京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間

2014-06-10 09:12:22 | 時計修理

6月10日「時の記念日」
火曜日。旧暦では入梅の日。

「働く京都時間」
医者、弁護士、時計師の共通事項には長時間労働があります。
「人生を無難に過ごしたいのなら「医者と弁護士」を友人に持て!」というアメリカの格言がある。

私も医者と弁護士の友人がいるがハンデキャップになっても恩恵になったことはない。
格言にも例外はあるのでしょう。
両方とも東京で働いているために京都にいる私には全く役に立たない友人なのだ。

「労働時間を時間給に換算するとマクドナルドのアルバイトに負ける!」
医者と弁護士は言う。
確かに休みのないハードワークが続く仕事だ。
おまけに弁護士は関東を拠点に活動しないと仕事が見つからない状況だそうです。

「マクドのアルバイト時間給も負けるが支給総額にもしっかりと負けてる。」
この状況で貧乏時計師の仕事内容はあまり知られていない。
これでは時計師を目指している人たちにガッカリさせることになるがしょうがない。

「悪質経営者が労働者を搾取している!」ブラック企業のようにいわれるほど悪い人は少ない。
今日は時の記念日。
近江神宮の漏刻祭に集まる経営者を見たら解ると思うが暖かい誠実な経営者が多い。

原因は業界全体の経営内容にある。
大阪での時計店は絶滅危惧種に選定されているほどです。

時計販売店では利益率が20%程度で下がる傾向にある。イギリスの百貨店は40%の利益率がないと相手にされない。
価格競争の激しいロレックスの市場利益率は14%程度。
セイコー、シチズンで20%くらいだが箱、保証書、包装紙はすべて有料、別に購入する。結果としてケチケチ経営になってしまうのです。

私が勤めていた会社で天下り総合商社の社長と5年間のお付き合いがありました。
毎年決算期に二人でため息をつくほど現実離れをしている会社でした。
「この会社はボランティアか慈善団体か!経営的に魅力がない」とはっきりいう。
そこをなんとかなだめながら6月の株主総会を乗り切ります。

利益率は20%を切る。商品回転率は年3回転ほど低い、一般の総合商社なら軽く10回転はする。修理技術者の教育費は費用対効果でプラスになるまで10年、3000万円もかかる。
棚卸ロスが利益の3%もかかるなど販売ロスも大きい。展示中に傷がついたり盗まれたりと損失が大きいのだ。これでは慈善団体といわれても反論できない。

スイスでは国営企業のような手厚い補助がある。時計学校の授業料はただ!税金は安い。
日本では時計会社が自腹で社員を育てていくのが一般的です。
時計学校に進む場合、3年間300万円の授業料がかかるので経済的に豊かな家庭環境が必要です。
そこで時計店の後継者は先ずメーカーへ就職して技術を覚える習慣があったが最近は後継者もいなくなったそうだ。

先日TVで独立時計師さんがでていました。その影響でお客さんからの問い合わせがあります。
「どこにいくと時計の仕事を教えてもらえるの?」
良い子はまねをしないようにしましょうね。
野球をやっている人全員がイチロー選手になれる錯覚をしないようにお願いします。
今日は「時の記念日」
10時開店の時間です。長い37年と一日の仕事を楽しく過ごしましょう!








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