京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間。

2013-01-12 08:59:18 | 日記

スイス「シャウハウゼン」で列車事故が発生したそうです。
時計メーカー「IWC」の地元で起きた事故、日本では詳報がないので心配です。
「安全神話」が止まってしまった?

時計年末年始の量販期もこの3連休の成人式で終わり。
最後の踏ん張り、ミスのないように気をつけましょう。

新成人に贈りたい時計選び。この次には「バレンタインデイ」が控えています。
このイベントもプレゼント需要が大きいので油断できない日々が続きます。

工房では年明けに時計のサイズ調整依頼が多く、今年の不況の程度がよく分かります。
不景気な年ほど年末に量販期が集中する。
ここ数日、掛時計の修理とサイズ調整などイレギュラーの仕事が多くなっています。

ガラスで裏表固めた「マジッククロック」の修理です。
カルティエの「マジッククロック」が有名。
機械が見えない構造なので修理はどこから始めて良いのか謎解きから始める。
今回も難航しました。

裏の木枠を壊す。なんとバリバリと壊す。
「スウォッチ」と同じ使い捨て構造の時計。

物造り基本の修理が出来ることを前提として作られていませんでした。
「マジック・クロック」部門では違反時計だ。
デザインさえ見事なら売れる!後期資本主義社会の時代の象徴時計でしょう。

もう一つの時計。
せっかくのデザインが残念!12匹の動物が量産品のため同じ型だ。
色が違うだけなのががっかり!

日本製の欠点はデザインが貧相で悲しい事だ。
一つ一つの表情を手書きで作るヨーロッパのデザインが懐かしい。
幼児用の時計ですが子供から「へっ!」とバカにされそうです。

2台とも機械は中国製。あたりはずれが多い。
なんとか機械を交換して出来上がりました。料金は3000円。

中国から正月休みを利用し帰国した友人のお話。
日本に帰省して鶏肉など肉料理を思いっきり食べたそうです。
ケンタッキーフライドチキンなどファストフードは日本の鳥肉を使っているので安心なのだ。

現地では成長剤やら抗生物質など怖い薬品浸けの鶏肉が出回っているので外食産業は利用したくない。
ハエも鶏舎周辺ではパタッと落ちて死ぬそうです。
「衛生的」な鶏舎が自慢なのだそうだ。

「それ!日本に輸入しとるのとちゃうか?」
以来、スーパーの食品売り場で余計な不安を抱えるようになりました。

時計業界での都市伝説がある。
「社会主義・共産主義」社会では時計産業は発達しない。
高級時計が生産されている地域はヨーロッパと日本だけ。

無宗教地域では時計産業は使い捨て量産品に限られる傾向だ。
ところが日本で販売される掛時計はほぼ100%中国生産。

中国製品は外から見えない部分のイモハンダなどひどいものを見つけることが多い。
旋盤作業も雑です!
洗浄前の簡単なバリ取り過程を省略しているので金属クズが残る。いずれ機械内部に入って時計は止まる。
問題は見えないところをきれいに作り上げようとする文化・習慣がない。

このままでは時計分野の日本企業はいずれ衰退することになるでしょう。
日本時計メーカーの信頼度が急激に落ち込む前に撤退したいものだ。

少なくとも私の不必要な機械交換の作業がなくなるのが希望です。
1年の保障期間が切れたすぐ後に時計が壊れるような修理はつらいのだ!

国内生産に切り替えて「付加価値」を追求することでコスト増をカバーできるはずです。
写真のような12個の人形なら表情豊かに作り上げることでヨーロッパ製品と初めて競争できる。
この3連休!町の時計屋さんに行ってみよう!
重い現実があります。


コメント
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