夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

作者の解らない作品 月下猛虎之図 伝桜間青涯筆

2012-10-19 05:09:45 | 掛け軸
田舎からきりたんぽが届きました。比内鶏やきりたんぽ(きりたんぽの語源はご存知ですよね)は無論ですがセリなどの野菜がとても美味しいのは田舎ならではものです。田子沢のセリは天下一品。。、量が少ないと電話したら正月はセリをたらふく食わせますとのこと

昨夜は出張先から電車に乗り早々に帰宅してきりたんぽ鍋・・。ちょっと薄味でしたが野菜の風味と比内鶏のコクのあるスープが秋田の自然の味を醸し出さしてくれました。

さて今年の年末は雪の十和田湖か、八幡平か・・、絶景ですよ。

本日の作品は、秋の月夜にちなんでよくある「月下猛虎図」という作品です。猛虎・・というのにはどうかと思う作品です。
そういえば昨日出張した機材センターはやたら猫が多かった・・・。

面白い絵なので作者を調べていますがどうしても解りません。いったい誰なのでしょうか?
落款と印章には「青涯」とあります。

月下猛虎之図 伝桜間青涯筆
絹本水墨着色 軸先鹿角軸 合箱入
全体サイズ:縦1800*横500 画サイズ:縦1058*横353



本作品は青涯と記された落款と印章がありますが、どのような画家かは不明です。



売主は「桜間青崖は時代により青崖・青・青涯と幾つか使い分けています。他に山下青崖がいますが、全く絵筋が違います。この度の絵筋から致し桜間青崖で間違いないと思います。」とのことですが、現在の手元の資料では「青崖」と落款のある作品しか確認できていないので断定はできません。

桜間青崖:天明6年~嘉永4年(1786~1851)岡崎藩士で本多家の江戸屋敷に生まれ、文人画家として人気を博し、藩主本多忠顕(ただあき)、忠考(ただなか)の寵愛を受けたといわれています。 



思文閣資料墨蹟目録第422号掲載 NO37 「秋山観瀑図」






名は咸、字は善訥、別号に迂 亭、迂斉主人。画を片桐桐隠に学ぶ。「青崖の活躍舞台は江戸で、その作風は谷文晁に始まる関東南画系列に属するもので渡辺崋山、椿椿山とも交流がありました。

主に山水画を得意とし、「山水は我青に及ばず」といわしめた渡辺崋山とは莫逆の友といわれれいます。


性淡泊にして奇行に富んだが、人はその無我を愛したという。嘉永4年(1851) 歿、66才。



この桜間青崖という画家の山水画は評価が高いですし、なかなか市場で見受けません。いつかは欲しい作品です。そしてなんといってもこの人の逸話は面白いです。

桜間青崖の逸話

1.渡辺崋山が桜間青崖を訪ねると「ちょっと外出するから留守居してくれ、それから羽織を 拝借」といって出たが、やがて帰って来て、酒肴を出してもてなした。崋山は「ごちそうに なった」と立って「羽織は?」ときくと、「君の羽織で酒肴をととのえた。羽織はわれらの腹中」と答えたという・・。大酒飲みだけど人から憎まれない得な性格だったようで渡辺崋山とのエピソードは面白い。




2.江戸末期の画家桜間青涯は画道に没頭するのみで妻も子も無くひとり貧しく暮していました。雨が降れば部屋の中でも片手に傘を持ち 残る片手で筆を走らせるという有様でした。

それほど熱心であったから友人の渡辺崋山は青涯の画を高く評価し「山水画にいたっては 私は青涯の足元にもおよばん。」と門人達によく語っていたそうです。

ある日崋山の弟子の椿山が青涯の家を訊ねたとき、門は閉じてあるのですが音がするので「先生ご在宅ですか?椿山です。」と声をかけました。「先生はお留守でございます。」と返事がありましたが、青涯の声だったので「そのお声はたしかに先生でございます。なぜお留守と言われますか。」と聞きました。青涯は笑い声で「物干しの洗濯物は乾いておりますか。」ととんでもない事を聞くので、椿山は訳もわからず洗濯物を見て「きれいに乾いております。」と答えました。青涯はこれを聞いてまた笑いながら、「洗濯物が乾いていれば先生はご在宅です。お入りください。ついでに洗濯物を持ってきてください。」と室内から言いました。椿山はただちに洗濯物を物干しから取って家のなかに入ると「失敬!失敬!」と笑う青涯はなんと素っ裸だったそうです。





3.渡辺崋山の子息であり、跡を継いだ渡辺小華は明治19年には野口幽谷らと皇居の杉戸絵揮毫の栄誉に授かるが、持病のリューマチが酷く、一部を門人の山下青涯に代筆させたという(翌年完成)。

本作品はたしかに山下青崖とはまた画風が違いますが、桜間青崖と断定するのはまだ早計かと・・。落款の自体も・・、いずれこちらの資料不足・・。

いずれ月下猛虎図・・、酒を飲むと大虎になる人物が多い。




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