UKから帰国する土曜日、飛行機は19:00にヒースロー発で半日フリー。Bristol Climbing Centreが改装でよろしくないので、web検索でひっかかったロンドンのジムに行く。Pumpで5.10aやっとの初心者によるジムのレビューだよ。

The Castle - ビクトリア時代のポンプ施設をクライミングウォールに流用したもので、本物のPumpだったのである。Bristol Climbing Centre同様に外からはまさかジムだとは思えないが、こちらの中身は金属で階段が組まれた近代的なジムとなっている。
11時に受付を済ませて(日本語での)二階に上がってロッカールームで荷物の整理の後、あちこちのボルダー壁を登って回る。課題は主にホールド自体の色で識別されていて、開始点にグレードと色(マーブルの場合、green and whiteなど)が書かれたタグが貼られている。green と green and whiteは違うので注意。その他にも少ないけれどもステップアップの目安(ladder)らしき課題があり、これは日本のジムみたいにホールドにタグが付いている。基本的に手足限定で、ホールド以外の壁はOK。スラブ壁にはフリクションの良い直径25cmくらいの円盤が嵌め込まれていて、これは開始位置のタグに明記されていなければ使用不可。
フロアー三つの内容はこんな感じ:
一階:
主に吹抜けのルート壁だがボルダーもあり。教習用のボルダー壁には「レイバック」「バランスとフットワーク」「ブリッジング」など、テクニック別の練習課題があった。また、アルファベットが書かれたカチと極小ポケットで埋めつくされた90度壁にはノートが置いてあり、利用者がルートを設定して記録できるようになっていた。ノートを開くだけでも神経質な内容を想像してしまう。
ロープ壁はトップロープが設置された壁が多くPump-1と比較して被り物は少ない。取り付く機会は無かったけれども、見た目で各ホールドは小さい気がする。グレードは6b(5.11d~5.12a)まで。
二階:
ロッカー周辺にはトラバース壁が3面ある。一部は床にクッションが無いけれど、高さが無いので不安も無い。周回方向が一定で課題と課題の干渉が少ないから取り付きやすい。隣の蛍光灯で照らされた穴蔵はルーフもあって日本のボルダリングジムに近い感じ。少し離れて高さのある壁とスラブ壁。高さのあるのは正直怪我が恐くてクライムダウンしてからジャンプ。スラブ壁は壁の加工に凝っていて、クラックが走っていたり(右の写真の左奥)、薄く足があったりで外岩風。
三階:
カフェテリアの他にルートとボルダーの壁もある。ここのボルダー壁は巨大なハリボテにホールドが付いている状態で、足自由はこれもまた外岩ライク。難しい課題が少なくて気楽に振りっ振りっと腹ごなしをする感じ。
僕は主に二階で遊んでいた。穴蔵のガバガバや垂壁直上だとUKグレード4c(デシマルで5.9-あたり)は楽勝、5a(5.9~5.10a)はなんとかというレベルなのだが、トラバース課題は極端に弱く、4bでもダメだったりする。縦ホールドの持ち替えやスローパーが嫌らしく、腕の筋肉でなくて落ちてしまう。悔しいのでトラバースに執着して、息抜きにスラブの5aを遊んだりしていた。Bristol同様にガバに頼るなと言われているようだが、これは多分自分が外岩で上達させなければいけないことと近い気がする。
出来なかった4bの核心部分、シャワーを浴びて片付けをしている時に人が何度も落ちながら教わっているのを見た後にどれどれなるほどそう持てば良いのかと裸足で取り付きクリア。最初から通しではなかったけれども嬉しい。もうランチを採る時間すらないのでスーツケースを引いて空港に向かった。
ルートをメインでやる人達からボルダーの楽しさが分からないと言われることがある。Pumpのボルダーってもっとプラスチッキーでその尖った感じも楽しいけれども、ここThe Castleでロープなしで4cのボルダーをトライしていると、フリーよりむしろ今年行った越沢だったり八ツ峰だったりに繋がる気がする。設定された課題はBristolやPumpより地味かもしれない、それは自分のレベルでなく周囲のしっとりしたムーヴからも同じような印象を受けた。山登りにそのまま続いているジムだと思う。
以下、ここを訪れるかもしれない人に少しでも役に立てれば:
- 初回の人は利用規約の確認が必要となる。単に文章を読むだけではなく書かれた内容についてのクイズが出されるので、英会話に自信がなかったら筆談でお願いすのも手かもしれない。
- 登録なしの一回きりの利用も可能で£11.00。登録すると登録料込の初回は£14.00。
- 登録者は英国在住で欲しかったらしく、住所や電話番号でしつこくイギリスでの連絡先を聞かれたが「今晩の飛行機で帰るからホテルも無いよ。次はいつ来るか分からない。」で通す。これ以上に返しようがない。
- 登録すると会員証が発行されるが受け取りは次回来店時。はは、店員さんは苦笑いしてたよ。
- ロッカーが利用可能。その際は自分の鍵なり携帯電話なりを換わりに店に預ける。これはBristolも同じ。洗濯物しか入っていないスーツケースはロッカーの上。
- 温水シャワーがあり助かる。石鹸とシャンプーを持ってくれば良かった。
- ジムの最寄駅Finsbury ParkからはヒースローまでPiccadilly Line一本で楽々。ジムを出たのが15:15でTerminal 3のJALのカウンターに17:00だった。地下鉄£4は驚き以上のものがあるが、Heathrow Expressなんかと比べれば納得できないまでも諦めは付く。
- んで、地元サッカーチーム、Arsenalの試合があるときは駅前注意。この日は勝ったらしく歩道を迂回するくらいで済んでよかった。
ボルダリングでは今まで行った中で最高に楽しいジムだ。無事に会員証を手にしてまた報告したいものである。

(神経質なカチカチ壁)