3月2日は、米国の作家ジョン・アーヴィングが生まれた日(1942年)だが、ロックミュージシャン、ルー・リードの誕生日でもある。二人は同年同月同日生まれである。
ルー・リードこと、本名ルイス・アレン・リードは、1942年、米国ニューヨーク市のブルックリンで生まれた。彼の家族はユダヤ系で、ルイスは同じニューヨーク州内のロングアイランドに越してそこで育った。
「自分の神さまはロックンロールであり、自分の信仰はギターを弾くことにある」
と言う彼は、高校時代からバンドを組んでいた。
彼は同じニューヨーク州のシラキュース大学に入学し、ジャーナリズム、映画撮影、作曲、詩作を学んだ。
22歳のとき、ニューヨーク市へ引っ越したリードは、作曲家として活動し、ミュージシャン仲間とロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」を結成。リードはギターとヴォーカルを担当し、ポップアーティストのアンディ・ウォーホルが手がけたバナナのジャケットのアルバム「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」でデビュー。リード25歳のときで、このアルバムは世界のロックシーンに強い衝撃を与えた歴史的作品となった。
28歳のとき、バンドを離れ、ソロとなった。
その後、デヴィッド・ボウイのプロデュースによるアルバム「トランスフォーマー」のほか、「ベルリン」「コニー・アイランド・ベイビー」などの名作を発表。ヒット曲がなく一般大衆への知名度はいまいちながら、ロック・ミュージシャンの多くが影響を受け、尊敬する、玄人好みのロックミュージシャンとして君臨しつづけた。
2013年10月、肝臓疾患のため、ニューヨーク州サウサンプトンの自宅で没した。71歳だった。
ルー・リードの音楽は、かれこれ30年以上聴いているけれど、どうして彼が好きなのかは、いまだによくわからない。
学生時代、ルー・リードのファンだった友人が「コニー・アイランド・ベイビー」のレコードをかけながら、こう言った。
「ずっとこんな感じ。盛り上がらない。最初から最後まで淡々としているんだ」
まったくその通り、どうしてこんな地味なのだろうと不思議なくらい抑えた感じで、クイーンやレッド・ツェッペリンの派手さとは対極にある。
そういうところがいいのかもしれない。
キャリアは長かったが、いつがピークだったという時期もなく、キャリア的にも盛り上がりを持たないアーティストだった。でも、それがルー・リードらしさでもある。
「ベルリン」や「コニー・アイランド・ベイビー」をときどき、わけもなく聴きたくてしかたがなくなる。言葉にならない魅力をもつ、特殊なミュージシャンである。
(2024年3月2日)
●おすすめの電子書籍!
『デヴィッド・ボウイの思想』(金原義明)
デヴィッド・ボウイについての音楽評論。至上のロックッスター、ボウイの数多ある名曲のなかからとくに注目すべき曲をとりあげ、そこからボウイの方法論、創作の秘密、彼の思想に迫る。また、ボウイがわたしたちに贈った遺言、ラストメッセージを明らかにする。ボウイを真剣に理解したい方のために。
●電子書籍は明鏡舎。
https://www.meikyosha.jp
ルー・リードこと、本名ルイス・アレン・リードは、1942年、米国ニューヨーク市のブルックリンで生まれた。彼の家族はユダヤ系で、ルイスは同じニューヨーク州内のロングアイランドに越してそこで育った。
「自分の神さまはロックンロールであり、自分の信仰はギターを弾くことにある」
と言う彼は、高校時代からバンドを組んでいた。
彼は同じニューヨーク州のシラキュース大学に入学し、ジャーナリズム、映画撮影、作曲、詩作を学んだ。
22歳のとき、ニューヨーク市へ引っ越したリードは、作曲家として活動し、ミュージシャン仲間とロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」を結成。リードはギターとヴォーカルを担当し、ポップアーティストのアンディ・ウォーホルが手がけたバナナのジャケットのアルバム「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」でデビュー。リード25歳のときで、このアルバムは世界のロックシーンに強い衝撃を与えた歴史的作品となった。
28歳のとき、バンドを離れ、ソロとなった。
その後、デヴィッド・ボウイのプロデュースによるアルバム「トランスフォーマー」のほか、「ベルリン」「コニー・アイランド・ベイビー」などの名作を発表。ヒット曲がなく一般大衆への知名度はいまいちながら、ロック・ミュージシャンの多くが影響を受け、尊敬する、玄人好みのロックミュージシャンとして君臨しつづけた。
2013年10月、肝臓疾患のため、ニューヨーク州サウサンプトンの自宅で没した。71歳だった。
ルー・リードの音楽は、かれこれ30年以上聴いているけれど、どうして彼が好きなのかは、いまだによくわからない。
学生時代、ルー・リードのファンだった友人が「コニー・アイランド・ベイビー」のレコードをかけながら、こう言った。
「ずっとこんな感じ。盛り上がらない。最初から最後まで淡々としているんだ」
まったくその通り、どうしてこんな地味なのだろうと不思議なくらい抑えた感じで、クイーンやレッド・ツェッペリンの派手さとは対極にある。
そういうところがいいのかもしれない。
キャリアは長かったが、いつがピークだったという時期もなく、キャリア的にも盛り上がりを持たないアーティストだった。でも、それがルー・リードらしさでもある。
「ベルリン」や「コニー・アイランド・ベイビー」をときどき、わけもなく聴きたくてしかたがなくなる。言葉にならない魅力をもつ、特殊なミュージシャンである。
(2024年3月2日)
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