今日、平成25年(2013年)4月2日は、
新たになった歌舞伎座が開場となる。ところで、
新築なった劇場での初日公演を
「杮葺落」「こけら落とし」などという。
巷ではこの「杮」と「柿(かき)」の字の違いをあげつらって、
「柿(カキの字)落とし」では間違いである、と鬼の首を取ったような
物言いをしてるむきが少なくない。すなわち
……「こけら」とは木の大鋸屑(おがくず)のことであり、
工事の締めくくりに屋根の馳のオガクズを払い落としたことから、
そのように言うようになった……のだと。
たしかに、そのとおりなのだ。が……。
室町時代の書院造の代表である
いわゆる金閣寺や銀閣寺の屋根は
「杮葺(こけらぶき)」になってる。すなわち、
椹(さわら。ヒノキ科)を2、3mmという薄さの板にしてそれを段階的に、
魚の鱗のように重ねて葺いてるのである。が、
ヒノキの板で葺く檜皮葺(ひわだぶき)がさらに高級である。たとえば、
もっと古い建造物である東寺や知恩院方丈や
下鴨神社などの各殿の屋根などである。ともあれ、
檜皮色は柿渋色と混同されたのである。いずれにしても、
そうした板葺きには薄く剥いだ板を使うのである、いっぽう、
柿の木の樹皮もまた薄く剥げやすい。
(柿の実を採ろうとして)柿の木に登ってはいけない、
と昭和までの子供がオトナから注意されたのは、
そうした柿の木の脆弱性によるものである。
さて、
「3というキリスト教の奇妙な数字とLady Gaga」
(http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/e44e23858aa6a9171b903731bfe6440f)
「カガの千代女の結婚生活とトンボの交尾(=愛あるハート型)/菟田のかがり火(06)」
(http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/fcb50b80614396e774b99fdf1a4a6b04)
「巳年の年頭に、メンデルスゾーン 交響曲第5番第4楽章/ルター作曲 神は我が櫓」
(http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/6683cb3cf9ceae4a0a73652820da1e2c)
などで折にふれ言いおよんでるが、大和言葉で
「カガ」とは「曲がったさま」を表すのである。
ローマ字で表せば、「kaga」。元は「kaka」である。
動詞の「kaku」は「書く(描く)」「欠く」「掻く」「駆く」などがある。
何かを引っ掻くと、そこは剥がれ、抉られた痕が残り、
「kaki」kizuとなる。
その抉り取られた痕はたいてい丸くなってる。だから、
「kaka」というのは「クルっとなったさま」を表すのである。
馬を駆ると蹄の痕が地に「窪んで」残る。
芝(ターフ)を駆ければ蹄が抉った芝が剥げる。したがって、
「剥げ落ちやすいもの」「はがれやすいもの」も
「kaka」という語から派生する。それが、
「苔」「鱗」などの「koke」である。また、
仏教用語とされる「虚仮(こけ)」も、
見かけだおしなことであるから、その
虚勢は「はげやすい」のである。それに関連して、
関西のほうで使われてたが最近は吉本芸人の影響で
東京とその周辺でも中年世代以下を中心に用いられてる
「コケる」という言葉がある。
「転がる」「躓く」ことである。これは、バケノカワ=
「虚仮」が剥がされることからの比喩である。また、
殻を剥いで開けるので「牡蠣(kaki)」である。そして、
前述のとおり、
「柿」の樹皮は「剥がれやすい」ので「kaki」なのである。
コケ(ラ)とカキには混同されてもいたしかたない関係があるのである。
江戸時代、
「大鋸(おが=大きいノコギリ)」で木を挽いて製材する職人が
多く住んでたことから呼ばれたのが
「木挽町(こびきちょう)」である。
現在の歌舞伎座はその旧木挽町に建ってるのである。
これから「第三部」を観にいってくる。
新たになった歌舞伎座が開場となる。ところで、
新築なった劇場での初日公演を
「杮葺落」「こけら落とし」などという。
巷ではこの「杮」と「柿(かき)」の字の違いをあげつらって、
「柿(カキの字)落とし」では間違いである、と鬼の首を取ったような
物言いをしてるむきが少なくない。すなわち
……「こけら」とは木の大鋸屑(おがくず)のことであり、
工事の締めくくりに屋根の馳のオガクズを払い落としたことから、
そのように言うようになった……のだと。
たしかに、そのとおりなのだ。が……。
室町時代の書院造の代表である
いわゆる金閣寺や銀閣寺の屋根は
「杮葺(こけらぶき)」になってる。すなわち、
椹(さわら。ヒノキ科)を2、3mmという薄さの板にしてそれを段階的に、
魚の鱗のように重ねて葺いてるのである。が、
ヒノキの板で葺く檜皮葺(ひわだぶき)がさらに高級である。たとえば、
もっと古い建造物である東寺や知恩院方丈や
下鴨神社などの各殿の屋根などである。ともあれ、
檜皮色は柿渋色と混同されたのである。いずれにしても、
そうした板葺きには薄く剥いだ板を使うのである、いっぽう、
柿の木の樹皮もまた薄く剥げやすい。
(柿の実を採ろうとして)柿の木に登ってはいけない、
と昭和までの子供がオトナから注意されたのは、
そうした柿の木の脆弱性によるものである。
さて、
「3というキリスト教の奇妙な数字とLady Gaga」
(http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/e44e23858aa6a9171b903731bfe6440f)
「カガの千代女の結婚生活とトンボの交尾(=愛あるハート型)/菟田のかがり火(06)」
(http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/fcb50b80614396e774b99fdf1a4a6b04)
「巳年の年頭に、メンデルスゾーン 交響曲第5番第4楽章/ルター作曲 神は我が櫓」
(http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/6683cb3cf9ceae4a0a73652820da1e2c)
などで折にふれ言いおよんでるが、大和言葉で
「カガ」とは「曲がったさま」を表すのである。
ローマ字で表せば、「kaga」。元は「kaka」である。
動詞の「kaku」は「書く(描く)」「欠く」「掻く」「駆く」などがある。
何かを引っ掻くと、そこは剥がれ、抉られた痕が残り、
「kaki」kizuとなる。
その抉り取られた痕はたいてい丸くなってる。だから、
「kaka」というのは「クルっとなったさま」を表すのである。
馬を駆ると蹄の痕が地に「窪んで」残る。
芝(ターフ)を駆ければ蹄が抉った芝が剥げる。したがって、
「剥げ落ちやすいもの」「はがれやすいもの」も
「kaka」という語から派生する。それが、
「苔」「鱗」などの「koke」である。また、
仏教用語とされる「虚仮(こけ)」も、
見かけだおしなことであるから、その
虚勢は「はげやすい」のである。それに関連して、
関西のほうで使われてたが最近は吉本芸人の影響で
東京とその周辺でも中年世代以下を中心に用いられてる
「コケる」という言葉がある。
「転がる」「躓く」ことである。これは、バケノカワ=
「虚仮」が剥がされることからの比喩である。また、
殻を剥いで開けるので「牡蠣(kaki)」である。そして、
前述のとおり、
「柿」の樹皮は「剥がれやすい」ので「kaki」なのである。
コケ(ラ)とカキには混同されてもいたしかたない関係があるのである。
江戸時代、
「大鋸(おが=大きいノコギリ)」で木を挽いて製材する職人が
多く住んでたことから呼ばれたのが
「木挽町(こびきちょう)」である。
現在の歌舞伎座はその旧木挽町に建ってるのである。
これから「第三部」を観にいってくる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます