下記の作品の修理を京都の福田人形店に依頼していましたが、ようやく完了して届きました。
材質感を合わせるのにだいぶ苦労されたようです。
老子立像 加納鉄哉作
底彫銘 誂箱 補修分:鼻部分・杖の欠損補修必要
作品サイズ:高さ333*幅150*奥行150
補修依頼箇所は下記の事項です。
- 鼻の頂部欠損
- 服の裾部分の欠損 両袖など
- 耳の欠損
- 杖をそれらしいものに(現在は箸)
- 全体が白い粉拭いたようになるので、木目が綺麗に見えるようになりませんか?
見事に修復されていますし、無くなっていた杖もイメージどおりです。修復費用は12万円でした。
入手・補修の経緯は書面と電子データの本ブログの三本立てで記録が遺されます。
加納鉄哉、市川鉄琅の両名の作品で補修された作品を飾っています。
さて本日紹介する作品は平福穂庵の作品ですが、平福父子の作品は贋作が非常に多いようです。とくに郷里にある作品にその傾向が強く、本作品も良くない作品という疑いは払拭できない真贋相半ばというところの作品でしょう。
疑わしき作品 牛乗笛吹童子之図 平福穂庵筆 慶應3年(1867年)頃
紙本水墨淡彩軸装 軸先 合箱 改装必要
全体サイズ:横420*縦2060 画サイズ:横300*縦1310
*分類第1期:文池から穂庵へ (安政5年~慶応3年)
牛に乗った童子を描いた画題は禅の教えを含んでいることもあり、平福穂庵の子息である平福百穂も良く描いています。筆致として即興で早筆で描くのは平福穂庵の得意とするところですが、本作品は牛の描き方がぎこちなく、絵が雑で下手なように思いますが、如何・・・。
真作なら印章と落款からは穂庵初期の明治期以前の作と推定されます。この時期の平福穂庵の贋作は少ないこと、資料的な価値があると思い入手したのですが、落款は問題ないのですが、印章が僅かに違うように思われます。
この程度の印章の違いは押印時にあり得ることか?? まだ贋作とは断定していませんが、当方はまだまだ修行が足りないようです