池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

アビダルマ哲学要諦(13)

2024-05-17 16:32:40 | 日記

アビダンマの起源

近代の学会では、アビダンマは段階的な進化プロセスを経ながら成立したと説明しようとしているが、テーラワーダ仏教の正統的な説明では、その起源をブッダ自身としている。ブッダゴーサ師が引用しているマハー・アッタカター(mahā-aṭṭhakathā:「大義疏」シンハラ語による三蔵注釈書)によれば、「アビダンマとして知られているものは弟子に属する領域や分野ではなく、ブッダに属する領域である」。[5] さらに注釈書の伝統として、アビダンマの精神だけでなく本文も、ブッダが生存時に理解し説示したものだとされる。アッタサーリニー(Atthasālinī:「勝義説」、ダンマサンガニ(法集論)の注釈書)では、悟りを得てから四週間、ブッダは菩提樹の傍らにとどまり、北西の向かう宝の家(rataṇaghara)に座していたと説明している。この宝の家とは、文字通り貴金属で作られた家屋ではなく、ブッダがアビダンマ・ピタカ七巻を熟慮した場所のことだとされる。

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