英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

移民の街ロンドン

2006-05-17 | イギリス
パトリック・ニート 「シティー・オブ・タイニー・ライツ」(2005)

ウガンダ生まれのパキスタン系イギリス人、トミー・アクタル。アフガニスタン帰りでクリケットおたく。ワイルドターキー(バーボン)とベニー(BENSON&HEDGESか?)がないと何もおっ始められない私立探偵。
出てくる登場人物はアフリカ系、ロシア系、ポーランド系、アラブ系、イタリア系・・・でもって職業は娼婦にギャングに、チンピラ、運ちゃん、自称絵描きに下院議員(ただし死体)ときたもんだ。


30万人以上の自国民を虐殺したウガンダの独裁者アミン大統領。その彼が72年、ウガンダ経済を牛耳るインド系イギリス人5万人を国外追放する。アクタル親子はこの結果としてロンドンに移り住んだのでしょう。アフガン帰りの設定といい移民連中満載の下町設定といいイギリスが抱える現実がこの物語の底辺にあります。プロットは多少乱暴なきらいもあり、スラングいっぱいの会話に最初は少々まごつきますが、スピード感ある展開がそのうち心地よくなります。ただ、頻繁に語られるクリケットの話は・・・チーム名も選手名も分からないので人生訓として語られてもねえ・・。実はクリケット、本国イギリスでももちろん盛んですが、インドやパキスタンなど旧植民地でもけっこう強いチームが作られており、国際マッチがけっこう行なわれているみたいです。
イギリス本国ではこの本の発売2週間後に地下鉄自爆テロが発生し、テロを予言したなどと話題にもなった本。観光だけでは見えてこないイギリスの姿が読み解けるかもしれません。


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