シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その29-2・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-08-06 18:44:38 | 日記

1、「地点別浸水シミュレーション検索システム」について

さて国交省が以下の様なシステムを公開しています。
「地点別浸水シミュレーション検索システム」
http://suiboumap.gsi.go.jp/

千曲川の堤防の破堤場所を指定して、あとは標高で浸水の進展具合を計算してくれる「すぐれもの」の様であります。

動かし方は・・・

『「地点別浸水シミュレーション検索システム」を見る』をクリックします。
いつもの電子地図のページに行きますので、飯山まで移動、拡大。

左にある「河川選択」をクリック
地域 は 北陸地方整備局 を選択
事務所 は 千曲川河川事務所 を選択
河川名 の選択の前にその下の 規模指定 で計画規模 も選択しておく
それから河川名の選択ーー>千曲川「計画規模」を選択

「データ表示」と言うボタンが現れるので それをクリック

堤防が壊れる点を指定しろ、の表示とともに地図上に選択可能点が現れる

皿川のすぐ上の北の点をクリック(BP713 千曲川 32.50k左岸破堤)

「アニメーション経過時間」というポップアップが開く
その時点て地図上には最終(42時間後)の浸水状況がカラーパターンで表示されている。
そしてそのカラーパターンはハザードマップの色分けと、たぶん同じはずです。

あとはポップアップの中のスタートボタンをおすと、浸水がはじまる。
経過時間は画面左上に表示される。

浸水の計算は地図のもっている標高によるものと思われるが、計算単位は一辺が10m程度の正方形のようである。
したがって、標高の値はその正方形の各点の平均値を使っているものと思われる。

当然地表に現れているでこぼこしか計算には反映されず、「雨水下水路」などの影響は考慮されない。
そして皿川も浸水対象だが、浸水はJR鉄橋までしか計算してくれない模様。

一回アニメーションを動かしていると「新水深の見たい位置を指定してください」という催促がでる。
それで市役所辺りをクリックする。
赤いマークが付く。

それで、42時間まで計算させて、そこで一時停止させる。

次に左側に「浸水域シミュレーショングラフ表示」というのが現れているので、それをクリックする。
「地点を選択してください」というのが現れるので「NTTあたり」を指定する

地図上に黒の×マークがつくのと同時に「Loading」の表示になる

しばらく待つと別ウインドウがひらいて「浸水深グラフ」が表示される。

ちなみに「想定最大規模」というのは最悪条件が重なった時であり、「計画規模」というのは「国がこうありたい」としている希望のようです。

規模指定の右側に「?」マークがありますので、それで詳細はご確認を。
計画規模は破堤した後の水の流れ出る量を制限している模様です。

あまり「ユーザーフレンドリー」ではなく扱いにくいのですが、まあそれでも「有用か」と思われます。

2、動かしてみると、、、

皿川のすぐ上の破堤点を選んだ場合、10分~20分後にはほとんど皿川右岸堤防からの皿川越水による浸水パターンと同様になる、と見る事ができそうです。

それでこのシステムによれば、皿川右岸越水から1時間程でその水はポンプ場まで到達しています。
つまり皿川越水が午前2時にはじまったとすると、午前3時には皿川の越水はポンプ場まで来ていた事になります。

ちなみにシステムの計算結果では80分で到達ですが、千曲川堤防の破堤点から皿川まで水が来るのに10~20分は必要ですので、その分の時間がマイナスとなります。
そうして、以下のケースにおいてもその分の時間は常にシステム計算結果からの時間からマイナスして考える必要があります。

さて市役所にその水が到達するのは越水2時間後、その時刻には仲町通りの栄川の橋でも越水が確認されそうです。

しかしその場合は「4時に栄川の越水を確認」ということになり、事実よりは1時間遅い事になります。
3時にその場所で栄川の越水が確認されるためには、3時時点でポンプ場の3台のポンプの排水能力をそこに集まってくる雨水の量がすでに超えていた、という事を示している様です。
つまり「雨水だけで本当に栄川は越水、氾濫していた」という事です。

あるいは「少なくとも皿川からの水はポンプ場のポンプよって千曲川に排水される事はなかった」という事、つまり、皿川からの越水の水がプラスされた事で栄川の氾濫が起きた、とも考えられます。

それから上町の堤防沿いで4時に30センチの浸水、という報告に対して、このシステムでは4時半に30センチの浸水という結果になっていそうです。
しかし、このシステムは、たとえば中央橋から飯山側に降りる道の下にあるアンダーパス、同様に25メートル道路下のアンダーパスの存在を考慮していないようです。
したがって、このシステムの計算よりも早い時間に実際の水がそこに到達していた、という事は十分にありうる事になります。

「計画規模」の選択での千曲川からの流出量の設定は、今回台風19号で実際に起きた流出量よりは30%程度多い様ですが、それでも良い近似にはなっている様で、当時、何が起こっていたのかを振り返る事はこのシステムを使う事で十分に可能であると思われます。

 

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