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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

5/17・エンヤの癒し効果

2013-05-17 | 音楽
5月17日は、仏国の作曲家、エリック・サティが生まれた日(1866年)だが、アイルランドの音楽家、エンヤの誕生日でもある。
はじめて聴いたエンヤの曲は、自分にとってうれしい不意打ちだった。いままで聴いたことのない、こんな個性的な音楽がまだあり得たとは。しかも、それがこんなに美しい音楽だとは……。

エンヤは、1961年、アイルランドのドニゴール県で生まれた。アイルランド語の発音に近い英語表記で、英語名をEnya Brennan (エンニャ・ブレナン)という。
エンヤは19歳のころから、音楽一家のきょうだいや叔父たちが組んだ親族バンドに参加し、キーボードとバックコーラスを担当していた。
21歳のとき、マネージャーといっしょにバンドを離脱して、ソロ活動をはじめた。
エンヤは25歳のとき、テレビのドキュメンタリー番組「ケルツ」のサンウンドトラック用に曲を書いた。これが英国のレコード会社の社長の目にとまり、アルバムの制作依頼が彼女のもとに舞い込んだ。そうして作られ、1988年、27歳のとき発表された「ウォーターマーク」は、世界的な大ヒットとなった。シングル曲「オリノコ・フロウ」も世界中でヒットした。彼女はこうコメントしている。
「ウォーターマークの成功にはびっくりしました。音楽が商業的なものだと考えたことがなかったので。それまで音楽は、自分にとってごく個人的なものだったので」
以後、「シェパード・ムーン」「メモリー・オブ・トゥリーズ」「ア・デイ・ウィズアウト・レイン」「アマランタイン」と、1曲の録音に数カ月かけ、新しいアルバムを発表するまでに5年ほどかかるという、スローペースで彼女は作品を発表しつづけてきた。

天井の高い教会で録音したかのような彼女の独特の音楽は、144チャンネルの音声を同時録音できるデジタルマルチトラッカーを使って、楽器や声の音を百回以上も重ねて録音して作られている。

エンヤの楽曲を聴いていると、幻想の泉にからだを浮かべているような、ぼんやりとしたいい気持ちになって、とても癒される。
これは、エンヤというアーティスト自身には直接関係のないことだけれど、米国などでは、マリファナを吸いながら聴く音楽として、エンヤは好まれるらしい。エンヤとか、喜多郎とか、あるいはジョン・レノンもそうだと思うけれど、彼らはドラッグと相性のいい音質、声質をもっていて、それが、彼らの楽曲が世界中でよく売れた一因にちがいないと、自分はひそかに信じている。これは、彼らの音や声の質が、人間の精神のある部分を、根本的なところで癒すヒーリング効果をもっている、そういうことなのではないか、と自分は考える。
(2013年5月17日)


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