シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その33-3・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-08-22 16:34:36 | 日記

1、氾濫シミュレーションによる台風19号での戸狩地区での氾濫の再現

「・その33-2」では水位情報を元に検討しました。このページではそれに引き続いて氾濫シミュレーションを動かしてみます。(注1

氾濫規模は計画規模とし、破堤点は左岸北端の「BP701」とします。

今回は日光川樋管の左ゲートが半開きだった時に何が起こったのか調べたいのですが、あいにく破堤点を日光川樋管に設定する事はできず、日光川と広井川の中間地点での指定となります。
ちなみにこの破堤点ですが、実際に過去に破堤しそこの場所に大災害をもたらした位置になります。

シミュレーションを動かして5時間ほどの所の状況が台風19号での浸水状況と一致している様です。
4時間経過した所で日光川エリアから氾濫水が道を渡って今井川の遊水池のある方にすすんで行くのが分かります。

但し、このシミュレーションで表示されている経過時間は実際に日光川からの氾濫で起きた経過時間とは一致していない事に注意が必要です。
しかしながら、氾濫状況の進展を見る事はこのシミュレーション(Simulation)で可能になります。

Sim5時間後の状況と言うのは今井川の遊水池に氾濫水が到達するとともに、西側のJR踏切付近まで氾濫水が到達しています。
そうして、このSimと今回の台風19号での実際の浸水状況との大きな違いは、一つはSimではJRの線路を越えて広井川沿いに上流域まで浸水が広がっている事。
もう一つはSimでは広井川を渡って浸水が南側まで広がっている事です。

この二つ共に実際の氾濫では起こりませんでした。
理由は前述した通りで、広井川の排水ポンプが稼働しており、広井川に流れ込んだ氾濫水は広井川を超えることはなくそのまま排水ポンプによって千曲川に戻されたからです。

こうして、この場所での実際の氾濫エリアは飯山市報2ページ目下段 にある「大深区・戸狩区、内水の氾濫による浸水」と表記された地図上でのエリアとなりました。

2、今回の19号台風の2年前の台風の時の戸狩地区の検証

2017年 10月23日 台風21号
立ヶ花水位ピーク 8.22m 15時
飯山ピークは 8m  18時頃
24時間降水量 119.5ミリ(3時13ミリ 9時10ミリのダブルピーク)

この時もこの地区では浸水被害が発生しました。

・「水防災意識社会 「水防災意識社会 再構築ビジョン」に基づく  北 信 圏 域 の 減 災 に 係 る 取 組 方 針(1018年2月5日)
https://www.pref.nagano.lg.jp/hokuken/saigai/documents/04hokushin-houshin.pdf
この中で飯山市が「危険である」と認識していたのが あるいは「関係者の皆さんが危険である」と認識していたのが
『平成 29 年 10 月 広井川・日光川 台風 21 号 浸水被害【飯山市】』 という事例でした。(5ページ参照)

この時の柏尾橋のピーク水位は10月23日19時の11.66m。
標高に換算すると312.2m、河床勾配補正+0.1で日光川位置で312.3m。

この時も日光川樋管の左ゲートは半開きでした。
そうして閉めたはずの日光川樋管から千曲川の水が逆流してきていたのです。

「その33-2」から日光川氾濫開始水位は310.8mですから千曲川水位が312.3mでは+1.5mとなり、氾濫してしまいます。
そうしてその氾濫水は日光川と広井川の中間に広がる標高が309.9mの田畑を水浸しにしました。(注2

それから県道408号線より東側に点在する家屋に床上、あるいは床下浸水の被害をもたらしたものと思われます。(2020/9/4:追記:この時の被害は床上・床下合計15件、住居以外は9件:市報H29/11月記載)
この時の台風が家屋に与えた被害はこの戸狩地区のものだけだった模様です。

それでこの被害報告を受けて昨年の台風19号ではこの場所に事前に3台の排水ポンプ車が配置されました。

しかしこの時に樋門ゲートを開けっ放しでも何事も起らなかった皿川には、台風19号では樋門ゲートは前回同様に開きっぱなしとし、監視員も排水ポンプ車も事前に配置される事はなかったのです。
そうしてその事が今回の皿川悲劇の始まりとなったのでした。

注1:氾濫シミュレーションについては ・その29-2・「地点別浸水シミュレーション検索システム」について を参照願います。

注2:ここは日光川と広井川にはさまれた県道より一段と低くなった場所で、左側には堤防の向うに日光川樋管の建物と柏尾橋が見え右側をみると堤防の向うに広井川樋門の建物、こちら側には広井川の排水機場と千曲川にポンプアップされた水を送り出す白いパイプラインが見える

注2の追記:8/29)この時の広井川樋門周辺の浸水状況の写真は河川事務所の報告にあった。ー>平成29年10月台風21号による千曲川・犀川出水状況。 17P~19Pに渡って広井川、日光川、今井川での活動状況の写真が掲載されている。

 

訂正の追記飯山市の浸水エリアの報告は「過小報告」になっていた件。(2020/8/28)

飯山市の昨年11月の市報報告に基づいた以下の記述は間違っていました。

『そうして、このSimと今回の台風19号での実際の浸水状況との大きな違いは、一つはSimではJRの線路を越えて広井川沿いに上流域まで浸水が広がっている事。
もう一つはSimでは広井川を渡って浸水が南側まで広がっている事です。

この二つ共に実際の氾濫では起こりませんでした。
理由は前述した通りで、広井川の排水ポンプが稼働しており、広井川に流れ込んだ氾濫水は広井川を超えることはなくそのまま排水ポンプによって千曲川に戻されたからです。

こうして、この場所での実際の氾濫エリアは飯山市報2ページ目下段 にある「大深区・戸狩区、内水の氾濫による浸水」と表記された地図上でのエリアとなりました。』

正確には「令和元年東日本台風(台風第19号)による千曲川・犀川出水状況」という河川事務所の報告の25ページにある記述となります。

つまり「JRの線路を越えて西側に」も「広井川を越えて南側にも」浸水エリアは広がっていたのです。
これは「浸水シミュレーションの計算が示した通りの結果」でした。

つまり「広井川の排水ポンプ場の能力は広井川の上流から流れてきた水を千曲川に排水するだけの能力しかなかった」という事になります。
そうして日光川樋管半開きによる千曲川の逆流水による浸水は広井川のポンプ場から千曲川に戻されてはいなかった、という事になります。 

それにしても「飯山市の報告の信頼性の無さ」には驚くばかりであります。

追記その2 (2020/9/19)

今年の7月豪雨の折、日光川樋管の左側ゲートが途中でひっかかって半開き状態であった事はすでに報告した通りである。そうして、このゲートの不具合を解消しようとして現地の方々が努力されていた事も認識している。ただしこの時にゲートの修理が完了したのかどうかは未確認であった。

そうして、今回再び現地を訪れる事ができて確認した所、左ゲートの不具合は一応解消できていた事を確認できた。あとは実際に千曲川増水時に日光川樋管の左右のゲートがちゃんと下まで降りる事を確認できれば左ゲート不具合の件は終了となる。

そうしてまた日光川樋管が正常に戻った事により、この地で何年もの間繰り返されてきた氾濫ー>家屋の浸水がなくなる事を確認できれば、とがリ地区、大深地区にようやくにして安全がもたらされたという事になるのである

追記(2021/8/17):8月15日からの大雨対応で日光川樋管のゲートがおろされた。そうして問題の左ゲートも今回は正常に下りた事を確認できた。ちなみに今回、柏尾橋ピークは11.85mで2017年の台風21号と同等以上であった。にもかかわらず、台風21号の時には発生した浸水被害は発生せず、今井川の遊水池もまったく満水にはならなかったのである。

 

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

 


その33-2・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-08-20 15:10:29 | 日記

今回の千曲川増水(7月8日~9日)の時の状況を前の記事はライブカメラ映像の観察が主体でしたが、千曲川の水位からはどうであったのか、以下、一応検討しておくこととします。

立ヶ花ピーク水位 7月8日 18時20分 7.32m

柏尾橋ピーク水位  ↑   22時30分 10.22m

柏尾橋の水位観測所から100m程上流に日光川樋管はあります。
従って河床勾配分としては0.1mのプラスとなりますか。

1、全体のロケーション

(1)空撮画像

そのあたりの全景はこんな感じ。

千曲川にかかっている橋が柏尾橋。
そのすぐ下側に日光川が流れ込んでいて、日光川樋管がみえる。

拡大するとこんな感じ。

少し離れた上の方には今井川が流れ込んでいて、今井川樋管が確認できる。

拡大するとこんな感じ。

そして今井川樋管の堤防をはさんだ反対側にはこんな風に遊水池が広がっている。

その二つの川に挟まれた左岸堤防に2つの千曲川まで続いている筋がみえる。
その筋で端に近い方に「柏尾橋水位観測所」が設置されている。

その部分を拡大するとこんな感じ

設置されている水位計の設備が取り付けられたポールの影が確認できる。
そうして、実際にその場所を歩いてみるとそこには「柏尾橋水位観測所」という銘板とともに設備一式が確認できるのである。

さて日光川樋管を真ん中に今井川樋管と反対側にもう一つの重要な施設、広井川樋門と排水ポンプ場がある。

拡大するとこうなる。

2つの樋管と遊水地、それから樋門についてはライブカメラ映像からも確認できる。

(2)道沿いに見ていくとすると、、、

野沢側から戸狩へ橋を渡り切ったところで右を見ると今井川樋管と水位観測の設備が設置されているポール(ぼやけてますが、、、)が確認できる。

前を向くと左側に日光川樋管が見え、道が下り坂になっており、それに合わせるかのように堤防も高さが低くなっているのが分かる。

その道を下り切って突き当りを左折すると日光川にかかる橋がある。そこから千曲川の方を見ると日光川樋管の建屋まで見通せる。

後ろを振り返ると日光川が右側にカーブしその先にJR飯山線の線路が見える。

さらにその道を進むと戸狩野沢温泉駅に着く。

そこを通り越して踏切を渡ってすすんで行くと今度は広井川の橋を渡る事になる。そこから千曲川堤防の方を見るとJRの鉄橋、そのもっと先には柏尾橋のトラス構造が確認できる。

橋からの下り道の突き当りを右折して進んで行くと左側に山に向かう登り道があり、踏切がある。台風19号の時にはその踏切辺りまで浸水した模様。(注1)

さらにみちなりに進むと今井川と交差する事になる。道から下流側を見るとこうなる。 河道が左にカーブしているが、今井川増水時はこの辺りから下側が遊水地となる。  遊水池の西端にあたる位置からの眺め。奥の方に千曲川の堤防が見える。

道の反対側(山側、上流側)を見るとこんな感じ。 

2、日光川樋管は何時閉められたのか?その時の千曲川水位の値は?

「・その33-1」によれば

#434 2020/07/08 13:22
日光川樋管ではゲートが開きっぱなし
いいのかねえ、閉めなくて??

#437 2020/07/08 13:51
ねえ河川事務所さん
日光川樋管の左側のゲート、下まで降りずに途中で止まっているよ
右側のゲートはしっかりと降りたようだ。・・・

となっている。

従って8日の13時22分には開いていて13時51分には閉じていた、もっとも左岸側のゲートは半開き状態だったのだが、、、。
これを柏尾橋の水位データと観測所の標高値300.5m、それから河床勾配分の+0.1mを加味して日光川樋管位置での水位標高をだすとこうなる。

13時20分 309.2m ゲートは上がっていた (柏尾橋水位8.58m)

13時50分 309.3m ゲートは下がっていた (柏尾橋水位8.71m)

こうして「千曲川水位が309.3m程度になると日光川樋管は閉められる事が必要となる」という事が分かる。

さて前述したように柏尾橋のピーク水位は22時30分 10.22mである。
この時に日光川樋管の水位は標高値換算で310.8mとなる。

そうして日光川が氾濫を始める水位もちょうど310.8mあたりにある事が地図から読み取れる。

こうしてこの時は千曲川の水は左ゲートが半開きだった為日光川に逆流したものの、ぎりぎりで日光川は氾濫せずに済んだ、という事が分かるのである。

3、では昨年の台風19号の時はどうであったのか?

この時の柏尾橋のピーク水位は15.03m。
標高値に換算すると315.5m、河床勾配補正0.1を足しこんで、日光川樋管位置では315.6mとなる。

それで千曲川左岸堤防そのものの標高は317.3mですから、それなりに余裕はありましたが、橋から下り坂になる道路との接続部の標高は315.8m程度であり、この部分は本当にぎりぎりで越水を免れた模様です。

つまりは「千曲川の水は堤防をぎりぎりで越える事はなかった」のです。

しかしこの時も日光川樋管の左ゲートは半開きだった為、千曲川の泥水が大量に日光川に逆流しそのあたり一面を水浸しにしたのです。

戸狩野沢温泉駅から今井川の遊水地を囲むようにして走っている道路の標高は312m程度でありこの道を越えて水はJR線路敷地まで押し寄せたかと思われます。

ちなみにその様でありましたから、今井川の遊水池に溜まりこんだ水は今井川上流から流れ込んだ水はもちろんの事、日光川から逆流してきた千曲川の泥水も道沿いに流れ込みそこに大量に混じりこんでいたものと思われます。

この逆流水は今井川のある北側のみならず広井川のある南側にも流れ出しました。
しかしその水はそこで広井川に流れ込み、広井川を越えては南側には流れ出しませんでした。

何故かと言いますと、その時には広井川の排水ポンプがフル稼働しており、広井川に流れ込んだ千曲川の逆流水はそこから排水ポンプによってまた千曲川に戻されていたからであります。(これは不幸中の幸い、と言える事なのでしょうか?)

こうしてこの地区の浸水エリアは北は今井川の遊水池周辺、西がJR線路敷地、南が広井川までに限られたのでした。

注1飯山市報2ページ目下段に「大深区・戸狩区、内水の氾濫による浸水」の地図と記述が確認できます。

但し閉められるべき樋管のゲートが半開きで、それゆえに千曲川の水が逆流し氾濫した事を「内水による氾濫」と分類する事は出来ないと思われます

日光川樋管で起きていた様な「ゲートが閉じられていなかったために千曲川からの逆流が発生し、氾濫した」と言う状況は、それぞれに経緯は異なるものの、もたらす結果としては皿川樋門、そうして有尾樋管で起こっていた事と全く同じであります。

それぞれに異なる経緯:日光川樋管は「設備メンテナンス不良」、有尾樋管は「担当者の単なる閉め忘れ」、そうして皿川樋門は「始めから閉める予定なし」というもの。

訂正の追記飯山市の浸水エリアの報告は「過小報告」になっていた件。(2020/8/28)

飯山市の昨年11月の市報報告に基づいた以下の記述は間違っていました

この地区の浸水エリアは北は今井川の遊水池周辺、西がJR線路敷地、南が広井川までに限られたのでした。

正確には「令和元年東日本台風(台風第19号)による千曲川・犀川出水状況」という河川事務所の報告の25ページにある記述となります。

つまり「JRの線路を越えて西側に」も「広井川を越えて南側にも」浸水エリアは広がっていたのです。

それにしても飯山市の報告の信頼性の無さ」には驚くばかりであります。

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

 

 


その33-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-08-07 18:11:50 | 日記

1、繰り返される「大深区・戸狩区の氾濫」

さて事の起こりは ・その6・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討 という記事に戻ります。

そこでは「大規模氾濫減災協議会」の2018年2月5日の会議議事録が紹介され、その中で飯山市としては、まずは『平成 29 年 10 月 広井川・日光川 台風 21 号 浸水被害【飯山市】』という事例に対応しなくてはならない、と提案したのです。(注1)

その提案に従って今回台風19号の対応では広井川・日光川・(今井川)に3台の排水ポンプ車を事前配置しました。
しかし飯山市は「皿川が危ない、リスクがある」とは認識していなかった為、皿川樋門については「開きっぱなしで大丈夫」とし、監視対象とはしませんでした。

しかしながら今回の台風19号でも、事前に戸狩に3台のポンプ車を配置していたにもかかわらず、また同じ場所で浸水被害が出ました。(注2)

何故同じ場所で、しかも3台のポンプ車を事前配置していたにも関わらず今回も氾濫が繰り返されるのでしょうか?
その事については飯山市は何も検証しようとはせず、ただ「また氾濫が発生した」と報告するのみです。

2、今年の7月8日~9日の千曲川増水時の出来事

以下の実況報告は ライブカメラ映像や水位計の値を見ながら 行われたものです。

#434 2020/07/08 13:22
日光川樋管ではゲートが開きっぱなし
いいのかねえ、閉めなくて??

#437 2020/07/08 13:51
ねえ河川事務所さん
日光川樋管の左側のゲート、下まで降りずに途中で止まっているよ
右側のゲートはしっかりと降りたようだ。
そうして去年の19号の時もそうだったんじゃないのかい??
それで日光川に千曲川の水が逆流して氾濫した様にみえるぞ!!

#452 2020/07/08 16:03
>>437
日光川樋管の左側ゲート、直っていませんねえ
そこから逆流してませんか、千曲川の水??

#473 2020/07/08 19:21
おお、びっくりした
洪水警報の危険度分布 で知らないうちに 犀川と千曲川 黄色になってるじゃないか!!

#477 2020/07/08 19:36
今井川 排水ポンプ車2台+照明車1台 というところか
気合が入っているなあ

#478 2020/07/08 19:41
今井川樋管は18時頃にゲートがおろされ排水が始まった模様

#479 2020/07/08 19:44
日光川樋管は照明車に照らされて左側ゲート修理中と見たが、どうかな??

#480 2020/07/08 19:48
広井川ポンプ場は順調に排水継続中
おだての もご同様
で、雨水排水ポンプ場は?
誰か見てきてよ!!

#481 2020/07/08 19:51
ふふふっ
皿川樋門操作室に「想定通り」明かりが灯ったぜ
この明かりを楽農家さんが見逃した??
そんな事はあるまいて。(注3)

#482 2020/07/08 19:55
皿川樋門 開けっ放しを継続中!!

#483 2020/07/08 20:02
どーやら宮沢川にもポンプ車+照明車がご出勤の様だ

#485 2020/07/08 20:09
皿川 危険水位まであと76センチ
但し右岸堤防の一番低いとこ=JR線路との接続部分の高さを超えるまでには
後3.12m

今回は「何とかなった感」があり

#498 2020/07/09 04:05
日光川樋管の左側ゲート、途中でひっかかったままだで、開きっぱなしじゃないか。
今年もそこから逆流。
もちろん去年もそうだ。
そうして、その2年前の台風の時もそうだったから、氾濫したんだろ、その場所で。

#499 2020/07/09 04:06
河川事務所よ。
お前らの、樋門・樋管のメンテナンス・日常点検のずさんさには 本当に驚くよ!!

#500 2020/07/09 04:10
これだもの、台風19号で皿川樋門開きっぱなしでも
無理はないはなあ

#505 2020/07/09 08:58
宮沢川が氾濫した!の報告がないぞ!!
土狩の日光川も氾濫したんじゃないのか??
あそこのゲート、半開きだったぞ。<--いまもそうだが、、、。

#508 2020/07/09 10:45
9日 午前9:00 令和2年7月豪雨に関する警戒本部廃止

はい、水位のほかは何の報告もなく、本部は解散しましたとさ(注5)

#509 2020/07/09 11:06
さて注目の日光川樋管ゲートだが、
9時32分では半開きが確認できた
だが10時12分には両方のゲートが全開となり、「証拠は消えた」、、、と思うかね、河川事務所の諸君!!

#510 2020/07/09 11:42
広井川ポンプ場の排水作業は終了したようだ

#511 2020/07/09 12:11
河川事務所と市役所よ
お前らが言っていた、19号の時の皿川監視のウソがバレてるぞ
ググってみろよ!

お気楽な農民の1/1プラモデル遊び
今日の記事でお前らの「台風の夜に皿川、監視してました」のウソがバレている。(注4)

#516 2020/07/09 13:00
>>511
ブログ意味不明 草
うそだと言う証拠にもなってねぇよ 草

#517 2020/07/09 13:10
>>516
そうかねえ
お話して「証言よろしく」といえば「喜んで」と言われると思うがねえ。
そうは思わないかい、お前さんは??

以上、詳細については 飯山市役所5 にて確認できます。

さてそれで、端的に言うと「日光川樋管の2つあるゲートの内、左岸側のゲートが途中でひっかかっていて、完全に下までおりきっていなかった」という映像がライブカメラによって日本中に配信されていた、という事です。

その状況と言うのは今回の千曲川増水時、本来はゲートを降ろして千曲川からの日光川への逆流を防がなくてはいけないという状況の間中、左側ゲートの不具合は修正される事はなくその様であり続けました。

つまり「千曲川の水が日光川に逆流していた」という事です。

そうして、今回がそうであったように、去年の台風19号襲来のときもまたその様であったでしょうし、その2年前の台風の時もその様であった為、その場所では何度でも同じような氾濫が起きていたというのが事実でしょう

今回のライブカメラ映像がその事を明確に証明しています。

注1・「水防災意識社会 再構築ビジョン」に基づく  北 信 圏 域 の 減 災 に 係 る 取 組 方 針(1018年2月5日)

注21年11月飯山市報

2ページ目下段に「大深区・戸狩区、内水の氾濫による浸水」の記述が確認できます。

注3・その12・お話にならない河川事務所の回答 その2
三度現場確認されたが、樋門操作室に灯っている明かり、そうして活動中の樋門操作員を見る事はなかった。
「1時44分に樋門を閉めた」と河川事務所が主張している樋門操作員は13日にはその場所にはいなかった。

注42019/10/12~13の時は居なかった河川管理者らしき車両(赤色灯が点滅)

但し正式なタイトル名は「 ホンチョ君避難」(7月8日)、7月7日の記事「天の川氾濫しないか心配」も参照されたい。この方は去年の台風19号で大変な目に遭われた(低体温症で救急搬送された)方であり、なおかつ皿川氾濫の市役所への第一通報者でもある方

注5令和2年7月豪雨に関する警戒本部

追記(8/29~30):この時の千曲川増水での対応報告が河川事務所から出ている。

令和2年7月豪雨による千曲川・犀川出水状況。 

これによれば「日光川樋管からの千曲川逆流水によるその場所の氾濫が無い場合の広井川ポンプ場とおだてのポンプ場の稼働状況」は次の通りである。

広井川救急排水機場  8日 12:05 ~9日 11:00 稼働時間22:55 排出量660,000m^3
御立野川排水機場  8日 6:45~ 10日 5:10 稼働時間46:25 排出量334,200m^3

つまりおだてのポンプ場の排出量のほぼ2倍の量を広井川ポンプ場が排出すればそれで済みとなる事が分かる

平成30年9月台風24号による千曲川・犀川出水状況   

この時の柏尾橋のピーク水位は今年の7月豪雨の時より37センチほど高かっただけである。そうであれば日光川からの氾濫水はこの時も広井川には流れ込んではいない。そして、その時のポンプの稼働状況は次のとおりである。(10月1~2日)

広井川救急排水機場 1日 11:10~ 2日 2:20 稼働時間15:10 排出量436,800m^3
御立野川排水機場  1日 11:10~ 2日 5:43 稼働時間18:33 排出量133,560m^3

平成29年10月台風21号による千曲川・犀川出水状況 によれば、「日光川からの千曲川の逆流ー>氾濫があり、それが広井川に流れ込んだ場合」はこうなる。

広井川救急排水機場 23日 1:26~ 24日 6:00 稼働時間28:34 総排出量715,740 +70530m^3
御立野川排水機場  22日 23:50~ 24日 22:36 稼働時間31:17 総排出量231,360m^3

この時の今井川からの排水ポンプ車(3台)による排出量は次の通り。

今井川樋管   23日 8:35~ 24日 6:00 稼働時間21:25 排出量65,850m^3

令和元年東日本台風(台風第19号)による千曲川・犀川出水状況  によれば「日光川からの千曲川の逆流ー>氾濫があり、それが広井川に流れ込んだ場合」はこうなる。

広井川緊急排水機場  12日 22:00~ 13日 23:00 稼働時間25:00 排出量723,840 m^3
御立野川排水機場  12日 20:40~ 14日 17:24 稼働時間44:44 排出量331,800 m^3

それ以外に排水ポンプ車の稼働状況として

今井川樋管  10月13日 3台 (北陸1台 長野県1台 飯山市1台)
広井川樋門  10月13日 1台 (北陸1台)

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

 


その後の状況報告・3

2020-08-07 01:32:03 | 日記

1、7月豪雨と日光川樋管の不具合の件

7月豪雨の時に日光川樋管の左側ゲートが半開き状態であった事がライブカメラ映像として全国に配信されました。

この件の顛末記はこのシリーズ「その33-1~3」に詳細が書かれてありますので、そちらをご確認願います。

2、栄川樋管が台風19号襲来の折に開いていた件

この件につきましてはこのシリーズ「その27-1~2とその28」に詳細が書かれてありますので、そちらをご確認願います。

但し、この件に関連して飯山エリアに降った雨水をどのようにして処理しているのかという重要な情報が今回、開示されました。(2020/6/18)

以下飯山市のHPからの引用です。

飯山市街地雨水排水系統図

飯山排水区(圧力管)のしくみ 

中央排水区(城山雨水排水ポンプ場)のしくみ 

しかしながら残念な事は、今回このような事(台風19号による水害)がなければ、こうした重要な情報は飯山市からは進んで公開されるという事は無かったであろう、と思われる事であります。

3、重要な資料に何故か避難勧告を出す水位の値が書かれなくなった

さて今回の19号台風での水害がある前までに飯山市が作り上げた水防に関する資料にはちゃんと「飯山市が避難勧告を出す千曲川の水位」が書かれてありました。

HPより地域防災計画・風水害対策編 P118

しかし今回の水害のあと、より正確には市長が市議会で今回の皿川水害発生に千曲川増水に対する避難勧告を何故出さなかったのか、について答弁した後で作られた重要な資料には、この大切な基準値、千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのかが書かれなくなりました。

HPより飯山市水防計画(R2 8月)

この資料は県に提出するものらしいのですが、この中には「千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのか」が書かれていません。そうして飯山市のこの資料に対する説明はこのようなものです。

それから長野市と河川事務所が一緒になって進めているマイ・タイムラインという市民の水防意識を高めるための活動、これについても飯山市はその動きを後追いしています。しかしながら市報8月号にて特集号とされたマイ・タイムラインの説明の中にも「千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのか」が書かれていません。

さてこれはいったいどうした事でしょうか?飯山市はこの重要な数値、「千曲川の水位がいくつになったら避難勧告を出すのか」を市民には知られたくはない様です。何故でしょうか?それはこの数値が市民に広く知られてしまうと「何故台風19号の時に避難勧告を市長は出さなかったのか?」という「とても重要な疑問」、「市長や飯山市にとってはとても嫌な疑問」を市民が持ってしまうからであります。

追記(10/21):その後飯山市は市報の10月号にて避難勧告の水位基準となる観測所を飯山から立ヶ花に変更する事、水位基準としては9.2mを用いる事を明示しました。但し、関係する文書まわりの変更はこれからであると思われます。

4、市議会での市長答弁についてその1

『3月6日の飯山市議会での市長答弁は、大いに疑問があります。

◎市長 
「今回、非常に千曲川の水が上昇したということでありまして、千曲川本川の堤防が決壊するかどうか、越水するかどうか、これが最大の警戒の関心事ではあったわけなんですね。・・・
それから、もう1点は、上流地域で水が増えたときに、飯山市の中で堤防が決壊するのかどうかという、その見きわめが非常に大事なんですけれども、これについては、ある一定の水位が長野エリアまで、要は長野、立ヶ花まで3時間ぐらい時間がかかるんですが、そこでの水位が非常に大事なんですよね。それで、そこでの水位のときに飯山での水位が大体どのくらいになるのかということについては、河川事務所さんのほうからも、情報を教えていただきました。
その中では、大体、天端から1メートルぐらいまで上昇するんじゃないかというような、そういう河川事務所さんのほうの判断でございましたので、1メートルぐらいあれば越水ということは、これは免れそうだというのは、本当に深夜といいますか、2時ぐらいですか、そのくらいのころの情報だったというふうに思うわけでございますが、・・・』

以上、横丁大家さんブログ、「台風19号来襲5ヶ月前に改訂したばかりの「避難勧告等の判断・伝達マニアル」があった。」(2020-08-27)からの引用です。(アーカイブ

ここで問題になるのは、市長は2時頃に河川事務所から「(公式な形で、)天端から1メートルぐらいまで上昇するんじゃないか」という情報を得て、それを基に「避難勧告を出さない」という判断をした、と回答している事です

しかし実際の所は河川事務所は2時58分になってようやく立ヶ花でのピーク水位の値を予測でき、これを公式発表しています。ですから、市長が河川事務所の誰かさんから飯山でのピーク水位の予想値を聞いたとしても、それは2時58分以降でなくては不可能な事なのです。これが最初の疑問点。

2つ目の疑問点は、河川事務所公表の「千曲川氾濫発生情報」を見ればわかる事ですが、河川事務所が水位の予測をして公表している場所は「生田」「杭瀬下」「立ヶ花」の3つの水位観測所だけであって、飯山については公式には水位の予測はしてはいないのです。そうであれば「2時ごろに市長と話をしたとされる河川事務所の誰かさんの話は、もしそのような話があったとしてもそれは河川事務所の公式見解ではなく、個人的な誰かさんの非公式な予想、もっといえば与太話にしかすぎないものであって、その話をした内容についてはとうてい河川事務所が公式に責任を持てるようなものではない」という事です。

そうしますと、市長は河川事務所の誰かさんの「個人的で責任のとれない話の内容」を信じて、事前に決められていた基準やルールをすべて無視して「避難勧告を出さなかった」という事になります。そうして市長は「そのやり方が正しかった」と主張しているのであります

こうして、この市議会での市長の答弁には2つの重大な誤りが指摘できます。

一つ目は「2時ごろに電話で聞いた」と答弁していますがこれは不可能であって、実際は3時15分に河川事務所からかかってきた電話で聞いた、と言うのが事実であろうと推測できる事。(注1

もう一つは「河川事務所の誰かさんの責任がもてない個人的な予想情報」を信じて、事前に決められていた基準値、ルールを一切無視して「避難勧告をださない」と決めた事。(注2

そうして「そのやり方が正しかった」と主張している事であります。(注3

さて、一番目の事項についてはこれは「事実はどちらであるのか」が確認出来る事です。そうして事実が「2時ではなくて3時15分である」とするならば、市長は市議会に対して、あるいは市民に対して「発言内容の修正を行う」と言うのが筋というものであります。

二番目の事柄については、これは市長の持つべき本来の職務「市民の安全を第一として守る」という事に対するスタンス、あるいは見識でありますから、いずれは市民によってその判断が下される、という事になろうかと思われます。

注1令和元年台風19号関連災害経過報告【第2報】の最終ページを参照願います。そこには下記の記述があります。

『3:15 千曲川河川事務所より「立ヶ花で12mを超える水位となり、越水が各所で発生している。これからピークが飯山へ向かう
ので、飯山市でも最高水位に備えるよう」連絡が入る。』

注2事前に決められていた基準値、ルール

堤防天端まで3mとなった時点で「避難準備・高齢者避難開始の発令

堤防天端まで2.6mとなった時点で「避難勧告発令」が事前に決められていた基準値、ルール。したがって「堤防天端まで1m近くになっても避難勧告を出さない」という事は「これらの基準、ルールをすべて無視している」という事になる。以上の事の詳細は・その19・飯山市は自分で決めたルールさえ守る事が出来ない組織であるを参照されたい。

注3堤防天端まで堤防天端まで1m以上あれば決壊は免れる。避難勧告を出す必要がないと判断~飯山市長答弁アーカイブ

『それで、河川事務所さんからの情報では、堤防までいけませんよと、これは前回W議員のときも答弁したんですけれども、1メートルちょっとですかね、余裕がありますということであります。
したがって、これは夜中の中で1メートル以上あれば、これは決壊は免れますので、その辺についてはこれは避難勧告を出す必要がないということで判断をしました。
実際、飯山の本堤の堤防は、越水、決壊もなかったということでございます。

避難勧告を出さなくて正解だった。なぜならば「飯山の本堤の堤防は、越水、決壊もなかった」から、という理屈であります。さて、個人的な見解を申し上げるならば「足立市長、あなたには市民の安全を守る、という事について市長たるの見識・資格がない」と言わせていただきます。

5、皿川樋門内側での堆積物について

7月豪雨と記録されている千曲川の増水は7月8日~9日にかけてのもので、ピークは8日の21時、7.24mでした。しかしその時には皿川樋門は閉める事はなく、但しその時の皿川ダムの水位は樋門を閉めるべきレベルの少し下にまで到達していました。

その水が引いた後で樋門のその場所に残ったのは「泥」でした。これは樋門が開いていた為に千曲川からの逆流がおこり、皿川の水位を押し上げたのですが、そのお土産という事が言えます。

ちなみに8日の飯山の降水量は朝方の雨降りで61.5ミリでこの雨は午後にはやみました。そして9日は0.5ミリでした。つまり、皿川上流からの雨水の流れ込みのピークは昼ごろまででおわり、それ以降の皿川ダム湖の水位上昇は千曲川からの逆流によってもたらされた、という事になります。そうして、その様にして流れ込んできた千曲川の泥水がその場所に泥を残していった、という事になります。

ちなみにこの泥の残留物は台風19号が去った後で樋門のその場所に見られた泥と同じものである様に見えます。

さてそれで、飯山地方には15日に局所的、短期的な土砂降りがあり、市内では浸水被害と土砂災害が発生しました。

7月15日の飯山雨量観測所の24時間降雨量は131mm~浸水や土砂崩落被害が多発しました~

特に18時、19時台の降り方は一時間に20ミリをこえるもので、これによって市内では排水路から雨水が吹き上がり、浸水被害をだしました。(上記リンク記事内容を参照願います。)

さて、この雨によって当然皿川上流から増水した水が流れ下る事になります。さてその皿川泥水が流れ去った後に残ったものは何だと思いますか?

泥、ではありませんでした。砂利が残ったのです。つまり「皿川は多量の雨が上流部に降ると砂利を下流に流し出す川」なのです。

さてそうすると台風19号が去った後で皿川樋門のその場所に大量に残されていた泥はどこから来たのでしょうか?

その答えは「千曲川から来た」という事になります。

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2021/8/27

6、8月大雨について

飯山市は、この大雨に対応するため、8月14日(土)8時に「警戒本部」を設置、17時45分に市内7ヶ所に避難所を開設し、「高齢者等避難発令(市内全域)」した他、防災無線や、「飯山市メール配信サービス」を通じて市民に警戒を呼びかけました。
飯山市が発した防災無線放送や、「飯山市メール配信サービス」は、15日21時26分までに33回となりました。

・飯山市HP : https://archive.fo/uTMpt

台風19号であれだけの被害をだして、それなりに反省し対応を改めたはずの飯山市が出してきた情報は立ヶ花の水位と皿川樋門の外水位から換算した千曲川の水位だけでした。

そうしてこれは従来からやっているものと何ら変わる所がありません。いったい市役所は何を反省した、というのでしょうか??

後は何時に会議を開いた、という市民にとってはどうでもいい情報と、避難指示およびそれの解除情報が載っている、あいかわらずの「上から目線」で「秘密主義満載」のものでした。

それから「飯山市が発した防災無線放送や、「飯山市メール配信サービス」は、15日21時26分までに33回となりました。」については以下の記事を参照願います。

・「令和3年8月大雨」~「飯山市メール配信サービス」は「河川水位情報」を中心に33回配信~
2021-08-17 10:44:29 : https://ameblo.jp/mto193914/entry-12692661931.html

・「令和3年8月大雨」~「飯山市メール配信サービス」は「河川水位情報」を中心に33回配信~
2021-08-16 12:01:27

テーマ:8月の大雨 : https://ameblo.jp/mto193914/entry-12692490628.html

特に前回、堤防決壊で大きな被害を出した皿川については、その水位が危険水位を越えたにもかかわらず「何の情報発信もなし」でした。

「危険水位をこえた」のであれば「避難指示をだす」と言うのが常識・ルールでありますが飯山市は今回もまた前回同様に「何の断りもなくそのルールを無視した」のであります。

そうしてそれは前回・台風19号の時の飯山市長の態度「水が堤防を越えなかったのだからいいだろう」と言うもの、そのものであります。

その情報発信のやり方には少しの反省も、そうして又何の改善の跡も認める事はできません。何の進歩もないのであります。 

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

 

 


その32-2・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-08-06 20:00:00 | 日記

4、浸水被害の広がりについて

さて、ポンプ場よこのテープがGL+86センチ、GLが316.1mとすると水位は316.96≒317mとなります。

それで、ここであふれだした水はJAの駐車場に流れ出す。 奥にあるのがポンプ場、でこの駐車場の標高が316.1m。だからここでの水位は90センチ。次に水はJAの建物に続く道を横切って右側に流れ出した。

その先にあるのがこのグラウンド。このグラウンドの標高は314.2m。だからここでの水位は2.8m。このグラウンドの奥は農地になっている。その境目からJA側を見るとこうなる。 そうしてそこで後ろを見るとこうなる。

右側に見えるのが堤防道路、正面のみちは国道292号線。左側がトンネルになっていてそこから下り坂で堤防道路に接続する。その道の下にアンダーパスが2つ開いている。左側に見えるパスはJA飯山線用のもの。正面のパスは農道だ。

そうして水はこのパスを通って292号線を越えて向う側に流れ出したのである。そうそう、この農道の右側に用水路がある。もちろん水はここも満たしていた。そうしてアンダーパス直前の標高は313.9m。したがってここでの水位は3.1m。

さてこのパスを越えよう。パスを越えてパス側を振り返るとこうなる。 そうして前を見るとこうだ。 道の右には用水路、左側の小高い所をJR飯山線が走っている。そうして奥の方に見えているのがJAの葬儀場「JA虹のホール みゆき」である。これを拡大するとこうなる。

さてそれで、この位置での標高だが、314.0m。そうするとここでの水位は3mという事になる。ちなみに用水路の右側にあるたてものは飯山スバルである。浸水はここを越えてさらにはJAの葬儀場を越えて、用水路の伸びている道沿いに広がった、と言うのが河川事務所の報告書にかかれている内容である。そしてJAの葬儀場での標高は312.8m。そうすると水位は計算上は4.2mにもなる!しかし実際はそんなにはいかず1m未満だったと思われる。

そういう訳で水位であるが、水が流れ出した方向は標高が低くなる方向で、千曲川で言えば下流側である。そうして用水路の水もこの方向にながれている。そうであれば下流側に向かって水は「自由端」になっている為に、実際の水位はここで計算した値にはならず、これよりも低い値、おおよそ二分の一~三分の一というのはいい推定値であろうと思われる。

さてそれで、始めに戻って河川事務所の報告にある様に相当に広い範囲が千曲川からの泥水で浸水の被害を受けたのである。

5、氾濫シミュレーションによる検証

使うのは「地点別浸水シミュレーション検索システム」であり、「地点別浸水シミュレーション検索システムを見る」をクリックすると、日本地図が現れる。拡大移動して飯山の有尾あたりまでもっていく。

つかうパラメータは
河川選択
地域 北陸地方整備局
事務所 千曲川河川事務所
河川名 千曲川【計画規模】
である。

ただし河川名の選択のまえにあらかじめ
規模指定 で
計画規模 にチェックを入れておくことが必要である。

それが済んだら「データ表示」をクリック。
そうすると「堤防のどこを破堤点にしますか?」と聞いてくる。
それで「有尾樋管に近い場所」として「グラウンドの横にある点」をクリックする。(破堤点番号 BP713 になるはず。)

破堤点番号の表示は邪魔だから消して、「アニメーション経過時間」というプレーヤーボックスの操作記号をクリックすると動き出す。
経過時間は画面左上に表示される。
以上が基本だ。あとはいろいろと好きにやってみてくれ。

破堤点がそこだと10分でそのあたり一面が水浸しになって水はポンプ場をこえて皿川の中にまで入り込んでしまう。
10分で止めておいて、浸水した場所をクリックしてみると赤いビンが表示され、そこでの水深がわかる。

しかしこの計算は計算メッシュサイズが大きいのであまり精度はよくない。
まあしかし、おおまかな目安はわかる。それから浸水範囲もめどがつく。

ただしこの計算はアンダーパスの存在は無視しているので、見て分かる様に国道292号線をこえて北側に水は流れ込めない。
これがまあ現状のこのシステムの限界である。

5-2:皿川氾濫のシミュレーションについて

さてそれで、実はこの計算、北の方を見ると確かに「有尾地区の浸水の模様」が分かる。
しかし水は南側にも流れて、しかもそこから市内に流れ出す元は皿川橋から上流あたりになっている。

そうするとこの計算で皿川が決壊した今回の状況がそれなりに分かってしまう事になる。
但し、皿川まで水が届き、そこからあふれ出すのに20分はかかっているので、画面左上に表示される時間からは常に20分引いて考える事が必要である。

浸水深さについては、今回の実際の浸水深さよりも1.3~1.5倍ほど多いものに計算されるが、それは「千曲川堤防決壊」という状況が「皿川堤防決壊」という実際に起きた事より氾濫水量が大きいからである。(注1)
まあそれでも自分が暮らしている場所の付近がどのように浸水してきたのか、大体の事は分かるので、是非ともこれで確かめておかれる事をお勧めする。

但し、上記でも説明しているが、市内各所にあるアンダーパスの事は計算には反映されていない。
それはつまり「実際にはアンダーパスを通ってより速く水は浸水していった」という事である。
そうしてまた「雨水排水路を伝って逆流してそこから噴き出していた水の事」も計算には入っていない事には注意が必要である。

6、有尾樋管はいつ閉めなくてはならなかったのか?市側の答弁は事実なのか?

さて有尾樋管は13日の10時まで開きっぱなしで閉じられてはいなかった。
それで6月の市議会ではその事が問題となった。

市議問う:閉めるべき樋管が開いていたことになる。事情は何か

市役所答え:有尾樋管の管理を消防団に委託しているが市街地各所に出水があり、消防団へ他からの出動要請があったためと聞いている

これからも「市内各所に出水があると、有尾樋管は開けっ放しとなりあの辺り一面、グラウンドあたりからJAの葬儀場あたりまで千曲川の泥水で沈めたる」。
そう市役所は回答しているのでありました。
まことに残念な水防体制でありますなあ、飯山市さん!!

さらに大家さんのブログ記事によれば

飯山市「公共下水道有尾中継ポンプ場」浸水高は~浸水レベル▽GL+86cm~台風19号災害(2020-07-12)
を参照すればJA駐車場の標高は有尾樋管水位標で2.0mである事がわかる。(現場確認済)

そうして
③樋管直近堤内地河川の左岸JAながの駐車場の標高は316.2m<--ブログ記事より

そうなるとこの樋管の底の部分の標高は314.2mである事が分かる。
つまり「千曲川水位が314.2mに達したらこの樋管は閉めなくてはならない」のだ。

さて千曲川水位が314.2mになった時の飯山観測所での水位と言えば7.1mだ。
ふむ、水位が7.1mは12日の夜中24時ごろだな。

この時刻には市内のどこにも水はあふれてはいないよ、市役所さん。
あなた方は「消防団のいい加減な言い訳にだまされている」という事になる。
あるいは消防団と市役所が話を合わせて市議会で答弁したのか?

いずれにせよこの「市街地各所に出水があり、消防団へ他からの出動要請があったため」という答弁内容は間違いである。(注2)

ちなみに申し添えるならば、台風19号の2年前の台風でも千曲川の水は増水した。
その時のピーク水位は8mであった。

さてその時のこの樋管が開いていたとしたらどうなったか?
8m-7.1m=0.9m

0.9mの水位まで千曲川の泥水は逆流したが、排水路から水があふれる事はなかった。
なぜなら、排水路の高さは2.0mだったからである。
ねっ、簡単でしょ。

こうして実は3年前の台風の時もこの樋管は開きっぱなし、それはつまり「この樋管はここ10年間、閉じられたことがなかった」という事でもある。
これが実は台風19号でこの樋管が閉じられなかった「真の理由」である。

10年間、台風の時に一度も閉じていなければ、そりゃ皿川樋門同様に
「あの樋管は開けといても大丈夫だ」とおもうよねえ、市役所さんと消防団さん。

しかし台風19号ではその有尾樋管から千曲川の水が逆流している事に気が付いた。
そうして10時に樋管を閉めた。

その時の千曲川の水位は10.4m、そうであれば有尾樋管排水路での水位は3.3mで排水路から1.2m分はJAの駐車場に水があふれ出していた、という事になる。

有尾樋管の状況はそのようであったが、かたや皿川樋門のゲートは最後まで開けっ放しで閉じられる事はなかった。
この事は本当に河川事務所のオペレーションミス、あってはならない操作ミスである。

それに加えて恥ずかしい事には河川事務所も飯山市も皿川樋門のゲートが開きっぱなしであったことを、樋門操作員の報告書を作文することで隠している。
このような「事実を隠すやり方」と言うものはとうてい見逃すことは出来ないものである。  

追伸:さて今年以降「真面目に有尾樋管を閉める」というのであれば、そこには宮沢川同様に「排水ポンプを用意しておく事」が必要ですよ、足立市長さん。

追伸の追伸(2021/8/16):実は有尾樋管から千曲川に排水する事は「マスト」ではなく、いつ有尾樋管を閉めてもいい。但しその場合は上流からの水を有尾樋管に通じる排水路には流さず、全て下流の農業用水に水を流すようにしなくてはいけないが、、、。その様にできる設計になっているのだよ、あそこの樋管は。

注1今回の皿川堤防決壊による浸水状況が千曲川本堤防の決壊の浸水状況の7割程度にも達する、と言う事は「驚くべきこと」である。

単なる千曲川の一支流に過ぎない皿川からどうやったらそれほどの水量が市内に流れ出すことができたのか、大きな疑問が残ります。

注2「その34-2」で確認した所によれば、静間樋管においても有尾樋管と同様に千曲川からの逆流が確認されている。しかも飯山市の報告によれば「静間樋管は12日の23時に消防団・第一分団の分団長の手によって閉められた」と報告されている。

閉められたはずの静間樋管から何故千曲川の泥水が逆流できたのか?

それからもし本当に静間樋管を12日の23時に分団長が閉めたのなら、何故その足で有尾樋管に移動してゲートを降ろさなかったのか、大きな疑問がそこには残されている。

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧