続・エヌ氏の私設法学部社会学科

無理、矛盾、不条理、不公平、牽強付会、我田引水、頽廃、犯罪、戦争。
世間とは斯くも住み難き処なりや?

巻6の8 原穀、祖父(おほぢ)を山へ捨つる事

2017-07-21 | 理屈物語:苗村丈伯
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 唐土、どこの出身かは分からないが、原穀という人がいて、年は若かったが、才智は類がないほど人に優れていた。
 その頃、原穀の祖父は、年を取って体も弱り、立つことも不自由になってしまったので、父母は困り果て、祖父を山へ捨てようと言い出した。原穀はまだ15歳であったが、涙を流し、父母を諌めたが聞き入れられず、手輿を作って祖父を乗せ、父子で遠い奥山の高い所に捨ててしまった。
 さて、父子が帰っている時、原穀が手輿を捨てずに、遠い道のりを持ち帰っているのを父が見て、
「お前はどうして、その輿を捨ててしまわないのだ」
と言えば、原穀が、
「それは、今度、父が年老いた時、山へ捨てる場合のために、持ち帰っているのです」
と言ったので、父は大いに恥じ、ついに祖父を輿に乗せ連れて帰り、その後は、ひたすら孝行を尽くした。
 原穀は、類なき孝行な孫であるとして、その名を世に上げることとなった。
 親に悪い点があって、子が諌めようとしても、聞き入れてもらえなかったら、子としてはどうしようもない。それを原穀は、父の悪に従いながらも、父の悪を諌め、また父に逆らわぬようにしながら、父を孝道に引き入れることに成功した話は、ひとかたならぬ孝孫であることを示している。


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