
氏素性の解らぬ作品にチャレンジするのは当方の悪い癖・・・。本日紹介する作品は、手作りの額にも魅せれて入手した作品でもあります。

氏素性の解らぬ作品 油彩板絵 抽象人物 竹久夢二筆
板裏に落款・印章 板ニ油彩額装 神田草土舎にて額装手直し
M10号程度 全体 サイズ:縦355*横270 画サイズ:縦170*横90

竹久夢二がこのような作品を描いたかどうかは知りませんが、なんか面白い・・・。

左下に印のみ・・・。

板絵に描いた贋作は意外に少ない・・???

実に下手な手作りの額・・・・。


作品の裏面には落款と印章がありますが、真偽のほどは不明です。


ところで竹久夢二の描いた油絵に下記の作品があるようです。
参考作品
アマリリス
1919(大正8)年頃 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵
この作品は1919年9月に福島で開催された「竹久夢二抒情画展覧会」に出品されたことを地元紙『福島民報』が図版とともに報じています。その展示後、夢二はこの絵を彼が長期逗留した東京・本郷の菊富士ホテルのオーナーに贈っています。
菊富士ホテルは当初、外国人向けのホテルで、のちに大正の文化人たちの“高等下宿”として愛された宿でした。《アマリリス》は閉館するまでこのホテルの応接間に掛けられていたそうですがその後の所在は不明でした。それがこのたびの展覧会を前に発見され、岡山の夢二郷土美術館の所蔵となっています。
描かれている女性は菊富士ホテルで夢二と一緒に暮らしていた職業モデルで、夢二がお葉と呼んでいた本名・佐々木(永井?) カ子ヨ(かねよ)だと言われています。この絵を描いた少し前、夢二は笠井彦乃という日本画を学んでいた女性との恋愛にやぶれた。その少しあと、彦乃は病死した。

展覧会図録より1924(大正13)年頃
夢二とお葉(大藤家墓地にて)夢二郷土美術館蔵
夢二とお葉が出会ったのは大正8年(1919年)7月だった。別の資料によれば彼らは春頃に出会ったとも言われる。出会ってほどなくして描き、展示した絵。女性を画面中央に描きながら、手前には大輪のアマリリス。女と花、2つの主役とも言えるし、あるいはアマリリスの特に蕾の方は女性の髪飾りのようにも見える。中南米原産でヨーロッパで愛されたアマリリスと、秋田で生まれ、東京の美容学校に通っているときにモデルとしてスカウトされたお葉。彼女は当時まだ16歳。夢二の恋人になったが歳は20くらい離れていたことになります。
お葉:当方とは同郷の秋田の生まれで、ほとんど教育を受ける機会もなく、母親と共に上京後、生活のために12才で東京美術学校の裸婦モデルとして働き始めます。そこではたぐいまれな美貌と均整の取れた容姿、モデルとしてのプロ意識から引っ張りだこになり、ローティーンでありながら、SM画家である伊藤晴雨の緊縛モデルを務めています。伊藤晴雨とは、愛人関係もあったようですが、その後竹久夢二のモデルとして紹介され、あっという間に夢二のミューズ兼内妻となりますが、前述のように当時はまだ15,6才。互いに翻弄しあい、浮気しあい、泥沼な愛人関係にピリオドを打ったのはお葉の方で、東京美術学校のモデル時代から相談役でもあった藤島武二の名作「芳惠」のモデルを22才で務めたのを最後にモデル業とは縁を切ります。 その後に医者と結婚し、晩年まで平穏にくらしたそうです。

もうひとつ紹介する作品は夢二が唯一、外国人女性を描いた絵。夢二は晩年、ハワイ、アメリカ西海岸からヨーロッパに外遊しているがその旅の中、アメリカ西海岸で描いたもの。
参考作品
西海岸の裸婦
1931-32(昭和6-7)年 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵

夢二好みの細身の女性が胸も露わに横たわっています。体と同じ方向に流れる背景のストライプが女性を一層際立たせています。ここでもまたグラフィックの本領を存分に発揮していると言えます。

この絵はロサンゼルスにスタジオを持っていた写真家、宮武東洋に夢二から託されていました。夢二生誕130年を迎える時に所在がわかり、夢二郷土美術館の所蔵となっています。その外遊中に体調を崩した夢二は帰国後、台湾(当時は日本の統治下)に療養を兼ねて向かうが病状はむしろ悪化し、翌年の1934年に満49歳の短い生涯を終えています。
この竹久夢二の油彩画「西海岸の裸婦」の作品に登場する女性の下腹部に、当初は布のようなものが描かれ、後に消された跡があることが、エックス線分析でわかったようです。「裸体を描くことへの葛藤があったのだろうが、布を消すことでストライプの背景に女性を横たえる斜めの構図をより引き立たせた。」と評されています。

夢二が遺した油彩画はおよそ30点とされていますが、風景画や静物画もあり、下記のような作品もあります。
参考作品
家の見える風景
大正前期 油彩、板 夢二郷土美術館蔵

参考作品
スヰトピー
昭和初期 油彩、布 夢二郷土美術館蔵

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参考作品
なんでも鑑定団出品作 2022年1月4日放送
竹久夢二の油絵

所蔵者はお茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授ですが、本作品は夫・袖井林二郎氏が入手した作品。元・法政大学教授で有名な国際政治学者ですが、政治の勉強に度々アメリカに行っていました。その際、その画家がアメリカで活動していたことに興味を持ち、活動を本にしようと画家の足跡を取材。この絵は20年程前夫がロスの日系人宅で発見した物ですが、長年ガレージに放置されていたため真っ黒に汚れていたそうです。貴重な物だと思い1万ドルで購入し、日本に持ち帰った後に修復業者に出して綺麗にしたそうです。
評価金額・評:2500万円
大発見。大正時代に憂いを含んだ美人、いわゆる夢二式美人というもので一世を風靡した。ただこの作品は印象がかなり異なり非常に暗い。体が背景の暗闇に沈み込むような、そんな印象を受ける。それから少しゆがんだ口元、このような表現は憂いを通り越して夢二自身の心の闇、悲しみを表しているような雰囲気。そういった意味で夢二の作品の中でも貴重なものであるし、新しく油彩画が見つかることはほとんどないので重要な発見と言える。
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真贋は別として面白い作品・・・。

飾って愉しんでいます。

額が味があっていい・・・。

裏面は額縁屋さんでボードを付けています。

賛否両論あるでしょうが、時代そのものを愉しむという観点からの当方の蒐集方針・・・・。