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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

10月19日・チャールズ・メリルの投資指南

2015-10-19 | ビジネス
10月19日は、「映画の父」リュミエール兄弟の兄、オーギュスト・リュミエールが生まれた日(1862年)だが、米国の金融証券会社、メリルリンチを創設したチャールズ・メリルの誕生日でもある。

チャールズ・エドワード・メリルは、1885年、米国フロリダ州のグリーンコーブスプリングスで生まれた。父親は医者で、少年時代のチャールズは父親のやっている薬局をよく手伝ったという。チャールズは22歳の年にミシガン大学のロースクールを卒業した。
卒業後、カーテンやレースを製造する会社や、会社の約束手形や債権を扱う会社に勤務した後、29歳の年にチャールズ・E・メリル社を興して独立した。
翌1915年、30歳の年に、友人のエドマンド・リンチを共同経営者に迎え、社名を「メリル・リンチ」とした。メリルは、投資によって資金を増やし、さらに成長しそうな企業に再投資し、資金を増やしていった。
1929年の大恐慌が起こる以前から、メリルは恐慌の危険を察知していて、当時の第30代大統領のクーリッジに、国民に投機的行動をひかえるよう声明を出すべきだと訴えたが、大統領はこれを無視した。
メリルは自分の関係する証券を売却した。そして、1929年10月、ウォール街の株式が大暴落し、大恐慌がはじまった。
大不況のなか、彼は将来、チェーンストアが小売業界を支配すると予想し、セーフウェーや、Kマートの前身に積極的に投資した。セーフウェーはたちまち全米に3500店以上のチェーン店を展開する大企業に成長し、Kマートは世界的なコンビニエンスストアとなった。
メリルは、それまで証券取引所で直接取引されていた株式を、テレタイプによって通信でつなぎ、各地の支店で売買できるようにし、また、これからは、広く一般家庭の夫や主婦が株式を保有し、投資する時代だと、社員たちには夫婦そろって投資セミナーで勉強できるよう、託児所まで用意して勉強させ、金融投資の普及に努めた。
「ウォールストリートから、メインストリートへ」
というのが彼のうたい文句だった。
生涯に3度結婚し、
「バッテリーに充電するため(recharging my batteries)」
と称して、数多くの浮名を流し、新聞のゴシップ欄を賑わせた陽気で派手好きの男、メリルは、晩年は財団を設立し、科学機関や大学などへ寄付や援助をする慈善事業に力を入れた。1956年10月、71歳になる2週間前に没した。

チャールズ・メリルは、投機でなく、健康的で良識ある企業への投資を社会に広めた、投資の布教家、伝道師だったと思う。
それにしても、大恐慌前後の彼のとった行動を見ると、その先見の明は神のごとくで、驚かされる。すべてがいいように見えるときにも危険はあり、八方塞がりに見えるときでも道はあって、それは見る人が見れば、ちゃんと見えるのである。
(2015年10月19日)



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