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想い事 家族の記録

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やっと掴んだその力が、貴方を誰よりも美しくしていく。誇らしくて、悔しくて、今、わたしの心に火が灯った。その背に相応しい、わたしでいたい。

2025-04-20 20:03:39 | 日記
「春は知らぬ間に終わってた」



例えば、温泉に行っても癒されなかった。
誰も責めていないのに、誰かに責められている気がして、
何かを贖うようにおやきを買う。
野沢菜。300円。
いかれてる。おやきも、私も。

今日は別所温泉。

お目当てのカフェに着いたとき、私の中の何かが爆発した。
ぶ厚いトーストに、きな粉と蜂蜜。
追い蜂蜜OKと聞いて、手が勝手に動いてた。
店主の優しさが沁みすぎて、泣きそうになった。
こんな私に話しかけないで。
どうしてそんなに優しいの。
人の優しさが、一番痛い。

でも私は笑って、「おいしいですね」と云った。
云うしかなかった。


iPhoneを手にしてれば、何かが守れる気がしてた。
ただひたすら、機械的。
スクロールする指が、現実から離れていく。
食べてるのに、味が遠かった。
温かいのに、どこか冷たかった。
世界は透けていて、私だけが重かった。
哀しいのが楽しいとか、痛いのが嬉しいとか、
最近の感情はよくわからない。

みんな、ちゃんと甘いから、仕方がないんだ。
みんなだって、そういうの、お好きだろう?




花見会の情報を教えてくれた店主を振り切って外へ出た。
桜なんか見ても、どうせ一瞬で散るんでしょ。
季節も、関係も、全部一瞬だ。
期待なんかしたくなかった。
期待すると、散るから。
失うから。

屋台でスリランカカレーを見つけたけど、胃も心も糖で満ちて、
もう何も入らなかった。
なのに、おやき屋の前で、別人格が出た。

野沢菜のおやき。
味噌クリームチーズ饅頭。
蕎麦くるみ饅頭。

買った。財布が勝手に開いた。
一個、300円の野沢菜って、なに?
葉っぱだよ? 葉っぱに300円って。
松茸でも入ってるのかと思ったが、
本物の松茸おやきは、650円だそうだ。
いかれてるよ、信州……。

でも、買っちゃうんだね。
自分から望んでさ。





温泉は熱すぎた。
心までふやけて、湯船の底に溶けていった気がした。
でも、何も流れなかった。
ただ、重かった。
骨の中にまで、疲労が染みていた。

外へ出たら、桜が舞っていた。
やっぱり、間に合わなかった。
また、遅かった。

紫陽花が芽吹いていた。
そうだ、もう春じゃない。
春のふりをした、ただの暑さだった。
優しい暖かさなんてものは、全部偽物だった。

春って、一瞬だね。たぶんあれ、幻だった。

来週、旅に出る。
考えると、胃袋ごとしんどくなる。
たぶん、旅が怖いんじゃない。

行き先が“私”だから怖いんだ。



自分は自分から逃げられない。
どこへ行っても、自分がいる。
それが、一番しんどい。





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