ぽせいどんの今日の一枚 +

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ダイビングスクール その3  1992 

2021-08-21 12:55:03 | 写真 海

 四日目 実技 (海洋実習・ボートダイビング)

 午前九時。ワンボックスカーが出迎えに来た。運転席にはKOそして助手席にはS氏。
 M嬢の姿は何処にもない。少々残念でもある。
 私と同世代と思われる男が一人。三十手前くらい?の女性が一人、先客にいた。
 姓は異なる。不倫?。まあどうでもよい。

 港に到着。ダイビングボート。30フィートほどのオープンデッキ。早い話が漁船。
 セッティング。ウェットスーツに着替える。
 ボートの船長。他店のスタッフおよびファンダイバー。そして我々一行。
 かなりの人数が乗り込んだ。
 「定員は?」要らぬ心配をしている自分に気づく。(定員オーバーの罰金はかなり厳しい。車と異なりサラリーマンの平均月収以上)

 ブルワーク(外板、またはそれと同じような板が上甲板より上に伸びているもの。
       荒天時に海水の侵入を防ぐとともに乗員が落水しないようにする) に綺麗どころが三人腰掛けている。
 関西弁だ。二度と会うことも無いだろう。
 エンジンはすでにかけられていた。
 「走り出したらそこは危険だよ」と声を掛けるべきか躊躇していたらスタッフが警告。
 出航。凪。ボートは軽快に走行。日差しが眩しい。

 くたびれたウェットスーツの袖からはみ出たアンコが気になる。指先で押し込んだ。
 船首方向に砂州のような島が視えた。我々の目的地チービシ(慶伊瀬島)だった。ボートはその小島のひとつに近づいた。 
 船速が落ちた。手の届きそうな距離に海底が視える。水はあくまでも澄んでいる。(後で訊いたら水深は10mほどであった)


 剥き出しの鉄骨。朽ちた桟橋。左舷接岸。
 ダイビングスタッフが動き始めた。
 フェンダーをかませて舫う。視ていられない。ロープワークはズブの素人だ。
 FRPの船体はこのままではひとたまりもない。立ち上がった。右舷のフェンダーを外し鉄骨との間に押し込んだ。
 ボーラインノット(舫い結び)。手慣れた作業だった。船長が舵輪を離してやって来た。
 私の結んだロープを視ている。眼と眼。無言でコクピットに戻った。
 綺麗どころ三人とスタッフ二人が下船。体験ダイビングだそうだ。少々残念な気がした。

 それから約十五分。ボートは神山北ポイントにアンカーリングをした。
 S氏は不倫?カップルのファンダイブガイド。我々とは別行動。

 KOの説明。水中ですることは昨日となんら変わらない。 
 船尾に立った。大きく一歩踏み出した。ジャイアントストライドでエントリー。
 潜行。伝わるロープは無い。KOとJ子は早々と水深8mの海底へ。
 本日、風邪気味。耳がやはり抜けにくい。気にせずにじっくりと時間をかける。
 漸く海底へ。
 フィンスイミング。珊瑚を蹴らないように充分気を配る。

 マスク越しに展がる水中パノラマは一体何と例えれば良いのか?。 
 私の拙い筆力で表現しようとすることは冒険にも等しい。
 『竜宮』漸く、この言葉を捜し出した。 少々陳腐ではあるが。 

 ウェイトの脱着。
 ・・・・・・身体を反転させベルトを腰に捲いた。
 バックルにベルトを通した。チェック。ゲージのホースを挟み込んでいた。
 ベルトを再び緩めた。ゲージを引き出す。再びベルトを締める。
 親指と人差し指で輪を作りKOにサイン。KOがそれに応えた。
 『ナイスリカバリー』

 中性浮力。(中性浮力とは水中で浮上も沈降もしない状態。ヘリコプターのホバーリング状態と思えばよい)
 BCのエアを調整してそれをする。どうにか近い状態に落ち着いている。

 BCの脱着。講習の中で私が一番苦手とするところ。昨日と同様にKOが手本を示す。
 ハンドサインで促された。            
 片脚立ち。僅かだが流れがある。BCを脱ぐ。タンクを掲げる。バランスを取りにくい。身体が横に流れる。バランスを崩しながら無理矢理着込む。
 ワンモア。場所を移動。KOが手本を示した位置で片足立ち。流れが背中から来る。
 バランスの崩れは僅かだった。・・・・・・『OK』 
 (KOは水中でもっともバランスを崩しにくい位置に自分を置いていた。 生徒の私はそれ以下の場所。どおりで!)              

 残圧チェック。まだ充分に残っていた。
 マスククリアー ・・・ 余裕!。
 浮上。乗艇。・・・・・・エンジン始動。ボートは五人を降ろした小島に向かった。

 昼食。代り映えのしない弁当。早々に済ませた。
 後片づけを済ませるとKOがJ子に向かって言った。
 「休憩時間ですが、浅いところでマスククリアの練習をしましょう」
 「・・・・・・」
 J子の顔が青ざめた。頑なに拒否。
 「・・・・・・」 KOは無理強いをしなかった。
 J子の顔に憂鬱が浮かんでいた。

 通常、ダイビングは連続して潜行することはまず無い。
 血液中に溶けている残留窒素を排出するために必要以上と思えるほどの休息時間を取る。
 これを称して水面休息時間と言う。・・・?、何かしっくりしない表現だが。
 大部分の者が横たわっている。
 こんな時、どうも私は時間を持て余す。





 強い日差しに冷えたからだが温まって来た。Tシャツ一枚で充分過ごせる。
 カメラを片手に島内探検。と言っても小さい島である。五分もしないうちに停泊地の反対側の浜に出る。
 砂と小石。僅かの雑草。空き缶。それ以外に目ぼしいものは見当たらない。
 せめて椰子の木一本でもあれば絵になりそうなのだが。



※ 矢印がKO

 つ づ く
 

 

 

 

 

 

 


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