京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間。

2013-01-26 09:09:26 | 日記

時計には裏と表があります。当然です。
「神は細部に宿る」というように人間も時計も裏を見るとその良し悪しがわかります。

安物国産時計の裏面、情けないほど「しょぼい」つくりです。
写真の「ブルガリ」裏面のフタをきれいに明けられるよう突起が腕周りに沿うように取り付けられてある。親切な設計なのです。

エルメス「H」ウオッチの裏面。
HERMESのロゴ刻印が見事!エルメスになれていない技術者には裏表を逆にして閉めてしまう人がいます。気をつけましょう!

カルチェの裏。フタの曲線が有名。
2本のネジで裏ブタを閉めるのですが密閉度が高いのでネジなしでも裏ブタは外れません。ピタッとくっついている裏ブタを取る時に、傷をつけないように気を使います。

それぞれ高級時計には特徴があるのです。
時計の世界も軽蔑されないように作りたい。

「アルジェリア」のテロ人質事件では残念な結果に終わりました。
救われるのが「日揮」川名浩一社長の言葉や姿勢が優れている事でしょう。
彼の一言一言が社員に対する想いがあふれていました。
若い人たちがこの会社にあこがれる事もわかる。

昨年から仲間内で日本人がよく引き合いに出されていました。
各国の国民を偏差値であらわす。
アメリカは40。
フランス50.中国35.ところが日本・イスラエル60と高得点です。

ところがリーダー達の偏差値になるとがらりと評価が違う。

ちなみにアメリカ・フランス国内では100点に近い得点の人がトップに上る。
日本ではそのグループの中で一番低い点数の人が選ばれる傾向にある。
選ばれた人はグループを作りたがるので日本は低いレベルの人ばかりで組織が運営されるのだ。結果が最近の低レベルになる。

これは国別の政治家を見るとよく分かる。
日本で「おばか」グループの政治が続いたので、隣の大統領が嬉しそうに「竹島」登山を楽しめた。
日本がこれほど周辺国から攻撃されたのは初めてでしょう。
「水に落ちた犬は叩け!」は国際的な鉄則です。

中国では「愛国無罪」でやりたい放題。
日系の家電メーカーでは日本人が幽閉されるなどトラブル続きだ。
最近、中国国内で暴動など多発していたり、北朝鮮のミサイルが中国製だったことがばれてしまったなどで各国が早々と離反している。

そろそろ、日本に擦り寄ってくる頃だ。
早く、ババを引く前に撤退しましょう。
日本のリーダーの器量がまたまた試されているのですが一番対応が遅いのが気になる。

時計業界を見る。各社年頭の所見を発表しています。
「セイコー」の戦略は「サテライト」衛星電波だそうです。
現状の「地上波」と違い情報量が多い、全世界で使える衛星電波時計になりそう。

「全世界同時マラソン」全世界のランナーがいっせいにスタート。
また、使用者の位置が確認できる事から登山などのシーンが変わりそうです。

とにかく、ここらで一発!日本の底力を見せてほしいね!
押され気味でしたがここらでふんばって一歩一歩進んでいきましょう!









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時計師の京都時間。

2013-01-25 09:28:19 | 日記

1914年にドイツから神戸へやってきた掛時計。
文字盤の裏に書かれた輸入された期日の文字がかすかに残っていました。

神戸で使用されていた時計です。
戦災、震災と大きな災害を潜り抜けてきたタフな時計です。

修復作業は難航しました。
木枠上部が割れる程の痛みです。機械もかなりの負荷がかかっていました。
それでもさすがにドイツ製です、歯車など重要な部品はしっかりと稼動します。
時報部門のピンなど磨耗している箇所を作り直す。

修理終了後、ゼンマイを巻き上げる。一番の楽しみのときです。
時計は何もなかったように動き出しました。
これであと1年もすると立派な100年時計「つくも神」に昇格します。
嬉しい修復作業でした。


今日25日は「お初天神」の日。
写真はミッソーニ。こんな名作に出会うこともあります。
露天市だからといってもバカには出来ない。
境内にはさまざまな商品を持ち込んだ約1000件の出店でにぎわいます。

特に1月の「お初天神」には特別な思いがあります。
1月25日「菅原道真」公が大宰府へ左遷された日。
25日に生まれて25日にお亡くなりになる。

無実の罪など誹謗中小の結果、左遷された日が25日。
「25日」が天神様のキーワードです。
彼の命日にちなんで毎月「市」が開かれます。

大宰府へ左遷後、かれの奥様や家族も悲運のうちに亡くなった。
京都へ上洛の夢も途絶えて恨みが頂点に達します。
呪詛の技術を習得後、悶絶死に至る。
「菅原道真」公は北野天満宮の奥で今でも生きているとの言い伝えがあるのです。

私も左遷を繰り返しました。左遷地からさらに左遷された事もある。
失敗ばかりの人生なので当たり前?の人事異動だと思う。

それでも一人前に逆恨みをした。
京都から高速道路を名古屋方面に向かう。途中、米原の北陸道で「左折」。金沢方面に向かいます。これを京都では「左遷」といいます。

左遷生活の4年間。家賃は一軒家でも会社負担。通勤時間徒歩15分のラッキーな生活が待っていました。
ざるいっぱいのエビ!かに!冬は食べ放題の白子!牡蠣!ふぐ!
エビアレルギーの私がなぜか金沢時代には一度もアレルギー湿疹が出ませんでした。
エビがこんなに美味いものだと初めての体験。

日本酒、豆腐は美味しいし、文化レベルも高い。
地元のアンサンブル金沢には指揮者の岩城宏之氏が元気な頃でした。
文句なしのばら色の左遷生活を楽しめた。

「北野天神様」で御参りするときに少し後ろめたい気分になってしまうのです。
「楽しんでしまってごめんなさい!」

念願の再上洛を果たして10年ほどたちました。
毎日、休みなく仕事ばかりの生活。今年もスキーツアーの予定はない!
「これでよかったのかな~?」
夜中に眼が覚めて考え込んでしまいました。


















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時計師の京都時間。

2013-01-24 09:48:40 | 日記

高級時計。
やはり修理が来ると緊張します。
価格が高いだけでなく素材が違うのです。

文字板は金で加工しやすいようにやわらかい素材を使用している。
時計の文字盤は光の反射で読めなくなる。

光の反射を避けるために「ナナコ模様」など「ギョウシェ彫り」、段差をつける「エンボス」といわれる加工をしています。
当初の目的は見やすい文字盤からスタート、そのうち芸術性まで追及されるようになりました。

普通の高級品は金の素材に銀メッキを施して仕上げます。
修理中にピンセットなどで傷をつけると文字盤交換!10万円単位で飛んでいきいます。
何度か失敗経験を積んで学んでいきます。
一番事故がおきやすいのが針を取る作業中の事故。
まだその時計になれていない初期の作業中によくおきます。

時計師初心者の頃、慎重な人や失敗ばかりやってしまう人などそれぞれです。
失敗ばかり繰り返す人は時計の本数をこなす事になるので上達が早い。

失敗してよく怒られる人の方が見込みがある。そんな評価されるのがこの世界。
「失敗」しない人は仕事が遅いか、難しい仕事を避ける人だという評価なのです。

それでも失敗ばかりの日。文字盤に涙と鼻水が落ちる事もよくあります。
涙は酸性なので文字板が銀の皮膜が突然真っ黒になって目の前も真っ暗。やり直し!
夜遅くまでポツンと居残りはつらいものです。

涙と汗の文字盤物語。
完成した時には本当に嬉しいものです。
一般の人には文字盤職人の極意をもっと楽しんでいただきたいと思います。






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時計師の京都時間

2013-01-23 14:54:46 | 日記

『晴明神社』今日の風景。
修学旅行生でいっぱいでした。

最近、男の子でもおしゃれになってきた。
男女おしゃれなグループで京都を漂うのでしょう。
京都の風景にぴったり良く似合っていました。
さらさらの金色の髪が風に揺れています。晴明様もにっこりしていることだと思う。

境内のおみくじを結んでいる姿は昔と同じ。
なんとなくほほえましい光景です。


時計の文字盤の質問がありました。
文字盤一つで時計の評価が大きく変わる。

ワインのエチケットなどもデザインの参考になります。
ピカソもエチケットデザインに関わったこともあるほどエチケットのデザインは充実しています。
右のイタリアワインは安物ですが切手型のデザインが気に入って買ってしまいました。

2010年物は『あたり年』ブドウ畑に植えてあるバラがとても綺麗だったそうです。
今日はこの2本を買ってきました。

時計の文字盤も苦労の歴史がある。
コインや切手を時計の文字盤に取り入れた時計もあります。
『ロベンタ・へネックス』『コルム』などコインを真っ二つにして作る。
薄型のムーブメントが自慢のメーカーさん達です。

中には隕石の表面を削った文字盤など珍しい物もある。
割れやすいので裏に金属板で補強します。修理は大変です!
ホーロー、セラミックなど修理職人泣かせだ。割れる、滑る、はがれる。

 バイヤー時代は名古屋が長かったので文字盤は白一色の仕入れでした。
『尾張名古屋は城(白)で持つ!』
「迷ったら白文字盤を仕入れときゃええがね~。バイヤーはどえりゃ~楽でええな~。」
おかげさんで5年間のバイヤー時代は楽に仕事をさせて頂きました。
白:黒:ブルー=7:3:1の比率。オレンジなどほかの色になると絶対に残る。じばら買取覚悟で仕入れます。

「白文字盤」が売れるのは日本とアメリカ程度でしょう。
カルチェ、エルメスなどもともと生産数が少ないので白文字盤を仕入れるのは大変。
ヨーロッパではまず出回らない。

ロゴ部門の話になるとさらに複雑。
アラビア数字1,2,3.はビジネスウオッチ。
ローマ数字Ⅰ,Ⅱ、Ⅲ、Ⅳはドレスウオッチがそれぞれ買いです。
(フランス皇帝により時計業界の数字ⅣはⅢに一本加えたロゴになります。)

時計の針が時針だけという変わり物のドレスウオッチもあります。
針まで不要な文字盤デザインの主張!

ドレスウオッチには秒針は不要な時計が多い。数字のロゴも極力抑える。

白蝶貝の文字盤の素材や星、花、雪の結晶などをエンボス加工などを主張したい。
当然、ベルトと一体型のデザインですので複雑なデザインになります。

「BMWの運転席からブルガリのスネークが見えた夏。白い腕にゴールドのリング。文字盤はミッドナイトブラック」
まぶしい思い出です。時計文化が発達している要素はこれだと思えた!
ハンドルの関係でヨーロッパ車と時計の関係は深い。運転席から見える腕にこだわりの時計は見ごたえがある。

「ドレスウオッチ」は一瞬で時刻を読み取るのは困難。
新入社員が12,3,6,9ロゴなど4つ以下の時計購入は控えたほうがいい。
1時間単位の読み取りミスを起こすことが多い。

電話連絡など海外の9時間、14時間の時差計算をするシーンが多くなります。
「スイスは今何時?」など上司から聞かれる。
また現地の祝日など特異日もあわせて把握する必要があるのです。

『イスラム暦』など複雑な暦で生活している顧客もいます。
1本だけの時計を使って時差を暗算で読めるようにしましょう。

セイコーの「グランドセイコー」は究極のビジネス時計。
『オヤジ時計』です。ロレックス「116233」も同じ部類。
オメガ「コンステ」シリーズなどおしゃれなビジネス時計もありますよ~。

ケチで有名なドイツ人のお話。ドイツ人はからかわれやすい。

時計屋に数回足を運ぶ。彼らは一度で衝動買いすることはまずありえません。
3度目の来店くらいでもセイコーかシチズンで迷うのです。
「よ~し決めた!それでは自分の子供が社会人になるときのプレゼントはシチズンにするよ!」
ーお子様はおいくつですか?
「今から作るところだよ~ン」

ちなみにドイツ人の新婚旅行は近所のホテルで過ごします。
ぼろぼろの姿になった友人を街中のスーパーで見かけて驚いたこともありました。
「いま、新婚旅行と違うの?」
休暇利用で自宅の壁を改装して子供部屋を作っているとのことでした。
「子供も部屋も50時間で仕上げる予定だ!」
時間の管理がしっかりと出来る、何事もむだを嫌う国民性です。

『経理・総務』を探すならドイツ人。無尽の部屋に明かりがついていると徹底的に消して回る。シチズン時計のユーザー。
『営業』イギリス人。世界中に知り合いがいる。ロレックスのアンティーク、ただし3日に一度は止まる。

『企画』フランス人。10年後みんな忘れた頃に売れる。特殊時間管理能力の持ち主。仕事でも時計はつけない!

『社長』のイタリア人。どこからかお金を借りてくるのが得意!殆ど仕事らしい仕事はしないのですがなぜか会社はつぶれない!
時計はブルガリ。
私が知っている外人たちです。

時計選びは楽しいものです!
じっくり百貨店めぐりを楽しみましょう!お客も少ない季節です。話を聞くのはただです!

明日はしごと。
灯油料金が1980円に上ってしまいました。これから寒さが本格的な北山。
工房に来てくれる人は防寒装備が必要です。遭難するかも?
ご来店をお待ちしていますよ~。













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時計師の京都時間。

2013-01-22 09:12:36 | 日記


カシオG-SHOCKの電池交換風景です。
黄色と白のモデル。ユーザーは運送関係「宅急便」のお兄さん。いつも時間と追いかけっこのしごと今日はお休みを利用してのご来店です。

荷物を運ぶ時に時計をガンガンぶつける。
それでも故障がほとんどない時計は便利。

蓋を開けると、時計の上12時方面から水が入ってる。
時計の裏蓋12時側に錆が浮いている場合、早めにメンテナンスに出しましょう。
G-SHOCKの泣き所はここです!

ケース、裏ブタの錆を取り除いて防水パッキンをシリコンで掃除する。
これで時計は「復活!」また明日から元気に使えます。料金2個で2000円。

普段、時計を必ず2個もって行動するそうです。
時間が命のロジスティック業務。2個同時に壊れる事は0%に近いので安心。
世界的にこのデリバリー部門ではG-SHOCKの評価は高い。

日本の「宅急便」も世界に誇れるシステムなのですが、時計屋と宅急便は便利さが当たり前になっている。もっと感謝してほしいね!


「常時、芸術品を周辺においておきなさい!」
企画で失敗した時など注意された言葉が思い出されて身にしみる。

自分が日常利用しているものにこだわる事から「ものつくり」は始まっている。
妥協のないものに囲まれた生活を送りたいと思う。
ところが自然と無駄なものが身の回りに増えてくる。

「安野光雅」氏の作品に「旅の絵本」シリーズがあります。
眼が疲れた時にキズミ(時計用ルーペ)で面白い隠しキャラを見つけるのが楽しみです。
眼を休める時に眼を閉じているとそのまま眠ってしまうので、「絵本」は最適な快復アイテムなのです。

今回の「洛中洛外」は水彩画。ページを開くとすぐに穏やかな世界に入れる。
心が荒むようなニュースばかりなので助かります。
図書館からお借りしてきた。
明日は工房がお休みなので本屋さんで探してこようと思います。

もう一つの写真の時計。お客様から「使ってください!」と頂きました。
おじいさまが住んでいた神戸、「戦災」と「震災」から偶然まぬがれた時計だそうです。

私も「災難」にはよく出会うがなんとか生きています。
ホテルで鍵をかけたはずの部屋で夜中、強盗に入られ首を絞められて眼が覚めた。
路上強盗に襲われたなど災難に遭った。
エビアレルギーで死にかけた!などなど。

警察官だった父親から逮捕術などで鍛えられていなかったらいまどきこのブログはなかったと思う。
子供の頃に覚えたことは反射的に反応するようです。

「ヨーロッパで覚えた事はワインのコルク抜きだけ!」
「ソムリエナイフ」1本だけであっさりワインのコルクを抜くと皆さん驚きます。
エチケットも貼っていないような2番、3番搾りの安物ワインで鍛えれた成果です。
時計のしごとより喜ばれる技です!

食事中にワインを「白」から「赤」に変えるのはOK!「赤」から「白」の変更は怒られた!
ワインがまずくなるのです。

昨夜は「アフリカ」テロ事件の報道でずっと涙があふれ出た。涙入りのワインでした。
歴史的に世界で一番寛大な宗教「イスラム教」の力でも「アルカイダ」のテロは止められないのかと残念に思う。
悲しくて今は言葉が出てきません。

「この時計の近くにいると大丈夫ですよね~!」
時代をくぐり抜けてきた時計を長い間眺めていました。
修復作業後に、工房で展示しようと思います。
今日と明日で出来るところまで仕上げようと思います。













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