Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

教員の力量は何によって・・・

2012年06月22日 | 教育・研究・ひとの育ち
「教員の力量」,言い換えると「教員の教育力」とでも言うべきものは何によって,そしてどのように構成されるか。



少々の杜撰を承知で言えば,教員の教育力はこの3つによって構成される。

まずは「教育(科)内容の知」。これは教える内容や特性についての知識や技能・智慧など,教師としての最低限の能力。授業をするのが教師の一番の仕事だから,授業で教える内容についての知識や技能・智慧などを知らない,あるいは身についていない者に授業ができるわけがない。もし教えるべき知識がなかったり間違ったことを教えているとすれば,これは教師としての資質を疑われる。

次に「人間と子どもの知」。教育(科)内容を教える相手は当然,人間であり子どもだ。人間と子どものことや特性を知らなくては,どのようにすれば効果的・効率的に教えるかといった工夫ができないだろう。この「人間と子どもの知」,この大切さの認識が,残念ながら一般におおいに欠けていると言わざるを得ない。この知こそが結局のところ,過去の価値ある文化遺産を見極め,児童生徒の実態に合わせて適切に教材化する力につながっていくのだ。

そして3つめが人間性。どのような人柄なのか,児童生徒に対する愛情がどのようなものなのかなど,さまざまなことがこの人間性には関わってくる。前に示した二つが,ある意味教師の本質的専門性とすれば,それを発揮させる潤滑油のような働きをすると考えたらよいだろうか。ただこれは,どのような人物として児童生徒に映るか,ということでもある。つまりこの人間性を「伝わる」側面に焦点化して捉えれば,コミュニケーション能力が大きく関わっていることも肝に銘じなければならない。

気をつけるべきは,この3つがかけ算で結ばれているということ。既にお気づきであろうが,これらのうちどれかが欠けていると,極端な言い方をすれば「0」であるとすると,その答え(積)は「0」となる。他の能力がいくら高くても,他の実績がどのようにあろうと,一つが「0」であれば,かけ算だからその答えは「0」だ。だから教師をめざす者はこの三つを,どれもしっかりと獲得し磨くように努力しなければならないんだ。大変だけど,やりがいのあることだよ。
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