シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その29-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-05-27 21:09:41 | 日記

皿川氾濫に対応したハザードマップについて

飯山市が「避難勧告を出すのが遅れた理由」として真っ先に主張したのは「皿川氾濫に対応したハザードマップがない」という事でした。
したがって「どのエリアまで対象にして避難勧告を出したら良いのかわからなかった」としています。
そうしてまた長野県もそのような主張を受け入れる形で「皿川氾濫の場合のハザードマップつくりを行う」としています。

さてハザードマップと言うものはどんなものか、とりあえず見ておきます。
・飯山・柳原ハザードマップ
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/kikikanri/hazard-map/1iiyama-yanagihara.pdf
とか
・飯山まるごとマップ
とか
・千曲川の氾濫シミュレーション
http://www.hrr.mlit.go.jp/chikuma/bousai/hanran/simulation/iiyama.html
とかいうものもあります。

さてそれで、千曲川の場合は「堤防が決壊する恐れがある」という事で「避難勧告を出す。」
その時の目安として「ハザードマップが示しているエリアを対象とする」のでしたね。
千曲川の場合はそれでよく分かります。

しかし同じような考え方が皿川に適用できるのでしょうか?
皿川堤防の決壊を前提にするのですか?
計画高水位を越えたから皿川堤防があぶない?
そもそも「皿川堤防に計画高水位が存在するかどうか」も怪しいものです。

そうして今回、皿川右岸堤防がどのようにして決壊したのか、その検証が全くされておりません。
もちろん現在まで一切の報告はなしです。

どのような現象がそこで起こっていたのか、それは「計画高水位を越えたから堤防が決壊した」という事とは全く別物の現象であり、それで堤防は破壊されたのでした。(皿川堤防にあった2つの弱点については・その16を参照願います。注1

それから「樋門ゲートの存在」。
ゲートを下した場合は基本的に排水ポンプ車での排水をおこなう。
当然の事ながら今回の様な「ゲートを下したが排水ポンプ車がそこにはいなかった」などという「間の抜けた対応」はもうしませんよねえ。

それから、ゲートはきっちりと降ろす。
そうであれば「今回の様な千曲川からの逆流の市内への流出」も考える必要はありません。

加えて「皿川堤防の弱点も明らかになり、その部分のそれなりの補強も済んだ」。
その様な状況下ではどのような形のハザードマップが必要になるのでしょうか?

と言うよりは実はすでにハザードマップは存在している。
それは千曲川決壊のハザードマップでよいのです。
ただし、どれだけの水量が皿川からあふれてくるのか、それがわかれば「千曲川のハザードマップに水深を書き込める」。
それで「皿川のハザードマップは完成」です。

しかし「どれだけの水量が皿川から流出してくるのか」それを見積もる事は相当に難しいことですね。
とはいえ、このシリーズではすでにそれを「流域雨量指数をつかって」やっています。(「・その25」と「・その26」を参照ねがいます。注2
その結果は「飯山市で今回見られた水深の深さは皿川からの流出水量だけでは到底説明できない」というものでした。

さて、長野県はどのような形での「皿川対応のハザードマップ」を仕上げてくるのでしょうか?
そのハザードマップは「単に今回の水害の空撮映像を地図に落としたもの」なのでしょうか?
それとも真面目に「山に降った降水量から皿川の水量を推定し、市内への水の流出量を計算して、市内の水深を算出したもの」なのでしょうか?
そこのところは「長野県作成の皿川ハザードマップ」についての今後の要注目ポイントとなります。

注1・その16・皿川堤防にあった二つの弱点
そうしてそのような重要な事実を知ろうともしない飯山市と河川事務所。
その為に「左岸から水があふれた」という住民からの重要な情報は全く生かされなかった。

注2:以下・その25および・その26へのリンク

・その25-1・皿川のフォトアルバム
皿川上流域からの流量を計算するための舞台の説明

・その25-2・樋門を閉めた時点での皿川上流域から時間当たり流れ込んだ水量の算出
加えて、皿川下流域(英岩寺あたり)での水位の経時変化の確認

・その25-3・12日~13日の皿川上流域からの時間ごとの流入水量を求めた
流域雨量指数計算で気象庁が使っているマニング公式による。

・その25-4・飯山市と河川事務所の主張の通りに今回の水害を構成し検証した。
その結果は現実に起きた事と全く一致しないものとなった。
そのようになった原因は「飯山市と河川事務所の主張が現実に一致していないものであるから」という事になる。


・その25-5・皿川本体の排水状況と樋門を開けたとする水位についての検証をした。
排水ポンプ車1~2台では到底「樋門を開けたとする水位に到達できない事」が分かった。
それはつまり「千曲川河川事務所の情報公開請求に対する回答は作文でしかない」という事の証明でもある。


・その26・城山雨水排水ポンプ場のポンプ稼働状況と浸水深さについて検証した。
3号機を動かす必要がないにも関わらず動かしている。-->栄川樋管からの逆流が疑われる。
皿川からの氾濫水だけでは13日7時15分時点での飯山市の浸水状況は到底説明できない事がわかった。

 

追伸:2021/6/9:飯山市が住民アンケートで作り上げた皿川ハザードマップについて

アンケートの実施状況: ・参考資料の11-3 より以下、引用

◎総務部長(栗岩康彦) 
 まちづくり課のアンケートということで、まちづくり課のアンケートについては、市街地における災害リスク分析を行って、計画に反映するということを目的として実施しておるわけですが、アンケートには避難行動に加えて時系列の状況、あるいは今回の災害に対する課題、問題点ということを求めるということであります。

 これにより災害に関連した調査だということで認識しております。

コメント:このアンケート結果の一部ではあるが以下の資料に報告されている。

・飯山市まちづくり基本計画(都市計画マスタープラン・立地適正化計画)令和3年 3月:https://www.city.iiyama.nagano.jp/soshiki/machizukuri/keikaku/oshirase.htm/oshirase.htm

◆6番(松本淳一) 
 アンケートを取られるのはいいんですが、と思います。ただ、内容がですね、水のすごい動き、これは関心事項であるし、調べなければいけないところがあると思いますが、災害時の市民の行動とか心理とか、防災上の問題点とか、特に情報伝達がどうなっていたかというようなところをもっと調査すべきだというふうに私は考えます。

 須坂市では、昨年12月に災害のアンケートを実施してやっています。今、分析中だということですが、もう少しきちんとしたものでやるおつもりはありますか。

◎総務部長(栗岩康彦) 
 アンケートにつきましては、時系列に(引用注;浸水深が)何センチあって、どういうふうに住民の方がどこにいたかとか、そういうことを詳細に聞いたり、課題等の記載欄もあるということで、現在のところはそのほかの調査については予定しておりません。  <--引用ここまで

コメント:まちづくり課によって行われたこのアンケートによって皿川氾濫の実測によるハザードマップが完成している。

上記資料・飯山市まちづくり基本計画(都市計画マスタープラン・立地適正化計画)令和3年 3月: 第四章 立地適正化計画 :https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/keikaku/20210506-041036.pdf :の P113 に浸水範囲の図がある。それがまさに「長野県が作る」と言っていたハザードマップそのものになる。

だが残念な事にこの浸水エリアまとめにはウソがある。それは何か、というと「右岸および左岸の有尾区への浸水」がほとんど無視され、書かれていない、という事である。

ちなみに ・その30-2・皿川堤防改修計画詳細(長野県提示) :によれば今回皿川氾濫で流出した水量は

・皿川から市街地への流出水量61万m^3  :流出面積90ha  ー->平均水深 68センチ という事になる。

 

追伸の2(2021/7/25):国土地理院が作った今回の皿川氾濫に対応したハザードマップ

https://maps.gsi.go.jp/#16/36.854986/138.367084/&base=std&ls=std%7C20191012typhoon19_shinano_1013dansaizu&blend=0&disp=11&lcd=20191012typhoon19_shinano_1013dansaizu&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m

透過率のスライダーを動かすと、下に隠れた地図情報が読める。

ただしこのハザードマップ、有尾区と県町区の浸水情報は書き込まれていないのが残念な所。それから宮沢川氾濫の情報もない。だが飯山市街地の大方の所はそれなりに読みとれる。

但し浸水深さは最大の時ではない、あるいは浸水したがあまり深くないところは表示されていない模様。

追伸の3(2012/9): 上記の国土地理院の浸水深さほぼ実測マップと : ・その29-2・「地点別浸水シミュレーション検索システム」について :で紹介している国交省の「地点別浸水シミュレーション検索システム」の千曲川決壊後5時間時点での計算結果は驚くほどに一致度が高い。(計算結果は20%ほど高めではある。)

そうであればほぼ台風19号での市内への浸水の進展状況はこの「浸水シミュレーション」で再現できている、と考えてよい。

同上追記:ドローンにて動画撮影された市内の浸水状況はこちらから確認できます。

https://www.youtube.com/watch?v=c4lQ4wckcOc

ネットまとめページはこちら: https://matomedane.jp/page/39432 :ないしは:https://archive.fo/wULW9

 

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

 


その28・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-05-15 09:50:58 | 日記

「・その27-1」で指摘した状況に続いて、次はそれに関連している事を話していきます。

それは2つのことであって、
1つ目は「飯山市の水位観測員の事」
2つ目は「前々回の台風、2017年10月23日 台風21号の時の事」である。

1、飯山市の水位観測員について

飯山市の水位観測のデータは、特に夜間においては水位観測所に立てられている水位標をライトで照明しながら双眼鏡などを使って「目視確認する」という方法でしか測定できない。(注1)
つまり「二人一組で行動しないと観測できない」のである。
そうしてもちろん「飯山市独自の水位観測」であればその行為を行う者は「飯山市の職員である」と思うのが普通である。

さてそうなると台風19号襲来時に千曲川堤防のその場所付近では二組の「違う組織のもの達が活動していた」という事になる。
一組は「国から委託された委託樋門操作員が二名」、もう一組は「飯山市の水位観測を担当する市の職員が二名」という事になる。
そうであればこの二組の活動するもの達は「お互いの姿を目撃しあった」と考えるのが普通である。

さてそれで、ここにとても不可解な事が一つある。
飯山市の水位観測データには12日の夜8時のデータが無いのである。
その前後のデータ、7時と9時はあるのに8時が無いのである。(注2)
さあこれはどういう理由で「水位観測が出来なかった」のであろうか?

飯山市の職員が「観測をさぼった」のであろうか?
台風が襲来している時に「観測をさぼる飯山市の職員??」。
さすがにそれは考えにくいものです。

さてそれでは何故夜8時の観測データがないのでしょうか?
・・・ということがずうっと疑問でした。
それで「気が付いてしまった」のです。

台風が来た時には堤防には2組4人いた、のではなく1組2人しかいなかったのだ、と。
そしてもちろんこの1組2人は「委託樋門操作員の事」です。

その存在は「飯山樋管で待機中の姿」が堤防道路の通行車両の運転手によって確認されています。<--リンク
さらには、『「ポンプ場の内水ゲートを下した」という連絡を市役所にいれた』という証言が市議会議員さんの話としてブログに記録されています。(注3)

つまりこの「河川事務所から委託を受けた樋門操作員2人」が同時に「飯山市からの依頼で水位観測も行っていた」のです。
さて、「国から業務委託を受けた樋門操作員」に、その職務遂行中に「飯山市の仕事をさせていいのでしょうか?」。
この件は市長と市役所から正式な説明をしていただく必要があります。

さてそれでは何故この「委託樋門操作員」が夜8時の水位観測ができなかったのか?
それは丁度この時刻に千曲川の水位が栄川樋管の千曲川側出口の標高(310.8m)に到達しからです。
それはつまり「そろそろポンプ場の内水ゲートを下さなくてはいけないタイミングになった」ということであり、「その準備に忙しくて、そこから少し離れた場所にある水位観測所に行って水位を測定することができなかった」という事です。

さあそれで千曲川水位が310.8mに到達した時刻は何時でしょうか?
水位データからそれは7時20分である事がわかります。

『つまり「そのころから内水ゲートを下げる準備に入り、実際に内水ゲートを下したのが8時40分ごろである」と推測できます。

それから委託樋門操作員はポンプ場の係員に「内水ゲートを下した旨を伝えて」排水ポンプ1号機のスイッチを入れてもらったのです。』<--『 』内部分、2021/8/25に訂正・追記


そうでありますからプレス発表には
「20:50 城山雨水排水ポンプ場 1 号機運転開始 」と記録されているのです。(注4)

その様にして7時20分から8時50分まで「忙しく活動していた」ので「8時の水位観測が出来なかった」のであります。

 

2、2年前の2017年10月23日 台風21号の時の栄川樋管の状況

まずは飯山市報の水位データを参照します。
飯山市報 2019年11月号
https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/kikakuzaisei/koho/r01.11/2-11.pdf
この2ページ目下段に水位グラフあり。

これから分かります様に、2017年の台風21号では水位のピークは8mであった事が分かり、その値は今回台風19号の時には13日の午前1時の時の水位と同じでした。
その時に「栄川樋管のゲートが開きっぱなしであった」としたら何が起こったのかを見てみます。

それで、8mの水位の値を標高に換算すると315.1mとなり、ポンプ場前の道の標高314.7mよりは40センチほど高い事になります。
したがってポンプ場の排水ポンプが動いていなければ「栄川氾濫」となったでしょうが、ポンプ場の1号機、2号機のポンプが稼働していれば「何の問題もなく」状況はすぎていったことでしょう。

その事は今回台風19号の13日の午前1時の時のポンプ場の状況が証明しています。
台風19号の時も1時の時点では「1号機、2号機のポンプを稼働させただけ」で「何の異常もなく」状況は過ぎていきました。
それと同じことが2017年の台風21号での8mという水位がピークの時にも起きていました。

 

3、まとめとして

現行のやりかた、システムはこのようにして「フェールセーフ」になっておらず、「樋門操作員の勘違い」や「ミス」がそのまま「大惨事につながる」という状況になっています。

『特に「日光川樋管で起きていた事例」では「樋門操作員の操作ミス」を発見することは難しく、「樋門操作員自身を含めて」誰も気が付かない、という状況でした。』<--『 』内部分、2021/8/25に訂正・追記

このことは現行システムの持つ「ヒューマンエラーに対してはとても弱い」という「致命的な欠点の現れ」であり、「河川事務所および飯山市によって早急に改善される必要がある事柄」であります。(注5)

 

注1飯山市水位観測所・遠景<--リンク

注2飯山市の水位観測データ<--リンク

注3情報発信<--リンク

Yおちゃん「市役所には城山下の水門は閉めました。揚水ポンプは正常に作動してますって建設省から報告があったから見に行ってきたけど水は流れてたよ」
・・・
Yおちゃん「ポンプ場見てから中央橋の上から川見たけど、河川敷から川へ水が流れてたよ」
・・・
Yおちゃん「本流はそんなに上昇してなかった」(市議会議員のYおちゃんは「建設省」と言いますが、今の名称は「国土交通省」=河川事務所となります。)

追記:ここで述べられている「城山下の水門」というのは「栄川樋管」ではありませんでした。
それはポンプ場に設けられている「内水ゲートの事」でした。
以上、訂正いたします。(2020/6/29)

注4:排水ポンプのスイッチを入れるのは関連する樋門・樋管のゲートを下してからである、というのは排水作業の基本です。

注5:以上の事はすでに・追補の2・皿川樋門操作の客観的な記録が無い事について。で指摘していた事でもある。

訂正の追記(2020/6/29)
その後、飯山市に対して行われた情報公開請求に対する回答内容から栄川樋管とポンプ場との運用方法が明らかになりました。
回答された内容によれば、「ポンプ場のポンプを動かす時には内水ゲートを閉めて、栄川樋管のゲートは開ける」という手順になっています。
そうであれば、上記1で述べた「飯山市の水位観測員について」の記述にでてくる「栄川樋管のゲート」というのは「ポンプ場設備の内水ゲート」と読み替えてよんでいただく事になります。

そうして、その様に操作をした委託樋門操作員の行動にはミスはなかった様です。
同様に2017年10月23日 台風21号の時にもそのように「ミスのない作業をやれていた」と推測されます。
(但し、国の委託業務中に市の業務<--内水ゲートをおろす、と言うような事をやってもいいのか、という問題は残ります。)

さて、そうではありますが「委託樋門操作員が水位観測員を兼ねていた」という部分の結論に変わりはありません。

ゲートが開いていた栄川樋管を通じての千曲川からの逆流の発生につきましては、ポンプ場のポンプが稼働している状況ではほぼ考慮しなくてもよさそうです。
この事については、上記記述内容の訂正となります。

ただし今回の飯山水害で、ポンプ場のポンプが浸水により停止した後に、千曲川からのゲートが開いていた栄川樋管を通じての逆流があったのか、なかったのかについては現時点では明確になっておりません。
(それはつまり、千曲川からの逆流の可能性があったという事になります。)

 

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

 


その27-1・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2020-05-13 09:40:15 | 日記

追記2021/9:以下の本文記事内容は2020/5月時点での状況と認識となります。

そうして、このお話の全体像につきましては

飯山市が否定したかった「うわさ」についての経緯 

を参照願います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
↓ 本文 ↓
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さてこのシリーズ、「その26で終わるか」と思っていたのですが、そうはいかない事になりました。
といいますのもどーやら「栄川樋管が開きっぱなしだった」という事が明確になってきたからであります。
しかも実は前々回の台風、「2017年 10月23日 台風21号」の時にもそうであったと思われるのです。
しかし幸運な事にこの時は「栄川は氾濫しなかった」。
なぜならば千曲川の最高水位が8mであったからです。

しかしこの事実は「委託樋門操作員だけが知っている事」でした。
そうしてその失敗を「誰にも指摘されなかった為」「しっかりと反省せず」「今回またしても同じ失敗を繰り返した」というのが実状の様です。

そうであればまた今年の大雨の時にこの「おバカな委託樋門操作員」が本当にうまく「栄川樋管のゲートを下すことができるのかどうか」という事は「全く保障されておらず」、これが飯山市の今の水害対策の致命的な弱点となっています。

さて、そういう事が明らかになってきましたので、このシリーズもまだ終わるという訳にはいかなくなった次第であります。

第1章:栄川樋管と栄川の位置及び仲町通りとの交差位置

・その26・城山雨水排水ポンプ場のポンプ稼働状況と浸水深さについて検証した。<--ここに城山雨水排水ポンプ場の位置が示されている。このポンプ場の千曲川堤防をはさんだ反対側の位置に「栄川樋管」がある。

このポンプ場の建物を堤防から見るとこうなる。

まわれ右をして後ろを見ると「栄川樋管」がそこにある。

さて飯山市には2系統の「雨水排水下水道」がある。一つを中央排水区といい、もう一つを飯山排水区という。そうして栄川は中央排水区の中の一つの排水路である。

雨水排水下水路の系統図はこうなっている。この系統図の赤字で書かれた右から三つ目に「栄川下水路」の表示がみえる。この下水路と仲町通りの交差する所で13日の午前3時に越水が確認されている。(注1)

上記で示した「地図」の右端に栄川樋管の一部、そうしてそれとつながっている「城山雨水排水ポンプ場」、それからその場所から左側に伸びている「栄川」が確認できる。その栄川が広い道と交差しているが、その道が「仲町通り」である。

示した地図で上(北側)から下(南側)を見た時の仲町通りの風景。一応栄川の橋が見える。

橋の位置から左側(下流側)を見た時の風景。

同様に橋の位置から右側(上流側)を見た時の風景。

その橋の位置の標高は地図より315.1mであり、ポンプ場前の堤防下道路の標高は314.7mと橋の位置より40センチ低い事が分かる。
つまりその場所で13日の午前3時に越水が発生していた、という事はポンプ場前の道ではすでに40センチの浸水が、栄川からの氾濫水があった、という事になる。
そうしてもちろんこの氾濫水は「市街地に降った雨水が原因の氾濫水」ではなく「栄川樋管から逆流してきた千曲川の泥水」である。

第2章:千曲川の水位と栄川樋管の関係、そして「いつごろ氾濫し始めたか?」

上記で述べたように「ポンプ場前の道の標高は315.1m」でありこの高さが「栄川がその場所で越水するかどうかの高さ」を決めている。

従って「栄川樋管が開いていた場合は千曲川の水位がこの高さを超えると栄川はそこで氾濫する」ということになる。

ただし、千曲川水位がここまで高くなる前には「ポンプ場の排水ポンプは稼働する事になる」ので、実際には千曲川水位が315.1mに達した時点では氾濫する事はないものと思われる。

それで次は、千曲川の水位はいつ315.1mに達したのか、ということであるが、飯山市の水位観測データから13日の午前1時である事が分かる。

そうして実際に仲町通りで「水があふれた」と報告されたのは午前3時、この時の千曲川の水位は316.7mであり、ポンプ場前の道路の標高よりも1.6mも高かったのである。

これだけ千曲川の水位が高いと栄川樋管を通じてポンプ場に流れ込む千曲川の逆流水の量は「ポンプ場で稼働していた3台の排水ポンプの能力を上回ってしまい」、それでポンプ場前で40センチの浸水が発生し、仲町通りでは「栄川から水があふれ出す」という事になったのである。

さて飯山市のプレス発表には「1:50 城山雨水排水ポンプ場 3基にて稼働開始。」と書かれているので、13日の2時頃はぎりぎりで氾濫は発生していなかった事がわかる。(注2)

そうなると2時から3時の間のどこかで氾濫し始め、3時の時点でポンプ場前で40センチの氾濫という事になる。

ちなみに午前2時での千曲川水位は316.0mであり、ポンプ場前の道路の標高よりは90センチ高かった、という事がわかる。

そうして又この辺りが「ポンプ場をフル稼働させた場合には、栄川樋管を開けっ放しにしていても大丈夫である水位」という事になる。

ちなみにこの水位は飯山観測所の数値では8.86mである。

第三章:ポンプ場が浸水しポンプが停止した。

つづいて飯山市のプレス発表から引用すれば
「5:40 城山雨水排水ポンプ場のポンプ室内に浸水が始まるが、土嚢等で防止。
   城山雨水排水ポンプ場3台フル稼働等しており、市街地の内水対策は、機能していた。」となります。

5時40分時点での千曲川の水位は標高で318.0m。
ポンプ場前の標高より2.9mも高い事になりますから、千曲川からの逆流は大変なものであったでしょう。

したがってポンプ場位置での浸水深さも40センチを超えていたものと思われます。
そうであれば当然「仲町通りの橋の位置」でも相当に浸水がすすんでおり、市長の主張「市街地の内水対策は、機能していた。」は成立していなかった事がわかります。

そして次の記述は7時であって
「7:00 千曲川 飯山観測所で過去最高水位11.10mを記録。(S58年 10.09m)
7:00 城山雨水排水ポンプ場が、浸水によりポンプ3台が機能停止に陥った。」とありポンプ室浸水深は80センチとのことです。

このときの水位標高は318.2mであり、ポンプ場前の標高とは標高差が3.1mに達していました。
そうであれば「栄川樋管からの逆流水の量も最大となり」ポンプ3台を故障に追い込んだのも「むべなるかな」という事になります。

 

注1:この下水路と仲町通りの交差する所で13日の午前3時に越水が確認されている。これについては「横丁大家さんブログ」を参照されたい。↓

・13日〜3時台から市街地は「内水氾濫により被害が発生していました」

注2:1時50分のポンプ場の状況についての考察は以下を参照願います。

・その26・城山雨水排水ポンプ場のポンプ稼働状況と浸水深さについて検証した。
3号機を動かす必要がないにも関わらず動かしている。-->栄川樋管からの逆流が疑われる。

訂正の追記(2020/6/29)

その後、飯山市に対して行われた情報公開請求に対する回答内容から栄川樋管とポンプ場との運用方法が明らかになりました。
回答された内容によれば、「ポンプ場のポンプを動かす時には内水ゲートを閉めて、栄川樋管のゲートは開ける」という手順になっています。

我々は飯山市から公開された情報を得るその前に、今回も2年前も栄川樋管のゲートが開きっぱなしであった、という証拠を得ていました。
そうして、その事については何も変わりはありません。

但し、通常はそのようにして樋管のゲートが解放状態であれば千曲川の水はポンプ場側に逆流してしまうのですが、堤防の下を通っている排水トンネルの入り口と出口にそれぞれゲートがある、Wゲート構造になっていた為に、単純に「栄川樋管のゲートが開いていたら千曲川の水が逆流する」という事にはならない様です。
しかしながら、その事を含めてポンプ場周りの水の流れとゲートの開閉についての説明、ポンプ場の機能などについての飯山市からの公式な説明は今までに行われていません。

したがって「栄川樋管が開いていれば千曲川の水が逆流する」と我々が推定する事は「無理からぬ事」であります。
そうではありますが、飯山市から開示された情報を考慮した場合には、ポンプ場周りでなにが起こっていたのか、再度検討する必要が出てきました。

そういう訳で
その27-2・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討
という「新しいページ」を起こして、この続きを検討する事に致します。

ちなみに、我々が「前もって栄川樋管が開いていたと確認できた証拠」が飯山市が後から公開した情報によって「その証拠の有効性が証明できた」という形になっています。

そうしてまたその様に確認できていた証拠が皿川樋門でも確認できていた、とするならば、さて、皿川樋門のゲートは実際はどうなっていた事になるのでしょうか?

 

飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧