三者面談。
小雨の中を歩いてゆく。
私は晴れ女だという自負があるほど
雨の中を歩くことは少ない。
雨は優しい匂いがした。
愛しい季節。
暖かいものに包まれて、白い息を吐きながら歩くと
身体はポカポカしてきた。
担任、談。
そらは、大人しい、努力家。甘えん坊でしょ? って云われた。
(笑)
甘えているのは、私の方。
大学進学は考えていますか?
うち、母子家庭なんで経済的に無理かも…
本人が望むなら進学させたいけど。
この辺だと国立なら信州大学だって。う~ん…。
そらは、水族館で働きたい。海に関する仕事がしたい、と云う。
貴女の名前も(本名)海だね…って、先生。
どんな夢でもいい。
普通でいい。
健康ならいい。
泣きたくなるほど、願っている。
何をしたらいいのか、
どう生きたらいいのか、
今の私には、判らなくなっている。
不安。恐怖。喪失への恐怖。…喪失。いつか、失うもの。
恐くて、怖くて、現実を直視できなくなった。
新しい年が来るのに、私の家にはもう希望がないような気がしてしまった。
でも、
そらが頼もしくて。
父が強くて。
私が泣いたらいけない。
父を看取ったら、
人生の大半は成し遂げたと心は想うだろう。
そして、家族は散らばってゆく。
この庭で私は笑っていられるだろうか。