picnic on a frozen river

山登りの記録

食担への長い道

2007-09-25 12:37:32 | Weblog
9月最後の三連休は海へ。その報告は後ほどとして、ソロ山行になったので念願の炊飯をしてみた。去年からの目標であったものの単独山中泊が減ってしまったので機会に恵まれなかったのだ。
山での飯炊き自体はHAさんと行った平ヶ岳、サゴイ沢でお手伝いを経験しているのだが、自分でやるのは初めて。自宅で重ねた練習の成果は如何に。

雪倉の避難小屋は標高2,400m程。夕飯用と翌日の朝食用の1.5合。水は容積にして米の1.5倍 = 400mlを注水して30分放置。水は人差し指の第一間接は完全に隠れるくらいで、多いかなと思った。さて、何としても芯飯は避けたかったので、最初から中火~強火で沸騰まで持ってゆき、沸騰したら中火で吹きこぼれないように蓋を押さえる。20分くらいしたら弱火に落とし、お焦げの出来るパチパチという音が連続するようになったらかき混ぜて蒸らす。

仕上がりは...芯こそ残らなかったもののムラが多く、あちこちダンゴになったご飯になってしまった。ビシャビシャと水気が余っている感じではないのだが、歯ごたえに欠ける炊きすぎたご飯。あったかいうちにカレーで誤魔化す分にはなんとかなっても、翌朝のお茶漬けにはまったく不適で俵おむすびサイズを残して持ち運ぶ羽目に。こんなご飯はいっそ固めて焼いてしまえば良かったのかもしれない。

翌日の栂海山荘で同宿の方が手際よくご飯を炊いていらしたので自分の失敗と炊飯のコツをお伺いしたところ、「コトコトと25分、山ではね」とのご返事。次回こそ、水を少しだけ減らして弱火でコトコトだ。ちなみに栂海山荘での僕の晩御飯はフランスパンに肉、野菜、チーズだったのだが、パンは焼くと食べやすく、ワインにも合ってシアワセ。いくらでも食べられるし、いくらでも飲める。嵩張るのと水濡れに注意。


(二日目のパン。ツマミとの区別が微妙)


The Castle

2007-09-17 03:36:39 | インドア
UKから帰国する土曜日、飛行機は19:00にヒースロー発で半日フリー。Bristol Climbing Centreが改装でよろしくないので、web検索でひっかかったロンドンのジムに行く。Pumpで5.10aやっとの初心者によるジムのレビューだよ。



The Castle - ビクトリア時代のポンプ施設をクライミングウォールに流用したもので、本物のPumpだったのである。Bristol Climbing Centre同様に外からはまさかジムだとは思えないが、こちらの中身は金属で階段が組まれた近代的なジムとなっている。

11時に受付を済ませて(日本語での)二階に上がってロッカールームで荷物の整理の後、あちこちのボルダー壁を登って回る。課題は主にホールド自体の色で識別されていて、開始点にグレードと色(マーブルの場合、green and whiteなど)が書かれたタグが貼られている。green と green and whiteは違うので注意。その他にも少ないけれどもステップアップの目安(ladder)らしき課題があり、これは日本のジムみたいにホールドにタグが付いている。基本的に手足限定で、ホールド以外の壁はOK。スラブ壁にはフリクションの良い直径25cmくらいの円盤が嵌め込まれていて、これは開始位置のタグに明記されていなければ使用不可。
フロアー三つの内容はこんな感じ:

一階:


主に吹抜けのルート壁だがボルダーもあり。教習用のボルダー壁には「レイバック」「バランスとフットワーク」「ブリッジング」など、テクニック別の練習課題があった。また、アルファベットが書かれたカチと極小ポケットで埋めつくされた90度壁にはノートが置いてあり、利用者がルートを設定して記録できるようになっていた。ノートを開くだけでも神経質な内容を想像してしまう。
ロープ壁はトップロープが設置された壁が多くPump-1と比較して被り物は少ない。取り付く機会は無かったけれども、見た目で各ホールドは小さい気がする。グレードは6b(5.11d~5.12a)まで。

二階:


ロッカー周辺にはトラバース壁が3面ある。一部は床にクッションが無いけれど、高さが無いので不安も無い。周回方向が一定で課題と課題の干渉が少ないから取り付きやすい。隣の蛍光灯で照らされた穴蔵はルーフもあって日本のボルダリングジムに近い感じ。少し離れて高さのある壁とスラブ壁。高さのあるのは正直怪我が恐くてクライムダウンしてからジャンプ。スラブ壁は壁の加工に凝っていて、クラックが走っていたり(右の写真の左奥)、薄く足があったりで外岩風。

三階:


カフェテリアの他にルートとボルダーの壁もある。ここのボルダー壁は巨大なハリボテにホールドが付いている状態で、足自由はこれもまた外岩ライク。難しい課題が少なくて気楽に振りっ振りっと腹ごなしをする感じ。

僕は主に二階で遊んでいた。穴蔵のガバガバや垂壁直上だとUKグレード4c(デシマルで5.9-あたり)は楽勝、5a(5.9~5.10a)はなんとかというレベルなのだが、トラバース課題は極端に弱く、4bでもダメだったりする。縦ホールドの持ち替えやスローパーが嫌らしく、腕の筋肉でなくて落ちてしまう。悔しいのでトラバースに執着して、息抜きにスラブの5aを遊んだりしていた。Bristol同様にガバに頼るなと言われているようだが、これは多分自分が外岩で上達させなければいけないことと近い気がする。
出来なかった4bの核心部分、シャワーを浴びて片付けをしている時に人が何度も落ちながら教わっているのを見た後にどれどれなるほどそう持てば良いのかと裸足で取り付きクリア。最初から通しではなかったけれども嬉しい。もうランチを採る時間すらないのでスーツケースを引いて空港に向かった。

ルートをメインでやる人達からボルダーの楽しさが分からないと言われることがある。Pumpのボルダーってもっとプラスチッキーでその尖った感じも楽しいけれども、ここThe Castleでロープなしで4cのボルダーをトライしていると、フリーよりむしろ今年行った越沢だったり八ツ峰だったりに繋がる気がする。設定された課題はBristolやPumpより地味かもしれない、それは自分のレベルでなく周囲のしっとりしたムーヴからも同じような印象を受けた。山登りにそのまま続いているジムだと思う。

以下、ここを訪れるかもしれない人に少しでも役に立てれば:

  • 初回の人は利用規約の確認が必要となる。単に文章を読むだけではなく書かれた内容についてのクイズが出されるので、英会話に自信がなかったら筆談でお願いすのも手かもしれない。
  • 登録なしの一回きりの利用も可能で£11.00。登録すると登録料込の初回は£14.00。
  • 登録者は英国在住で欲しかったらしく、住所や電話番号でしつこくイギリスでの連絡先を聞かれたが「今晩の飛行機で帰るからホテルも無いよ。次はいつ来るか分からない。」で通す。これ以上に返しようがない。
  • 登録すると会員証が発行されるが受け取りは次回来店時。はは、店員さんは苦笑いしてたよ。
  • ロッカーが利用可能。その際は自分の鍵なり携帯電話なりを換わりに店に預ける。これはBristolも同じ。洗濯物しか入っていないスーツケースはロッカーの上。
  • 温水シャワーがあり助かる。石鹸とシャンプーを持ってくれば良かった。
  • ジムの最寄駅Finsbury ParkからはヒースローまでPiccadilly Line一本で楽々。ジムを出たのが15:15でTerminal 3のJALのカウンターに17:00だった。地下鉄£4は驚き以上のものがあるが、Heathrow Expressなんかと比べれば納得できないまでも諦めは付く。
  • んで、地元サッカーチーム、Arsenalの試合があるときは駅前注意。この日は勝ったらしく歩道を迂回するくらいで済んでよかった。


ボルダリングでは今まで行った中で最高に楽しいジムだ。無事に会員証を手にしてまた報告したいものである。



(神経質なカチカチ壁)

Bristol Climbing Centre #2

2007-09-14 20:38:35 | インドア
仕事でBristolに来ています。ロクスノ2007夏でイギリスの主要なジムの一つにリストアップされていたBristol Climbing Centreに半年振りに行ってきました。


(礼拝堂だったのが分かるかな)

あてにしていたビレイパートナーは休暇取って外岩に行ってしまったのでボルダー限定、でも、あわよくば誰かにビレイを頼もうとハーネスも持って行く。宿泊先からバスで40分、地図を見ながら徒歩20分で到着は20時に。受付、着替えを済ませてボルダー壁に行くと...半分がホールド改装中で使えないではないか!! もともとホールドの数が少なく、色分けされた課題が少ない壁なので丁度良い課題が見つからない。空気が乾燥していて手のひらのヌメリが出ないのは良いのだけれどスローパーは進歩ないなぁ、途端に登れなくなってしまう。イギリスの岩場はこんなのばっかなのかなぁ。
先週末にキツい靴での下山で爪先を痛めてしまいミウラーが辛く、腕よりも足のために休憩する羽目に。甚だしく消化不良で22時の閉店を迎えてしまった。

明日はフライトまで登ろうと思っていたけれど計画見直しだなァ。


(大盛況、というかグチャ混み)

やっぱり怖かった越沢バットレス

2007-09-06 16:01:39 | 岩登り
8/19 は越沢バットレス、このところ人工に燃えているTTさんYTさんに引っ張られるように行って来ました。前回来た時はアブミの練習のあとに右ルートの下2ピッチだけで降りて、滑り台は登らず。楽しかった印象だったのだけれど、AOさんから「あの先が面白いのに」と言われていたのでどんなものかなぁと。


(第二スラブ1P目、湿っているのがなんとも...)

まず「一番易しい」とのことで第二スラブにSSさんと組ませて頂いて取り付く。先行するYT/TT組をよーく観察して1ピッチ目は僕がリード。
あ・れ・手が無いぞ。右ルート2ピッチ目より若干立っている壁は湿っているし、ガバ続きという訳じゃない。出だし直ぐの右に移るところで既に手詰まりで、あちこちペタペタと壁を探ること数十秒、こういう時は消耗する前に迅速に判断することこそが必要だ。「AOしま~す♪」。あっさりとヌンチャクを掴んで抜けた。2ピッチ目、フォローで登るも、凹角の先でついつい右のカンテに誘惑されてしまう、でもピンはスラブの直登。確かにツルツルのカンテよりスラブのほうが足がかりが良く、なるほどなぁと思いつつも、細かいカチに恐怖して登る。
さて、神経擦り減らして辿りついたビレイ点は壁の途中の狭いバンドで、3ピッチ目が顔の前から上に続いている。ツルベなのでここは僕がリードのはず。ンが、出だしの右移動がスンゲー怖い。1ピッチ目を登る前のTTさんの言葉、「え、○○さん(僕)、3ピッチ目リードすんの?」の意味が大変良くわかりました。SSさんに察して頂いて面倒でも順番を変わっていただいた。それでもSSさんが終了点に向かって消えてゆく頃には、2ピッチ目で終了という選択肢は無かったものかと大後悔。今更登れませんともいえない。


(3P目をビレイ点から。出だしからこれですかい)

SSさん終了でロープを引き上げている時に、僕がロープの流れに注意していなくて片方のロープが1ピン目のヌンチャクにクリップして絡まってしまった。仕方ないので引き上げられる一本だけで登攀開始する。最初は問答言わずにA0なんだけれど、ヌンチャクを回収した後のペツルの持ちようが難しい、残置したい。気温は高く、既にグニャグニャで頼りなくなった緩いモカシムをスタンスに押し込んで、手はカチを摘んで体が剥がされない程度の支えで登ってゆく。2ピン目回収の先あたりの安定したところで絡んでいたロープも引き上げてもらい左上する。スラブと言っても随分と粗いので、探せば1cmくらいの深さで足は見つかり、恐怖しながらもやるべきことは自然と見つかる感じだった。フリーの細かい立ち込みと比較したら足は豊富にある、けれど「絶対に滑ってはいけない」ので心臓はバクバク。高度感より怖いのは、バランス取りにしか役に立っていない(それで十分なんだろうけれど)カチを繋げて行くことだった。
気持ちヘロヘロで上に抜けて大休憩の後に青梅ベルグハングに取り付くために1Pだけ懸垂下降する。青梅ベルグは今まさにTTさんが登ってくるところ。あんなことやるのかぁ。前回のルーフのアブミ練習のイメージがあるので、とても自分には出来そうに思えなかった。リードは勿論SSさんにお願い。ところがアブミを二つ掛けたところ午後1時の暑さで体調を崩されたご様子で取り付きまでロワーダウンする。更に日陰を求めて天狗の踊り場まで懸垂下降して大休憩。今日はもう無理はしないで、残置したヌンチャクも青梅ベルグに再度登るTT/YT組に回収をお願いして終了。

結局二スラ一本だけだったけれど、いやもう十分に自信喪失。ルートファインディングは全然だし、スラブの立ち込みは合計3ピッチでここまで神経擦り減るかってくらい気疲れしてしまった。まぁでも二週間も空いて文章を書いていると楽しかったなぁだし、それなりにやって来たことは身になってたんだなぁとも思う。フリーの外岩で精進してからまた来ます、そんな気持ち。


(こちらは青梅ベルグハング)


白馬岳 - 朝日岳 - 蓮華温泉(後編)

2007-09-06 01:58:52 | ハイキング
今回の山行の目的の一つに残雪期のための下見が課せられていました。白馬までは人も多いだろうから問題無いとして、雪が覆われたらどんなだろうと想像しながら歩きました。

二日目: 8/13 白馬頂上宿舎(05:00)->(05:34)白馬岳山頂(05:51)->(08:19)雪倉岳->(11:25)水平道との分岐(11:45)->(12:41)朝日岳->朝日小屋(13:15) 快晴、夕方にガス

ご来光狙いの人達に逆行して白馬岳に登る。朝から快晴で眺めは素晴らしい。


(白馬鑓=2、鹿島槍=1、槍ヶ岳=3の槍4本)

北アのメジャーな山々も素晴らしいが、我々が目指すのはググッと地味にこちら、雪倉岳と朝日岳。大したアップダウンもなくのんびりとした行程になりそう。


(手前に雪倉岳、左奥に朝日岳)


三国境を過ぎた途端に人混みから解放され、雪倉岳へ向かう面子はだいたい同じようなペースで、休憩毎になんとなく親しく会話をするようになる。
人が減ると途端にお花畑が現れて、なぜだか青系/紫系の花が多かった。時々Lさんに花の名前を教えてもらいながら広い尾根を下って雪倉の避難小屋に到着。
少しマジメに登って到着した雪倉岳の静かな山頂はからは頚城の見晴らしが良い。

ここまでは雪に覆われていても方角だけ合わせていれば問題なさそう。ここからの下りは、雪倉池への尾根を避けて丸い曖昧な尾根に付けられていて、その先は斜面にトラバース気味になっている。このトラバースの上の尾根にはそこそこに丈のある樹林帯になっており積雪期にも歩けるか疑問。で今は普通にトラバースを歩いてゆくと、一箇所だけ左にザレた斜面が切れた箇所があり、多分ここは自分たちでステップを切って行くことになると思う。後は概ね樹林帯だったり湿原の中の木道だったり。


(朝日岳を巻く道)

さて、雪倉岳から水平道と朝日岳への分岐までのCT2時間はちょっと辛めだと思う。Lさんはお疲れのようで、栂海新道は無理かもとのこと。まぁテン場に行って考えましょう。
朝日岳と水平道との分岐で大勢で大休止。地図には水平道は残雪の状況により通行不可と書いてあるので朝日岳への道も見ておきたい。Lさんが水平道(あまり水平では無かったらしい)で、僕が朝日岳山頂経由で小屋で合流となった。ここの登り始めは樹林の中を木の枝、根に掴まりながらで疲れる。それを抜けるとなだらかで、何時までも山頂が見えずに気持ちが疲れる。山頂に着く頃には一面のガスで、とっとと朝日小屋まで降りた。
小屋前のテーブルでビールを飲んでいると水平道で来られた方が続々と到着し、今日の長い行程をお互いに労う。Lさんも到着し、日本海見えるかなぁと散歩してからテントを設営、Lさん食当のパスタの晩御飯。翌日からの予定を話し合って、僕として2人編成のパーティーを分けることは考えていなかったので揃って蓮華温泉に下山することとした。そうと決まればワインは今日中に空けねばまいねぇで、これはすぐに片付いたよ。今晩は流星群が見られるとのことだんだけど、僕は泥酔で起きなかったな。

三日目: 8/14 朝日小屋(04:41)->(05:33)朝日岳->(06:10)吹上のコル(06:24)->(07:47)青ザク->(12:35)蓮華温泉 晴れ
あれ、ゆっくりでも良かったんだけれどなんか早く起きてしまった。朝日岳へは朝日を隠す斜面を登るので、頂上到着で日の出を逃す展開。更に虫が酷くて大分刺されてしまった。さて朝日に照らされたなだらかな開けた東面が今日のコース。このまま日本海まで見えそうな(見えなかったけど)丸い稜線を吹上のコルまで下ると岩にペンキで「日本海」、栂海新道の入口だ。残念だけれども今回はこの岩を越えては行かれない。



(長い)後ろ髪を引かれて、まだ光線の低い朝日が当たるこの岩を後にした。蓮華温泉への行程もそれなりに長い。登山道に小沢が流れ込んでいてアヤメの群落があったりで相変わらずお花は豊富。ひたすら横に長い下山路を縦走ザックで歩く感じは久しぶりで楽しい。沢を幾つも越えるルートは水が美味しかった。
それでも敗退は敗退、この辺に拘る自分の表情にはそれは現れていたと思うし、Lさんには変な心配を掛けてしまっていた気がする。実際は歩くの好きだから楽しかったよ。山岳会に入って単独で行けないと
ころに連れていってもらうばかりだったけれど、普通に縦走を企画してもいいかも、宴会山行でね。


(ここを越えて行こう)