夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

水戸黄門公遺訓 福田古道人筆

2016-04-20 00:04:11 | 掛け軸
久方ぶりに母に会いました。皆で動画や写真をみながら大笑い・・。



息子は車椅子に興味津々・・・。



良い子にしていたご褒美に帰りは喫茶店に・・。



なんでもかんでも興味津々・・・。

日本三大遺訓をご存知でしょうか? 伊達政宗の「貞山政宗(伊達政宗)公遺訓」、言わずと知れた徳川家康の「徳川家康公遺訓」、そしてご存知水戸黄門(水戸家の当主は代々黄門様)の「水戸光圀公遺訓」です。

本日は最近アメリカなどで人気の南画家である福田古道人の書で「水戸黄門公遺訓」です。

水戸黄門公遺訓 福田古道人筆
紙本水墨 軸先木製塗 合箱
全体サイズ:縦1620*横300 画サイズ:縦850*横280



「右水戸黄門公遺訓 善秀老人嘱 古道人□□ 押印(「福田世耕」白文朱方印 「静処」朱文方印)」と記されています。

  

伊達政宗の「貞山政宗(伊達政宗)公遺訓」、徳川家康の「徳川家康公遺訓」、水戸黄門(水戸家の当主は代々黄門様)の「水戸光圀公遺訓」は下記の通りの内容です。

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「貞山政宗(伊達政宗)公遺訓」
仁に過ぐれば弱くなる。
義に過ぐれば固くなる。
礼に過ぐればへつらいとなる。
智に過ぐれば嘘を付く。
信に過ぐれば損をする。
気長く心穏やかにして万に倹約を用いて金を備なうべし。
倹約の仕方は、不自由を忍にあり この世の客にきたと思えば何の苦もなし。
朝夕の食事うまからずともほめて食うべし。
元来、客の身なれば好き嫌いは申されまし。
今日の行き送り子孫姉妹によく挨拶して娑婆の御いとま申すがよし。

「徳川家康公遺訓」
人の一生は、重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし、心に望み起らば困窮したるときを思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え、勝つことばかり知りて、負けることを知らざれば、害その身に至る。
己を責めて人を責めるな、及ばざるは過ぎたるより勝れり。

「水戸光圀公遺訓」
苦は楽のたね楽は苦のたねと知るべし 
主人と親は無理なるものと思ひ恩を忘るることなかれ 
下人はたらわぬものと知るべし 
子程に親を思い子なきものは身にくらべて近きを手本とすべし 
掟に怖じよ 分別なきものに怖じよ 
朝寝すべからず 長座すべからず 
小事もあなどらず 大事も驚くべからず 
慾と色と酒はかたきと知るべし 
九分は足らず 十分はこぼるると知るべし 
分別は堪忍にありと知るべし 
正直は一生の宝 堪忍は一生の相続 慈悲は一生の祈祷と知るべし

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本作品の文は
「正直は一生の宝 堪忍は一生の福 慈悲は一生の祈祷 苦は楽のたね楽は苦の基なるべし 主人と親は無理なるものと思へ 下人は足らぬものと知るべし 子を思う程親を思へ 子なきものは身にくらべて近きを手本とすべし 掟を守り火をおそれよ 色と酒と欲はかたきと知るべし 朝寝すべからず 長座すべからず 小事に分別せよ 大事も驚くべからず 九分は足らず 十分はこぼるると知るべし」



現在、福田古道人の絵の作品は大人気?です。アメリカでは高い人気ですが、意外に日本人は知らないようです。現代の日本人は日本の文化に疎いのは相変わらずのようです。



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福田古道人:漢詩人・俳人・南画家。慶応元年(1865)、新宮藩与力、中村家の次男に生まれ、同藩士の福田家を継ぐ。和歌山県生。名は世耕、漢詩に静処、南画及び和歌に古道人と号した。

福田古道人は和歌山県の熊野古道にちなんでつけた名前。俳号は把栗。少年の頃、京都に上り、鈴木百年について絵を学ぶ。まもなく東京に出て、漢詩の塾を開いた。漢詩人として早くから名を成すが、正岡子規との交遊がはじまり、終生の知己とした。のち子規門に入って俳句をはじめ、特異な風格を示した。

京都に住んだが、昭和10年5月頃、山形県に長く逗留して多くの絵や書を書き残している。山形県寒河江市近隣には、たくさん絵や書を残されてるらしい。静処は、漢詩を最も得意とし、書・画・俳句・和歌の、いずれにも優れていた。渡瀬凌雲も漢詩を学んだ一人である。

紀州のみならず、全国的に高く評価されている文人である。近代南画家の大家と言える。アメリカで人気が高い。独特の色使いで、常識とは少し異なるが、それが非常に人気がある。昭和19年(1944)歿、80才。

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「子程に親を思い」など胸に突き刺さるような言葉です。

倹約の仕方は、不自由を忍にあり この世の客にきたと思えば何の苦もなし。
朝夕の食事うまからずともほめて食うべし。元来、客の身なれば好き嫌いは申されまし。
今日の行き送り子孫姉妹によく挨拶して娑婆の御いとま申すがよし。

堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え、勝つことばかり知りて、負けることを知らざれば、害その身に至る。
己を責めて人を責めるな、及ばざるは過ぎたるより勝れり。

朝寝すべからず 長座すべからず 
小事もあなどらず 大事も驚くべからず

正直は一生の宝 堪忍は一生の相続 慈悲は一生の祈祷と知るべし

今になって解ることが多いもの 

このような内容の書は簡素な紙表具蛾に似合います。



そういえば祖父が作った家訓があったことを思い出しました。叔父のところにあった額に飾った書を写し、現場で知り合った書家(機会のオペレータ)に書にしてもらったもの。たしか「上みてすすめ、下みて暮らせ」云々・・・。郷里にあるはず・・・どこへいった?



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