シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その44-12・台風19号の後で、皿川と市街地に残されたもの

2023-10-29 02:06:49 | 日記

12、千曲川からの逆流が皿川と市街地氾濫後に市内に残したもの

それは千曲川由来の大量の泥

12-1、JR線路の西側へ逆流した千曲川の泥水がその後に残したもの

・お宮下道路 冠水 : 有尾橋側(上流側)からの撮影

・お宮下道路 冠水 : https://archive.fo/UWXKH :下流側からの撮影

・お宮下道路 冠水 : https://archive.md/CG2wJ :対岸からの撮影

従ってこの泥水が引いた後、13日の午後に楽農家さん達が方付けなくてはならなかった状況はこうなります。
憎たらしい千曲川の泥水の跡

楽農家さんブログより引用
『13日午後
お宮下の市道を勝手に掃除
宮司さんの旦那さんが「やってくれ」って頼みに来たから
GARAGEの片付けを中断して出動
明日も9時から泥片付けするから
GARAGEの片付けは後回し』

13日だけでは終わりませんから14日も出動です。
翌日の作業(14日)
楽農家さんブログより引用
『昨日に続いて今朝から区民の有志20名で始まった道路の泥片付け
農家が多いからエンジンポンプが4台使って洗い流し作業も』

この画像は災害発生の翌日(10/14)に地域住民総出でのお宮下道路の千曲川泥水がそこに残したはな泥を掃除する所を写したもの。奥の方では高圧洗浄機を使って最後の仕上げ洗浄をしている。(注1)

手前に写っているのは楽農家さんのタイヤローダーで、これでまずは道の上に厚く積もった泥を排除した模様。

上記写真でよく見るとお宮下道路の横を流れる皿川の右岸と左岸には泥の堆積物が付着し積もっているのが確認できます。(: https://archive.md/yNoXE :これは皿川に降りる道にあった泥の堆積物が無くなった時の画像です。泥の堆積物の破断面が消えています。)

 

以下の写真は同じ場所の日数がたってからの上流から皿川右岸の泥の堆積物を撮ったものですが、川底には「千曲川の泥の相当に分厚い堆積物」がまだ確認できます。

・皿川川底に残された千曲川逆流泥水が運んできた泥の堆積物:まるでバームクーヘン : https://archive.fo/obQgO :ちなみにこの千曲川からの泥水の逆流の証拠物である巨大なバームクーヘンは現在では撤去されている。: https://archive.md/nqQay :

そうしてこの場所まで千曲川の泥水が上がってきていた、ということはこれより下流にある決壊場所には当然千曲川の泥水は上がってきており、その場所から市街地に流れ出していた、という事は明らかな事であります。

そうしてこの千曲川の泥水は飯山市内を泥で埋め尽くし、その泥は後日、多くの方の尽力により集められて川向こうの土の仮捨て場に捨てられました
そうしてその量はといいますれば「25mプール二杯分」というのがある方の感想となります。-->12-6に続く

 

12-2、・決壊後の皿川の状況 

皿川橋より上流を写したものだが画像左下の左岸に上記と同じ泥のバームクーヘンが貼りついているのが見られる。その場所より上流側ににも同様にして貼りついていたのだが、今はそれは落下してなくなっている。 : https://archive.fo/L7Q3D :しかしながら「貼りついていた痕跡は確認できる」のでした。

 

12-3、同様にして千曲川の泥水が皿川樋門に残したもの

・皿川氾濫のすぐ後の皿川樋門の状況 : https://archive.fo/UEdkn 

・その泥を取り除く途中の状況 : https://archive.fo/W89Rx :作業は10/21日以降に行われた模様。

・その泥を取り除いてきれいにした後の状況 : https://archive.fo/ti4ou :ここまで2019年、雪が降る前まで

・2020/4月19日15時21分12秒の皿川 : https://archive.fo/Ht7Kp :前の年にきれいにして川底のコンクリートが見えていたその上を、皿川上流からの泥水が流れている様にみえる。そうして皿川起因の泥の堆積はこの程度と思われる。

2020/7月豪雨で皿川上流から砂利が流されてきて樋門入口にたまった後の画像 :つまり皿川は大雨が降ると泥と砂利を下流に流しだすが、泥水はこの場所にはそれほどたまらずに千曲川にながれだす。それが上の写真の状況。一方で砂利は重量があるために流れの速度が遅くなるこの場所に堆積した、と言う具合だ。そしてこれが2021年の6月に掃除・方付けられて今はコンクリートの下地が見える状態になっている。(2021/6/21現在)

なお現状を確認したい方は : https://livecam.asia/nagano/iiyama/saragawa-saragawabashi.html :でどうぞ。

 

12-4.JR鉄橋をこえて千曲川の泥水が逆流していた、という事は当然ながらその場所より手前にある右岸堤防決壊場所からは大量の千曲川の泥水が市内に向けて流れ出していた、という事である。

その状況についてはすでに前ページまでに紹介してきた以下の画像をみれば確認出来る事である。

・皿川決壊現場(10/13 午前 6 時) : https://archive.md/KCeME :泥水は皿川樋門がある千曲川方向(画面奥方向:ポンプ車が見える)から決壊場所に流れ込んでいる。

・皿川決壊現場(10/13 午前 6 時) : https://archive.fo/gIso6 :流れ出す泥水が決壊場所でJR線路側に流れ出し、線路下の土台を削り込んでいる写真。泥水はその反動で反時計回りに渦を巻きながら線路の反対側にあたる堤防の土を丸く削り取っている。

・その場所で少し左側を見る : https://archive.fo/mWE0a :左側から線路方向に向かって泥水が勢いよく流れ込んでいるのがよく分かる。これもまた千曲川からの逆流を証拠立てている写真となる。

・皿川決壊現場(10/13 午前 6 時) : https://archive.fo/uIwKu :同上シーンのより決壊場所に近づいた写真

・同上シーンの左上部の写真 写真の奥方向は皿川の下流になるのだがまるでそちらが上流の様に見える。つまり「泥水はそちら側(下流側)から決壊場所に流れ込んでいる様に見える。それはつまり「皿川の下流側の水面の水位が決壊場所の水位より高い」という事である。それでこれもまた千曲川からの逆流を証拠立てている写真となるのである。: https://archive.fo/D1brr

 

12-5、市街地に流れ出した泥水が後に残した泥

堤防が決壊し、流れ出した泥水が直撃したのは北町。そこに残された大量の泥。

: https://archive.md/LS9pO :

泥水の水深は1m。残された泥の厚さは20センチ。被害総額1000万超え。

このエリアには午前2時~3時には水が入り始めていた。

これは堤防決壊前にすでに相当の泥水が皿川右岸堤防のこのあと決壊してしまう場所から外に流れ出していた事を示している。

そうして堤防決壊後は濁流がこの場所を襲った。

ここより南側の福寿町では「5時までは水は来なかった」。

2時15分に「皿川が氾濫した」と市役所に連絡が入った時点で防災無線などで連絡があれば対応が出来たのに残念である、とは市民の意見である。

 

12-6、市内に流れ出した大量の泥水に含まれていた泥は大勢の人の手によってダンプカーに載せられ、「土捨て場」に集められた。: https://archive.md/wyHuj :

場所はここ。: https://archive.md/Pps9j :地図上で十字クロスの所。

グーグルマップではそのあたりの表示はこうなる: https://archive.md/fc2Po :

さてこの千曲川からの逆流泥水の証拠物件の泥の山、今ではきれいにかたずけられましたとさ。: https://archive.md/N81VH :と: https://archive.md/o3CIR :

 

注1:千曲川由来の泥と皿川由来の泥は「今回の飯山水害の泥かた付けを経験された方」にはよくお分かりの事とは存じますが、その粘着力には大きな差があるのです。その事について検討した内容詳細については以下の記事を参照してください。

・その15・「皿川樋門が開いていた」という事の新たな証拠の提示
皿川起因の泥水と千曲川起因の泥水はそのあとに残す泥のありさまがまるで違う。
そうして飯山市街地には明らかに千曲川起因の泥水が流れ出しており、流出した泥の量は25mプール2杯分を上回る。

 

追伸(2021/9/3):皿川樋門側から堤防決壊場所に水の流れがあった証拠の画像

ゴミが樋門側から堤防沿いに流れてくる元画像 : https://archive.fo/6PpWP

 ↑・画像は皿川ダム湖の右岸堤防であるが、その堤防沿いにダム湖の水面をゴミが流れてきているのが分かる。このごみは千曲川由来のゴミ(木くず)であって、千曲川から皿川樋門を通じてこちら側に流れ込んできた。

そして、そのごみは通常は皿川樋門の入り口辺りで浮かんでいるものなのであるが(その状況は2021/8月大雨の時の皿川樋門のライブカメラで状況確認した : 千曲川から皿川樋門を通じて皿川側に逆流してきた、千曲川由来のゴミ、見えているホース3本は排水ポンプ車による排水の事前準備 : https://archive.fo/G117t : https://archive.fo/QUnt2 )、

皿川堤防決壊により、皿川樋門側からこの決壊場所に向かって千曲川からゲートが開きっぱなしの皿川樋門を通じて逆流する強い水の流れが生じた。その水の流れにのって、樋門入口あたりに在ったゴミがここまで流されてきているのである。 : https://archive.fo/Qr36Z :<--このページの右側画像参照

 

追伸の2:川底に出来る泥の堆積物について

千曲川からの逆流が存在している状況では川底の水の流れの速度は上流側に向かって緩やかなものになっている。そのために泥水の中の泥の粒子は川底に向かって沈降し堆積するのである。

そうしてその状況では川底一面に泥の堆積物が出来るのであるが、皿川の水が千曲川に自然流下し始めると、川の水が下流に向かって流れている部分の泥の堆積物は水の流れで削り取られて下流に流されていく事になる。

しかしながら水の流れが小さくなった時に水が流れている所から外れた場所にあった泥の堆積物はそれ以上水の流れで削られる事はなくなる。

従って川の中央部の泥の堆積物は水の流れが正常に戻った時にはなくなっており、しかしながら川の両岸の水の流れが少ない場所、あるいは水が流れなくなった場所に在った泥の堆積物はそのままそこに取り残されるのである。

そうしてまた千曲川の泥の特徴はその粘着力にある。そうであれば川の両岸がコンクリートである場合は泥の堆積物は両岸のコンクリートに張り付く形でのこる。

しかしながらコンクリートでなく草がそこに在った場合は泥は草に張り付く事ができず、下流に流れ去ることになる。

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 


その44-11・台風19号の時、皿川で起きていた本当の事

2023-10-26 00:06:35 | 日記

千曲川と皿川ダム湖及び市内水位の経時変化一覧

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・13日1時~2時45分: 1時過ぎ バックウオーター発生

      飯山観測所  河川事務所報告    バックウオーター込の

      水位(m)  皿川内水位(m)   実際の皿川内水位(m)

1時    8.00     ---       (6.10)

1時45分 8.65     6.43       8.00

2時    8.86                8.40

2時15分 9.04                8.70(ピーク水位)

2時45分 9.40                8.70(ピーク水位)

 

内容詳細は→・その44-4・台風19号の時、皿川で起きていた本当の事

洪水発生時、飯山観測所水位で8.00m超え、皿川内水位で6m超えの後は皿川内水位はバックウオーターによって急激に上昇するのです。そのことを知らずに作文された河川事務所の報告はフェイクです。

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・6時~10時35分

13日             単純計算での  バックウオーター(+1.6)  

       飯山観測所(m) 皿川内水位換算  込みの計算上の内水位

6時00分    10.98    9.08   10.68

6時30分    11.07    9.17   10.77

7時00分(ピーク) 11.17    9.27   10.87

8時57分    10.70    8.80   10.40

10時35分   10.23    8.33    9.93 

 

内容詳細は→・その44-6・台風19号の時、皿川で起きていた本当の事

右岸堤防決壊以降は「皿川内水氾濫」などと言う状況ではなく「千曲川本堤防決壊に近い状況であった」。皿川堤防かさ上げは90センチでは1m足りない。

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・15時~15時30分

以上の検討結果より15時~15時30分の皿川ダム湖の水位の状況をまとめておきます。

13日            河川事務所報告の バックウオーター(+0.95)  

       飯山観測所(m)  皿川内水位   込みの内水位

15時00分    8.68    6.55    7.50

15時30分    8.53    6.40    7.35

 

・皿川を逆流しての決壊場所から市街地への千曲川泥水流れだし状況の確認

河川事務所の主張する内水位の場合

13日    河川事務所報告の   

        皿川内水位   左記内水位の場合の公園側への流れだし

15時00分   6.55   流れださない<ー-事実と一致しない

15時30分   6.40   流れださない<ー-事実と一致しない

河川事務所報告の皿川内水位では、決壊場所外側の公園には泥水は流れ出せない。

だが実際は15時時点では画像確認より泥水は外側に流れ出していた。

 

・実際に起きていた状況(公園側への流れだし+千曲川への自然流下状況)

13日  バックウオーター(+0.95)  

       込みの内水位  公園側への流れだし 千曲川への自然流下状況

15時00分   7.50   流れだす     自然流下していない

15時30分   7.35   流れだす     自然流下していない

バックウオーター込の内水位だと公園側への流れだしがある事になり、実際の状況と一致する。

そうして「バックウオーター圧力がある状況下では、皿川ダム湖の水は千曲川方向には自然流下しない」のです。

これは「15時30分には皿川は千曲川に自然流下した」とする河川事務所の報告を否定する事実となります。

 

内容詳細は→・その44-7・台風19号の時、皿川で起きていた本当の事

河川事務所が報告した「15時30分には皿川の水は千曲川に自然流下した」という内容は事実と合っていない。その時点ではまだバックウオーターがあり、市外への泥水の流出は続いていた。

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・17時~18時 :17時過ぎ バックウオーター(逆流)消失

     飯山観測所水位(m)     上町水位

17時  8.16(=315.26)  315.8 上町ピーク水位

18時  7.85(=314.95)  この時点で上町水位が減少し始める

「18時には上町水位が減少し始めた」という事実は「皿川からの市街地への流れ出しが止まった」という事を示しています。

そうしてその事は又「皿川ダム湖の水が千曲川に自然流下し始めた」と言う事も示しています。

 

内容詳細は→・その44-9・台風19号の時、皿川で起きていた本当の事

17時に市内水位が千曲川水位より高くなっていた現象は皿川のバックウオーターを証明している。加えて15時30分以降も市内水位が上昇し、17時にピークに到達し、18時に市内水位が低下し始めた事実は河川事務所の報告が作文である事を示している。

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・13日17時~21時30分 14日1時45分~3時46分

       飯山観測所水位(m)    上町水位

17時    8.16(=315.26) 315.8 上町ピーク水位

18時    7.85(=314.95) この時点で上町水位が減少し始める

                    委託樋門操作員 栄川樋管 ゲート閉

21時30分 6.93(=314.03)  委託操作員 栄川樋管 ゲート開

14日 

1時45分  5.97(=313.07) 雨水排水ポンプ場 内水ゲート開 

                     市内の泥水が千曲川に自然流下開始

3時46分  5.57 (=312.67) 上町エリア314.8m地点では

                     ほぼ排水完了

 

内容詳細は→・その44-10・台風19号の時、栄川樋管で起きていた本当の事

閉める必要のない栄川樋管のゲートが何故か閉められたという「栄川樋管の奇妙なゲート操作」について。それから市内に氾濫した千曲川の泥水が千曲川に自然流下し始めたのは何時からか、という話。

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 


その44-10・台風19号の時、栄川樋管で起きていた本当の事

2023-10-23 00:34:01 | 日記

10-1、「栄川樋管の奇妙なゲート操作」について

飯山市が公開した樋門・樋管のゲート閉・開の時系列情報: https://archive.md/PeSqm :

栄川樋管の「本来は閉める必要がないゲート」が13日の18時05分に閉められています。

さてこれは何を意味していたのか?

何の目的でゲートを閉めたのか?

その意図が不明でした。

しかしながら前述した事実がこの奇妙な栄川樋管ゲート操作を説明しています。

・千曲川の水位よりも市街地の水位が高くなっていた時間帯がありました~台風19号浸水時 : https://archive.fo/C0izP :

河川事務所によれば「15時30分には皿川の水は千曲川に自然流下した」のでした。

そうであればその時点で市内への皿川堤防決壊場所からの泥水の流出は止まっていたはず。(注1

従って「15時半をもって市内の水位は低下しなくてはならない」のです。

なんとなれば「堤防では6台のポンプ車を始め、複数台の小型ポンプ車が排水作業をしていたから」です。

そうであれば「市内の水位は低下するのが当然」であって「増加するはずはない」のです。

しかしながら実際は17時まで市内水位は増加していました。

そうしてこれはポンプ場のある場所、栄川樋管のある場所でもその様でありました。

 

何故ポンプ車6台で市内の水を排水しているのに、市内の水位が増加するんだ?

まあこれは堤防で排水作業をしている方々、飯山市のポンプ場関係者、委託樋門操作員が感じた疑問でありましょう。

さてそうなりますと「もしかするとポンプ場のポンプが故障して、それから栄川樋管のゲートが上がっている為にそこから市内への千曲川からの逆流があるのでは?」と疑う事になります。

従って「そうだとしたらまずい栄川樋管のゲートを閉めよう」となったのです。

これが「18時05分 栄川樋管 ゲート閉」の正体です。

さてこのゲートが再び持ち上げられたのは「21時32分 栄川樋管 ゲート開」です。

さすがにこの時点では千曲川の水位は相当に低下していました。

従って「栄川樋管のゲートは開けてもいいだろう」となったのです。

さてこの時の千曲川の水位は上記で出した回帰式から

21時30分 千曲川水位 6.93m 程である事が分かります。

18時00分 千曲川水位 7.85m でしたのでほぼ1m程低下した事になります。

そうしてまた18時以降は順調に市内水位も低下してきました。

・水が引き始めました。ただ店の中で40センチ以上ありますが、薪用の丸太が流されて、道路の方に...2019-10-13 18:11:26 : https://archive.fo/O9YHB :アーカイブの表示時刻は変更されている事に注意:(注2

さてそうであれば「一応栄川樋管のゲートを閉めてはみたが、もうさすがに大丈夫だろう」ということで「21時32分 栄川樋管 ゲート開」となったのです。

 

10-2、市内の水が千曲川に自然流下し始めたのは何時から?

しかしながら栄川樋管のゲートをあけただけでは市内に溜まった水は千曲川に自然流下しません。

自然流下させるためには「雨水排水ポンプ場の内水ゲートを開ける事が必要」なのです。

内水ゲートが持ち上げられてようやく市内に氾濫した泥水は千曲川に自然流下できるのです。

そうしてその時刻は「14日 1時45分 内水ゲート開」と記録されています。

さてその時点での千曲川水位は

14日 1時45分 千曲川水位 5.97m と計算できます。

千曲川水位 5.97m≒6m は水位標高で313.1mであり

ポンプ場標高314.7mと比較しても1.6m低い、つまり「ポンプ場の地面の上にあふれていた水はすべて内水ゲートを開ける事で千曲川に自然流下できた」のです。(注3

それは言い換えますと「14日 1時45分をもって市内の泥水は千曲川に自然流下し始めた」となります。

従って

・奥信濃飯山〜水害の翌日の朝水は低いところを除いてほとんどなくなりました。水のあるうち...2019-10-14 03:46:29 : https://archive.fo/D7yT6 :アーカイブの表示時刻は変更されている事に注意

1時45分から3時46分で市内の水はポンプ場貯水池経由で開かれた内水ゲートを通って栄川樋管から千曲川に、市内に大量の泥を置き土産にして帰って行ったのです。

 

10-3、水位についてのまとめ

       飯山観測所水位(m)    上町水位

17時    8.16(=315.26) 315.8 上町ピーク水位

18時    7.85(=314.95) この時点で上町水位が減少し始める

                    委託樋門操作員 栄川樋管 ゲート閉(注4)

21時30分 6.93(=314.03)  委託操作員 栄川樋管 ゲート開

14日 

1時45分  5.97(=313.07) 雨水排水ポンプ場 内水ゲート開 

                     市内の泥水が千曲川に自然流下開始

3時46分  5.57 (=312.67) 上町エリア314.8m地点では

                     ほぼ排水完了

 

注1:皿川の水が千曲川に自然流下したのであれば皿川の水の皿川堤防決壊場所から市内への流れ出しが止まる事については「その44-7」ですでに検証が終わっています。

さてそれで、この時に注意しなくてはならない事は河川事務所が言う様に『皿川樋門のゲートは閉じた』ので『皿川ダム湖に貯水されている泥水は皿川上流からのものである』という前提に立った場合でも「皿川の水が千曲川に自然流下したのであれば皿川ダム湖の水の堤防決壊場所から市内への流れ出しは止まる」のです。

それはつまり「皿川ダム湖に貯水されていた泥水が千曲川起因のものであろうが、皿川上流起因のものであろうが、そのような事には左右されない」という事です。

そうであれば「15時30分に皿川の水が千曲川に自然流下したのであればそこで市内への皿川からの流れ出しは止まり、17時まで市内の水位は上昇する事はない」のです。

しかしながら実際は17時まで市内の水位は上昇し続けました。

さてこの事実は何を意味しているか?

それはつまり「15時30分には皿川ダム湖の水は千曲川に自然流下していない」という事を示しています。

という事は結局「河川事務所の報告は初めから最後まで作文である」という事になるのです。

注2:元の時刻は: https://ameblo.jp/mto193914/entry-12535335152.html :で確認できます。 

注3:雨水排水ポンプ場の貯水槽(画像右側に写っているブロックで積み上げた四角い構造物)の前面に「浸水位置GL+1m」と書かれたテープが張り付けられていました。

これはこの場所ではグランドレベル(この場所の標高)から水深が1mの時がピークであった事を示しています。: https://archive.md/whxFk :

ちなみに画像左側の赤線がこの場所での浸水のピーク位置を示しています。

さてこの場所の標高は地図から314.7~314.8mと読み取れます。

そうであればこの場所での水位ピーク標高は315.7~315.8mとなります。

 

さてそれで今回浸水した飯山市街地で一番標高が低い場所は25m道路下にあるアンダーパスの南側のエリアになります。: https://archive.fo/FxhKZ :十字クロスで示された場所が言及されている所であり、その場所の標高値が313.9mである事が長い空白の最後に左下に示されています。

そうしてもちろん 

千曲川水位 313.1m<313.9m 市内標高ミニマム

であれば「市街地を満たしていた泥水はポンプ場内水ゲートを開ける=池の栓を抜く事」で千曲川に帰って行ったのです。

アンダーパスの南側の道から見た画像: https://archive.md/slt7Q :画像の一番奥に25m道路の下のアンダーパスが写っています。道路にはグレーチングが写っており、ここから泥水は雨水排水路を通ってポンプ場の貯水池に流れ込み、そこから栄川樋管を通って千曲川に流れ込みます。

注4:宮沢川樋門の状況

飯山市議会議事録より:令和元年12月12日(木曜日):https://archive.fo/ATf6m

『◆6番(松本淳一) 
  宮沢川の新しい樋門ができていますが、これの閉鎖、開門の時刻をお願いします。

◎建設水道部長(坪根富士夫) 
 ゲートの全閉が12日の20時45分、ゲート全開が13日の18時となっております。』

さてこの回答から分かります事は「13日の18時に栄川樋管ゲート操作をしたのは皿川樋門委託操作員である」という事です。

なんとなれば「その時刻に樋管ゲート操作を出来る人は他にいないから」ですね。

ちなみに「18時に樋門操作員は栄川樋管ゲート操作をしていますので、18時の飯山水位観測所での水位観測はできませんでした。」

くわえて河川事務所報告の皿川ゲート全開の時間が15時30分というのは「宮沢川樋門と比べても相当に早い」という事も分かります。

さてこのあたりにも河川事務所が提示してきた皿川樋門操作報告書の不自然さを見る事ができます。

ちなみに皿川が自然流下し始めたのは17時過ぎ~18時の間である事と宮沢川樋門がゲートを上げて宮沢川を自然流下させ始めたのが18時であった事は偶然の一致などではなく、「この2つの樋門の操作状況がほぼ同じである」という事を示しています。

 

追記: https://archive.md/4Llh6 :これは飯山市が公開した樋門・樋管ゲートの開閉状況をまとめた資料です。

ここで注目すべきは雨水排水ポンプ場に書かれたコメントです。

このコメントは本来は栄川樋管に書かれるべきコメントでしたが、栄川樋管に書くスペースが無くなった為に、わざわざポンプ場のコメント欄に書かれています。

そうしてこれは「情報公開請求をした方への気配り」ですね。

さてそれはまた「この資料が情報公開請求を受けて、それから急いでまとめたものである」という事も示しています。

 

まあその事はさておいて、コメントにはこう書かれています。

『城山ポンプ場壊れてから栄川樋管閉める』

この記述は「本来は閉める必要がない栄川樋管を18時05分に何故閉めたのか?」を説明したものになっています。

つまり「ポンプ場が動いている場合はゲートが開いている栄川樋管から千曲川の水は市内に流れ込む事はないが、ポンプ場が止まっている場合は逆流する可能性がある」と飯山市が認めている事を示しています。

 

さてまあそれはその通りなのですが、問題は「いつポンプ場が壊れたのか?」という事ですね。

飯山市の第2報によれば: https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/senryaku/press/1028iiyama.pdf :

それは13日の朝7時です。

13日の朝7時にポンプ場が止まった。

そうして飯山市は「ポンプ場が止まると開いている栄川樋管を通じて市内への千曲川の泥水の逆流が起こりうることを認識していた」。

しかし実際に栄川樋管のゲートを閉めたのは18時05分だった。

もし本当に「ポンプ場が止まった場合に開いている栄川樋管からの逆流が存在した」とするならば朝の7時から夕方の18時05分まで栄川樋管を通じで市内の水位は上昇し続けた事になります。

さてこれから分かる事は「栄川樋管のゲート操作においても飯山市は妥当な指示を出す事が出来てはいなかった」という事であります。

 

ちなみに飯山市の公式見解では「ポンプ場が止まっていても開いていた栄川樋管から市内への千曲川からの逆流は起こらない」というものになっています。

さてしかしながらこの公式見解は最初に示した飯山市のコメント『城山ポンプ場壊れてから栄川樋管閉める』とは一致しない主張になっています。

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 


その44-9・台風19号の時、飯山市内で起きていた本当の事

2023-10-20 00:18:24 | 日記

以下、上町あたりの水位変化を記録した記事です。

・「ときでん」周辺~10月13日午後5時近くに最高浸水深~標高315・8mまで上昇~洪水発生源は~ : https://archive.fo/cigGj :時系列浸水深の写真

・奥信濃飯山〜内水が氾濫したまま水が減りません。何台もの車が水没しています。#台風1...2019-10-13 16:54:00 : https://archive.fo/JIxTm :アーカイブの表示時刻は変更されている事に注意:(注1

・水が引き始めました。ただ店の中で40センチ以上ありますが、薪用の丸太が流されて、道路の方に...2019-10-13 18:11:26 : https://archive.fo/O9YHB :アーカイブの表示時刻は変更されている事に注意:(注2

 

以上のような画像記録から水位の経時変化を求めたのが次の記事となります。

・千曲川の水位よりも市街地の水位が高くなっていた時間帯がありました~台風19号浸水時 : https://archive.fo/C0izP :水位差分70センチ バックウオーターとの話は合う!!

この記事のイラストで最初にあるのが13日7時の千曲川水位と上町水位。

イラストの右側の絵が千曲川水位で左側が上町水位です。

おっとその前に「上町水位は上町の水深、ではなくて水位である事」に注意が必要です。

つまり「上町での水位標高をもとめてそれを飯山水位観測所の水位標で計った」としたらその「位観測所の水位標が示すであろう数値になっている」のです。

そうであれば「水位観測所の千曲川水位と上町の水位を比較できる」のです。

 

さてそれで、7時には見ると分かる様に 上町水位<千曲川水位 となっていました。

まあこれは当然ですね。

4時15分に本格的に始まった千曲川からの逆流泥水の市内流入が市内の水位の高さを決めている。

そうであれば「千曲川水位>上町水位となるのは当然」となる訳です。

 

しかしながらその状況が逆転しているのが次の17時のイラストです。

なんと 上町水位>千曲川水位 となっています。

そうしてこの時が市内水位のピークであり「その水位標高は315.8mであった」と記されています。(注3

 

さてこれは普通に考えるとおかしな話です。

「千曲川からの逆流泥水の流入が市内の水位の高さを決めている。」のであれば

上町水位>千曲川水位 などという事はありえない」と記事を投稿された横丁大家さんは言うのです。

まあそれは当然の疑問ですね。

 

という訳で、ここで皿川のバックウオーターの出番となるのです。

そのまえに17時の市内水位標高315.8mと皿川決壊場所の外側にある公園の標高を比較しておきましょう。

17時の市内水位標高 315.8m<316.1m 公園の標高(注4

良い数字がでました。

独立して行われた二つの検証結果が一致した回答を示しています。

この時に堤防で排水作業をしていた6台のポンプ車+複数台の小型ポンプ車が市内の水を千曲川に排水をしていなかったら市内水位は316.1mまで上昇していた可能性を上記の標高の比較数値は示しています。

 

さてバックウオーターの話です。

「その44-6」で示した様に15時~15時半あたりの皿川で発生していたバックウオーターの値は0.95mでした。

つまりは「皿川ダム湖の水位は千曲川水位よりも95センチ高かった」のです。

さてこれが横丁大家さんの提示された疑問への回答です。

17時に上町で確認された千曲川水位よりも上町水位=飯山市街地水位が70センチ高くなっていた理由です。

横丁大家さんのデータは全く別の観点から皿川で発生していたバックウオーターの存在を検証したものになっていたのです。

 

そうしてまた

・水が引き始めました。ただ店の中で40センチ以上ありますが、薪用の丸太が流されて、道路の方に...2019-10-13 18:11:26 : https://archive.fo/O9YHB :アーカイブの表示時刻は変更されている事に注意:(注2

と言う投稿は17時にピークを迎えた市内の水位が18時には引き始めた、つまりは「18時にはそれまで決壊場所から市内に流入していた泥水が止まった」という事を示しています。

そうなればさすがに「堤防で排水作業をしていた6台のポンプ車+複数台の小型ポンプ車が千曲川に排水しています」から市内水位は低下します。

 

さて「市内への流出が止まった」という事は「皿川でのバックウオーターが消えた」という事を示しています。

そうであればこの時を持って本当に「皿川ダム湖の水は千曲川に自然流下し始めた」のです。

さあこれは「15時半には皿川ダム湖の水は千曲川に自然流下し始めた」と主張する河川事務所の報告とはまるで一致しません

そういうわけで「河川事務所の報告は作文である」と非難される事になるのです。

 

ちなみに17時の飯山水位観測所の値は8.16m。

18時には観測データがありませんが、減衰曲線近似で水位は良い精度で計算可能です。(注5

そうしてその値は7.85m。

これらの数字もまた「飯山水位観測所の水位で8mを超えると皿川樋門でバックウオーターが発生する」という事を裏付けています。

そうしてそれは「バックウオーターが発生している」という現実を無視して作文されたものが河川事務所が提出してきた樋門操作員の報告書の正体である」という事を示しています。

そうであれば最終的には「河川事務所が主張している事=皿川樋門は閉めた、は事実ではない」という事になります。

 

水位の状況をまとめておきます。

     飯山観測所水位(m)     上町水位

17時  8.16(=315.26)  315.8 上町ピーク水位

18時  7.85(=314.95)  この時点で上町水位が減少し始める

18時には上町水位が減少し始めた」という事実は「皿川からの市街地への流れ出しが止まった」という事を示しています。

そうしてその事は又「皿川ダム湖の水が千曲川に自然流下し始めた」と言う事も示しています。

 

さてここで注意すべきは「千曲川水位上昇時には飯山観測所で水位8.00mの時には皿川の水は千曲川に自然流下していた」という事実です。(注6

そうして上記水位データから飯山観測所で水位が8mになった時刻は17時30分あたりである事がわかります。

従って千曲川水位降下時においても「飯山観測所で水位8.00mの時に皿川のバックウオーターは終了する」のです。(注7

そうして「バックウオーターが終了した」ので「皿川ダム湖の水が千曲川に自然流下し始めました」。

これによって「皿川ダム湖の水位が減少し始め」従って「皿川からの市街地への流れ出しが止まった」のです。

その結果「18時時点では市内水位が減少し始めた」のです。

 

注1:元の時刻は: https://ameblo.jp/mto193914/entry-12535316412.html :で確認できます。そうしてこのアドレスでは動画確認できます。

注2:元の時刻は: https://ameblo.jp/mto193914/entry-12535335152.html :で確認できます。 

注3:雨水排水ポンプ場の吐出漕(画像右側に写っているブロックで積み上げた四角い構造物)の前面に「浸水位置GL+1m」と書かれたテープが張り付けられていました。

これはこの場所ではグランドレベル(この場所の標高)から水深が1mの時がピークであった事を示しています。: https://archive.md/whxFk :

ちなみに画像左側の赤線がこの場所での浸水のピーク位置を示しています。

さてこの場所の標高は地図から314.7~314.8mと読み取れます。

つまりは「この場所でのピーク水位は315.7~315.8mであった」という事になるのです。

こうして「上町地点と排水ポンプ場の2か所でほぼ同一のピーク水位が確認できる」のです。

そうしてこれは「当然と言えばあまりにも当然の事」です。

なんとなれば「この時飯山市街地には一つの大きな池が出来上がっていた」のですから。

そうして「池の水位はどこで計っても一緒」であります。

注4:右岸堤防決壊場所の外側は公園になっています。

そうしてその部分の標高は316.1mです。: https://archive.md/FoLPK :

注5:9時から17時までの水位下降時の9個のデータをつかって指数近似したもの。相関係数0.9994の回帰式による値。

この方法による水位降下時の水位近似方法は十分な信頼性がある事は確認済。

注6:「その44-4」から引用

『「ライブカメラが見れないから、1時頃見に行った時も護岸のブロックの上辺りまでの水位で流れてたよ」(皿川を見て育った僕ですから、皿川の水位から本流の水位を予測できます)

コメント:1時ころの皿川状況は「護岸のブロックの上辺りまでの水位で流れてたよ」。

護岸ブロック: https://archive.md/tZddQ :画面左側に見えている段差の上面が「護岸のブロックの上辺りまでの水位」となります。

ちなみに画面左側に立っているのが内水位を計る為の水位標です。

この水位票の一番上が水位8.5mとなっており、この水位を超えると左岸に氾濫します。

1時の飯山観測所の水位は8.00m

そうであれば皿川内水位は6.10mほど。

水位標高は309.1mを足して315.2mとなる。』

注7:「バックウオーター開始水位が飯山観測所で水位8mを超えたあたり」、そうであれば「バックウオーター終了水位は飯山観測所で水位8mを切ったあたりになる」という事は十分につじつまが合う話です。

つまりは「自然現象は理屈通りに動いている」という事になります。

 

追記:2024/10月:河川事務所曰く「1時45分から15時30分までは皿川樋門のゲートは降りていた」と。

そうして「ポンプ車の事前配置がなかったので皿川ダム湖に溜まった水が氾濫し皿川堤防が決壊してそこから市街地に泥水が流れ出た」と。(注8

それで15時30分になって「千曲川の水位が皿川ダム湖の水位より下がったのでゲートを上げてダム湖の水を千曲川に自然流下させた」と言っています。

そうであれば河川事務所は「その時点で皿川からの市街地への泥水の流れ出しは止まった」と言っているのです。

 

しかしながら事実は上記本文で示した様に「皿川決壊場所から市内に流れ出していた泥水は18時まで止まる事は無かった」のです。

つまり「15時30分時点では皿川ダム湖にたまった泥水は千曲川には自然流下していなかった」のです。

さてこれは河川事務所が言う「15時30分をもって皿川ダム湖の水は千曲川に自然流下し始めた」という事が事実ではない事を示しています。

 

次に「15時30分以降は河川事務所も皿川樋門のゲートは上がっていた」と認めています。

さてこの事実は重大です。

なんとなれば「皿川樋門のゲートが上がっていても皿川ダム湖の水は千曲川には自然流下せず、皿川堤防決壊場所から市内に18時まで流れ出していた」のですから。

そうであれば「皿川ではバックウオーターが発生する」という事を示しています。

つまり「所定の条件になれば千曲川の泥水は皿川に逆流する」のです。

 

さてそうであれば「1時45分に皿川樋門のゲートを降ろさなくてもバックウオーターの発生によって皿川の水は千曲川に流れ込めなくなり、氾濫する」という事になります。

そうしてこれが実際に皿川で起きていた事でした。

河川事務所が言う「ゲートを閉めたので皿川ダム湖の水が氾濫した」のではないのです。

事実は「皿川樋門のゲートは開きっぱなしだった」のです。

そうしてそれが飯山市の方針でした。(注8

その様に理解するならば「台風19号での飯山市街地を襲った泥水が千曲川由来のものであり、水が引いた後に残された大量の泥の状況が矛盾なく説明可能となる」のでした。

 

注8:実はポンプ車が皿川樋門に事前配置されていなかった事実こそが「飯山市は皿川樋門を閉めるつもりはなかった」という事を表しています。

というのも「ポンプ車の事前配置は市役所が河川事務所に依頼し事前配置してもらう手順になっていたから」です。

実際その手順に従って戸狩にはポンプ車が事前配置されていました。

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

台風19号 飯山水害の研究・一覧

 

 


その44-8・台風19号の時、皿川で起きていた本当の事

2023-10-17 02:25:03 | 日記

7、飯山市街地の満水時の状況

・「ときでん」周辺~10月13日午後5時近くに最高浸水深~標高315・8mまで上昇~洪水発生源は~ : https://archive.fo/cigGj :時系列浸水深の写真

市内の時系列の水位変化の様子は上記上町地点でのものが公開されています。

 

・それに対して「国土地理院が作った今回の皿川氾濫に対応したハザードマップ」はこれです。

https://maps.gsi.go.jp/#16/36.854986/138.367084/&base=std&ls=std%7C20191012typhoon19_shinano_1013dansaizu&blend=0&disp=11&lcd=20191012typhoon19_shinano_1013dansaizu&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m

透過率のスライダーを動かすと、下に隠れた地図情報が読めます。

ただしこのハザードマップ、有尾区と県町区の浸水情報は書き込まれていないのが残念な所。それから宮沢川氾濫の情報もない。だが飯山市街地の大方の所はそれなりに読みとれます。

但し浸水深さは最大の時ではない、あるいは浸水したがあまり深くないところは表示されていない模様。

 

・上記の国土地理院の浸水深さほぼ実測マップと : ・その29-2・「地点別浸水シミュレーション検索システム」について :で紹介している国交省の「地点別浸水シミュレーション検索システム」の千曲川決壊後5時間時点での計算結果は驚くほどに一致度が高い。(計算結果は20%ほど高めではある。)

そうであればほぼ台風19号での市内への浸水の進展状況はこの「浸水シミュレーション」で再現できている、と考えてよい。

ここでは時間経過が5時間以上になっているが表示例のアドレスを示しておく。: https://suiboumap.gsi.go.jp/ShinsuiMap/Map//?x=138.36679458618167&y=36.85014441248159&z=15# :

この表示例では5時間後での状況に比べて浸水域は拡大している。

そうして「今回のほぼ市街地満水状況」は5時間経過後のシミュレーションと一致度が高い。

そうであれば、読者各位はご自分で上記シミュレーションを動かし、状況を確認されるのがベストです。(注1

ちなみに皿川堤防が決壊したのが4時15分頃。

そうしてその決壊場所から市内への泥水の流出が止まったのが17時すぎ。

そうするとほぼ13時間にわたって市内への千曲川からの逆流泥水が流れ込んでいた事になるのです。

それがこのシミュレーションでは千曲川本堤防が決壊した場合は5時間でほぼ同等の水量が市街地に流れ込むであろう、と証明しています。

 

皿川樋門から皿川ダム湖を通じて皿川堤防決壊場所まで千曲川泥水が遠回りしないと今回の場合は千曲川の水は市街地に流れ込めません。

そう考えますと「市街地に千曲川の水が流れ出すまでの流路の長さが長い=流路の抵抗が大きい」という事になりそれが千曲川本堤防決壊の場合に比べて同等水位に到達するまでの時間が2.6倍にのびた原因であろうと推察できます。

さてその事は逆に言いますと「今回、市内に流れ出した水量は千曲川本堤防が決壊した場合の5時間分に相当する」という事になります。

さあそうなりますと「河川事務所と飯山市はそれほどの水量が皿川上流から飯山市街地に流れ出した」と主張している事になります。

さて皆様方はそのような主張を「なるほどなあ」と納得されるのでしょうか?

それとも「そんな馬鹿な事があるはずがない」とされますか?

ちなみに当方の立場はもちろん「そんな事はありえない」というものであります。

 

・市民の方によってドローンにて動画撮影された市内の浸水状況はこちらから確認できます。

https://www.youtube.com/watch?v=c4lQ4wckcOc

この撮影は朝方に行われた模様で本町通りが浸水せずに乾いている。

そうして市街地満水は17時あたりであった。

そうであればこの状況からさらに浸水はすすんで行ったのである。

 

さて最初に提示したように「市内最高水位は315.8m」である。

そうしてその標高であれば本町通りも浸水していたのである。

電子地図: https://maps.gsi.go.jp/#16/36.850929/138.363370/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1 :

電子地図によれば「本町通り最高標高は315.7m」。(注2

さてそうであれば「市内満水時には城山周辺をのぞいてJR飯山線と新幹線、千曲川堤防と皿川に囲まれたエリアは一つの巨大な池を作っていた」という事になります。(注3

 

ちなみに ・その30-2・皿川堤防改修計画詳細(長野県提示) :によれば今回皿川氾濫で流出した水量は

・皿川から市街地への流出水量61万m^3  :流出面積90ha  ー->平均水深 68センチ という事になっています。

 

さてそれで皿川堤防が決壊したのが13日の4時15分。

それまでも右岸越水によって泥水は市街地側に流れ出してはいましたが、本格的な流出が始まったのはこの堤防決壊後です。

それから12時間45分後の17時に市内の水位レベルはピークを迎えたのでした。

 

「さてその事は一体何を意味しているのか?」といいますれば「皿川から市内への泥水流出は17時までは確実にあった」という事です。

その時に飯山市によれば「堤防では6台の排水ポンプ車と消防団の小型ポンプ車複数台による排水作業が続いていました。」

その様な排水作業にも関わらず市内の水位は17時まで上昇し続けていたのです。

つまりは「排水ポンプ車の合計排水量を上回る水が皿川決壊場所から市街地に17時までは供給されつづけていた」のです。

 

さてそれで、前のページで確認したように「15時以降でも皿川にバックウオーターが発生していた事」が「右岸決壊場所から市街地への泥水の発生原因になっていた」のでした。

そうして17時までは確実に皿川の水は市街地に流れ込んでいた。

その事は逆に言いますと「17時までは皿川の水は千曲川には自然流下していなかった」という事になります。

何故ならば皿川までは17時まではバックウオーターが発生していたからです。

従って「決壊場所から市内への泥水の流出は続いていた」。

その様な状態(=バックウオーターが発生していた状態)では皿川ダム湖の水は千曲川には自然流下しないのです。

 

おやおやそれはおかしいですねえ。

河川事務所の主張によれば「15時30分には皿川の水は千曲川に自然流下した。」となっています。

そうであればこそ「その時点で降ろしていたゲートを持ち上げた」と河川事務所は報告しているのです。

しかしながら実際は17時までは皿川から市内への泥水の流出は続いていた

市内の水位上昇がその事を証明しています

さてこうしてまた「15時30分をもって皿川のゲートは持ち上げられ、皿川の水は千曲川に自然流下した」という河川事務所の報告が事実とはまるで一致していない、という事が分かってしまうのでした。

そうしてその事もまた「ゲートを15時30分に持ち上げた」とする皿川樋門委託操作員は「15時30分には皿川樋門にはいなかった」という事を示しています。

「下げた覚えのない皿川樋門のゲートは改めて皿川樋門に出向いて上げる必要はない」のです。

さあそれではその委託操作員は15時30分にはどこで何をしていたのですか?

それはね「飯山市に言われた仕事=飯山水位観測所で水位を計る仕事」をやっていたのですよ。

 

状況の大まかな所は以上となります。

水位についての数字上のフォロウは次のページに譲ります。

 

注1:1、「地点別浸水シミュレーション検索システム」について

さて国交省が以下の様なシステムを公開しています。
「地点別浸水シミュレーション検索システム」
http://suiboumap.gsi.go.jp/

千曲川の堤防の破堤場所を指定して、あとは標高で浸水の進展具合を計算してくれる「すぐれもの」の様であります。

動かし方は・・・

『「地点別浸水シミュレーション検索システム」を見る』をクリックします。
いつもの電子地図のページに行きますので、飯山まで移動、拡大。

左にある「河川選択」をクリック
地域 は 北陸地方整備局 を選択
事務所 は 千曲川河川事務所 を選択
河川名 の選択の前にその下の 規模指定 で計画規模 も選択しておく
それから河川名の選択ーー>千曲川「計画規模」を選択

「データ表示」と言うボタンが現れるので それをクリック

堤防が壊れる点を指定しろ、の表示とともに地図上に選択可能点が現れる

皿川のすぐ上の北の点をクリック(BP713 千曲川 32.50k左岸破堤)

「アニメーション経過時間」というポップアップが開く
その時点て地図上には最終(42時間後)の浸水状況がカラーパターンで表示されている。
そしてそのカラーパターンはハザードマップの色分けと、たぶん同じはずです。

あとはポップアップの中のスタートボタンをおすと、浸水がはじまる。
経過時間は画面左上に表示される。・・・

これ以上のより詳細な説明は: ・その29-2・「地点別浸水シミュレーション検索システム」について :にてご確認ください。

注2:但し電子地図の標高は実標高に対して10センチ程度の誤差がありますので本町通りの高い所は浸水を免れた可能性があります。

注3:飯山市の報告のpdfでは飯山市全体の浸水状況はピンポイントで場所が示されているだけでした。
しかしならが、実際は相当に広い範囲が浸水の被害を受けていました。
その正確な範囲については下記の河川事務所の報告が良いでしょう。

  令和元年10月台風第19号による千曲川・犀川出水状況

その26ページに飯山で浸水被害に遭った場所が地図上に赤色で示されています。
拡大すると浸水状況の全体がよく確認できます。

 

追加の情報:以下、おまけです。ご参考までに。

ネットまとめページはこちら: https://matomedane.jp/page/39432 :ないしは:https://archive.fo/wULW9

 

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飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討・一覧

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