生が紙できれいに包んでくれていた。玄関から顔を出すと、「熱あるん?」と心配してくれた。次の日、熱が下がり登校すると、みんなちょっぴり優しく接してくれた。 それから、別の日に先生から「○○くんにパンを届けてね」って頼まれるのがちょっと嬉しかったな。
ひょっとしたら、休んだ子にパンを届けなくなったことと、引きこもりが増えたこととは関係があるのかもしれない。愛子様にもパンを誰かが届けてあげれば、すぐに学校に行けたかもね。






熊本城は天下の名城!

2010-03-09 | 日常

家族で熊本に(2月28日)


まずはお約束の熊本ラーメン「こむらさき」です。定食にすると付いてくる右奥サラダが何故か美味しい。

そして熊本城に。
やっぱ熊本城の石垣は見事です。


加藤清正時代の石垣に細川時代の石垣が寄り添うダブル石垣です。


一見子供でも登れそうですが、そこは「武者返し」ですから危険ですよ。


創建当時の姿を残す宇土櫓です。
重要文化財ですが内部を公開。最上部にも上がれます。


宇土櫓から見た天守閣
今となっては内部の展示がちょっと古めかしい天守閣。
今一度木造での復元を期待します。


昨年より公開されている復元された本丸御殿「昭君之間」


備前堀から眺めた飯田丸五階櫓と大天守


石垣の長さでは日本一の「長塀」です。
個人的には熊本ベストワンの景色です。
夜、ライトアップされた姿も素敵。
石垣下は馬場になっています。


楔の痕が見てとれる石垣


お城見物を堪能した後は、蜂楽饅頭を食べて帰りました。
桜の季節にまた訪れたいな。



20年代のアイルランドは?

2010-03-08 | イギリス

久しぶりの泊りがけでの東京出張。思い切ってメールを入れてみた。
かつて広島時代にいっしょに働いた連中に。そう、金曜の晩は広島同窓会。7人も集まった。歳も違う、今は部署も違うかつての仲間、・・・でも、まさに戦友だね。10年前の使い尽くされた冗談が再び炸裂する。NGワードも相変わらずだ!グラスの焼酎がすぐ底をつく・・・。「もう1升、持ってきて!」・・・・・   ・・・・・   ・・・  ・・  ・・
次の日は、・・・・二日酔い。地鳴りのような頭痛が・・・・。胃袋が悲鳴をあげている・・・・。
だめだ、この状態での飛行機は!絶対に自信がない。東京駅の薬屋でソルマックとバファリンを手にいれ、新幹線の車中へ・・・。ようやく新大阪あたりで体調が戻り始めた。せっかくの読書に最適な新幹線です。多少眼がしゅぱしゅぱしますが、がんばって読みましょう。

カレル・チャベック「イギリスだより」

山椒魚戦争で有名なチェコの作家カレル・チャベックが、1924年にペンクラブの招きでイギリスを訪問した際の印象を書き綴ったものです。
チャベック先生、ロンドン、ウェンブリーで開催された博覧会の見物、スコットランド、ウェールズへの旅行などを行うのですが、彼の捉えたイギリスの「素晴らしさ」が面白い。その1つが、「芝生」なのです。イギリスには至る所に緑深い芝生が植えられ、そこを人々がどんどん通行することにチャベックは感銘を受けるのです。これがイギリスの自由な精神の象徴だと。
24年当時ならではのエピソードも。チャベック先生、ここまで来たら是非アイルランドを訪問したいと願うのですが、誰しもアイルランドに行きたいという彼の言葉が聞こえない振りをする始末。行く先々の本屋でアイルランドのガイドブックを探すけど見つからない・・・・。店主に問いただすと、店主は一言、「私たちはあそこへは行きません」。
ユーモラスなスケッチと似顔絵も楽しいです。