夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

貴重な作品 孟宗竹図 寺崎廣業筆 大正3年(1914年)作 →贋作と判断

2021-06-23 00:01:00 | 掛け軸
日曜日には家族と近所の方とでジャガイモ堀り・・。



芋を掘るは蝶々を追いかけまわすはで、息子と小生はクタクタ・・。汗をかいたので家族三人で昼過ぎには入浴し、夕方には父の日なので外食しに出かけたら、息子がダウン・・、さもありなん 夕食せずにぐっすり寝たら翌朝にはもう元気



寺崎廣業の作品で年号が記されている作品は初期の明治期に比して大正期には非常に数が少なくなり貴重な作品となっています。さらに大正期では著名になったせいか水墨画など依頼されて描いたような作品がほどんどであり、晩年の大正期には市場で売買される作品は水墨のみの書き込みの少ない作品が多いのですが、本日の作品のような着色されて書き込みの多い作品は数少ないと思います。



*2021年9月20日 再検証により贋作と判断

孟宗竹図 寺崎廣業筆 大正3年(1914年)作
絹本水墨着色軸装 軸先木製 誂箱入
全体サイズ:縦2040*横620 画サイズ:縦1320*横470

 

本作品の落款には「大正甲寅初夏 廣業 押印」とあり大正3年(1914年)、寺崎廣業が48歳頃の作と推定されます。



1912年(大正元年)の文展には代表作となっている「瀟湘八景」を出品して同題の大観の作品とならび評判作となり、1913年(大正2年)には美術学校の日本画主任となり、芸術家として斯界の最上段に立つようになった当時の作です。



孟宗竹の描く力量は申し分なく、葉の部分には銀彩を竹の部分には金彩を用いています。



上部の葉の部分はちょっと雑かな?



何カ所かに葉を通して背景の竹の部分の線が見えるのは本来なら真贋を疑う必要があると思われますが、意外に寺崎廣業の作品は雑なところがあります。



当方の他の所蔵作品「水墨漁村図」の落款(下記写真右)と比較してみました。なお「水墨漁村図」は真作と判断している作品です。

水墨漁村図 寺崎廣業筆 その39
絹本水墨淡彩軸装 軸先本象牙 野田九甫鑑定箱入
全体サイズ:縦2050*横535 画サイズ:縦1110*横350

 

本作品に押印されている印章は非常に珍しい印章ですが、資料に掲載されている印章です。参考にした資料(下記写真右)紙本(扇面)に押印されたもので、絹本と紙本の違いと押印された年代の違いで若干違う可能性もあり検証が必要です。資料ひとつで判断するのもリスクがあります。印章は必ず複数の見地から確認する必要があります。

*可能性としては真印と同印と判断してよさそうですし、大正期にこの印はよく押印されているようです。

 

表具の状態は良好ですが、共箱どころか保管箱も無く、シミのある状態で入手しましたので、いい作品なら改装と保管箱を誂える必要がありそうです。



ところで作品を購入するか否かの判断に際して、資料を片手に印章やら落款をマニアックに比較する方が非常に多いようですが、それでは売買を生業とするプロの世界、また蒐集でもいい作品はまず寄り付きません。そもそも売り主に失礼にあたります。

蒐集家は常にその場で判断できる感覚を研ぎ澄ますことで作品を蒐集するべきだと思っています。



今回は一見よさそうに見えた作品であり、当方では最初に観た印象を重視していますが、ただし詳細を観るとさらなる検証が必要であり、後学の最終的な判断が必要としています。売買を目的にしていないのでじっくりと作品を鑑賞できるのは素人の特権ですね。

*本作品は最終的に真作と判断しました
→*2021年9月20日 再検証により贋作と判断 
根拠:竹の葉の描き方が雑
   印章「廣業画印」の印影に違いあり 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。