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片田舎に、普段から仲の悪い隣同士があって、何かきっかけがあると、すぐに喧嘩ばかりしている。
あるとき、こちらの畑へ、隣の藪の根が張って、筍が生えたのを取っていると、隣の亭主が見つけて、
「これこれ、その筍はこっちの藪から生えたのだから、こっちのものだ。断りなしに、なぜ取る」
「いやいや、そっちの藪から根は這っているが、生えた所が俺の畑だから、筍はこっちのものだ」
「そっちの畑に生えたからといって、その筍を取るなら、俺も、そっちから取るものがある」
「そりゃ、何を取る」
「いつぞや貴様の所の牛が、俺の所の牛部屋で子を生んだことがあったが、覚えているか」
「おお、覚えている」
「その時、その親牛も子も、そっちへ返したが、その筍を取るくらいなら、その子牛も、こっちの牛部屋で生まれたのだから、こっちへ寄越せ」
この理詰めにぎっちり詰まって、畑主、
「そんなら、おいらも、まだ取るものがある」
「何を取るぞ」
「昨日、おいらがそちへ行った時、雪隠を借りたが、そのとき垂れたのを、寄越せ、寄越せ」
<蛇足>江戸時代、排泄物は畑の肥料になり、金銭で取引されるほど貴重な物であったから、これは単に汚いというだけでなく、切実な話である。
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片田舎に、普段から仲の悪い隣同士があって、何かきっかけがあると、すぐに喧嘩ばかりしている。
あるとき、こちらの畑へ、隣の藪の根が張って、筍が生えたのを取っていると、隣の亭主が見つけて、
「これこれ、その筍はこっちの藪から生えたのだから、こっちのものだ。断りなしに、なぜ取る」
「いやいや、そっちの藪から根は這っているが、生えた所が俺の畑だから、筍はこっちのものだ」
「そっちの畑に生えたからといって、その筍を取るなら、俺も、そっちから取るものがある」
「そりゃ、何を取る」
「いつぞや貴様の所の牛が、俺の所の牛部屋で子を生んだことがあったが、覚えているか」
「おお、覚えている」
「その時、その親牛も子も、そっちへ返したが、その筍を取るくらいなら、その子牛も、こっちの牛部屋で生まれたのだから、こっちへ寄越せ」
この理詰めにぎっちり詰まって、畑主、
「そんなら、おいらも、まだ取るものがある」
「何を取るぞ」
「昨日、おいらがそちへ行った時、雪隠を借りたが、そのとき垂れたのを、寄越せ、寄越せ」
<蛇足>江戸時代、排泄物は畑の肥料になり、金銭で取引されるほど貴重な物であったから、これは単に汚いというだけでなく、切実な話である。