シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その34-2・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-11-13 16:57:12 | 日記

4、県町を中心とした5ヘクタールの三角形エリア

この5ヘクタールの三角形エリアが今回、問題にしている「多量の泥水の氾濫があった県町があるエリア」となります。

・地図表示2

地図表示の右側、水色の部分が千曲川で県道38号が綱切り橋につながっています。

そして千曲川の左にあるコトブキ色出示された堤防道路が国道117号です。

旧国道の117号は「県町」と「丸山自動車」とある文字に挟まれてその中を右上から左下に走っている道です。

そうして、もう一本の道は飯山を北から南につなぐメインストリートであり、「ミスターパチンコ」と「中部電力」のあいだを走っています。

それでこの4本の道に囲まれた、ほぼ三角形のエリア、面積は5ヘクタールほどになりますが、この場所で県町住宅を中心とした場所に浸水被害がでたのでした。

そうしてこの場所の標高はいずれも上記で示された道路の標高よりも低い、ですからこの場所はいわゆる「盆地構造」となっています。

そうであれば、「その34-1」で示した様に「皿川からの氾濫水」はこれらの道を横切ることでしか、この場所には到達できないのです。

そうして、このエリアを取り囲んでいる道の最少の標高は316.3mであり、皿川からの氾濫水の最高水位である315.7mをもってしては、県町エリアには到達できない事は「その34-1」で示した通りです。

5、このエリアに降った雨水はどう処理されるのか?

そうなりますと、この5ヘクタールほどの場所に降った雨水はそのままではこの場所に溜まってしまい、どこにも流れる事ができない、という事になります。

それで、その様にならない為にこの場所には雨水排水用に「静間樋管」が設けられているのです。

この場所に降った雨水は最終的に静間樋管にあつめられて、そこから千曲川に排出される仕組みとなっています。

6、静間樋管と千曲川からの泥水の逆流

・静間樋管1

堤防道路から千曲川の方にある静間樋管のゲートを操作する部分を見るとこんな感じです。

正面奥の山が高社山(たかやしろ)、右側に見えるのが北陸新幹線の線路を支えている橋脚でこの橋は「菜の花大橋」というのだそうです。

後ろを振り返ると市街地側にある静間樋管の入り口部分を確認することが出来ます。

・静間樋管2

手前が堤防でそこに策に囲まれた水路がつながっているのが確認できます。
よく見ると静間樋管の入り口部分に水位標が立っている事が分かります。

そうして、この場所の手前には民家、奥に県町住宅が見え、そのあたりに県営住宅の駐車場があります。

右側に見える橋脚は新幹線の線路をささえるものであり、この開けた広場の様な場所にも泥が堆積していました。

それでこの場所を目撃された方の話によれば「静間樋管の方から泥水が流れてきていた」との事です。

そうであればまずはこの場所に千曲川の泥水はあふれ出し、ここからその裏手にある県町住宅の駐車場に流れ出した事になります。

・新幹線ガード下1

その場所から少し右側を見た写真です。

新幹線の融雪設備の為の受電用の鉄塔が写っています。

それで静間樋管を逆流して流れ込んだ千曲川の泥水はこちらの方にはこの辺りまで流れてきました。

・新幹線ガード下2

同じ場所を今度は旧国道117号線側から見たものです。
新幹線の橋脚に隠れて見えませんが、その奥に「静間樋管の入り口」があります。

そうして奥に通じる道の左側には排水路がみえ、これは静間樋管につながっています。

ちなみにここで左側をみると・東側アンダーパス1 こういう様になります。

7、航空写真

「その34-1」では・航空写真1で全体像をみました。

この写真では「静間樋管」は写ってはいるのですがあまりはっきりしませんでした。それでクローズアップした写真を以下に示します。

・航空写真2

・航空写真3

近づいていくにつれて、千曲川側にある静間樋管の構造がはっきりしてきます。
但し市街地側にある静間樋管の入り口部分は新幹線の線路に隠れる形となり見る事はできません。

しかし、その静間樋管につながっている「柵で囲まれた排水路部分」は確認する事が出来ます。

8、ここまでの結論ー>県町エリアの浸水被害は皿川からの氾濫水による内水氾濫が原因ではなく千曲川の泥水が静間樋管を通じて逆流した事により起こった「外水による氾濫」である。 

しかしながら飯山市が情報公開請求に対して提出してきた資料によれば、「静間樋管は12日の23時に消防団・第一分団の担当者により閉められた」とされています。

台風19号による千曲川増水時~飯山市街地北に位置する有尾樋管が開いたままで~千曲川が逆流してた~ 

その資料は上記記事の上から3枚目の写真にある「ゲート開閉状況」というものを参照いただければよいのですが、この資料通りであればこの場所では千曲川からの静間樋管を通じての逆流はなかったでしょう。

しかし事実は、この場所では千曲川からの静間樋管を通じた逆流がありました。

そうであればこの「ゲート開閉状況」という情報公開請求によって提示された資料は間違っている、という事になります。

その様な誤った情報が飯山市によって故意に流された、とは思いたくはありませんが、その様な疑いを確固として否定できる様な状況でもありません。

そうであれば以上の内容について飯山市長を始めとして関係者の方々におかれましては、この件についての再確認、再検証を行い、正しい情報を再度「訂正情報として市民に公開する」様にする必要があります。


注1:さて読者の中には「雨水排水路を逆流した皿川からの氾濫水が静間樋管の入り口部分から噴き出したのでは」と指摘される方がおられるやもしれません。
しかしながら、当方が読みとった静間樋管の入り口部分の地上面標高は316.3mというものであり、最高水位315.7mの氾濫水はここから上に噴き出すことはできない、という事になります。

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧 

 

 

 


その34-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-11-13 14:08:13 | 日記

新情報:飯山市まちづくり基本計画(都市計画マスタープラン・立地適正化計画)令和3年3月 : 第四章 立地適正化計画 :注1

上記pdf資料「立地適正化計画」113ページに今回の台風19号襲来時に氾濫した皿川による飯山市街地の浸水状況(実測)がのっている。

その資料を見ると分かるのだが、「県町地区を埋め尽くした泥水は皿川からのものではない」と飯山市が認めている事がわかる。

さてそうなると、その泥水はどこからきたのか?

答えは「静間樋管が消防団と道路河川課の手抜きによってゲートがおろされる事なく開けっ放しであった事による、千曲川からの逆流泥水であった」と言うものである。

そうして、その事実は市議会答弁においても隠されていて「事実とは異なる答弁がなされた」のである。

2022年5月追記

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1、県町(あがたまち)地区を中心とした浸水について

この地区の浸水被害については飯山市報(pdf)にも記載があります。

このpdfの2ページ目に今回の浸水被害があった場所が地図上に示されています。
拡大して確認してください。

そこに「飯山市街地 ・県町区・北畑区 内水の氾濫による浸水」と書かれた場所があります。
その中で今回のテーマは「・県町区(あがたまち区)」となりますがその地図では北陸新幹線の線路より下側に示された浸水エリアとなります。 

・航空写真1

航空写真1では画面中央に「県町」と書かれた場所がちょうど「県町住宅の駐車場」の位置となり、この場所を含めて浸水被害がありました。

地図での表示ではこうなります。

・地図表示1

ここには4棟の5階建ての「県営県町住宅」がありその敷地を「県町」と呼んでいる様です。
そうしてこの県町を中心としてこの場所で浸水被害、ここの駐車場で60センチ近い浸水深を記録しています。

その場所を旧国道117号線から見るとこうなります。

・県町1

手前右側と奥に5階建ての「県町住宅」2棟とその駐車場が確認できます。

さてそれで、2019年11月号の台風19号被災報告(上記pdf)では「県町区 内水氾濫」となっており、その地図上の表示を見ると「あたかも皿川から氾濫した水が新幹線のガード下をくぐり県町区に到達した」かのような表示となっています。

さあそれで「この飯山市の報告は事実であろうか?」という事になります。

当方が調査した限りでは「県営住宅 県町団地の駐車場が60センチの浸水深さで泥水が氾濫していた」ということであり、これについては市役所も同意するものと思われます。
但し市役所の主張は「その泥水は皿川から流れてきたものである」という事になっていますが、、、。
さてその主張は本当でしょうか?

2、皿川からの氾濫水は県町区に到達できたか?

皿川からの氾濫水が県町区に到達できるパス(道順)は3つあります。

 一つ目は綱切り橋から市街地に降りる為の取り付け道路の下に設けられた東側アンダーパスを通る、というもの。
このルートはかつての国道117号線にそって氾濫水が南下した場合を想定したものです。

ここで話している東側アンダーパスを通り越して南側から見るとこうなります。

・東側アンダーパス1

アンダーパスの上の道が右側にある綱切り橋につながっており、そのパスの奥には千曲川本堤防が見えています。
そうしてこの道が旧国道117号線なのですが、この道の左右にある建物は北陸新幹線関連の設備となります。

南側からそのアンダーパスをくぐるとこうなります。

・東側アンダーパス2

この道は上り坂になっており、改修された本堤防の高さよりも低い場所に坂の頂上が確認できます。
そうして、かつての改修前の堤防へはその頂上から道がつながっていたのですから、どの程度に千曲川本堤防がかさ上げされたかある程度は分かる、というものです。

ちなみに現在の国道117号線はこの改修された堤防の上を走っています。

さてそういう訳でこのルートは却下されます。
氾濫水が坂道の北側からそこを登る事は一目瞭然で無理である事が分かるからです。


 二番目に想定できるルートは、新町区の住宅街を水浸しにした水がこの東側のアンダーパスを通る、と言うものです。
ここのアンダーパスの左側には新町の住宅街が広がっており、確かに皿川氾濫水はそこを水浸しにしました。

それでアンダーパスの出口から左側を見るとこうなります。

・東側アンダーパス3

しかしながら写真から分かります様に、住宅街がある場所はこのアンダーパスよりも低く、ここのアンダーパスに来るには「上り坂になっている」様です。
さあそうなりますと「皿川からの氾濫水はこの上り坂を登れたのか?」という事になります。

それはつまり「市内に氾濫した皿川からの氾濫水の最高水位はいくつであったか?」と問う事と同じです。
そうしてその答えはまちづくり課の諸君の手によってポンプ場の壁に「GL+1m」と示されていました。

ポンプ場のGL(グランドレベル)は314.7mですから氾濫水の最高水位は315.7mとなります。
そうして、この「東側アンダーパスの標高」は地図から316.4mである事がわかるのです。

つまり「氾濫水はこの坂道は登れなかった」のです。


 さて最後に想定できるルートは「ここより西側にあるもう一つのアンダーパスを通る」というものです。
そうしてこのルートは市役所が公表している、上記pdf資料に書かれているものの様に見えます。

さてそのアンダーパスはここから坂道を下っていくと左側に現れてきます。

・西側アンダーパス1

このアンダーパスをくぐって振り返るとこう見えます。

・西側アンダーパス2

このアンダーパスの標高は地図から315.8mである事がわかります。
地図の標高データには多少の誤差がありますので、最高水位315.7mの氾濫水はこのアンダーパスをぎりぎりで通れた、としましょうか。

しかしながらこの氾濫水が県町地区に到達する為には上記写真の奥に見えている旧国道117号線を横切る事が必要になります。
そうしてその道の標高は316.3mなのです。

つまり「綱切り橋につながっている取り付け道路のアンダーパスをくぐれた」としても「氾濫水はそこからは50センチの上り坂を、どのルートをとるにせよ登らなくては県町地区には到達できない」のです。
そうしてその事は最高水位が315.7mしかない氾濫水にはどうやっても不可能な事なのでした。

ちなみにこの写真の奥には堤防が写っていて、この取付け道路は「千曲川にかかる綱切り橋」につながっています。そうして堤防手前左側には「東側アンダーパスの入り口」が見えています。

3、ここまでの結論ー>県町区の氾濫は皿川からの氾濫水による内水氾濫ではない。

以上の事より市役所の公表している「県町区の浸水は皿川からの氾濫水による内水氾濫である」という内容は成立していない事が分かります。

さてそうなりますと市役所も認めるであろう「県町住宅の駐車場を60センチの浸水深で満たした泥水はどこから来たのか」という事になります。

そうして泥水でありますから「この場所に降った雨水が排水されずにそこに溜まりこんだ」と言う話では説明になっていません。

雨水氾濫の場合は明らかに氾濫水に泥は含まれておらず、今回の様に「水が引いた後その場所に残された泥をダンプカーで何回にもわたって運び出す」ような必要はなかったはずですから。

注1: https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/keikaku/20210506-041036.pdf <--飯山市まちづくり基本計画(都市計画マスタープラン・立地適正化計画)のアドレス

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧 


その34-3・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-11-13 10:17:03 | 日記

9、この場所での過去の氾濫例

さて「台風19号での静間樋管での氾濫は3回目である」という証言を得ている。
そうして「前回は平成18年であった」と聞いている。

それで指摘のあった平成18年の大水の例を以下に示す。

H18( 2006年) 7月19日 梅雨
立ヶ花ピーク 19日 15時 10.67m(10m越え12時~18時)
飯山ピーク 19日 10m近い (18時頃)

24時間雨量     一時間雨量最大値
18日 49ミリ  22時と24時に6ミリ
19日 44ミリ  2時に9ミリ(11時から晴れ)

以上よりこの時には飯山の千曲川ピークは18時頃、8mを越えたのは11時頃である事が分かります。

但し台風19号の2年前の台風ではこの場所での氾濫は確認されなかった模様である。

2017年 10月23日 台風21号
立ヶ花水位ピーク 8.22m 15時
飯山ピークは 8m  18時頃
24時間降水量 119.5ミリ(3時13ミリ 9時10ミリのダブルピーク)

千曲川水位ピークは18時の8mであった。

この時もいままで検証してきた状況からすると、この場所ではゲートは開きっぱなしであったと推定される。
だがこの場所ではこの時は氾濫は確認されていない

さてそれは何故か、ということになる。
答えは「この時は千曲川水位がこの場所での氾濫を始める水位に対してぎりぎりであった」という事である。

それでこの問題を検証する為に飯山水位観測所と静間樋管との間の河床勾配を求める事になる。

一般的には飯山辺りでは平均で1/1000という値が用いられる。
しかし実際に地図で調べてみると観測所と静間樋管のあいだの河床勾配はそれほど大きくはなく1.6kmで0.89mであった。(注1

この値を使って飯山観測所での水位8mを水位標高に換算して得られた値315.1mを静間樋管に戻すと
316.2m(=315.1m+1.11m)という値になる。

それでこの水位では静間樋管の地上面標高値316.3mを超える事はなく、ぎりぎりで氾濫しなかった、という事がわかる。

だがしかしH18( 2006年)では水位は8mを越え、10m近かった。
従ってこの時はこの場所では2m弱の高低差をもって千曲川の水が逆流した事が分かるのである。

この様にして「最初に示した住民の方の証言は検証される事になる」のである。

10ここまでの結論
さて、台風19号の折に飯山観測所で水位8mに達したのは13日の午前1時であった。
従って消防団・第一分団の分団長がその時刻までに静間樋管を閉めていたら今回のこの場所での氾濫は防ぐことが出来たのである。

もちろん分団長が自己申告している「12日の23時に本当に閉めていた」ら、この場所で千曲川からの逆流は起こるはずがないのである。
したがって飯山市が公表している「12日の23時に静間樋管を消防団・第一分団の分団長が閉めた」と言うのは虚偽報告である、という事になる。

注1:ただしこの値は川底の勾配ではなく堤防道路の勾配である。
川底の勾配は地図で調べるのはなかなか難しいので、そのかわりにここでは堤防道路の勾配を使っている。

そうして、飯山水位観測所と静間樋管との間の距離は2kmであるので河床勾配による補正値は
1.11m=(0.89m÷1.6km)X2.0kmという事になる。

追記(2021/2/16):千曲川増水時に静間樋管が閉められたかどうかを確認する方法。

静間樋管の操作部、ゲートを上げ下げするシャフト部分を写真撮影すればよい。ゲート本体は千曲川の増水によって見えなくなり、したがってゲートが閉まっているかどうかはその方法では確認できない。しかし、ゲートが実際に下まで降りているならばそのゲートを下まで降ろしたシャフトの高さも減っていなくてはならない。

静間樋管の通常の時のシャフトの高さはここまである。->・静間樋管1

それで千曲川増水時にそのシャフトを写真撮影し、後日、ゲートが上げられたとされた時にまた写真を撮る。その二つの写真を比べて「確かにシャフトの高さがゲートを下げるのに必要な分だけ下がっていたなら、ゲートは閉められていたことになる。」だがそうでない場合は「静間樋管を閉めた」という消防団、あるいは飯山市の報告は事実とは違う、という事になる。

さてもうひとつ、静間樋管が今まで一度も千曲川増水時に閉められた事がない、動かした事がない、という証拠(?)を示そう。

静間樋管のひとつ北側にある城南樋管はこうなっている。->・城南樋管

写真を見ると分かるのだが、シャフトの上部が白くペイントされている。これは千曲川増水時にゲートの位置をみなくても、このペイント位置を目印としてシャフトを降下させ、そうしてゲートが実際に下まで降り切った事を確認するためのものである。ちなみにこのペイント目印は有尾樋管にも雨水排水ポンプ場の貯水池ゲートのシャフトにもついている。だがしかし静間樋管にはこのペイント目印がついてはいないのである。

つまり「静間樋管はいままで一度も千曲川増水時に操作された事がないのでは?」と疑いを持つのに十分な状況にある。

ちなみに城南樋管、排水ポンプ場は「まちづくり課が管理担当」そうして静間樋管は「道路河川課が管理担当」である。

 

追記:2023/9:静間樋管のシャフトに白ペンキのマーキングを確認した。

: https://archive.md/3mGNJ :

飯山市はようやく「静間樋管を大水の際には閉める事を決めた」様である。

しかし、それにしても消防団第一分団長の無責任さにはあきれるし、そうしてまた道路河川課のいい加減さ、議会での虚偽答弁には腹が立つのである。

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追記の2:2023/10月

静間樋管のシャフトにはいまだ白ペイントマークがなかった。

上記グーグルマップで一見、白ペイントがある様に見えたのは見間違い。

現物確認したら、白ペイントマークがない。

つまり「市役所は今もまじめに静間樋管を閉めるつもりは無い」という事を示している。

そうであれば大水の際には県町エリアには千曲川からの逆流がまた起きる可能性が大である。

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧 

 

 

 


その35-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-11-01 20:04:38 | 日記

1、飯山市が水害の後でやった検証について(2020/11/20記)

飯山市はほとんど表だった検証行為はやっておらず、あるいはやったかもしれませんがその結果を公表する事はしていない様です。

それで、その少ない、公開されている検証行為などをまとめてみました。

(1)・飯山市は6月21日に「令和2年飯山市水防訓練」実施しました。

樋門等の作業状況を把握~連絡体制を確認するなどの~飯山市新しい形の水防訓練を実施~

https://archive.fo/HprPx

飯山市報で掲載された情報ー>>・r0207 市報いいやまカラー.indd の6ページ

(2)・雨水排水ポンプ場の復旧 5月28日

飯山市報で掲載された情報ー>>・r0206 市報いいやまカラー.indd の6ページ

城山雨水排水ポンプ場のポンプの修理が終ったと地元紙で報じています~水害の検証を急げ~

(3)・「令和元年東日本台風(台風第19号)災害における課題と対応策」を飯山市HPで公表(9月2日)

・7月30日に飯山市がまとめた「台風19号災害における課題と対応策」(案)の検証

「令和元年東日本台風(台風第19号)災害における課題と対応策」を飯山市HPで公表

飯山市HPのアドレスー>>アドレス

・令和元年東日本台風(台風第19号)災害における課題と対応策

飯山市の「台風19号災害対応に対する検証」結果の発表はいつなのでしょうか~梅雨の大雨の前に~

(4)・今年2月18日から29日に渡り、飯山地区を対象に「台風第19号に伴う飯山地区の浸水状況等把握調査」を行いました。

「台風19号に伴う飯山地区の浸水状況等把握調査」結果を「台風19号災害検証」に反映させるべきです 

(5)・飯山市水防計画の策定(2年8月)と長野県への提出(9月)

飯山市HPのアドレスー>>アドレス

飯山市水防計画(令和2年8月)(PDF2MB)

飯山市報で掲載された情報ー>>・名称未設定-2(9月号) の4ページ

(6)・避難勧告の判断基準観測所 飯山ー>立ヶ花に変更(10月)

飯山市報で掲載された情報ー>>・r0210 市報いいやまカラー.indd の2ページ

(7)・マイ タイムライン特集

▼特集 「千曲川洪水時」に備え マイ・タイムラインをつくろう!

飯山市報で掲載された情報ー>>・r0208 市報いいやまカラーf.indd の2ページ

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以上の様にして

台風19号での不様な対応しかできなかった飯山市がその反省を生かして始めた新しい形の水防訓練、

「令和元年東日本台風(台風第19号)災害における課題と対応策」のまとめ

「飯山市防災計画の策定」

などに市役所内部で進められた検証と反省と今後の対応の形を、不十分ながらある程度は見る事が出来ます

そうして、以上の様な反省点を盛り込んだ改善内容が確実に実行されてようやく「飯山市の水防体制も普通の地方自治体並みになる」という事が言えます。

2、改善された水防訓練について

上記でもふれたが「水防訓練の在り方」が大幅に改善された。
以下内容を少し見ておく。

それは例えば大家さんブログの記事からも推察できる事である。

樋門等の作業状況を把握~連絡体制を確認するなどの~飯山市新しい形の水防訓練を実施~
(2020-06-24)

この記事の中で大家さんは以下の様にまとめておられる。

『例年は、千曲川河川敷などで「土のう積み」訓練を行うのみでしたが、今年は昨年の台風19号災害を受け、
① 対策本部を4階委員会室に設け、各対策部と情報を共有する(注1)
② 新しく導入した IP 無線を活用し、対策本部と現場との間の指示・報告を迅速に行う

③ 千曲川(樽川含む)に係る樋門等の作業状況を把握し、連絡体制を確認する
④ 消防団(水防団)と団本部の連絡体制を確認する
⑤ 各樋門等で作業する消防団と関係する区長が業務内容を確認する

⑥ 排水ポンプ(道路河川課)の設置訓練を消防団と共同作業で行う
などの実践的な訓練を初めて取り入れました。』

水害の全体像を見るに、本当に樋門・樋管の管理と災害時の運用に問題がある事が明らかになった。

これは対策本部がいままでは樋門・樋管のゲートの状況、開いているのか閉まっているのかをまったくつかまずに対応してきた事の証明でもあった。

それで
>③ 千曲川(樽川含む)に係る樋門等の作業状況を把握し、連絡体制を確認する

>⑤ 各樋門等で作業する消防団と関係する区長が業務内容を確認する

という事が致命的に大事であるとようやく理解した訳である。

それにくわえて災害時の実働部隊である消防団の動きを、あろうことか、団本部が把握できていなかった事も明らかになった。
つまり「消防団長はお飾りにすぎない」状態だった訳だ。

それでこうなる。

>④ 消防団(水防団)と団本部の連絡体制を確認する

当然ながら「団本部」は「対策本部を構成する重要な一部門」でなくてはならず、一体的な運用がされる必要がある。

さて、このような形に改善された対策本部が実際に十分に機能するのかどうかは、今後とも要注目なのであります。

3、それではこれで飯山は台風19号並みの状況の再来に耐えられるのかどうか、ということにつて。

検証に検証を重ねてきたが、いまだに分かっていない事がある。
それは皿川と千曲川と皿川樋門との関係、これをどう扱うのか、という事である。

今回は事実として「皿川樋門は開きっぱなし」であった。
その事が原因でバックウオーター現象が発生し、そうしてそれで皿川氾濫が発生した可能性がある。

しかしその事は十分には検証されていない。
しかも今まで誰もその事について言及した者はいない。

そうである時に、どのタイミングで皿川樋門のゲートを降ろしたらいいのか、分かっているものはいない。
手探りで「この辺りであろう」という所でゲートを降ろして、排水ポンプ車2~4台で排水作業をするしかないのである。

その様な現状である時に、前回の台風19号とおなじ状況が再来したとしたらどうなるのか?
皿川氾濫を防ぐことができるのか、それは分からない。

但し、皿川堤防は決壊はしないとは思うが、JR線路側が洗掘され、今回の規模を小さくした状況が再現されるリスクは残っている。
だがその場合でも皿川樋門ゲートが閉じられているので、今回の様な「千曲川からの泥水の逆流」はなく、右岸側に流れ出す氾濫水の水量は比較にならない程に少ないとは思う。

しかしそれでも北町あたりは床上浸水の可能性が残る。
同様にして左岸側への氾濫の可能性は依然として残っている。
それはまた「下水道の中継ポンプ場がやられる」という事でもある。

そうであれば、適時に避難勧告、避難指示が必要になるし、避難所の運営も必要である。

そうしてまた、今回初めて明らかになった事ではあるが、ポンプ場の排水能力が千曲川の水位上昇で格段に落ちてしまう、と言う問題がある。
そうなってしまったら、いくら3台のポンプが動いていようが、あまり意味はなく、市内で雨水による床上浸水の被害の発生が想定される。

そうであればこの場合もまた、市内の事前に想定できる地区に対しては、適時の避難勧告、避難指示が必要となるのである。

以上の様に「状況は前回よりも改善される」とは思われますが、まだまだ「十分である」などとはとても言えない状況が続く事になります。

ーー>以下「その35-2」に続く

注1:① 対策本部を4階委員会室に設け、各対策部と情報を共有する

このような基本的な事は「出来ていて当然である」と思っていたのであるが「飯山市はこんな事すらできていなかった」のであれば「それは本当に驚くべき事」、「飯山市の後進性を示すもの」であります。

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧 

 

 


その35-2・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-11-01 12:09:32 | 日記

河川事務所が行った改善内容

河川事務所は当方の指摘によって日光川樋管の左ゲートが途中で引っかかって半開き状態であった事にようやく気が付きそれを修正した事

詳細については・その33-3・台風19号の2年前の台風でも、この場所で浸水被害が出た。 を参照願います。

長野県が行った改善内容

、皿川堤防の決壊場所の川に面した法面の耐水化工事を含む復旧作業

・皿川が越水したのはJR飯山線と皿川右岸堤防が接する場所~JRの線路敷地~線路下の土砂が流出~

・皿川堤防決壊ではなく~元々低い線路敷からの越水~したがってJR東日本が復旧工事を実施~

・水害の原因になった場所~復旧工事が行われたところもあります~台風19号皿川氾濫ヶ所復旧~

JR線路と堤防の接続部のくぼみにJRが砕石を補充・充てんした事

これによって、確かに越水はこの場所で最初に起こるのではあるが、越水する水量を最小化する事ができる。->堤防外に流れ出す最初の水の量を抑えることが出来、洗掘による堤防破壊までの時間を延ばせる。

③、皿川堤防の決壊場所の堤防幅の増加ー>従来比ほぼ1.5倍の幅まで増強した模様

これによって「洗掘現象がこの場所で起きても、堤防決壊までの時間は従来比1.5倍となる事が期待される」。(注1)

④、堤防に越水に備えた巨大土のうを多数、準備した事。->少なくとも越水のリスクを認識しそれに対する備えを行った。

⑤、皿川橋上流の河床、80m程に「石による人工段差」を多数、作った事

この意図は「流れ下る水の勢いを弱める事にある」とは思うのだが、さて、皿川氾濫に対する効果は不明である。

以上②~⑤は2020年11月~12月にかけて確認された内容である。

それ以外の改善内容(国および県)

千曲川本流および各支流にライブカメラの増設・新設、それから危機管理型水位計の新設を行った。

・防災ポータルページ『川の防災情報』で、河川の情報のライブ映像や水位の状況を自分の目で確認できます

・危機管理型水位計~千曲川や皿川など9ヶ所に設置~氾濫時等には誰でも水位を知ることができます。

これによって千曲川と支流のモニターがネットを通じて「誰にでも可能な事になった。」

今後予定されている改善内容(県)

①、皿川堤防のかさ上げ90センチ。(皿川樋門~英岩寺橋のあいだ600m)

飯山市報で掲載された情報ー>>・r0210 市報いいやまカラー.indd の1ページ

・M建設前市道よりも50cmも低い標高317m程度の場所から市街地への越水は始まった~台風19号

・皿川堤防は「フルバック方式」による整備で~早期事業着手を県へ要望中~台風19号水害を受け~

・皿川堤防は「替佐駅の近くの斑尾川築堤をモデルに築堤~」飯山市長答弁~至急実現することを期待!

・その30-2・斑尾川の例に倣う事になる皿川堤防かさ上げ 

・その30-1・皿川堤防かさ上げについて・・・JR線路を2.4m持ち上げるのか?

・堤防高より低い飯山線敷地の法(のり)敷部分から越水が始まり拡大したもの~皿川堤防決壊ではない~

・皿川堤防の一番低い場所=氾濫開始する場所は~標高317.12mの地点です~危機管理型水位計に記載

②、皿川氾濫に対応したハザードマップ<--だがこれは「作る」と言ってからすでに1年以上経過している。

・基準がない 避難勧告遅れた飯山市 支流氾濫は想定外(あさひ)

・その29-1・皿川氾濫に対応したハザードマップについて

・その29-2・「地点別浸水シミュレーション検索システム」について

皿川の水門閉鎖、国交省が飯山市に通知せず 30分後越水し中心部浸水

残された問題

・飯山市長が千曲川あるいは皿川を含めた各支流に対して「いつどのような基準で避難勧告を発令する」のかがいまだに不明である事。千曲川については基準数値らしきものが提示されているが、皿川については「それすらも提示されていない」のが現状。加えて「樽川、宮沢川」についても同様である。

・関連して「無堤防部に対する避難勧告基準が未整備である事」。これは今回の水害対応でも失敗し「致命的な事」である事が証明された。

・飯山水位観測所の扱い、飯山で基準となる水位測定はどこで何分間隔で行い、それは即時にHPで報告されるのか、不明。

飯山市管轄区域にある樋門・樋管のそれぞれに対応した操作マニュアルが無い事。これでは「失敗したことを後進に伝える事」が出来ず「致命的な事」である。

・今年の7月豪雨により雨水下水路のキャパ不足が発覚、それから台風19号襲来の折、雨水の新規の流入量増加が無いにも関わらず第3ポンプを稼働する必要があったことにより、雨水排水ポンプ場の排出能力不足が発覚した事。これらは今後、早急に対応を検討する必要がある、飯山市の水防インフラが抱えている構造的で致命的な弱点である。

・台風19号並みの状況が再来した時に以下の各場所で正常にゲートを閉じる事が出来た場合に何がその後起きるのか、確認する必要がある。

、皿川樋門  皿川が氾濫する事を今度は防げるのか?

、日光川樋管 日光川の氾濫を防げるのか?-->とがり地区の氾濫を無くせるのか?->・その33-1・その33-2・その33-3

有尾樋管  中継ポンプ場、JR周辺、野球場あたりの氾濫を防げるのか?ー>・その32-1、 ・その32-2

静間樋管  県町地区を中心とした氾濫を防げるのか?ー>・その34-1・その34-2・その34-3

25m道路南側の堤防下エリア(200m) 雨水排水路からの逆流、氾濫を防げるのか?

宮沢川樋門 この氾濫常習場所では今度はうまく対応できるのか?

川面地区、関沢地区、静間バイパスエリア これらの無堤防部エリアへの避難勧告を今度は適切に発令できるのか?ー>・その22ー1・その22-3 

桑名川の2つの樋管 桑名川地区で前回は氾濫が確認されたが、今度は防げるのか?ー>・その22-2

注1:決壊場所の航空写真

決壊前ーー>写真1(皿川堤防とJR飯山線との接続部分)

決壊・修復後ーー>まだグーグルマップの航空写真は更新されていない(2020/12)

 

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧