三連休はグレ子さんと赤岳天狗尾根に行ってきました。
(ツルネから見る天狗尾根)
【行程】
(1/9) 武蔵境(05:45)-美し森駐車場(08:27)-(10:31)出合小屋(10:50)-(11:40)天狗尾根取り付き-(12:00)尾根-(14:20)2,280m地点
(1/10) 幕営地(06:50)-(07:57)カニのハサミ(08:30)-(10:43)大天狗基部-(12:11)主稜線-(2時頃)キレット小屋
(1/11) キレット小屋(06:47)-(07:29)ツルネ-(09:18)出合小屋-(11:01)美し森駐車場
(1/9) 4時半集合が、ワタクシの寝坊で5時半頃に武蔵境を出発し、美し森の駐車場に到着は8時頃。支度をして計画書を道路脇のポストに入れて出発する。
アプローチの行程には勿体無いような晴天の元、出合小屋まで2時間程歩く。
(初日の下界は天気良し)
小屋には二つのテントが張ってあり、3人Pは上の権現沢に日帰りとのこと。彼らを追って本沢を少し詰めたところで渡渉のトレースがあり、天狗尾根突端を少し下って赤岳沢に入る。先行のトレースは程なくしてワカンに付け替えたようだ。壷足だと膝上まで潜るのだが取り付きまでのガマンとしてそのまま進む。しかし20分程格闘して先行がまだ大分先に見えたところで、諦めてワカンに切り替える。やっぱ楽だ。
(赤岳沢からの取り付き)
取り付きは前回(12月)より雪が多く、岩が露出していないので歩き易い。3人Pがワカンのままでラッセルしているのでこちらもそのまま。尾根に上がる直前は足場が笹に覆われて滑ることこの上なく、腕力頼りの木登りになった。稜に上がってからは先行にラッセルのお礼を言って、ワカンを外して先に行かせて貰えた。概ね踝上、潜っても膝下程度の雪で快調に進む。
(尾根に乗った)
(岩尾根のトラバース)
途中に一箇所だけある痩せた岩場は前回は稜上を行って最後にクライムダウンしたが、雪が乗っている左側にステップを切ってトラバースすることが出来た。ラッセルという程では無いのだけれど先頭のトレース付けは気持ちが良い。
(旭東稜の五段の宮)
テン場確保もあったのでグレ子さんのペースを殆ど無視して(ちゃんと途中で待つけど)進み、高度計で2,280mの樹林帯に適地を見つけて幕営。テントに入る頃に2人Pが上がってきて先に進んで行った。ちょっと残念。
(2,280mのテン場)
夜半は風が強いが樹林に守られてテントはあまり吹かれず。一応軽量化したのでお酒はブランデー750mlのみで、これは半分以上飲んでしまった。明日中に抜けるモチが上がる。
(1/10)
4時半起床。支度をしているときにも風の音の間隔が長くなっているのが分かる。晴天とは行かないが強風に苦しめられることはなさそう。出発は7時近くなってしまい先頭奪取はどうかと思ったが、ラッセルの感じだと行けそう。カニのハサミの手前で追いついてラッセルのお礼を行って先を譲って頂くも、先行は登攀用具装備。あらら、基部まで進んでこちらはアイゼンから始めて準備をしている時に先頭交代。要領悪くハーネスをヤッケの下に締めたのを直したりして30分も遅れてしまった。
(カニのハサミ)
(カニのハサミを巻いて)
カニのハサミを左から巻くと直ぐに先行の声が聞こえた。あれれれ? 一人がここで手こずっていてこの調子ではこの先は進めないので引き返すとのこと。ありがとうございます、労せずして先頭に立った。簡単な岩稜を嬉々として進みfixのある箇所に到着。今回は最初からロープを出す。ここで昨日の上の権現沢組が追い付いてきて、岩場をノーロープ直登で越していった。実力違いですね、仕方ない。で、ワタクシリードは残置に手を絡ませたりして、アックス一本で取り付いたのをちょっと後悔。ルンゼに入ってしまえば快適。40mくらい伸ばして立派な立ち木でグレ子さんを迎える。
(fixの先の右のルンゼを上がって確保中)
(カニのハサミがあんな後ろに)
ここで別の日帰りPが続いてきた。装備の重さの違いから歩きで差が出るので、大人しく先に行って貰う。途中の岩場であちらは直登、こちらは左トラバースのルートを取った。直登は最初の岩登りを越して稜上に上がると楽らしい。
(ニセ大天狗)
(こちらが大天狗)
(大天狗の右トラバース - 実際は枠外下のバンドを行った)
さて、大天狗。先頭Pは直登した模様、続く2人Pもそれを追っていた。こちらは右の巻きのルートに取り付く。記憶では残置の赤スリングに頼らずに潅木でランナーを取った後は少し上がってからトラバースなのだけれども支点は見つけられず。そんなこんなの説明をグレ子さんにして、さぁリードを振ろうと考えていたんだけれど、どうも気が乗らないご様子。アックス2本にして自分がジリジリと取り付く。ランナーの取れる立ち木まで近寄っても赤スリング以外の支点は見つからないので、試しに少しクライムダウンしてみると赤スリングの真下まで飛び飛びのバンドが続いており、手はアックス頼りでトラバースする。「Quark効くー」と思わず叫んでしまうほどフッキングが良かったし、緊張もした。
残置スリングから上がるところは、スリングを掴んでも左足が良いスタンスまで上げられず、暫く行きつ戻りつを繰り返す。左手のQuarkがバッチリ草付に刺さり、右手のAlienも信頼できそうだったので、両手でカラダ(とザック)を引き上げた。後は前回同様に飛び飛びスタンスと曖昧なホールドでテラスに立って緊張から解放された。やれやれ、次からは「オレもうリードしたからいいよ」と言おう。
(巻き終了)
ロープを仕舞って小天狗を左から巻く。一度、岩に惹かれて上がりすぎたが、戻って少しトラバースすると緩傾斜を上がることができた。
(小天狗を巻いた後)
縦走路に出てツルネへ向かう。覚悟はしていたキレットへの下りはガレガレなのとルートが分かりづらいのとで神経を遣う。休むところも無く、一本取ったのは下降開始から1時間半も経過した樹林帯の中になった。そろそろ2時。ツルネ下降経験のあるグレ子さんによると上部に幕営適地はないとのこと。ラッセル箇所も出てきて、ツルネまで1時間を見込んで、そこからどれだけ下降できるか。いずれにせよ今日中に美し森へは帰れないだろう(実は帰れたら翌日は外岩に行こうと思っていたんだが...)。ならば安全なところで幕営とし、10分そこらの歩きでキレット小屋まで降りた。
(1/11)
(ツルネ東稜への入口)
昨夕テン場に到着したPは先に出発していた。雪はクラストしていたのでワカンでなくアイゼンで歩行開始。程なくして先行に追いつく。ラッセルではなかったけれど、傾斜のキツイところは早く抜けたほうが楽なので抜かせて貰う。視界は良くツルネの三俣がはっきりと見え、遠目にも降り口は間違いそうに無かった。トレースはばっちり着いており、それを追って下降する。途中、2,450m付近で目印が錯綜している箇所があり、右のトレースを追うとハズレ。左を追って、稜を少し右トラバース気味に進んだ。その先は目印豊富なのだけれど、ところどころで急に降りている箇所や小さく巻いている箇所があり、トレースがなかったら分かりにくかったかも。
出合小屋で装備を解いた時には雲海の下に入ったらしく、遠い稜線の先には青空が見えるも日差しは薄かった。11時には駐車場に戻り、たかねの湯に入ってから渋滞の始まっていない中央道で帰京。
今回持っていったアックスはこちら。
(左:Petzl Quark, 右:DMM Alien)
Quarkは引き付けて体を持ち上げても外れない安心感がある。Alienは遠慮なく岩を叩けるのとラバーグリップが握りやすい。
ちなみにAlienはヒマラヤニスト引退のY崎さんから頂いた品でございます。重量があり、ストレートシャフトなのでハーケン打ちにも良いかも。