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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

10月2日・スティングの忠告

2022-10-02 | 音楽
10月2日は、「マハトマ(偉大なる魂)」ガンディーが生まれた日だが、ロックミュージシャンのスティングの誕生日でもある。

スティングこと、ゴードン・マシュー・トーマス・サムナーは、1951年、英国イングランドのウォールズエンドで生まれた。父親は機械工場に勤める工員で、ゴードンが5歳のとき、牛乳販売業の権利を買い取って独立。ゴードンも7歳ごろから牛乳配達を手伝わされるようになった。まだ人々が寝ている未明に起きだす牛乳配達は、とくに冬場はつらかったが、早朝の沈黙の景色は想像力を刺激し、すばらしい体験でもあった。
ゴードンは大学に入り、中退。バスの車掌や建築現場の労働者、税務署の事務員など、職を転々とした後、あらためて教員養成大学に入り、卒業した。そして23歳のころ、イングランド北部のノーサンバーランドで小学校の英語教師になった。
教員生活のかたわら、週末にはナイトクラブのジャズバンドといっしょに演奏していた。25歳のとき、ドラマーのスチュワート・コープランドに誘われ、ロンドンに出て音楽活動に専念することを決心。ギターのヘンリー・パドゥバーニを加えて3人でポリスを結成した。やがてパドゥバーニが抜け、代わりにアンディー・サマーズが加わり、3人編制のパンクバンドとしてポリス(The Police)はライブ活動をスタートさせた。このころは貧しく、生活は苦しかった。スティングは俳優のアルバイトをして糊口をしのいだ。
スティングが27歳のとき、ポリスはファースト・アルバム「アウトランドス・ダムール」を発表。28歳のとき、ポリスはセカンドアルバム「白いレガッタ」を発表。アルバム中の曲「孤独のメッセージ(Message in a Bottle)」が世界的ヒットとなり、ポリスは一躍トップグループにのし上がった。ポリスは名盤「ゴースト・イン・ザ・マシーン」「シンクロニシティー」などを発表した後、解散。スティングは34歳でソロ活動をはじめ、「ブルー・タートルの夢」「ナッシング・ライク・ザ・サン」「ソウル・ケージ」「マーキュリー・フォーリング」などを発表した。

1983年、ポリスのシングル「見つめていたい(Every breath you take)」が発売されたとき、ニューヨークのFMラジオではじめてこの曲を聴いた。ため息の出るような名曲だった。ラジオのDJがこの曲を4回続けてかけたのには驚いた。3回かけた後「いい曲だ」とため息をついて、もう1度かけた。その年の暮れにポリスは解散した。

ポリスとスティングのファンで、ポリスやスティングの楽曲はすべて聴いている。武道館のスティングのコンサートにも行った。
スティングの書く曲の歌詞は概して単純だけれど「孤独のメッセージ」の歌詞は、ロック史上に燦然と輝く名詞である。彼の曲はむしろメロディーとリズムが秀逸で、それを彼があのハスキーな哀調を帯びた声で歌うとすべて名曲になってしまう。曲調がものさびしいほどひきたつ彼の歌声は、つねに孤独な魂の代弁者でありたいと言う彼の音楽性にぴったりと合っている。その歌声は、聴く者の頭のなかに忍び込み、強引に歌の世界を作り上げてしまう。一度好きになると病み付きになる魅惑の声である。

スティングの息子、ジョー・サムナーもロックミュージシャンになった。スティングは同じ音楽業界に入った息子にこうアドバイスした。
「スーツを着た人間を信じるな」
(2022年10月2日)



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