goo blog サービス終了のお知らせ 

京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間

2011-12-13 13:08:57 | 日記

カルチェ。クオーツ。
珍しいアラビア数字です。1・2・3のロゴデザインがころころとして面白い。

ウラブタは2本のネジで固定されてある。
1,2ミリのドライバーを使い分けてあける。

ケースは銀に金メッキされてあるマストシリーズだ。
磨き粉をつけてごしごしとこするとメッキがはげるので要注意。
地肌の銀の色合いもきれいなので磨きすぎてクレームになった事は一度もない。

ぼちぼち帰省の連絡が入ってきます。
京都に里帰りの間にどこかで一杯のお誘いだ。

オヤジが久しぶりに家庭に帰ると愛犬にかまれる。
「オヤジ!臭いの。いつまでいるの?」嫁さんと娘の会話がこれ見よがしに聞こえる。
オヤジの居場所がないのだ。

可愛い、愛くるしいキズモのような娘がいきなりグレムリンに変身している。
早い女の子で小学高学年になると「オヤジ大嫌い!さわらんといて!」
オヤジはこの変貌ぶりにオロオロするだけだ。

私の家庭も同じ。「学校の教育が悪い」「母親のしつけが悪い」「日本だけの現象だ!」などと友人を捕まえて愚痴っていました。

ある年の正月休暇。
例によって初売りの運転手。
「京都大丸」さんの駐車場は狭いので産業会館に停める。その後、高辻通りを東に河原町を北に上がって「高島屋」の駐車場へ向かう。
客待ちタクシーとのバトルを勝ち抜いて駐車場へたどり着く!

店内の売り場の壁にはずらりと並んだ荷物係りの親父たちが張り付いている。
空いているスペースを探して隙間に入り込む。

時折、娘たちが買い物の戦利品を預けて再び戦列に復帰。
「おやじ!いつまでいるの?」先日聞いていた次女がやってきた。

「お父さん。もうちょっとまっててな~。あと72時間な!」ドキッとした。
72時間後には新幹線に乗って成田へ向かう。娘は私の持ち時間をカウントしていたのだ。

新幹線のホームでお母さんはいつも泣く。一緒に自分たちも泣いてしまう。
3人だけのつらい時間がまた始まるのだと思うと悲しくなるのです。家族全員がそろうと嬉しいのだけどそのあとがつらい。

嫁さんと娘で灯油を買いに行く。電球が切れたら自分で交換する。ブレーカーが落ちたら真っ暗になった部屋に恐る恐るブレーカーを探す。
頼りになる「お父さん」はいないのだ。

可愛い「キズモ」はまだ心の中に生きているのだけど複雑。優しい言葉に出てこない。
「オヤジはいつまでいるの?」問いかけは別の意味があったのです。

つらいのは私だけではないと初めて気がついた。へたれのオヤジでした。
当時は「家族全員がそれぞれ何かと戦っていたのだ。」

出発の日新幹線のホームで「ふたばの豆餅」を差し出された。
「オヤジが好きな豆もち!。」行列にならんで買ってきてくれたのでしょう。まだ暖かい。
新幹線の車中でも飛行機の中でも食べられずにとうとうホテルまで持ってきてしまった。
暗い読書も出来ないホテルの部屋で固くなった「豆餅」を食べた。最高の思い出です。

オヤジ代表!福島第一の「吉田昌朗」前所長。大阪の御出身、関西人だ。私と同じ歳の56歳。
一日も早く回復して活躍していただきたい。

彼は福島、私は岩手。彼は関西「花さかじじー」組合のヒーローです。
「消費者利便のため!」に命をかける人がこの国にはまだまだいるので安心した。

明日12月14日は討ち入りのために工房はお休み。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時計師の京都時間

2011-12-12 13:12:04 | 日記

夕刻。京都の暮れ六つ時。
工房から見えた比叡山も日暮れと一緒に消えました。

一日使った道具たちの掃除が終わって帰宅直前の写真。

使う時間よりその後の調整、掃除に時間がかかる仕事です。
振動が起きないように微調整を繰り返す。

古い京町家なので限界があります。
建物全体が道路側に傾いている。

柱時計も柱に沿って調整すると誤差が出るのだ!
これも失敗から学びました。

「サンタさん」にプレゼントをお願いするなら何がほしい?
今日は「石川五右衛門」の命日です。かまゆで記念日。
この日、我が家は「釜揚げうどん」を食べて義賊をしのぶのです。

石川五右衛門と「サンタさん」がかぶってしまう庶民の私だ!
京町屋にいきなり「現金プレゼント」の五右衛門さん。
処刑を命じた秀吉も京都では人気が高い。

「花咲かじじい」から「ゼベット爺さん」に華麗に変身した私だ。
それと同じく「物欲」がなくなってしまう。

今年もサンタさんにお願いするものが思い浮かばない。
ほしいものがない!ショックだ。

「花咲かじじい」の頃は物欲のかたまり。歩く「物欲」でした。

自動車の「ジャガー」がほしい。「クレモナ」のチェロがほしい。カワサキの「W1」がほしい!
家族の迷惑を顧みず預金を下ろしてお買い物準備。

「ジャガー」はトランクにチェロケースが入らなかったのであっさりとあきらめた。

「クレモナ」は下見と都合3度お店に行った。いよいよ当日、お店では係りの人が先客の女性にバイオリンの接客でかかりきり。私との目をそらす。私を無視していたので黙ってお店を出てきた。
彼は売上の数百万円を失った。私はあっさり購入する気分をなくした。

その後お店に入っていない。もちろん今では東京に行く機会も少なくなった。時計屋さんの視察が終わるとさっさと帰る。

「川崎W1]高速道路が無料化になった後に購入しようと待っていた。
高速道路の料金所でもたもたするオートバイだ。ゴミ扱いから開放される日を待ちどうしく待った。
その日は永遠にこない。絶対にこない。民主党は永久に1票をなくした。

今年の「サンタさん」には出町・フタバの豆餅を2個お願いしました。
オーソン・ウエルズは「ローズ・バット」のキーワードを残す。

京都の「ゼベットじじいモドキ」は「豆餅」がキーワード。

ヨーロッパのホテルの一室。
本も読めない暗い灯りの中、日本から送ってくれた「ふたばの豆餅」。
かじってみたら添加物が何も入っていないのでとても固い。

厨房のオーブンに入れてもらうとすぐに溶けてなくなった。
いつもは機嫌の良いシェフもジュルジュルと文句を言う。

ヨーロッパのホテルの室内は明かりが暗い。読書も無理。
狩猟民族の町なので部屋は寝るだけが目的だ。

読書は暖炉があるロビーでやってくれ!
会話はバーを使ってくれろ!なのだ。

室内で固い「ふたばの豆餅」をしがんでいた私だ。
クリスマスはもうすぐだ!
「サンタさん」に私の「物欲」が戻りますようにお願いしようと思う。














コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時計師の京都時間

2011-12-11 13:38:03 | 日記

ゴルフカウンターウオッチ。レビュートーメン。
一打ごとにボタンを押してタタキ過ぎたプレイの悔しさを思い出す時計。

このモデルがまともな状態で戻ってくる事が少ない。
「行ってらっしゃい!」
時計を販売して何ホール持つだろうかと心配しながら送り出す。

私はゴルフはしません。昔あっさりとやめた。
山を削って作られた無残な自然破壊コースに驚きました。

今回、戻ってきた時計から判断するとかなり激しいスポーツのようだ。
水没は当たり前。
時計のケースはブシュで傷だらけ、登山用アウトドア・ウオッチよりくたくたです。
物を壊すスポーツは苦手だ!

「物を大切にしない国は滅びる」哲学好きなフランス人の言葉だ。

京都・堀川通りの高層マンション街には高級家具が頻繁に捨てられている。
通勤途中その光景を見るたびに思い出すのです。

ヨーロッパ~アメリカ~日本~中国~インド。
時計(マシーン)主要生産国の推移(予測)です。
(ジュエリー高級品としての時計主要産地はヨーロッパから一歩も動いていない。)

50年周期で移行していくので今世紀末はインドあたりが主要生産国になりそう?
天才的な頭脳の持ち主、インドが世界のイニシアティブを持つ時代が来そうだ。

国の繁栄と時計業種はシンクロしてきた。
日本はそろそろ落ち目。衰退期に入る。

「モラルも哲学もお金もない」最近の日本の企業。へたれが目立ちます。

国はテレビを捨てさせて企業を助け弱きをくじいた。
来年は武器輸出を解禁して外国人をくじく予定だ。
お金を稼ぐなら人殺しの道具も平気で売る。モラルがここまで落ち込んだ。

関西の対応が面白い。
流れを把握しながら何もしないのが京都!

流れを把握していち早く対応するのが大阪。
落ち込みを最小限にとどめようとする橋下大阪市長さん。
彼の「教育改革」案などにあせりのようなものを感じます。

京都には「貧」「病」「争」の哲学がある。
京都の寺院はこれらのソリューションシステムとして存在する。

昔、子供たちを学校に通わせる目的もこれらからの隔離・非難のためでした。
過去に寺院が対応してきた。

子供たちは貴重な労働者。家内制手工業の西陣地区。仕事はいくらでもあるのです。
学校にいる間は厳しい労働から解放される楽しい時間だ。

「銭湯」に集まる昭和初期生まれのおじちゃんたちは互いに仲が良い。
うらやましいほど楽しい時間を共有しているのです。

過去は間違いなく成功してきた。これを私たちの世代は継承できないのだ。

今年就職にあぶれそうな大学生さん。
そのうち数年後は「成果主義」の企業に就職されるでしょう。おじいちゃん達と触れ合うのも今のうちです。

「貧」「病」「争」
今後、増大、発生する問題点を理解して直面するか、突然の被害にあって呆然とするか。
京都・「時間哲学」の時差を身に着けましょう!
「あわてない!あわてない!」

来年、上京区役所が立替のため「元西陣小学校」に仮移転するらしい。
近くの「ほんやら洞」(ほんにゃら洞と発音する)がおすすめ!










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時計師の京都時間

2011-12-10 13:40:29 | 日記

ロレックス「キャリバー5035」
クオーツのロレックス。

「この職場はロレックス禁止。禁止!」
新人の社員が怒られている。

この鉄道運輸会社は毎日の時刻合わせで秒針まで正確に合わせる。
自動巻き時計など持ち込もうものなら皆の迷惑なのだ。
プラス10秒マイナス5秒以内の誤差にセットされている機械式時計でも持ち込みはだめ!

「これはクオーツのロレックスじゃ~!セイコーと同じくらい正確です!」
自信満々で自慢のロレックスを披露しました。

「あほ!電車に乗っているお客がその時計を見てどう思うか考えろ!」
上司はさらに怒っている。
「この電車の運転手さん!ロレックスをつけている。運転に差し支えないのかな~?」
など乗客に余計な不安をかけるな!

という事で、ロレックスのクオーツモデルがあることを宣伝してください!と電池交換の持込。
日本ロレックスでは電池交換料金5250円。

思い込み・勘違いが世の中に多い。
京都で12月10日を過ぎて他府県に住んでいる京女の移動が始まる。
一般に「嫁さんが楽をしたいので京都に帰る!」と思い込むのです。

大間違いの年越し準備だ!緊張の帰趨本能が復活するのです。

私の家庭も30年以上京都以外の土地で職業「花咲じじい」をやっていました。
子供が冬休みに入ったとたん嫁さんが帰京する。オヤジは留守番。

最悪、遅くても南座の「千秋楽」までには帰る。
京都でお年よりは総合病院と南座には一人で行ってはいけない!
「話し相手がいないと寂しい」

特に「南座」の幕の内弁当は親・子・孫の「京女」3世代で食べるのが理想だ。
一年間頑張った京都町衆の御褒美だ。

京都は狭い。地元の同窓会状態らしい。
気の強い嫁さんが「ぺこぺこ」電信柱にも頭を下げて歩く。

この観劇に男たちはクレームを言えない。「ゆっくりといってらっしゃい」と送り出す。

当然、着物の準備などから始まる。着物にも流行があるので選択に時間をかける。
南座「千秋楽」のあとには迎春の準備が待っている。

年越し準備に地元のジャスコ・ダイエー一軒で済ませるような事はない。

お豆腐はどこどこ、漬物は私は「近為」、ばーさんは「大藤」など
お正月のお菓子は「亀屋重久」や「鶴屋吉信」など客によって使い分ける。
餅は「鳴海屋」さんだけではすまない。

お酒、米、味噌、一つ一つのお店めがけて京都市内を走り回るのだ!
一度、嫁さんについて回った事があるが4時間は平気で歩き回るのだ。
このような重労働をするくらいなら会社で仕事をしていたほうがはるかに楽が出来るのです。

ある年、娘が手を抜いたことがある。指摘されたお店以外で購入した。そのお店の方がおいしそうだった。
その晩の食卓ですぐにばれた。

「このオジャコ。味ないな~!」おじいちゃんの一言。
ばれたか!と思い娘は味の素としょうゆを持っていく。他府県育ちの娘だ。

「味がない」=「おいしくない」の意味を理解できないのです。

翌日、再度指定のお店に出かけていきました。
「初めてのお使い」失敗!ショックだったのは昨日と今日買ったオジャコの味が食べてみて同じだった事だ。

京都人は日ごろから「うすあじ」ですごす。
晴れの日には少し味が濃くなるので微妙な味がわかるらしい。不思議だ。

思わず休日が取れた年に嫁さんの実家に行く。その夜は近所の旅館泊まりになります。
これも京都ルールだ。片とまりの旅館利用。

シティーホテルは「味ない」のです。

京都の嫁さんをもらったらお正月は京都に戻しましょう!
いつもは表に出ない「京都人のプライド」がたのしい。

背筋が「ピン」と伸びた嫁さんが面白い!数日で元に戻るのですが、、。
思い違いで「悲しい」思いをさせないよう。帰京の事お願いします。

京都ルール「京女は京都」に戻しましょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時計師の京都時間

2011-12-09 13:55:39 | 日記

OSTERNスイス。17石手巻き 防水時計
エボッシュマークはフルリエでした。
分解し天輪がある付近の地板にマークが刻印されています。

昔、スイスに17社のエボッシュメーカーがあった。
ETAが一番有名です。

パテック・フィリップやセイコーなどマニファクチュール(部品もっすべて自社で製造する)を頂点に17社のムーブメントメーカーが個性を競いあった頃の名作機械です。

輪列、調速機が別々の天板に分かれているので修理が容易だ。
おなじみのフルリエ。ケースの作り方も丁寧。
アンティーク時計ファンにお勧めです。

仕事をしている時に精密な作業です。暖房器具はあまり必要がない。
「カーッ」と頭に血が上っている。
作業が終わるとトイレに急行!工房でストーブに火がついているときは暇な時なのだ。

今日は12月9日
クリスマス「シュトーレン」を今年初めて食べました!
近所のパン屋さん「ブレッドハウス・バンブー」さんの力作です。

1080円と手ごろな値段と胡桃などフルーツがたくさん入ってお徳感抜群のケーキです。
「日ごろのご愛顧に感謝して利益はほとんどありません」の1080円なのだ。

家族であっという間に完食!
今年もクリスマスがやってきます。恵方を向いて食べた?!
「来年はきっといいことがありますように!」

海外から届いた修理品のなかにクリスマスプレゼントが入っていた。
スイスの時計屋さんはぼちぼちクリスマス休暇だ。
来年まで修理品は遅れない。

京都も今朝の比叡山はこの冬初めての雪景色。
うれしい「鶏なべ」の季節がやってきた。

近所のスーパー「フレスコ」では鹿児島産の鶏肉コーナーがお目見え!
(オヤジに優しいスーパーなので朝の9時台は男性客が多い。)

鶏肉と鱈のなべ。鹿児島と北海道が一緒になべに入っている。
鹿児島と北海道と京野菜で食べるのです。

石川県・金沢の「鶏ヤサイなべ」の味噌味もおいしい。

冷凍庫のような修理工房から我が家へ走って帰る。
誰もいない!
「今日はクリスマス会で出かけます。冷蔵庫の物を暖めて食べてください!」
家族は忘年会のシーズン。

一匹狼の時計師は「一人鍋」を楽しむのだ。
「時計師は孤独に耐えられること」
昔、先輩からの教えが今頃、じっくりと理解できるのだ。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする