夏目漱石「三四郎」
何故か2冊もある「三四郎」。
朝日新聞に連載されて今年でちょうど100年です。
よく「こころ」から漱石デビューして、「自分にはちょっと合わない!」と以来漱石から遠ざかる人が多いですが、絶対に「三四郎」からがお薦めです。
永遠の恋愛小説という読み方も出来ますけど、悩める現代人にとって、この100年前の潔さと大いに悩みながらも前傾姿勢を保つ姿は大いに力になってくれそうです。
漱石はあらためてもっと評価されてもいいと思います。中学生、高校生には読ませちゃいけない大人の文学として。「猫」なんて抱腹絶倒インテリ爆笑小説だし、「行人」「それから」は超危険な小説ですもんね。
「三四郎」に登場する美禰子は、何回読んでも魅惑的です。元祖クールビューティーか・・・。
彼女がバスケットにお手製のサンドウィッチを入れてやってくるシーン、好きです。100年前のサンドウィッチってとっても涼しい食べ物のように思えます。
冒頭、熊本から東京に向う三四郎に広田先生が言葉を残します。
~「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ」~
私も、かつて入社式に出るため、東京行きの新幹線の中でこの広田先生の言葉を噛み締めていたのですが・・・・・。時がたち、気がつけばあらゆる物に「とらわれてばかり・・」の毎日です。
ストレイシープ、ストレイシープ、ストレイシープ・・・・・・・。