英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

「飛び梭」って知ってる?

2006-11-16 | イギリス
先週は娘の4歳の誕生日。プレゼントはドイツ製織り機「イネス」にしました。このイネス、子供向けですが、工夫すればそこそこの物も織れる優れ物です。経糸を大人が張ってさえあげれば4歳児でも何とかここまでは自分で出来ます。(写真では、横糸を強く編みすぎて幅が狭くなっています。)
横に渡された綜絞(イネスでは棒の溝になっている)を回転させ経糸を上下互い違いにさせた間に横糸を巻きつけた「梭(ひ)」を通し、「筬」(イネスでは櫛)で横糸を押さえる。次に綜絞を動かし経糸の互い違いを逆にして、また「梭」を通して「筬」で押さえる。この繰り返しです。

私「この横糸を通す棒が『ひ』って言うんだよ。知ってる?」
娘「ひ?」
私「そう、『ひ』なんだよ。昔ジョン・ケイって人がいてね。1733年この『ひ』を改良して『とびひ』ってすごい物を発明したんだよ。」
娘「とびひ?この前『とびひ』でママと病院に行ったよ!」
私「それは皮膚病の とびひ・・・。その『飛び梭』の発明によって織布における生産性が格段に高くなり、結果として綿糸不足を招いたんだよ。」
娘「・・・・・・」
私「そこで紡績業における改革が始まるんだよ。ハーグリーブズが発明したのがジェニー紡績機。アークライトが発明したのが水力紡績機。そしてクロンプトンが発明したミュール紡績機などで綿糸不足は一気に解消すると共に逆に糸の生産過剰を引き起こしたんだな。」
娘「テレビ観ていい?」
私「ちょっと待ちなさい! そこで今度はまた織り機の改良が必要となり、そこで出てきたのがカートライトが作った力織機なんだよ。こういった技術発明と蒸気機関の登場によってイギリスはいち早く工業化を達成し、特に綿織物は国民経済の主役としてイギリス帝国発展の基盤となるんだね。こういった流れをいわゆるインダストリアル・レボリューション、産業革命って言うんだよ。わかった?ちなみに産業革命って言葉を最初に使ったのは歴史家アーノルド・トインビーなんだよ。このトインビーは文明史家として有名なトインビーの叔父さんなんだな。面白いでしょう?」
妻「ねえ!4歳児に向って、さっきから何小難しいこと並べてるの!せっかく編み機で楽しく遊んでるのに!」
私「どうせ高校行っても世界史なんて履修しないかもしれないから、今のうちに・・って思ったんだけど」
妻「4歳児に履修させる必要は あ・り・ま・せ・ん!! 私も世界史習ってないけど、生活に不自由は感じません!」

世界史教育をちゃんと受けていれば、日々の生活が彩られ、子供の誕生日プレゼント一つでも知的興奮を体験できるのに・・・・・これが歴史教育の現実であり、限界なのでしょうか。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-11-12 22:35:30
世界史は、全高校生がかならず履修する科目なので安心してください!
飛び梭について詳しく学習するかどうかは不明です。

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