ある日の美術教育ゼミ。ゼミ生の丹内さんは,模擬授業がしたいと,学部生時代の専攻であった織物を教材化した。
子どもたちと織物の最初の出会いは,織物クイズから。ホワイトボードに掲示したどの絵画が織物でしょう?ってことから始まった。
答えはもちろん全部,なんだけど(^^;)。でもこの出会いの演出,いいね。それだけでなく,織物の構造の理解を促す教具の開発まで行っていた。ホワイトボードに立てかけてあるヤツがそれだ。いや,本当にいい授業だった。
この模擬授業は,彼女の教師としての適性が発揮されている場面だったと思う。内発的動機を高める授業づくりの感覚はもちろん天性のものもあるけれど,訓練によって大きく開花する部分でもある。
その点,うちのゼミは特にここ数年,現職の先生が大学院生として教育ゼミに来られていて,現場の厳しい目で模擬授業を批評して下さる。ある意味結構辛辣な指導と言われもするが,決してそうではない。ここで身に付けた力が子どもたちを幸せにし,それが将来,ゼミ生を幸せにするのだ。
だって,批評という行為は,決して悪口を言う行為ではなく,プロとして教育鑑識眼を磨くために必要不可欠な行為なのだ。残念なことに,近年多くの若者が批評を悪口や人格否定と受け取り,耳障りのよい言葉しか受け入れない現実がある。その結果,高みを求められず,どんどん授業力が低下してくる。プロになりたいのだったら,プロのレベルの教育を受けるのが欠かせないのだが・・・。
一方,幸いなことにうちのゼミに来てくれる学生は,批評も前向きに受け入れる懐の深さと前向きな謙虚さを持っている。丹内さんしかり,今年現職で来られている岡本先生しかり,そして研究生の深田さんしかり,である。
共に切磋琢磨する関係というのは,遠くに目をやり,見通しをもって共に高めあう関係なのだ。
毛糸を使って織るためのフレームも丹内さんの手作り。教具開発のすごさがしみるぜぃ。
ちなみに,丹内先生は,ミネくんの作品を見て・・・「うん,まぁまぁいいね(^^;)」って誉めてくれて,そのあと少し修正してくれたんだけど・・・いかが???先にピグマリオン効果を教えておいて・・・よかったかなぁ(^_^)v。