1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

10月14日・ラルフ・ローレンの軽み

2022-10-14 | ビジネス
10月14日は、芸術家、会田誠が生まれた日(1965年)だが、ファッションデザイナー、ラルフ・ローレンの誕生日でもある。

ラルフ・ローレンこと本名ラルフ・ルーベン・リフシッツは、1939年、米国ニューヨークで生まれた。ベラルーシから移ってきたユダヤ系移民の血筋で、父親はペンキ屋だった。
ニューヨーク市立大学に進み、ビジネスを学んだが中退。23歳のころ、合衆陸軍に入り、25歳のとき除隊し、ラルフ・ローレンと名乗るようになった。
服飾チェーンのブルックス・ブラザーズにセールスマンとして勤務した後、28歳のとき、トラディショナルブランドのノーマン・ヒルトンの資金援助を受けて独立。自分のブランド「ポロ(Polo)」を中心としたネクタイを売り出した。
以後、ポロシャツ、スーツなどメンズウェアを手がけて成功。スティックを振り上げたポロ選手のマークが付いた服は引っ張りだことなり、偽物が出まわった。
32歳のときからは女性服も手がけるようになった。
映画スターのオードリー・ヘップバーンやケーリー・グラントと親交のあったラルフ・ローレンは映画の衣装デザインも多く手がけた。
35歳のとき、ローレンは、ロバート・レッドフォード主演の映画「華麗なるギャツビー」の男性キャストの衣装を担当。同映画はアカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞した。
38歳のときには、映画「アニー・ホール」に主演したダイアン・キートンが、ラルフ・ローレンのネクタイを締めたことでも有名になった。
ローレンのアメリカン・トラディショナルは米国はもとより、ヨーロッパ、アジアにも店舗を展開し、世界的企業に成長した。

ラルフ・ローレンは「アメトラ(アメリカン・トラッド)」の人気ブランド「ラルフ・ローレン」「ポロ・スポーツ」の総帥である。
アメリカン・トラッドは、もともと米国アイヴィー・リーグのファッションで、ボタンダウンのシャツや、軽やかなジャケットに代表される。ラルフ・ローレンは、いまや英国のチャールズ皇太子も愛好する世界的なファッションとなっている。

ローレンの折り目正しい、でもあまり重々しくならない、すっきりとした軽さのファッションが広く受け入れられているのは納得できる。
以前、年下の若い友人男性に、お世話になったお礼にネクタイを贈ろうとして、ネクタイ売り場で、ジバンシー、イブ・サン・ローランと迷った挙句、軽やかですっきりとしたラルフ・ローレンのネクタイを選んだ。そこに並んでいたヨーロッパ系のネクタイは渋く、50代か60代くらいにならないと似合わないくらい重かった。

「愛のほかに、お金で買えないものはあるでしょうか?」
という問いに対して、ラルフ・ローレンはこう答えている。
「すばらしいものは、ほとんどが金では買えないものさ。愛……は買うことができるよ。残念ながら」(モーリッツ・フォン・ウースラー著、田丸理砂監訳『インタヴューズ』三修社)
(2022年10月14日)



●おすすめの電子書籍!

『ブランドを創った人たち』(原鏡介)
ファッション、高級品、そして人生。世界のトップブランドを立ち上げた人々の生を描く人生評論。エルメス、ティファニー、ヴィトン、グッチ、シャネル、ディオール、森英恵、サン=ローランなどなど、華やかな世界に生きた才人たちの人生ドラマの真実を明らかにする。


●電子書籍は明鏡舎。
https://www.meikyosha.jp


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする