4、県町を中心とした5ヘクタールの三角形エリア
この5ヘクタールの三角形エリアが今回、問題にしている「多量の泥水の氾濫があった県町があるエリア」となります。
地図表示の右側、水色の部分が千曲川で県道38号が綱切り橋につながっています。
そして千曲川の左にあるコトブキ色出示された堤防道路が国道117号です。
旧国道の117号は「県町」と「丸山自動車」とある文字に挟まれてその中を右上から左下に走っている道です。
そうして、もう一本の道は飯山を北から南につなぐメインストリートであり、「ミスターパチンコ」と「中部電力」のあいだを走っています。
それでこの4本の道に囲まれた、ほぼ三角形のエリア、面積は5ヘクタールほどになりますが、この場所で県町住宅を中心とした場所に浸水被害がでたのでした。
そうしてこの場所の標高はいずれも上記で示された道路の標高よりも低い、ですからこの場所はいわゆる「盆地構造」となっています。
そうであれば、「その34-1」で示した様に「皿川からの氾濫水」はこれらの道を横切ることでしか、この場所には到達できないのです。
そうして、このエリアを取り囲んでいる道の最少の標高は316.3mであり、皿川からの氾濫水の最高水位である315.7mをもってしては、県町エリアには到達できない事は「その34-1」で示した通りです。
5、このエリアに降った雨水はどう処理されるのか?
そうなりますと、この5ヘクタールほどの場所に降った雨水はそのままではこの場所に溜まってしまい、どこにも流れる事ができない、という事になります。
それで、その様にならない為にこの場所には雨水排水用に「静間樋管」が設けられているのです。
この場所に降った雨水は最終的に静間樋管にあつめられて、そこから千曲川に排出される仕組みとなっています。
6、静間樋管と千曲川からの泥水の逆流
堤防道路から千曲川の方にある静間樋管のゲートを操作する部分を見るとこんな感じです。
正面奥の山が高社山(たかやしろ)、右側に見えるのが北陸新幹線の線路を支えている橋脚でこの橋は「菜の花大橋」というのだそうです。
後ろを振り返ると市街地側にある静間樋管の入り口部分を確認することが出来ます。
手前が堤防でそこに策に囲まれた水路がつながっているのが確認できます。
よく見ると静間樋管の入り口部分に水位標が立っている事が分かります。
そうして、この場所の手前には民家、奥に県町住宅が見え、そのあたりに県営住宅の駐車場があります。
右側に見える橋脚は新幹線の線路をささえるものであり、この開けた広場の様な場所にも泥が堆積していました。
それでこの場所を目撃された方の話によれば「静間樋管の方から泥水が流れてきていた」との事です。
そうであればまずはこの場所に千曲川の泥水はあふれ出し、ここからその裏手にある県町住宅の駐車場に流れ出した事になります。
その場所から少し右側を見た写真です。
新幹線の融雪設備の為の受電用の鉄塔が写っています。
それで静間樋管を逆流して流れ込んだ千曲川の泥水はこちらの方にはこの辺りまで流れてきました。
同じ場所を今度は旧国道117号線側から見たものです。
新幹線の橋脚に隠れて見えませんが、その奥に「静間樋管の入り口」があります。
そうして奥に通じる道の左側には排水路がみえ、これは静間樋管につながっています。
ちなみにここで左側をみると・東側アンダーパス1 こういう様になります。
7、航空写真
「その34-1」では・航空写真1で全体像をみました。
この写真では「静間樋管」は写ってはいるのですがあまりはっきりしませんでした。それでクローズアップした写真を以下に示します。
近づいていくにつれて、千曲川側にある静間樋管の構造がはっきりしてきます。
但し市街地側にある静間樋管の入り口部分は新幹線の線路に隠れる形となり見る事はできません。
しかし、その静間樋管につながっている「柵で囲まれた排水路部分」は確認する事が出来ます。
8、ここまでの結論ー>県町エリアの浸水被害は皿川からの氾濫水による内水氾濫が原因ではなく千曲川の泥水が静間樋管を通じて逆流した事により起こった「外水による氾濫」である。
しかしながら飯山市が情報公開請求に対して提出してきた資料によれば、「静間樋管は12日の23時に消防団・第一分団の担当者により閉められた」とされています。
台風19号による千曲川増水時~飯山市街地北に位置する有尾樋管が開いたままで~千曲川が逆流してた~
その資料は上記記事の上から3枚目の写真にある「ゲート開閉状況」というものを参照いただければよいのですが、この資料通りであればこの場所では千曲川からの静間樋管を通じての逆流はなかったでしょう。
しかし事実は、この場所では千曲川からの静間樋管を通じた逆流がありました。
そうであればこの「ゲート開閉状況」という情報公開請求によって提示された資料は間違っている、という事になります。
その様な誤った情報が飯山市によって故意に流された、とは思いたくはありませんが、その様な疑いを確固として否定できる様な状況でもありません。
そうであれば以上の内容について飯山市長を始めとして関係者の方々におかれましては、この件についての再確認、再検証を行い、正しい情報を再度「訂正情報として市民に公開する」様にする必要があります。
注1:さて読者の中には「雨水排水路を逆流した皿川からの氾濫水が静間樋管の入り口部分から噴き出したのでは」と指摘される方がおられるやもしれません。
しかしながら、当方が読みとった静間樋管の入り口部分の地上面標高は316.3mというものであり、最高水位315.7mの氾濫水はここから上に噴き出すことはできない、という事になります。