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英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

ロンドンのランドマーク

2006-05-22 | イギリス
ロンドンに行くと毎回立ち寄るのがセント・ポール寺院。ウェストミンスター寺院がどちらかと言うと改修、増築の連続で蛸足配線の様な印象を受けるのに比べ、セント・ポール寺院はロンドン大火後、天才建築家クリストファー・レンが設計したとあって建築物としてのまとまりと美しさがある様に思えます。夜のライトアップも美しく、テムズ対岸のテート・モダンからの夜景は絶品です。
寺院の中は思った以上に簡素で抑制が効いていますが、内陣から後陣にかけての装飾はなかなか見事です。そしてセント・ポールと言えばドーム。世界2位の高さを持つドームは見上げるだけではなかなかその大きさを実感できません。では、そのドームに上がってみましょう。祭壇に向って右側に上り口があります。ここから螺旋状の階段をえっちら上っていくと「The Whispering Gallery」と呼ばれる回廊に出ます。ここはドームの内側を廻る回廊で高さは30mあります。なぜ「ささやきの」と呼ばれるのかと言うと、はるか向こうの回廊の反対側で交わされるささやき声がこちらで聞き取れるということからです。本当に?私たちも最初は半信半疑でトライしましたが、団体で来ている子供たちの歓声が響いてよく聞こえません。「聞こえないよ」と向こう側にいる妻に合図を送っていると、それを見ていた警備担当の教会関係者が突然まわりに「静かにして!しーー」と静かに言ってくださり、妻に「さあ、今のうちに」と促してくれます。とその瞬間、今まで聞こえなかった妻の口パクがちょうど頭の後ろから聞こえてきたのです。当然まわりの人たちも聞こえる様になったらしく回廊はまた騒々しくなるのですが・・・。おじさん(失礼!)にお礼を言うと、肩をすくめて「上も見ていってよ」と。そこから急な階段をひーひー言って上ると「The Stone Gallery」に出ます。ここは比較的ゆったりした外の回廊で53mの高さからロンドンを一望できます。そこからまだ上があります。今度の階段はドーム内壁にそったような階段で正直怖いです。だって全体がメッシュになっているから下が丸見え。足下を見ずにひたすら上を向いて進むと、ようやくたどり着いたのが「The Golden Gallery」85m。けっこう窮屈な回廊ですが、眺めは抜群です。まあ、パリなんかに比べるとロンドンの街は空から見る都市としての美しさはありませんが、まあ絶景です。
階段を同じ段数下りて汗をかいたら、地下の納骨堂を見学しましょう。ネルソン、ウェリントン公爵、アラビアのローレンス、ナイチンゲール、そしてレン・・・イギリスの偉人、英雄が眠っています。そしてノドが乾いたら同フロアにあるカフェへ。お墓の横でするアフタヌーンティーも格別です。


ケン・フォレット「大聖堂」

この作品は91年に新潮社から一度出されていたものです。ソフトバンクに移籍して再登場です。
時代は12世紀。ノルマン・コンクエストを経てフランス文化が流入・融合した時代。動物とその食肉の名称が違うのはこの頃からとか。
仕事を求めて国中を歩き回る石工トム・ビルダーは、いつの日か自分の手で大聖堂を建てたいと夢みている。そんな彼に大きなチャンスが。かつての教会後に大きな大聖堂を建立しようという計画が。一方、時の王様ヘンリー1世が崩御する。彼には男子の世継ぎがおらず娘マティルダと従兄妹スティーブンの権力争いが激化し、国は内乱状態(無政府状態)に陥る。王権と教会の対立や市場経済の興隆などの要素を加え、トム一家と強い女性として描かれるアリエナの波瀾万丈の一代記が語られます。
ケン・フォレットの本はけっこう残酷な表現やエロティックな部分がありますが、この中世という設定ではこれまで以上に馴染んでいるように思いました。
ちょっと残念だったのは、教会建築に関する用語が多数出てくること。せめて巻頭に代表的な教会の平面図、立面図ぐらいを掲載して欲しかったな。