夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

お気に入りの画家 秋山帰樵 田中以知庵筆 その12

2021-06-21 00:01:00 | 掛け軸
当方の所蔵作品で最も大切にしている作品のひとつに下記の作品があります。作品の紹介は省くとして、真贋はともかく祖父、祖母、父、母、叔父、従弟、そして当方に伝わってきた作品です。久方ぶりに手入れをしました。

松鷹之図 狩野芳崖筆
紙本水墨淡彩絹装上表具本多天城鑑定箱布装カバー二重箱軸先本象牙
全体サイズ:縦2300*横760 画サイズ:縦1282*横612

 

掛け軸は普段は虫干し以外に手入れは必要ないのですが、大事な作品はしばらく飾らない場合は湿気などの確認をしておいた方がいいでしょう。本作品は屋久杉の外箱に収まっており、木のアクを拭いておきました。また塗の部分の漆の剥げた部分を補修しておきました。このような誂えは現代ではもはや無理でしょう。先人の誂えを伝えるのも蒐集家の大切な役目です。

さて本日の作品ですが、最近紹介した田中以知庵の描いた「青山行路」の作品と対をなす作品だと思います。



お気に入りの画家 秋山帰樵 田中以知庵筆
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱二重箱
全体サイズ:縦1310*横640 画サイズ:縦365*横440



田中以知庵は禅を学び、朝鮮半島に渡るなど数年にわたって求道的な生活を送りましたが、晩年は風景画にも独自の画境を拓いており、川崎北部の里山に住み着き自然のなかに題材を求めていたこの頃の作品ではないでしょうか?



独特な僅かな筆致で秋山を描ききっている作品です。



青山をひとりいく人と秋山を一人下る人・・、田中以知庵自身を重ね合わせたような作品です。



作品中、共箱の落款と印章は下記のとおりです。

  

共箱の誂えとなっています。



田中以知庵の作品は一万円強程度で入手できるのが嬉しいですね。



際立つ画家ではありませんが、意外にファンが多いのではないかと今後の再評価をファンの一人として期待しております。



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