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チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「白鳥湖#21スペインの踊り/ボレロ」

2007年09月09日 23時37分46秒 | 瓢湖不充分白鳥の湖舞イアーリンク泡沫事件
今週は土曜競馬のひとレイスだけをやった。中山の「紫苑ステイクス」である。
これはゾロメだと閃いたはよかったが、1-1か2-2か4-4か5-5かが
わからなかった。それでその4つのゾロメと、あやしい横典の複勝を買った。
すると、あんのじょう、3着に横典がやってきた。勝ち負けは、
2-2(馬番は04→03)のゾロメだった。優勝馬は、
「アルコセニョーラ」号という「スペイン語名」だったことである。
やっぱり、14年間もananのもっともカッコいい男の木村拓哉の
映画が封切りになった日には、ラストシーンで松たか子に言った
「プロメッサ。ノ・メ・セパラーレ
(拙訳:生まれ変わったら一緒になろうね※)」という
「スペイン語」が有効である。ときに、スペイン語関連の歌謡曲といえば、
「誘われてフラメンコ」「ビーナスたちのシエスタ」である。
路駐中の車の窓ガラスにカガミ込んでヘアチェックをするおシャレな中年女性。
女性が去ると、そのパワーウィンドウが下りて、郷ひろみが顔を出し、
♪あぁ~~~~~~~、あなぁ~たぁ~のぉ~~、
 かぁ~~みはぁ~~~~~~~~~~~♪
と、あいかわらず軽重な声質で、松田聖子女史の「青い珊瑚礁」を歌いだす。
というのは、マンダムのご婦人用白髪染めの新製品のTVCMである。
この中年女性は「カリスマ主婦モデル」の富田リカ女史であるが、
そのお美しい顔とは異なり、その後姿はなんとも不恰好である。本当は
スタイルもよかったはずである。不思議である。ともあれ、
富田女史はきれいで魅力的な中年女性である。
栗色のヘアもよく似合いそうである。ときに、
「暑さザムザも漱石も悲願過ぎまで」という言葉があるように、
ふカフカのお蒲団が恋しくなる読書の秋も彼岸が分水嶺である。実際、
今日もまだ暑かったが、9月も中旬になろうとしてる。食欲の秋である。秋は
栗色の髪の熟年女性と栗ご飯が映える季節である。さて、
クリといえば、西洋木魚であるカスタネットは、
ギリシア語で「栗」の意である「カスタネア」というのが語源であるらしい。
栗の木が素材だったから、とも、栗の実に形が似てるから、ともいわれ、
判然とはしないが、まぁ、栗の木をクリぬいて栗の実に似せた、
とでも思えばいいことである。

[アレーグロ・ノン・トロッポ(テンポ・ディ・ボレロ)、3/4、3♯]
嬰ヘ短の主和音の8分音符音価の一撃(ff)ではじまる。すかさず、
「ター『タタ』・タッタッ・タッタッ」というボレロのリズムが
弦楽五部によって刻まれる。ボレロに欠かせない打楽器、
カスタネットも打ち鳴らされるが、その律動は弦とは少しく異なり、
『タタ』の箇所が『タタタ』と3連にされて、ズレが生じるように図られてる。
ボレロ律動の前奏に率いられて、主主題が
フルート2管+(そのオクターヴ下に)クラリネット2管によって吹かれる。
**♪【ミー│<ラーーー・ーー、<ド>シ・>ラッ<シッ│
   >ミーーー・ーー】、<ラ>ソ・>ファッ<シッ│
   >ミーーー・ーー、<ファ>ミ・>レッ、<ミ>レ│
   >ドーーー・ーー、<レ>ド・>シッ、<ド>シ│>ラッ♪
チャイコフスキーはこの主題の動機をのちのバレエ
「カッス・ヌワゼット(ハシバミ割り器)=通称“くるみ割り人形”」
でも再使用してる。
*♪【ミッ│<ラッ<ドッ・>シッ>ラッ│<シッ>ソッ・>ミーーーー】♪
兵隊さんの格好をした「ハシバミ割り器」も、
カスタネット同様、「木をクリぬいて作ったもの」である。が、じつは、
「木をクリぬいた」という形が意味するものは「子宮」である。つまり、
「胎児」という寓意がこめられてるのである。そして、
チャイコフスキーはこの動機をリヒャルト・ヴァーグナーの「指輪物語」における、
「将来の英雄である胎児『ズィークフリート』の動機」から採った、のである。
*♪【ミーー│<ラーー・ーーラ│<ドーー・>シー>ラ】│<ファーー・ーーー♪
1幕#6に対応する3幕#21、という図式からは、
前者が「壬生=揺りかごから酒場までお世話をする係」ヴォルフガングの酩酊、
後者が「将来、王家を継いで英雄になるはずだったズィークフリート」の世話を
酒で「怠った」、という共通項が浮かび上がるのである。
「bolero」には「嘘ツキ」「ズル休み(怠惰)」という別意もある。ちなみに、
この動機はまた、ムーソルグスキィの「展覧会の絵」中の
「(タイトル:イタリア語)イル・ヴェッキオ(古い)・カステッロ(城)」に、
*【ミ│<ラーー・ーーー│ー<ド>シ・>(ラ<シ)ラ】>ファ<ラ│ラー♪
として「現れる」のである。こちらに「ズィークフリートの意味」が込められてるとは
とうてい思えないが、スペインのcastilla地方は、
昔むかしその昔、ローマ帝国の属州であり、「城」を意味する語である
「castillo(カスティロもしくはカスティヨまたはカスティジョ)」が
いっぱいあったところだから、そんな地名になったとか。不確かではあるが、
まぁ、ムーソルグスキィの「古城」にも少々は意味があったかもしれない。
当たらずといえども遠からず……カスってら……というところであろうか。また、
スペイン語の「casta」は「血筋」「家系」を意味する。
バレエ「白鳥の湖」の物語が包含する問題そのものである。ところで、この動機は、
20世紀になって、映画音楽作曲業者のニーノ・ロータによって、
「ゴッド・ファーザー愛のテーマ」としてリサイクルされた。
*♪【ミ・<ラ<ド│>シ>ラ】・<ド>ラ│
   <シ>ラ・>ファ<ソ│>ミー・ーー│ー♪
NYのイタリアン・マフィアのボスであるマーロン・ブランドの三男坊で
家業とは関わりなく脳天気にダートマス大に進学したアル・パチーノだったが、
オヤジに瀕死の重傷を負わせた裏切り者をシマツして、
ついにその道に足を踏み入れてしまう。ほとぼりを冷ますためにオヤジの故郷
シチリアに高飛びする。箱根シチリア馬でも越すが、といわれるとおり、
その道の人たちにとってはひとっ飛び越スタデノーヴァと、
それほど苦でもないようである。それはともかくも、パチーノは
ほどなくそのコッレオーネ村の娘と結婚することになる。
その披露宴で花嫁から客に配られてたのが
「confetto(複数形:confetti)」である。
日本では他のものが「コンペイトウ」となってしまったが、
アーモンドに糖衣を施した菓子を「コンフェット(コンフェッティ)」といって、
「卵」「胎児」を表し、そのような場での「縁起物」なのである。ちなみに、
フランス語では「ドラジェ」である。さて、
「ゴッド・ファーザー愛のテーマ」はその後、暴走族の愛奏歌となったが、
彼らは概ね低年齢でデキちゃった婚をする。子孫繁栄の鑑であるが、まさに、
コンペイトウのご利益である。さて、
主主題の確保時には、ファゴットおよび弦によってオッブリガートが奏されるが、
それは「4番交響曲」カンツォネッタ章のオッブリガート、
「5番交響曲」主章対主題、pf曲四季の6月「舟歌」の主主題、
などにも使われてる「旋律的短音階」の属音からの上昇音型である。
主主題の推移が平行調のイ長で展開される。ここで現れる
フルート&クラリネットの飛躍音型は、のちの“くるみ割り人形”の
「ポルカ」の中で、さらに効果的に配される。
主主題が再現される際には、ホルン2管による、
*♪●ミ・<ラー・ーー♪
という主主題の動機の先端を抽出したオッブリガートがフカされる。
主主題の再現が終わると、突如、曲は同主調である嬰ヘ長に転じられる。
→[リステッソ・テンポ、6♯]
ここで、カスタネットに加えて、タンバリンがその間髪を縫わされる。
ここでもチャイコフスキーの打楽器使いの技が光ってる。
*♪●ミ、<ソー・>ファ>ミ、│<ソー・>ファ>ミ、<ファー│●ファ、
  <ラー・>ソ>ファ、│<ラー・>ソ>♯ファ、<ソー│●ソ、
  <ドー・>シ>ラ、│>ソー・>ファ>ミ、<ファー│●ファ、
  <シー・>ラ>ソ、│>ファー・>ミ>♯レ、<ミー♪
という、優雅で抱擁性幸福感に満ちたヘミオラの旋律
(3度下の重ね塗りの彩りが効いてる)が歌われる。この歌は、
強度を増して確保され、
*♪●ソ、<ミー・>レ>ド、│>シ<レ・ー、>ファ・ー<レ│
 >●ファ・<レー・>ド>シ│>ラ<ド・ー、>ミ・ー<ソ♪
と展開され、
**♪ドードンド・ドンドドンド・ドン<レ>ドン<レ│<ミー♪
となり、その合いの手として、先ほどの「旋律的短音階の属音からの上昇音型」
が長化されたものが木管で奏される。そして、
→[ピウ・モッソ]
**♪ドドドド・ドドドド・<レ>ド>シ>ラ│
  >ソソソソ・ソソソソ・<ラ<シ<ド<レ│
  >ファファファファ・ファファファファ・<ソ<ラ<シ<ド│
  >ソー♪
強弱の指定はシングルのfながら、もはやタコンまで打ち鳴らされてそうな
煽情状態である。この加速はボレロの形式に則ってるだけなのかもしれないが、
非常に効果的である。さらにffとなって打楽器が冴えわたる
*♪ド<レ・<ミ>レ・<ミ>レ│<ミ♪
であるが、ここでは「ラ」が「♭ラ」にされて「勇壮」さを増し、終いは
また、ヘミオラが復活。
*♪ミミ・ミミ、ミミ│ミミ、>>ドー・ーー(フェルマータ)♪
と、嬰ヘ長の主和音(ff)で閉じられる。この曲も、
バレエ「白鳥の湖」の傑出したナンバーのなかでも、とくに
秀でた音楽のひとつである。

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