半年くらい前だったか。
気紛れに「ロックマンX3」に挑戦したものの、あまりの難しさに途方に暮れた。
攻略サイトに頼りながら何とかクリアーしたもの、ロックマンに歯が立たなかったという事実。
俺様の比類なきファミ魂(ふぁみこんとお読み下さい)はズタズタにされたのだった。
その後「ロックマンX4」「ロックマンエグゼ トランスミッション」は無難にクリアー
できたが、X3で深く傷ついたファミコン世代の誇りが癒えることはなかった。
何と言うか、ロックマンというものに消えぬ恐怖心を植えつけられた。
そんな折、カプコンは突然、本当に突然、「ロックマン9 ~野望の復活!」を発表した。
これには誰もが驚いたと思う。
ロックマンシリーズは絶え間なく続いているが、元祖シリーズはもう10年以上も
前の「8」で完全に終了しているものだと誰もが思っていたからだ。
まさか今更続編が出るとは……副題通りの「復活」であった。
しかしサプライズはそれに止まらず、9はゲームの概要もまた驚くべきものだった。
1.グラフィックや音楽をファミコン時代のロックマンに合わせる。
2.WiiのWiiWareにて販売。つまりネットDL専売。
3.完全新作なのに1000ポイントと破格。
4.有料の追加DLコンテンツあり。
特に1には驚かされると共に、「その手があったか!」と感心させられた。
ハード的に今更ファミコンレベルの作品を出すと言うのだから、
冷静に考えれば、手抜き甚だしいということになるかもしれない。
だが、モノはロックマンである。7と8は違ったが、6までは全てファミコンで、
プレー感覚は殆ど変わらないままにシリーズが続いた。
俺のようなファミコン世代にとって「ロックマン」は間違いなくファミコン版である。
そして、Wiiにはそんなファミコン世代のユーザーも多数いると思われる。
そういった旧ファンに訴求するには、寧ろファミコンレベルの質が適切だと判断したのだろう。
もちろん、製作コストを抑えるという意味もあったに違いないが。
そうして製作コストを抑えた上で、カプコンなりにWiiWareの可能性を探るタイトルにする。
価格は抑え目に、また有料DLコンテンツの許容され方も探る。
有名なロックマンの、しかも元祖シリーズの復活、話題性は十分だ。
なんちゅーか、見事な戦略だと思う。
まだWiiWareには目ぼしいタイトルが他にないので、ロックマン9が
ぶっちぎりの人気ナンバー1タイトルになっていることは間違いない。
一体どれくらい売れたのだろうか。利率は、どれくらいだったのだろうか。
非常に興味があるが、店頭での販売本数と違い、データが分からないのが残念だ。
コスト低くて在庫リスク皆無のネットDL販売は、ある意味究極の販売形態だと思う。
全部が全部それになることはないし、なっても困るのだが、
今後もっともっと発展してほしい販売形態である。
さて。
久々にロックマンをやったのにほぼ重なって、俺の思う「ロックマン」の新作発表。
値段も手頃、値崩れはあり得ない、Wiiとネット環境もある。購入しない理由はなかった。
まぁ購入後しばらく寝かしていたが、これは気合いが漲るのを待っていたのだ。
で、「年も明けたし、そろそろ本気出すか」と思い立ち、挑戦を開始したのである。
何を大袈裟なと思うかもしれないが、俺は少々マジにロックマンにビビっていたのである。
ファミコンの雰囲気を再現したからには、難度もアレに準じているに違いない。
まぁファミコン版の難しさならそこまで恐れるものじゃないんだが、
とにかくX3の刷り込みが激しかったのであった。ううう、怖い。
リモコン横持ちなんて論外、クラシックコントローラーを差し込み、いざ準備万端。
行くぜロックマン9!
始まってすぐ、いやWiiでチャンネルを選んですぐ、「あはっ」という声が漏れた。
本当にファミコン版まんまである。当時やったとしても、一切違和感はないであろう。
それを決して手抜きに感じないんだから、やはりこれは適切な判断だったのだと思う。
このマーケティング、少なくとも俺には正解でした。カプコン、見事。
絵も音もファミコンそのものであり、当然ジャンプやショットの効果音もあのまま。
またそれだけでなく、シリーズで一番有名と思われる「2」から幾つか曲を使い回している。
これもまた手抜きではなく、旧ファンへのサービスであろう。実際、ニヤリとしてしまった。
そしてゲームスタート。散々ビビっていた難度を知ることになる。
……まぁ、こんなもんか、と。
普通に難しく、ステージ一つ、ボス一体にかなり苦戦はする。
しかし苦戦していればいずれは抜けられる。つまり、普通のアクションゲームである。
難度的にも2のレベルを目指していたのかもしれない。個人的には2よりは難しいと思うが。
そうそう、3以降に搭載されたスライディングがなくなっており、
アクションは移動とジャンプとショットだけ。
スライディングは好きなアクションなので残してほしかったが……
この点を見ても、9は2を元にした新作と言えると思う。
割と大きな追加要素に「買い物」がある。
今までは基本的にステージで手に入るアイテムはHP回復とMP(便宜上表現)回復だけ
だったが、今作ではもう一つ、ネジという金銭扱いのアイテムが手に入る。
これをどう使うかと言うと、金なんだからもちろん買い物。
ステージ間にロールが待つ拠点に戻ることが可能で、そこで様々なアイテムを購入できるのだ。
ロールの服装やロックマンのヘルメット着脱(被ダメージが増えてしまう)といったお遊び
アイテムもあるが、「残機アップ」「一回だけ穴に落ちてもセーフ」「1ステージのみ防御力2倍」
といった、攻略に大いに役立つものがゴロゴロある。2に存在したE缶やM缶もある。
これらが、さほど苦労なく、購入できてしまうのだ。
「難度までファミコン版レベルにしたが、さすがに今の人には厳しいんじゃないか?」。
9の製作に当たって、カプコンはそう考えたのだろう。
ユーザーにはファミコン版を知らない若い層も当然たくさんいるし、
かつてのファミコン世代の誰もが俺の様な生涯現役の腐れゲーオタなわけがない。
やはり、ある程度の救済策の整備は必要だったのだ。
それがこの買い物システムだったのであろう。
……気に入らない。
激しく気に入らない!
ロックマンに救済など必要ないんじゃ!
何度も死んで何度もやり直す、そのやり直す過程すら厳しいのがロックマンなんじゃ!
残機を買えるだと? 被ダメージ1/2だと? そんな温いロックマンがどこにある!
別シリーズのX等なら、別に構わない。実際、Xシリーズでは強化要素を躊躇いなく使った。
しかし今作はファミコン版の再現がテーマであったはずだ。
なら、こんな甘っちょろい要素も必要ないであろう!?
俺の昂ぶるファミ魂(ふぁみこん)は、このシステムを過剰に嫌悪したのであった。
ロールの衣装は2秒で買ったけど。
で。
俺がもしこの件でカプコンにクレーム電話でもしていれば、どうなっていただろう。
一応断っておくが、そんな事はしていないぞ。
カプコンのお姉さん(予想)はこう答えたはずだ。
「それでしたら、何も買わずにプレーされればよろしいのではないでしょうか?」。
至極尤もだ。別にイベント強制入手とかじゃない。要らないなら、買わなきゃいいのだ。
上等。
ゲームが下手なくせに、ロックマンにビビっているくせに、俺は自分を縛ることにした。
買い物は一切しない(ロールの衣装除く)。
そしてもう一つ、ステージ上で手に入るE缶M缶が幾つかあるのだが、これも一切使用しない。
これはかつて2をやった時に自分に課した縛りなんだが、今回も適用することにした。
ゲームが下手だろうと何だろうと、俺はファミコン時代を生きた男なんだ。
今もファミ魂(ふぁみこん)を忘れちゃいないし、忘れちゃいけないんだ。
この無謀な決意が、後に大変に自分を苦しめることになる。
いやしかし、本当によくクリアーしたよ……。
前半の8ボスステージは、さほど困らなかった。
もちろん難しいが、何度もやっていれば自然に先に進めた。
またボスも、お約束の弱点があるので、序盤はしんどいが特殊武器が
増えれば増えるほどどんどん楽になっていった。
ちなみに「ネット情報には一切頼らない」も当然ながら縛りとして設定した。
ファミコン時代にゃこんな便利なもんなかった。だから当然使っちゃいけない。
あの頃の攻略情報と言えば、友達との会話がせいぜいだった。
懐かしい……。
と言うわけで、ボスの弱点を突く武器も自分で調べ、楽な順番を模索した。
こういった手探り感もファミコン版を思い出させてくれて楽しかった。
さて、8ボスを倒すと、もちろんワイリーステージが登場する。
ワイリーUFOが飛んでいく時の曲は、2のアレそのものである。
萌えるし燃えるじゃねーか。やってやるぜ
しかしこの辺りから、徐々に縛りがキツクなってきた。
ワイリーステージは長く、難しい。ボスも強い。
残機がもっとあれば。穴に落ちてもセーフであれば。
何度決意を曲げようかと思ったか。
その度頭を振り、甘い誘惑を払いのけ続けた。
そして辿り着いた、最深部。
お約束の8ボスとの再戦と、ワイリーとの最終決戦。
武器が揃っている以上、8ボスの方は問題ない。
でもワイリーが……ワイリーが……ああっ!
考えるだけで気分が悪くなりそうだ。
ちゃんと倒したのに、強いトラウマを植え付けられた感じ。
キン肉マンが悪魔将軍に抱いた恐れはこんな感じだったのだと思う。
単純な話、ワイリーが強いのだ。なんと3段階もある。
最初は2段階だと思っていて、それでも苦戦しまくってたのに、
やっと倒した――! と思ってガッツポーズを取ったら、
更にチャララララとボスの体力ゲージが増えた。
あの時の絶望感ったらなかったよ。全く、ロックマンは恐ろしいゲームだ。
つっても、まぁ、何とかやれる気はした。
……アイテムさえ使えれば。
よく考えてみれば、買い物はきちんとゲームに組み込まれたシステムであり、
端からそれを否定するのも変な話だ。
俺はゲームが下手なこともあり、所謂やり込みプレーはやらない。できない。
ゲームの難度を「製作者の挑戦状」と受け取り、それに正面から挑んで勝つ事に
喜びを覚えるが、「製作者の予想を上回る」ほどの成果まではやろうとしない。できない。
そんな俺にとって、この縛りは無理があったのではなかろうか。
今回は弱音ではなく、実際そうだったのだろうと思う。
少なくとも、ステージ上で手に入るE缶M缶まで自主規制する必要はなかった。
それらを使えば、遥かに早くゲームをクリアーできていただろうに……。
はぁ。
厳しい縛りに負けず最後までやり遂げたのに、何故か後悔が付き纏うぜ。
達成感はもちろんあるが、なんかゲームの本道から逸れていたような気がしてならない。
ロックマンプレーにあるまじきと言えるレベルのストレスを感じちまったしなぁ。
せっかくの完全新作を、半分試練のようにやってしまったのはやはりまずかった、かなぁ……。
まぁ、とにかく俺はやり遂げたのだ。
「アイテム購入不可、E缶M缶使用不可」。
後述する実績には「E缶M缶不可」はあったが、アイテム不可はなかった。
つまり俺は実績に想定されていないレベルの縛りを潜り抜けたわけだ。
ふふふふふふ。我がファミコン世代の意地と誇り、健在なり!!
せっかくやり遂げたんだから、この事だけは大いに喜ぼう。ふふふふ。
まぁいいんでないの。誰にも迷惑かけていないんだし。
はぁ。
で、これ、他の人にとっちゃどの程度の難しさなのかなぁ。
「普通の人はアイテム無しでワイリー倒すくらい、多少の苦労で出来るよ」
とか言われたら、もう俺ゲーム引退するかもしれん。
比較対象がいないから分からん。
友達と同じゲームをプレーしていたあの頃は、ゲームと違って再現できないのであった。
んー、後はテキトーに。
物語は、非常にいい加減。
現在より科学が発達した世界のはずなのに、ライト博士の偽映像だけを
根拠にワイリーが復権。アホかっちゅーねん。
大体、今まで何回ワイリーの悪さを見逃してんだよ。
EDで半分自作をパロったような描写があったが、いい加減殺せっての。
まぁロックマンに言っても仕方ないか。物語は、どうでもいいレベルだ。
寧ろ拠点やEDでロックマンが割と喋るので、イメージを崩された気がする。
ファミコン版ではロックマンが喋ることは殆どなかったので、
彼に非常に無口なイメージを抱いているのは俺だけじゃあるまい。
ロックマンは、ただただストイックに難しいアクションをしているべきなのだ。
拠点会話もEDでの問い詰めも、サブキャラにやらせるべきだったと思う。
音楽。これは結構期待していたのに、残念ながらイマイチ。
マリオやドラクエと並ぶほどのファミコン世代共通音楽と言える(言い過ぎ?)
2の楽曲レベルには、正直達していない。悪いわけではないんだが。
音源は当然ファミコンを模しているので、雰囲気は十分出ている。
それで満足としておこうか。
ちなみに、効果音は完全コピペ。もちろんこれは悪口ではない。
セーブはもちろん可能だが、一応パスワードも用意してほしかったな。
殆ど無意味ではあるが、やっぱその、あれだよ。あれ。はぁ。
ちなみにワイリーステージでは、コンティニューは可能だがセーブは不可能。
つまりワイリー戦まで辿り着いても、電源を切るとまたワイリーステージ1からやり直しなのだ。
ここは完全にファミコン版の厳しさを再現している。アイテムでも近道はできない。
ワイリー倒すのに数日かかったので、毎日そこに辿り着くのがまず大変だったよ。
本当にしんどいゲームである。
実績。今作の大きな特徴だと思う。
まんまXBOX360の実績のパクリだと思うが、このゲームは海外じゃ
XBOX360やPS3でも配信されているらしいので、まぁいいのだろう。
つーか日本はオマケだったのね。
ファミコン世代とか言っても今のカプコンには笑われるだけだな。
で。
このゲームには「120分以内にクリアー」「8ボスをロックバスター
(ノーマル弾)のみで倒した」「敵を500体倒した」といった様々な
チャレンジが用意されている。その数、全50個。
チャレンジはゲーム中いつでも確認可能で、達成したものには王冠マークが付く。
「敵を500体」くらいは普通にやっていれば誰でも達成できるが、
「8ボスをロックバスターで」などはなかなか歯応えがある。
ロックマンはやればやるほど上手くなる、アクションゲームである。
最初は吐くほど難しいステージも、いつかひょいひょいこなせるようになる。
特殊武器の効率的な使い方等に気付けば、更に楽になる。
この実績要素は複数回プレーと上達をプレーヤーに促す優れたシステムだと思う。
このやり込み要素が入ったことで、ゲームの寿命が延びた。
斬新ではないが、優れた追加要素だったと思う。
他のゲームでも採用してもらいたい。
こういった部分は大いにパクッていいと思う。
ただ、中には「クリアーまでに取る回復アイテムが8個以内」や
「ノーダメージクリアー」といった狂った条件もあるので、
果たしてあれを全部達成できる猛者がいるのか、疑問である。
ロックマン9をノーダメージクリアーって。どんな世界なんだ。
やる人はやるんだろうか。ゲームが上手い人が。
はぁ。
なんだか微妙な感想になったが、十分面白かったよ。
「ファミコン風ロックマン」を、現在、完全新作として制作し、
それが十分面白かったんだから、大したもんである。
値段も破格と言っていいだろう。
新しいから正しいわけではないし、古いから間違っているわけでもない。
かと言って回顧ばかりしているのが良いわけがない。要はバランスである。
その意味で、この古くて新しいロックマン9は、どちらの要素も満たし、
しかしリメイク作でもないという、なんちゅーか凄い作品だと思う。
これはロックマンだから許される手法であり、ドラクエでもFFでもマリオでも、
今更ファミコンの質で新作作っても誰も喜ばないだろう。
ロックマンシリーズが、あくまでシンプルに、
単純だが味のあるアクションを貫いて来たからこそ出せた作品だ。
過去があって現在がある。うーん、美しい。
同じ手法で10や11と続けてほしいかと言えば、断言はできない。
新作は嬉しいが、これ一回限りだからアリだとも思う。
まぁそれはカプコンが決めればいい。
出すなら、挑戦状を遣すなら、いつでも受けてたってやるぜ。
ファミコン世代の意地と誇りに賭けてな!!!!
……でも、ちょっとは手加減して下さいね。
もう年だし。はぁ。
拍手を送る
気紛れに「ロックマンX3」に挑戦したものの、あまりの難しさに途方に暮れた。
攻略サイトに頼りながら何とかクリアーしたもの、ロックマンに歯が立たなかったという事実。
俺様の比類なきファミ魂(ふぁみこんとお読み下さい)はズタズタにされたのだった。
その後「ロックマンX4」「ロックマンエグゼ トランスミッション」は無難にクリアー
できたが、X3で深く傷ついたファミコン世代の誇りが癒えることはなかった。
何と言うか、ロックマンというものに消えぬ恐怖心を植えつけられた。
そんな折、カプコンは突然、本当に突然、「ロックマン9 ~野望の復活!」を発表した。
これには誰もが驚いたと思う。
ロックマンシリーズは絶え間なく続いているが、元祖シリーズはもう10年以上も
前の「8」で完全に終了しているものだと誰もが思っていたからだ。
まさか今更続編が出るとは……副題通りの「復活」であった。
しかしサプライズはそれに止まらず、9はゲームの概要もまた驚くべきものだった。
1.グラフィックや音楽をファミコン時代のロックマンに合わせる。
2.WiiのWiiWareにて販売。つまりネットDL専売。
3.完全新作なのに1000ポイントと破格。
4.有料の追加DLコンテンツあり。
特に1には驚かされると共に、「その手があったか!」と感心させられた。
ハード的に今更ファミコンレベルの作品を出すと言うのだから、
冷静に考えれば、手抜き甚だしいということになるかもしれない。
だが、モノはロックマンである。7と8は違ったが、6までは全てファミコンで、
プレー感覚は殆ど変わらないままにシリーズが続いた。
俺のようなファミコン世代にとって「ロックマン」は間違いなくファミコン版である。
そして、Wiiにはそんなファミコン世代のユーザーも多数いると思われる。
そういった旧ファンに訴求するには、寧ろファミコンレベルの質が適切だと判断したのだろう。
もちろん、製作コストを抑えるという意味もあったに違いないが。
そうして製作コストを抑えた上で、カプコンなりにWiiWareの可能性を探るタイトルにする。
価格は抑え目に、また有料DLコンテンツの許容され方も探る。
有名なロックマンの、しかも元祖シリーズの復活、話題性は十分だ。
なんちゅーか、見事な戦略だと思う。
まだWiiWareには目ぼしいタイトルが他にないので、ロックマン9が
ぶっちぎりの人気ナンバー1タイトルになっていることは間違いない。
一体どれくらい売れたのだろうか。利率は、どれくらいだったのだろうか。
非常に興味があるが、店頭での販売本数と違い、データが分からないのが残念だ。
コスト低くて在庫リスク皆無のネットDL販売は、ある意味究極の販売形態だと思う。
全部が全部それになることはないし、なっても困るのだが、
今後もっともっと発展してほしい販売形態である。
さて。
久々にロックマンをやったのにほぼ重なって、俺の思う「ロックマン」の新作発表。
値段も手頃、値崩れはあり得ない、Wiiとネット環境もある。購入しない理由はなかった。
まぁ購入後しばらく寝かしていたが、これは気合いが漲るのを待っていたのだ。
で、「年も明けたし、そろそろ本気出すか」と思い立ち、挑戦を開始したのである。
何を大袈裟なと思うかもしれないが、俺は少々マジにロックマンにビビっていたのである。
ファミコンの雰囲気を再現したからには、難度もアレに準じているに違いない。
まぁファミコン版の難しさならそこまで恐れるものじゃないんだが、
とにかくX3の刷り込みが激しかったのであった。ううう、怖い。
リモコン横持ちなんて論外、クラシックコントローラーを差し込み、いざ準備万端。
行くぜロックマン9!
始まってすぐ、いやWiiでチャンネルを選んですぐ、「あはっ」という声が漏れた。
本当にファミコン版まんまである。当時やったとしても、一切違和感はないであろう。
それを決して手抜きに感じないんだから、やはりこれは適切な判断だったのだと思う。
このマーケティング、少なくとも俺には正解でした。カプコン、見事。
絵も音もファミコンそのものであり、当然ジャンプやショットの効果音もあのまま。
またそれだけでなく、シリーズで一番有名と思われる「2」から幾つか曲を使い回している。
これもまた手抜きではなく、旧ファンへのサービスであろう。実際、ニヤリとしてしまった。
そしてゲームスタート。散々ビビっていた難度を知ることになる。
……まぁ、こんなもんか、と。
普通に難しく、ステージ一つ、ボス一体にかなり苦戦はする。
しかし苦戦していればいずれは抜けられる。つまり、普通のアクションゲームである。
難度的にも2のレベルを目指していたのかもしれない。個人的には2よりは難しいと思うが。
そうそう、3以降に搭載されたスライディングがなくなっており、
アクションは移動とジャンプとショットだけ。
スライディングは好きなアクションなので残してほしかったが……
この点を見ても、9は2を元にした新作と言えると思う。
割と大きな追加要素に「買い物」がある。
今までは基本的にステージで手に入るアイテムはHP回復とMP(便宜上表現)回復だけ
だったが、今作ではもう一つ、ネジという金銭扱いのアイテムが手に入る。
これをどう使うかと言うと、金なんだからもちろん買い物。
ステージ間にロールが待つ拠点に戻ることが可能で、そこで様々なアイテムを購入できるのだ。
ロールの服装やロックマンのヘルメット着脱(被ダメージが増えてしまう)といったお遊び
アイテムもあるが、「残機アップ」「一回だけ穴に落ちてもセーフ」「1ステージのみ防御力2倍」
といった、攻略に大いに役立つものがゴロゴロある。2に存在したE缶やM缶もある。
これらが、さほど苦労なく、購入できてしまうのだ。
「難度までファミコン版レベルにしたが、さすがに今の人には厳しいんじゃないか?」。
9の製作に当たって、カプコンはそう考えたのだろう。
ユーザーにはファミコン版を知らない若い層も当然たくさんいるし、
かつてのファミコン世代の誰もが俺の様な生涯現役の腐れゲーオタなわけがない。
やはり、ある程度の救済策の整備は必要だったのだ。
それがこの買い物システムだったのであろう。
……気に入らない。
激しく気に入らない!
ロックマンに救済など必要ないんじゃ!
何度も死んで何度もやり直す、そのやり直す過程すら厳しいのがロックマンなんじゃ!
残機を買えるだと? 被ダメージ1/2だと? そんな温いロックマンがどこにある!
別シリーズのX等なら、別に構わない。実際、Xシリーズでは強化要素を躊躇いなく使った。
しかし今作はファミコン版の再現がテーマであったはずだ。
なら、こんな甘っちょろい要素も必要ないであろう!?
俺の昂ぶるファミ魂(ふぁみこん)は、このシステムを過剰に嫌悪したのであった。
ロールの衣装は2秒で買ったけど。
で。
俺がもしこの件でカプコンにクレーム電話でもしていれば、どうなっていただろう。
一応断っておくが、そんな事はしていないぞ。
カプコンのお姉さん(予想)はこう答えたはずだ。
「それでしたら、何も買わずにプレーされればよろしいのではないでしょうか?」。
至極尤もだ。別にイベント強制入手とかじゃない。要らないなら、買わなきゃいいのだ。
上等。
ゲームが下手なくせに、ロックマンにビビっているくせに、俺は自分を縛ることにした。
買い物は一切しない(ロールの衣装除く)。
そしてもう一つ、ステージ上で手に入るE缶M缶が幾つかあるのだが、これも一切使用しない。
これはかつて2をやった時に自分に課した縛りなんだが、今回も適用することにした。
ゲームが下手だろうと何だろうと、俺はファミコン時代を生きた男なんだ。
今もファミ魂(ふぁみこん)を忘れちゃいないし、忘れちゃいけないんだ。
この無謀な決意が、後に大変に自分を苦しめることになる。
いやしかし、本当によくクリアーしたよ……。
前半の8ボスステージは、さほど困らなかった。
もちろん難しいが、何度もやっていれば自然に先に進めた。
またボスも、お約束の弱点があるので、序盤はしんどいが特殊武器が
増えれば増えるほどどんどん楽になっていった。
ちなみに「ネット情報には一切頼らない」も当然ながら縛りとして設定した。
ファミコン時代にゃこんな便利なもんなかった。だから当然使っちゃいけない。
あの頃の攻略情報と言えば、友達との会話がせいぜいだった。
懐かしい……。
と言うわけで、ボスの弱点を突く武器も自分で調べ、楽な順番を模索した。
こういった手探り感もファミコン版を思い出させてくれて楽しかった。
さて、8ボスを倒すと、もちろんワイリーステージが登場する。
ワイリーUFOが飛んでいく時の曲は、2のアレそのものである。
萌えるし燃えるじゃねーか。やってやるぜ
しかしこの辺りから、徐々に縛りがキツクなってきた。
ワイリーステージは長く、難しい。ボスも強い。
残機がもっとあれば。穴に落ちてもセーフであれば。
何度決意を曲げようかと思ったか。
その度頭を振り、甘い誘惑を払いのけ続けた。
そして辿り着いた、最深部。
お約束の8ボスとの再戦と、ワイリーとの最終決戦。
武器が揃っている以上、8ボスの方は問題ない。
でもワイリーが……ワイリーが……ああっ!
考えるだけで気分が悪くなりそうだ。
ちゃんと倒したのに、強いトラウマを植え付けられた感じ。
キン肉マンが悪魔将軍に抱いた恐れはこんな感じだったのだと思う。
単純な話、ワイリーが強いのだ。なんと3段階もある。
最初は2段階だと思っていて、それでも苦戦しまくってたのに、
やっと倒した――! と思ってガッツポーズを取ったら、
更にチャララララとボスの体力ゲージが増えた。
あの時の絶望感ったらなかったよ。全く、ロックマンは恐ろしいゲームだ。
つっても、まぁ、何とかやれる気はした。
……アイテムさえ使えれば。
よく考えてみれば、買い物はきちんとゲームに組み込まれたシステムであり、
端からそれを否定するのも変な話だ。
俺はゲームが下手なこともあり、所謂やり込みプレーはやらない。できない。
ゲームの難度を「製作者の挑戦状」と受け取り、それに正面から挑んで勝つ事に
喜びを覚えるが、「製作者の予想を上回る」ほどの成果まではやろうとしない。できない。
そんな俺にとって、この縛りは無理があったのではなかろうか。
今回は弱音ではなく、実際そうだったのだろうと思う。
少なくとも、ステージ上で手に入るE缶M缶まで自主規制する必要はなかった。
それらを使えば、遥かに早くゲームをクリアーできていただろうに……。
はぁ。
厳しい縛りに負けず最後までやり遂げたのに、何故か後悔が付き纏うぜ。
達成感はもちろんあるが、なんかゲームの本道から逸れていたような気がしてならない。
ロックマンプレーにあるまじきと言えるレベルのストレスを感じちまったしなぁ。
せっかくの完全新作を、半分試練のようにやってしまったのはやはりまずかった、かなぁ……。
まぁ、とにかく俺はやり遂げたのだ。
「アイテム購入不可、E缶M缶使用不可」。
後述する実績には「E缶M缶不可」はあったが、アイテム不可はなかった。
つまり俺は実績に想定されていないレベルの縛りを潜り抜けたわけだ。
ふふふふふふ。我がファミコン世代の意地と誇り、健在なり!!
せっかくやり遂げたんだから、この事だけは大いに喜ぼう。ふふふふ。
まぁいいんでないの。誰にも迷惑かけていないんだし。
はぁ。
で、これ、他の人にとっちゃどの程度の難しさなのかなぁ。
「普通の人はアイテム無しでワイリー倒すくらい、多少の苦労で出来るよ」
とか言われたら、もう俺ゲーム引退するかもしれん。
比較対象がいないから分からん。
友達と同じゲームをプレーしていたあの頃は、ゲームと違って再現できないのであった。
んー、後はテキトーに。
物語は、非常にいい加減。
現在より科学が発達した世界のはずなのに、ライト博士の偽映像だけを
根拠にワイリーが復権。アホかっちゅーねん。
大体、今まで何回ワイリーの悪さを見逃してんだよ。
EDで半分自作をパロったような描写があったが、いい加減殺せっての。
まぁロックマンに言っても仕方ないか。物語は、どうでもいいレベルだ。
寧ろ拠点やEDでロックマンが割と喋るので、イメージを崩された気がする。
ファミコン版ではロックマンが喋ることは殆どなかったので、
彼に非常に無口なイメージを抱いているのは俺だけじゃあるまい。
ロックマンは、ただただストイックに難しいアクションをしているべきなのだ。
拠点会話もEDでの問い詰めも、サブキャラにやらせるべきだったと思う。
音楽。これは結構期待していたのに、残念ながらイマイチ。
マリオやドラクエと並ぶほどのファミコン世代共通音楽と言える(言い過ぎ?)
2の楽曲レベルには、正直達していない。悪いわけではないんだが。
音源は当然ファミコンを模しているので、雰囲気は十分出ている。
それで満足としておこうか。
ちなみに、効果音は完全コピペ。もちろんこれは悪口ではない。
セーブはもちろん可能だが、一応パスワードも用意してほしかったな。
殆ど無意味ではあるが、やっぱその、あれだよ。あれ。はぁ。
ちなみにワイリーステージでは、コンティニューは可能だがセーブは不可能。
つまりワイリー戦まで辿り着いても、電源を切るとまたワイリーステージ1からやり直しなのだ。
ここは完全にファミコン版の厳しさを再現している。アイテムでも近道はできない。
ワイリー倒すのに数日かかったので、毎日そこに辿り着くのがまず大変だったよ。
本当にしんどいゲームである。
実績。今作の大きな特徴だと思う。
まんまXBOX360の実績のパクリだと思うが、このゲームは海外じゃ
XBOX360やPS3でも配信されているらしいので、まぁいいのだろう。
つーか日本はオマケだったのね。
ファミコン世代とか言っても今のカプコンには笑われるだけだな。
で。
このゲームには「120分以内にクリアー」「8ボスをロックバスター
(ノーマル弾)のみで倒した」「敵を500体倒した」といった様々な
チャレンジが用意されている。その数、全50個。
チャレンジはゲーム中いつでも確認可能で、達成したものには王冠マークが付く。
「敵を500体」くらいは普通にやっていれば誰でも達成できるが、
「8ボスをロックバスターで」などはなかなか歯応えがある。
ロックマンはやればやるほど上手くなる、アクションゲームである。
最初は吐くほど難しいステージも、いつかひょいひょいこなせるようになる。
特殊武器の効率的な使い方等に気付けば、更に楽になる。
この実績要素は複数回プレーと上達をプレーヤーに促す優れたシステムだと思う。
このやり込み要素が入ったことで、ゲームの寿命が延びた。
斬新ではないが、優れた追加要素だったと思う。
他のゲームでも採用してもらいたい。
こういった部分は大いにパクッていいと思う。
ただ、中には「クリアーまでに取る回復アイテムが8個以内」や
「ノーダメージクリアー」といった狂った条件もあるので、
果たしてあれを全部達成できる猛者がいるのか、疑問である。
ロックマン9をノーダメージクリアーって。どんな世界なんだ。
やる人はやるんだろうか。ゲームが上手い人が。
はぁ。
なんだか微妙な感想になったが、十分面白かったよ。
「ファミコン風ロックマン」を、現在、完全新作として制作し、
それが十分面白かったんだから、大したもんである。
値段も破格と言っていいだろう。
新しいから正しいわけではないし、古いから間違っているわけでもない。
かと言って回顧ばかりしているのが良いわけがない。要はバランスである。
その意味で、この古くて新しいロックマン9は、どちらの要素も満たし、
しかしリメイク作でもないという、なんちゅーか凄い作品だと思う。
これはロックマンだから許される手法であり、ドラクエでもFFでもマリオでも、
今更ファミコンの質で新作作っても誰も喜ばないだろう。
ロックマンシリーズが、あくまでシンプルに、
単純だが味のあるアクションを貫いて来たからこそ出せた作品だ。
過去があって現在がある。うーん、美しい。
同じ手法で10や11と続けてほしいかと言えば、断言はできない。
新作は嬉しいが、これ一回限りだからアリだとも思う。
まぁそれはカプコンが決めればいい。
出すなら、挑戦状を遣すなら、いつでも受けてたってやるぜ。
ファミコン世代の意地と誇りに賭けてな!!!!
……でも、ちょっとは手加減して下さいね。
もう年だし。はぁ。
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「ロックマンX3」は、本当に顎が外れるほど難しかったですね。途方にくれました。ただX4はそうでもなかったの、シリーズだとどうかな……?
その後はDS版の「ロックマンゼロ」シリーズにも手を出したのですが……これがまた、指が悲鳴をあげるほど難しくて。半泣きですわ。
ロックマンは様々なシリーズで展開してますが、時代が進んでも甘くなってはいませんね。寧ろより難しくなってるかも。
ユーザーに媚びない態度は素晴らしいですが、肝心のユーザー(俺)の熱意がヘタれてきているというw やれやれ。
この9については、実にいいセンスをしていると思います。あまりに「やられた」タイトルだったので、もう見た瞬間買い決定でしたね。
ゲーム内容もファミコンテイスト満載で、十分楽しめました。「DL専売ソフト」という、今では当たり前のものを強く意識させられた作品でもあります。
アイテム使用拒否は、やり過ぎでしたw クリアーは一回だけで、2度はやれる気がしませんね。
>ロックマンの魅力といえば、敵ボスの武装を自分のものにできることと、例え才能がなくても努力すればうまくなれる
アクションゲームは、これですね。そしてこれぞファミ魂です。ずっと燃やし続けたいです。……最近はたまに強風に煽られますが。
ただ、この後「ロックマン10」も発売されたのですが、これについてはプレーしていません。
俺にとってこの方式は「今回限り」だったようです。やりたくないわけではないのですが……懐古も難しいもんです。はぁ。
9もクリアしたかどうか記憶があいまいです。
X3はSFC当時黄金のアーマーまでとって昇竜拳してクリアしたんですけどねw
新ロックマンでも何でも良いからまだまだ続けて欲しいところ。20XX年はまだ先か……
>X3はSFC当時黄金のアーマーまでとって昇竜拳してクリアしたんですけどねw
俺はサターン版をやったんですが、SFC版とは違うんですかね。それにしても難しかったなぁ……。
>新ロックマンでも何でも良いからまだまだ続けて欲しいところ
そう言えば、少し前に海外のファンがスト2キャラを敵にしたロックマンを作り、それを海外カプコンが公認してましたね。
企画自体はイカスと思いましたが、それをカプコン自身がやらないことには落胆しました。
ロックマン新作……スマブラ新作が出る頃には何か仕掛けてきてほしいですね。
それとも生みの親とされる稲船氏のアレが実質そうなる、とか? うあぁ……。