
蓑虫山人の大幅の作品は意外に数は多いものの、市場に出回ることは少ないと感じています。しかも意外に蓑虫山人の出来の良い作品は人気が高く、ネットオークションでも10万円は超える値段で落札されています。

芦辺百雁図 (大幅) 蓑虫山人筆 その25
紙本水墨淡彩軸装 合箱
全体サイズ:横1100*縦2300 画サイズ:横885*縦1600

この作品は蓑虫山人の佳作のひとつといっても過言ではないでしょう。蓑虫山人は時としてこのような大きな作品を描いています。

雁の数は数えていませんが、題名は「芦辺百雁図」としています。

詳細に観ていくとじつにユーモラスに可愛らしく描かれています。

汚れはあるもののまだ改装まではする必要はないと判断しています。

蓑虫山人のスケッチ力の高さがうかがい知れる作品ですね。

かなり早い筆致で描かれています。

どこを描いたのかは不明ですが、蓑虫山人は諸国歴遊の旅を終えた後は、名古屋市長母寺に寄寓する傍ら、自らが収集した資料を展示する「六十六庵」建設を構想しました。ただこの構想は果たせないまま明治33年(1900)鬼籍に入りました。
享年65歳であり、嘉永2年(1849)14歳のときに郷里を出て以来、48年間にわたって諸国を放浪し、その足跡は全国各地に残されています。そうすると 名古屋に戻ったのが62歳頃として、この構想を練って「六十六庵」と号したとすると、この作品は62歳以降の最晩年の作品かもしれませんね。

蓑虫山人の本名は土岐源吾、号としては「蓑虫仙人」「三府七十六県庵主」「六十六庵主」とも称しており、本作品には「六十六庵主」と記されています。

展示室にはこのような大きな掛け軸を飾れる場所があって便利です。

しばらく飾って愉しむことにしました。
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