英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

幽霊や鬼がいっぱい!

2008-03-26 | イギリス
「ディケンズ短篇集」


ちょっと暗めな作品を集めた短篇集。でも暗さの中にもディケンズらしいユーモアが個々個所に感じられます。

*「墓堀り男をさらった鬼の話」
ピクウィック・クラブ(1837)挿入短編
クリスマス・イヴの夜、墓堀り男、ゲイブリエル・グリルが墓場で出会ったのは・・なんと鬼!このお話し、なかなかに視覚的、音響的な面白さに溢れてます。墓場に響く猛々しいコーラス、光の点滅と共に鳴るオルガン、雲が行き来するごとに場面が切り替わるテレビのような仕組み・・・。是非、舞台でこの話をアレンジして欲しいですね。アニメもいいかも。

*「旅商人の話」
ピクウィック・クラブ(1837)挿入短編
泊まった宿の部屋に、椅子の姿をした幽霊がいて・・・・。

*「奇妙な依頼人の話」
ピクウィック・クラブ(1837)挿入短編
ディケンズの父親も収監されていたというマーシャルシー債務者監獄。その体験が彼の著作に大きく影響しているのは確かなようです。当時は借金を返さない人間は犯罪者として監獄行きだったのです。現代では借金している側が「債権放棄しろ!」と威張っているんですから笑ってしまいますね。このマーシャルシー監獄に繋がれ、愛する妻と子を失った男の復讐劇がこのお話です。この監獄、そういえばジャック・オーブリー艦長も入れられていた所でした。

*「狂人の手記」
ピクウィック・クラブ(1837)挿入短編

*「グロッグツヴィッヒの男爵」
ニコラス・ニクルビー(1839)挿入短編
狩りに行くのが大好き!酒を飲み夜遊びするのが大好き!な男爵が、美しい奥さんをもらった。とたんに奥さん、男爵のお楽しみをみんな禁止しちゃった。それに加えて財産が一文無しに・・・。こうなったら自殺するしかない!ってことで最後のワインとパイプを楽しむ男爵です。そこに現れたのは、「絶望と自殺の守り神」という幽霊・・・・・・。ひたすらコミカルなお話です。

*「チャールズ二世の時代に獄中で発見された告白書」(1840)
早世した兄の子供を引き取っていた男が、その子を殺してしまうことに。彼がその死体を隠したのは・・・・・。

*「ある自虐者の物語」
リトル・ドリッド(1857)挿入短編

*「追いつめられて」(1859)
よく出来た推理小説です。話の舞台は生命保険会社。18世紀に誕生した近代的生命保険は、それまでの賭博的な商売をあらため、統計学に基ずく死亡率換算で成長を続けます。19世紀半ばには掛け金の少ない簡易版生保が登場し、労働者階級にまで保険が浸透することに。そうこれは保険金殺人事件です!

*「子守り女の話」(1860)
誰にでも子供時代に聞かされたことのある「恐い話」・・・。ディケンズ少年の「恐い話」ってどのようなものだったのでしょうか。
けっこう凝った恐怖話です。

*「信号手」(1866)
独立した短編としては有名な作品です。書かれた頃のイギリスは、まさに鉄道ブームの真っ盛り。トンネルの入り口で番をする信号手に見えた「幽霊」はなんだったのでしょうか?

*「ジョージ・シルヴァーマンの釈明」(1868)
極貧の中で生まれながら、教育を受け、英国国教会での聖職に付くことができたシルヴァーマン。彼自身、そして周囲の人間達のどこか偽善的な展開が気になる作品です。

無敵艦隊!

2008-03-24 | イギリス

「エリザベス:ゴールデン・エイジ」

公開終了間際、滑り込みセーフでした。観客は私を含めて4人だけ・・・。まさに王様のように席を占領し、足を投げ出しての鑑賞です。
前作「エリザベス」の続きを同スタッフ、同キャストで綴った作品です。奔放な愛人関係が大きく取り上げられていた前作に比べ、今回はかなり枯れた美しさが光る演出となっているようです。
カトリック教徒の統治は依然困難を極めており、スコットランド女王メアリー一派がめぐらす陰謀も、絶えず付きまとう暗殺の恐怖とあいまって、エリザベスの周囲で具体性を帯びてきます。そういった中、新大陸での利権に野望を懐くウォルター・ローリーとの出会いがあり、束の間の安らぎを見出そうとするエリザベス。このローリー卿との関係もひたすら控えめに描かれています。
そしてついに企みが露見して、メアリーは断頭台に・・・。絶好の口実を得たスペイン王フェリペ2世は無敵艦隊をイングランドに向わせます。この無敵艦隊を迎え撃つあたりは、ちょっと脚色がすぎる感じが・・・。ローリー卿が焼き討ち船を自ら仕向ける・・・なんてわけはない!なんか、一度の海戦で無敵艦隊が全滅しているように描かれていますが、アルマダ海戦としてしられるこの戦いは、小規模な海戦が断続的に続いた後、戦意を失ったスペイン艦隊がイングランド上陸を諦め、スコットランド周りで帰港しようとした途中、アイルランド沖での度重なる暴風雨と疫病の発生でボロボロになって壊滅したというのが史実です。火船を使っての攻撃は実際カレー沖海戦でイングランド軍(海賊、商船の寄せ集めですが)によって採られた作戦でした。当時の船は当然木製で、水漏れを防ぐためタールを塗りたくり、火薬を大量に積み込んでいるわけですから、まさに火気厳禁。風向きさえ味方につけれれば、焼き討ち船は有効な攻撃手段だったようです。
まあ、そんなことはどうでもよく、ひたすら美しさと強さを併せ持つエリザベスを堪能できる映画です。ケイト・ブランシェットは女王である孤独感と使命感をよく演じていたと思います。評判どおり衣装は素晴らしく、ロケセットと照明の演出も史実と伝説が織り成す物語をうまく引き立ててていました。

写真は一番気に入ったシーン。タイルで描かれた床のヨーロッパ地図の上で無敵艦隊を迎え撃つ覚悟を決めるエリザベスです。

ネズミに乗って時間旅行?

2008-03-18 | イギリス

スカーレット・トマス「Y氏の終わり」


もはやこの手に取ることが出来るとは考えてもいなかった幻の本、ルーマス著「Y氏の終わり」。大学院生アリエルは、偶然にも立ち寄った古本屋で、その本を見つけてしまうのです。その本、読んだ者は必ず非業の死を遂げるという、呪われた本という言い伝えがあったのですが・・・・。
出てきます、出てきます。ダーウィンに、サミュエル・バトラー、ハイデッガーにデリダ、アインシュタインにシュレーディンガー・・・。まさかこの本で量子力学やビッグバンのおさらいをするとは思ってもいませんでした。そして、知らなかったな・・「ホメオパシー」。ホメオパシーとは、同種療法と訳されるもので、約200年前にドイツの医師ハーネマンによって提唱された療法だとか。その症状を引き起こしていると思われる物質を、あえて与えて治療しようとするものです。(酒を飲みすぎた次の日に迎え酒をやる、とはちょっと違う・・・・) 日本では馴染みがありませんが、欧米では根強い人気があるということです。キモはとにかく物質を信じられないくらい希釈するということ。そして震盪・・・みたいです。
誰もが持っており、様々なメタファーで形作られる「トロポスフィア」。ここへアリエルが行き来できるようになると・・、突然に、物語りは加速度的に、よりミステリアスに進み始めます。思考=物質、そして時間=距離となる、このトロポスフィアがちょっと今風で笑えます。歪んだ空間を前にしたコントロールパネルの機能などは、あたかもゲームセンターにあるガンダムの操縦席といった印象か・・・。3Dロールプレイングゲームのノリですね。ネズミの神様「アポロ・スミンテウス」は、バレエ「くるみ割り人形」に出てくるネズミの大将を思い出しちゃうし・・・、アリエルを追い詰める2人組みは、私の中では「ブルース・ブラザース」をどうしても連想してしまって、どうも緊迫感が・・・・。
裏切られ、肩すかしをくらい、失笑したり、置いてきぼりくらったり、引き込まれたり・・・といった忙しい読書体験でした。結局、アダムといっしょにたどり着いたのは・・・・、誰でも知っている・・・あそこ・・でしたか・・・。
色々と忘れ物をしちゃった後のような読後感です。

ZOO

2008-03-17 | イギリス
ずいぶん春らしくなってきました。
そこで、日曜日はお弁当持って動物園ということになりました。
動物園といえば、世界で初めてZOOと呼ばれたロンドン動物園が有名です。サッチャー政権下、歳出削減の槍玉に挙げられ、閉鎖寸前まで追い込まれながら、市民の署名活動の結果存続が決まり今もがんばっています。場所はリージェントパークの北東の端に位置しており、広大とは言えないまでも、ゆったりとした配置で動物たちを楽しむことができます。古い動物園ですから、ペンギン池や飼育小屋などいくつかが歴史的建造物に指定されており、その辺も見所の一つかも。
私が1人でロンドン動物園に行ったのは92年の春・・・、平日のそれも午前中・・・・。(1人で外国の動物園って・・ちと寂しいですね)  その時見たことを人に話すと信じてもらえないのですが・・・・。象が・・・、檻から出されて見学通路をお散歩してたんですよ。本当に・・・、飼育係の先導で、数頭連なって・・・。  今、ロンドン動物園には象はいないみたいです。

http://www.zsl.org/zsl-london-zoo//




写真は地元動物園のレッサーパンダたち。
ちょうどオヤツの時間でした。彼らのオヤツはリンゴです。

42

2008-03-11 | イギリス

Googleで「人生、宇宙、すべての答え」と検索してみましょう。
答えは・・・・・・・、
「42」!

このシャレがわかりますか?

わからない人は、これを読みましょう。

ダグラス・アダムス「銀河ヒッチハイク・ガイド」

もともと78年から放送されたBBCラジオドラマの脚本を79年に小説化したもの。
ラジオドラマ、小説とも大ヒット。今もカルト的な人気を集めています。

平和を謳歌する地球が、突然に惑星間を結ぶバイパスの建設予定地に指定され、破壊されてしまう。
その理由は・・・・、
「銀河ヒッチハイク・ガイド」改訂版制作のため、現地調査員として地球に来ていたフォードに助けられた地球人、アーサー(何をやっても垢抜けない、典型的なイギリス人ヒーロー)が経験する冒険とは・・・。
ナンセンスです、ドタバタです。脈絡もなくどんどんワープします。好きな人は大好き!嫌いな人は、どこが面白いのか皆目分からず地面に叩きつけること必至かも・・・。
それゆえか表紙に輝く「DON`T PANIC」の文字が、読者に冷静に行動するよう促しています。

HAL9000とならんで、その筋で有名なコンピュータ、「ディープ・ソート」。
IBMは同名のチェス用スーパーコンピュータの後継機「ディープ・ブルー」を開発しています。ディープ・ブルーはつまり地球である・・・・。(この辺は物語の続編ネタと・・・・) ちなみにHALはIBMのアルファベットをひとつずつ前にしたという説は有名ですよね。

ダグラス・アダムスは大のウッドハウス愛読者だったとか、そういう意味でイーヴリン・ウォーの世界とも通ずる系統なのでしょうね。

私がGoogleの開発担当なら、「人生、宇宙、すべての答え」には
「750万年待ってください」ってメッセージだしたのに・・・。

からまあぞふ

2008-03-08 | 日常

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」

~僕は「カラマーゾフの兄弟」と「静かなドン」を三回ずつ読んだ。「ドイツ・イデオロギー」だって一回読んだ。円周率だって小数点十六桁まで言える。それでも彼らは僕を笑うだろうか?たぶん笑うだろう。死ぬほど笑うだろう。~(村上春樹「羊をめぐる冒険」)

世の中を、「カラマーゾフの兄弟を読んだ人」と「カラマーゾフの兄弟を読んでない人」に分類すると新しい世界が見えてくる。と言った人がいたかどうかは知りませんが・・・。少なくとも上巻だけ持ってる人もけっこうな数いるんでしょうね。だいたいロシア物は、概して人の名前が長くて憶え難いことに加え、個々の登場人物の独白がしつこくながすぎます。ちょっとくどい関西人と話をしている感じに似ていたりもします。
そんなカラマーゾフ。最近新訳なんかも出て、ちょっと本屋で巾を利かせているようですね。新潮文庫の腰巻には「東大教師が新入生に薦めたい本第一位!」なんてコピーが踊っています。思わず「ふんっ!」と鼻を鳴らしてしまいます。「だから、何なんだ!」こんなエラそうなコピーで人に読ませようとする考えがちょっと・・・・・です。さて、私の持っているカラマーゾフは新潮文庫の旧版・・・・・。表紙の暗いドストエフスキーの肖像とあいまって、読了するのにかなりの苦労を強いられた記憶が蘇ってきます。いったいどんな書き出しだったのでしょうか?ちょっと開いてみると・・・・・・。
冒頭、「作者の言葉」があって・・・・・   こんなことが書いてありました。

~『読者たるわたしが、なぜその男の生涯のさまざまな出来事の詮索に時間を費やさにゃならないんだい?』~(中略)~
だが、もし、読み終わってもわかってもらえず、~中略~ はたして読者にうまくそれを証明できるかどうか、まったく自信がない。(中略)だが、困ったことに、伝記は一つだが、小説は二つあるのだ。重要な小説は二番目のほうで、
最初の話を読めば、第二の話にとりかかる価値があるかどうか、あとは読者が自分で決めてくれるだろう。もちろん、だれ一人、何の義理もないのだから、最初の話の二ページくらいで本を投げ出し、二度と開かなくとも結構だ。~
やはりわたしは、この小説の最初のエピソードで話を放り出せるような、きわめて正当な口実を与えておくことにしよう。
(原卓也 訳)

これはどう解釈したらいいのでしょうか??
「読めるもんなら読んでみろ!!!」、でしょうか、
「面白くないかもしれないから、そのときはごめんね!」、あるいは、
「前半は退屈だけど、後半がんばってるから読んでね!」、なのか・・・・。
挑発しているのか、言い訳がましいのか、ドストエフスキーくん。
こういう風に書かれると、読んだ人も、読んでない人ももう一度読んでみたくなりませんか?
でも確かに前半はキツイよなぁ・・・。後半は一気にスリリングな展開だけど・・・。大審問官の章はすごかったなぁ・・・。

と、ここまで書いて、大きな間違いに気づきました。ドストエフスキーの言っている二つの小説とは前半、後半のことでなく、続編が用意されているということでした。ドストエフスキーの死去により日の目を見ることがなかった続編。現代人をさらなる苦悶の読書体験に誘うものだったんでしょうか・・・。

頻繁に幼児が虐待され、家族が殺しあう、現代の日本。読んだからって、宇宙人に笑われるだけかもしれませんが、一度は読んでみましょうよ。投げ出しても構わないって言ってるんですから。

胃カメラを呑む

2008-03-04 | 日常

日頃の不摂生がたたってか、昨年秋の健康診断で胃上部にポリープが発見されてしまいました。直ぐに2次検査(胃カメラ)を受けてくださいと指示を受けていましたが、元来恐がりの私としては、何かと理由をつけて先延ばしを続けてばかり・・・。とうとう総務から今月中に検査受けないと費用が自己負担になりますよ!との一言で重い腰を上げ、クリニックに予約を入れた次第です。クリニックからの電話での説明では、当日、鼻から入れるか、口から入れるかお選びいただけます、とのこと。その日から悩める、不安な日々が始まりました。「口から入れると、ぜったいにオエッてきて苦しいんだろうなあ」「でも、鼻からはもっと痛そうだなあ・・・・」  そう考えているとだんだん胃が痛くなって来て・・・・、急にキャベジン飲み始める始末・・・・。そして、「たぶんガンかもしれない」「あれだけ毎日お酒飲んでたから、絶対ガンになってるはずだ・・・」とイメージは膨らむ一方です。お酒の量も膨らむイメージに合わせて増える一方・・・。
いよいよ検査当日。願い空しく、雪で電車が不通になることもなく、今日に限って踏切事故も無く、定められた8時40分にクリニックに到着です。すぐに検査着に着替えさせられ、いよいよ鼻か口かの選択の時です。やさしそうな看護婦さんが丁寧にそれぞれの長所、短所、諸注意を説明してくれます。「どちらにされますか?」・・・・ 何かレストランでどっちのランチコースにするか待たれている状況のようです。待たれると決めきれない私・・・。「初めてでしたら、お口からします?」と看護婦さん・・、「は、は、鼻からでお願いします」と私・・・。すると看護婦さん「鼻からを希望された場合でも、医師の判断で途中から口からに変更になる場合あります。その場合、あらためてお口の麻酔はしませんので・・・・・・・」なんて言われて・・・、「鼻と口、両方やられちゃったら世界一不幸な男じゃん・・・」なんて涙目な私。
9時になり診察室に呼ばれます。1週間繰り返したイメージトレーニングでは、美人の女医さんが、「大丈夫ですよ。痛くないからね。」と優しく鼻からカメラを入れてくれるというはずが・・・・。げっ、男・・・、それも大男・・・・、おまけに無表情・・・・、あんな太い指でいたぶられるのかい・・・・・。最悪な状況です。私「よろしくお願いします」、先生「・・・・・・」、鼻の中をのぞかれ、先生「右に」、で診察終了・・・・。どうやらこの瞬間に鼻の右の穴がめでたく選ばれたみたいです。別室に移り、看護婦さんの指示で、まず胃の泡を消す液体を飲まされます。ちょっとポカリのような甘みがあります。そしていよいよ鼻の麻酔です。まず鼻の穴を広げる薬を3回に分けて中に噴霧されます。これは平気!でした。次にやはり3回に分けて出血を止める薬を注入されます。喉に流れてくる液体がチリチリしてちょっとオエッてなりますが、がんばって飲み込みます。(飲み込んでくださいと言われます) ここまでは普通に腰掛けて処置されます。それからベッドに横たわり最後にゲル状の麻酔薬がたっぷりと注入さます。これが喉を通るとだんだん痺れてきて上手く飲み込めなくなります。ここで大男先生登場。カメラと同じ太さのチューブを鼻に入れてくれます。これは全然平気。ここでしばらく放置。ベッドの高さが調整され、横向きになり、これから唾は全部飲み込まずに外に垂れ流してくださいと看護婦さんに指示されます。あとは大男先生を待つのみです。再び先生が登場します。本当に医者なんでしょうか、レスラーにしか見えません。どうしよう、「やさしくしてください」って頼んでみようかと思っていると、鼻のチューブが抜かれ、突然部屋の電気が消されて・・・強力な光が目の前に迫って来たかと思う間もなく・・・、カメラが鼻に・・・。次の瞬間、先端が喉にあることが分かります。一番苦しい場所です。先生「ごっくんして!」、「ウッ、オエッ・・・」やっぱオエってするじゃないですか!左目から涙がでます。でも苦しいのはそこまででした。喉に大きな物が入っている感覚はずっとありますが、カメラが食道、胃に入っていく感覚は分かりませんでした。たぶん一番奥までカメラが入ったのでしょう。今度は鼻から抜いていくのが分かります。串を打たれた魚の気持です。カメラの先端からは水と空気が出せるらしく絶えず「ジュルジュル、シューシュー」という音がして、映画「エイリアン」が頭の中に浮かびます。てなことを考えていたらスポっと鼻からカメラが出て、部屋の電気がついて、終了・・・となりました。
直ぐに診察室で結果発表です。机の上には私の胃の中を写した写真が置いてあります。先生、写真の上にマジックで矢印を無言で書いてくれます。えっ!その突起は?・・・、まさか、やっぱり・・・。先生、搾り出すような声で「良性です」「まったくキレイです。」「ご安心を」。・・・・・・・・・・よかった・・・・・・・・。
着替えをし、麻酔が切れるまでの諸注意(飲食をしない!)を受けて病院を出たのが9時32分でした。その日の出社を12時にしてたので、ちょっと肩すかしでした。まあ、それから麻酔が切れる1時間は喉が気持悪くてずっとタオルで口を覆ってましたけどね。
以上が、まったく落ちがない体験記です。ちなみに胃カメラは日本人が発明した物。オリンパスの人が作った技術だとか。真田広之のCMでやってるやつですね。今回私に突っ込まれたのがオリンパス製かは分かりませんでしたが、凄い技術には違いないですね。必要なら組織サンプルを採ることができる鉗子もついています(まさにエイリアン)。